懐中電灯とは、電池を使用する携帯照明器具である。アメリカ英語ではフラッシュライトと呼称。
中国語では手电筒または手電筒。
1898年にアメリカのアメリカン・エレクトリカル・ノベルティ・アンド・マニファクチャリング・カンパニー
(現在のエナジャイザー社)が販売した。
概要
大きさや形状、光源や使用電池の種類及び本数、本体の材質、集光方法、ON-OFFの方式などで用途別に様々な商品がある。
安い物なら100円ショップでも買え、高い物なら50万円以上する物も存在する。
大きさ的に懐(ふところ)に入らない物でもそう呼ばれる。
光源の種類
- 豆電球(Miniature Bulb)
- ガラスの中にフィラメントを入れ密封した物。現在の物は主にタングステンのフィラメントと希ガスが入っている。
明るさは、『真空<アルゴンガス<クリプトンガス<キセノンガス<ハロゲンガス』の順に明るく寿命も長いが値段も高くなる。
消費電力が大きめ(電池の持ちが悪い)、球切れがある、光の色が電球色しかない等の理由で最近はLEDに置き換えられつつある。
- 球切れした時に備えて本体内に予備の電球を収納可能な製品も多い。
- 2本のフィラメントと3つの端子を持ち、片方が切れてもスイッチ操作ででもう1本で点灯可能…なんて物もある。
- 焦点を調節して反射鏡と一体にした物もあり、そのような物は電球交換の際に反射鏡ごと交換する。
- 豆電球を交換するだけで電圧の変動に対応できる為、他の光源に比べてプチ改造が容易。
- (単1電池2本のライトに電池6本用の豆電球を入れ、単3電池6本を直列に入れたり18650型Li-ion電池を2本
- 直列に入れたりなど)
- 蛍光灯(Fluorescent Lamp)
- 面発光であり、近距離を照らす用途向きの為、ランタンタイプの器具に主に用いられる。豆電球も付いている製品も多い。消費電力はLEDより大きい。
- LED(Light Emitting Diode)
- 日本語だと発光ダイオード。 消費電力少ない、球切れしない、様々な色を選べる等利点が多いため、最近の主流になっている。
砲弾型のものは消費電力が特に少なく値段も安いが明るさもそれなりの為、複数個使用した製品が多い。
チップタイプの物はメーカーにより様々な製品があり、近年では6000ルーメンを超える物まで製品化された。
発熱も少ないが、光量を求めた大出力の製品ではかなり熱くなってしまう為、ボディをアルミ合金にする事により 放熱をしている物が多い。(水中で用いるダイビング用ライトは除く)
- HID(High Intensity Discharge)
- 日本語だと高輝度放電管。街灯や体育館や野球場で使われている水銀灯と同じ発光原理。
めっさ明るいが値段もアホみたいに高い。バラスト(電圧安定器)が必要な為大きく重い物がほとんど。
最大の明るさになるまで時間がかかる、頻繁なON-OFFが出来ない等欠点もある。
バーナーの寿命は長いがLED程ではない。
電池
一次電池(充電不可)
マンガン電池
R |
電圧1.5V。液漏れしにくい。値段安い。大出力製品には向かない。低温での性能低下が著しい。 |
| アルカリ電池 LR |
電圧1.5V。液漏れしやすい。大出力製品に向く。 |
| 硫化鉄リチウム電池 FR |
電圧1.5V。値段高め。軽い(アルカリの2/3)。自然放電が少なく15年間保存が可能。低温での性能が高い。寿命末期まで電圧を保つ。単3と単4がある。大電流機器ではアルカリの8倍長持ちする。 |
| 二酸化マンガンリチウム電池 CR |
電圧3V。値段高い。自然放電が少なく10年間保存が可能。小型軽量。低温での性能が高い。寿命末期まで電圧を保つ。軍用の物は大体カメラ用のCR123Aが使われる。 |
二次電池(充電OK)
| 鉛蓄電池(Pb) |
電圧2V。値段安い。重い。過放電厳禁(充電出来なくなる)。メモリー効果無し。
有害な鉛や硫酸を含んでいる為、廃棄時は適切にリサイクルされる必要がある。 |
ニッケルカドミウム電池
(Ni-Cd) |
電圧1.2V。過充電・過放電に強い。内部抵抗が小さい。容量少ない。メモリー効果が顕著。
自然放電が多い。有害なカドミウムを含んでいる為、廃棄時は適切にリサイクルされる必要がある。 |
ニッケル水素電池
(Ni-MH) |
電圧1.2V。容量多い。ニッケルカドミウム電池よりメモリー効果少ない。自然放電が多い。
(eneloopなど改良された物もある) |
| コバルト酸リチウムイオン電池(Li-ion) |
平均電圧3.7V。正極材料LiCoO2。希少元素のコバルトにより値段高い。軽い。過充電厳禁(爆発する)。過放電厳禁(充電出来なくなる)。メモリー効果無し。 |
| リン酸鉄リチウムイオン電池(Li-ion) |
平均電圧3.3V。正極材料LiFePO4。軽い。コバルト酸リチウムイオンより安全性が高く値段も安い。メモリー効果無し。 |
メモリー効果についてはeneloopの記事を参照。
蓄電池にはニッケル、カドミウム、コバルトなど希少な金属が使われており、また鉛やカドミウムは有害なので
寿命時にはゴミとして廃棄せず家電量販店などに持って行きリサイクルしましょう。
社団法人JBRC
集光方法
- スムースリフレクタ
- 凸凹の無いつるつるの反射鏡。遠距離を照らすのに向くが、光源との相性で照射面に暗い部分が出来る場合も多い。この反射鏡を動かして焦点を調整できる製品も多い。
- オレンジピールリフレクタ
- 略称OPリフ。オレンジの皮のような小穴が沢山ある反射鏡。ムラの無い綺麗な照射面になる反面、遠距離を照らすのには向かなくなる。
- コリメータレンズ
- 凹形をしたレンズ。遠距離を照らすのに向くが照射角が小さい為、近距離では使い辛い。
- ムーンレンズ・非球面レンズ
- 照射面が綺麗な丸型にムラなく照らされる。近距離の物は見やすいが遠距離を照らすのにはあまり向かない。
- フォーカスレンズ
- 前後移動させることで近距離にも遠距離にも対応したレンズ。
これ以外にもシュアファイア社の『マイクロテクスチャードリフレクター』やツヴァイブルダー・オプトエレクトロニクス社の『フロッグアイレンズ』などメーカーにより様々な呼び名の物がある。また、非常に明るいライトの場合集光ではなく散光を目的とした拡散レンズカバーがオプションで付属する物もある。
主な種類
- ハンディライト
- 手で持って使うもの全般を指す。一般的に知られる懐中電灯。
- ヘッドランプ
- 頭やヘルメットにバンドで固定して使用。両手が空く為、登山や暗所作業に向く。
- キャップライト
- 帽子やヘルメットのつばにクリップで挟んで使用。重さの関係上砲弾型LEDとリチウムコイン電池の製品が多い。
- ヘルメットライト
- ヘルメットのふちにネジで固定して使用する。
- ペンライト
- ボールペン程度の大きさの物。豆電球ならニップル球、LEDなら砲弾型LEDがよく用いられる。
- 単4電池(AAA)を2本使用する物が大半。海外製品ではより細い単6電池(AAAA)を使用する物もある。
- ペンクリップが付属しており胸ポケットに挿せる物が多い。
- 瞳孔の確認や口内を照らしたりと医療従事者にとっては必須アイテム。
- キーホルダーライト
- キーホルダーとして使えるよう小型にしたもの。そのサイズ故、単4または単3電池を1本や、アルカリボタン電池、リチウムコイン電池を使用した物が多い。
- ネックライト
- 首から下げて使用。
- L型ライト
- ベルトにクリップで固定したり地面に縦置きした時に前方を照らせるよう先端がL字になった物。軍用の物に多い。
- フレキシブルライト
- 照射部と持ち手がフレキシブルケーブルで接続されており、自在に曲がるライト。
大きく分けると胸ポケットに入れて手元を照らす程度の短い物と狭い隙間の奥まで照らせる非常に長い物があり、
後者は自動車のエンジンルーム整備などで力を発揮する。
先端に強力磁石が付いておりピックアップツールを兼ねる物もある。
- ランタン
- 器具周辺を照らす物。ガソリン・灯油・ガス式の物と違い火事・酸欠の危険がほぼ無くテントや車内でも安心して使用できる。従来は豆電球・蛍光灯タイプが多かったが最近はLEDが主流。炎の色に近い暖色LEDの物だとムードもある。
- 工事用充電ライト
- 電動ドリル等のバッテリーパックを使用できる物。パナソニック、マキタ、リョービ、日立工機、ボッシュ、マックス等
- 各電動工具メーカーが販売している。ランタン型の物もある。
- 常備灯、非常用持出灯
- 壁に固定した台座から取出すと自動的に点灯するもの。蓄光テープなどで停電時にも見つけやすくなっている。
大半の物は台座に電池分離スペーサーがあり、外すと電池が繋がって点灯する。
- ダイナモライト
- 手でハンドルを回したり本体を振る事で発電し、内部の蓄電池に充電される。手回し式はLEDライトだけでなく ラジオ、携帯電話への充電機能、アラームなども備えた多機能製品も多い。防災袋に是非1個。
- ウェポンライト
- アサルトライフルやサブマシンガンに取り付けて使用。単に照らすだけでなく犯人や敵兵の目を眩ませる事を目的としている。 小型、頑丈さ、防水性、発砲時の衝撃でも誤作動しない信頼性、ムラの無い大光量を求められる為値段も高い。アメリカのシュアファイア社の物が有名。
- 水中ライト、ダイビングライト
- Oリングなどで防水性を高め、水中使用可とした物。樹脂製の物が大半。
- 形状にはハンディライト、ヘッドランプ、ピストル型の物がある。
- 潜水の際浮き上がって来ないようバラスト(錘)が入っていたり、機密性確保の為に放熱性が犠牲になっていたりで
- 陸上で使用するのに向かない製品が多い。
- 防爆ライト
- 可燃性ガス・爆発性ガスの発生する環境でも使用出来るようにした物。アメリカのストリームライト社の物が有名。
- 赤外線ライト、IRライト
- 夜間の動物・昆虫等の撮影に使用したり、ナイトビジョン(暗視スコープ)等と併用する。肉眼では点灯を確認できない。
- 紫外線ライト、UVライト
- 偽造防止用に紙幣・パスポート・クレジットカードに使用されている紫外線反応インクを調べたり(反応しなかったら偽物)、宝石の鑑定、自動車や航空機の探傷・油漏れのチェック、UV硬化接着材を硬化させるのに使用。
主なメーカー・ブランド
| サンジェルマン(日本) |
GENTOS SuperFireX、閃、MegaFire、Dominator、Explorer 他
一部の上位機種を除き、家電量販店やホームセンターで買える。初心者お勧め。 |
| Mag Instrument(アメリカ) |
MAG-LITE、MINI MAGLITE、SOLITARE、MAG CHARGER 他
頑丈さに定評がある。長い物は警棒も兼ねており、警備・警察向け。
電球仕様の物は全てテールキャップ内に予備電球が収納されている。
7週間湖の底に沈んでいても回収したら使用できた、トラックに轢かれても問題無く使えた等の様々なエピソードがあり、公式サイトに掲載されている。 |
| Surefire(アメリカ) |
軍や特殊部隊向けの物が主。購入者一代に限り無期限保証(電池・電球等の消耗品除く)。値段高い。 (安い物でも5000円以上、一番高いのは50万円以上) |
| Streamlight(アメリカ) |
Stinger、Survivor、Litebox、Fire Vulcan、Propolymer、Stylus 他
消防士向けの物を多数作っている。ロサンゼルス警察は以前ここのSL-20Xが正式装備だった。防爆検定に合格した物や充電池を使用する物が多い。 |
| Pelican Products(アメリカ) |
Nemo、SabreLite、KingLite、MityLite、StealthLite、Little Ed、Big Ed 他
防塵・防水ハードケースで有名なメーカー。ライトも水中用が多い。
ロサンゼルス市警は2007年からここの7060LEDを採用している。 |
| Princeton Tec(アメリカ) |
AMP、IMPACT、MINIWAVE、SHOCKWAVE、TORRENT 他
ダイビング用の防水ライトで有名なメーカー。
成田空港のANA整備士はここのIMPACT XLを使用している。 |
| Zweibruder Optoelectronics(ドイツ) |
LED LENSER |
| FENIX(中国) |
LD、PD、TK 他 |
| HWA/WYS(中国) |
UltraFire
18650型リチウムイオン電池を使用する製品が多い。充電器も電池も販売している。値段の割りに性能は良い。 |
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関連項目
- LED
- HID
- eneloop
- 停電
- アウトドア
- キャンプ
- 登山
- 自転車