戦場の絆Ⅱとは、(正式名称:機動戦士ガンダム 戦場の絆Ⅱ)はアーケード設置のオンライン対戦FPSゲームである。2021年に稼働終了予定である「戦場の絆」の続編にあたる
戦場の絆Ⅱの概要
2021年7月27日より稼動した、機動戦士ガンダムを題材としたアーケードゲームで「君もモビルスーツに乗れる」をコンセプトに約15年稼働した前作「戦場の絆」だが、あまりに長期稼働したため筐体の老朽化及びパーツの調達も困難となった事を発端に、グラフィックの一新も兼ねて新規に開発された
PODと呼ばれる半球スクリーンを持った大型筐体は廃止され、新たにCOREと呼ばれる高解像度を実現するための大型モニタ3面が旧来のコックピット没入感を出すために傾けてプレイヤーを包み込むように配置されている。操作感覚は旧来のプレイヤーが違和感のないよう、ほぼ同一の規格を用いており追加は新システムに使用する帰還ボタンのみで旧作と遜色ないインターフェースとなっている
登場するモビルスーツは一年戦争中心のラインナップへ戻すというコンセプトに基づき多数が削除され、代わりに武装によって機体特性が変化するというシステムを採用している
他にデッキによる編成システム、帰還システム、カテゴリ毎の新規アクションなどが追加されているが、そちらは公式サイトを参考されたい
数々の新要素を引っ提げて前作を超える稼働を狙った本作であったが、開発会社が社内からアーケード界で稼働が振るわなかったゲームを数々作り出したバイキング社への外注へ変更されていたり、進行不能(所謂フリーズ)となってしまう現象がロケテストや公式配信でたびたび確認されたり、公式サイト内の画像に職場内通話と思われる通話のポップアップが写り込んでいたり数々の誤植も目立っていたなど、稼働前より暗雲が立ち込めていた
プロデューサーは生放送でバグについて問われ「稼働日には大丈夫です」と火消しに走ったりしていたが(まぁ完全に嘘だったのだが)、本稼働時に数多くの欠陥を抱えたままリリースしてしまい、高額なゲーム料金も相成ってプレイヤーが全く寄り付かない自体を招き(三面モニタが遠くから仏壇に見え常に誰も座ってない事からサイバー仏壇という侮称まで付いた)バンダイナムコエンターテイメントの第一四半期でアーケード事業の収益基盤と位置づけられた割には高い悪評を得る結果となってしまった
稼働初期における問題点
「戦場の絆」は稼働初期には数時間待ちの長蛇の列ができ、その後は他に類を見ない長期稼働した根強い人気を誇ったアーケードゲームで、ガンダム人気と相成って期待されていたのだが、稼働初期という重要な時期で非常に大きな失敗をしてしまった作品として有名になってしまった。以下はその主な要因である
- 1.高額なプレイ料金
- 本ゲームのプレイ料金は
トライアル(1戦 + 戦闘報酬1個 + MS開発)
スタンダード(2戦 + 戦闘報酬1個 + MS開発)
プレミアム(2戦 + 戦闘報酬2個 + MS開発2倍)※後に4個+4倍へ変更
と用意されており、それぞれ300円、500円、1000円となっている。
大型筐体であり導入費用やメンテナンス費用を鑑みるに致し方ない部分があるとは言え、他のアーケードゲームと比べると1ゲームのプレイ時間は大差ない割には料金は高いと言わざるを得ない
また前作は運用側で電子機器を噛ませる事で料金の引き下げも行うことが出来た(2戦200~300円が相場、100円で提供していた店舗もあった)が、本作はステーションからのエントリーは電子マネー決済のみとなっており、基本的には料金の変更が出来ない
(ターミナル側の硬貨投入口を細工すれば変更することは不可能ではない)
本作の稼働直前で前作を500円でプレイしていたというユーザは皆無に等しい中、新作とはいえ実質的料金の引き上げはユーザ離れの一因となってしまった。その料金設定もバンダイナムコ側によって一律に管理されているといっていい状況であった
つまりユーザが誰もやっていないからといって料金を下げて客を呼び込むといった設置店舗側の経営努力の機会も奪ってしまい、稼働初期という一番利用者が興味をひかれる時期に多くのユーザを取り込む機会を失ってしまった
- 2.アーケードゲームにおける有料ガチャの導入
- 昨今のソーシャルゲームにあやかって、モビルスーツと武装を手早く支給出来る時短が行えるという触れ込みで「軍備支給」というシステムを本作より導入
いわゆるアイテム課金で経営が厳しいアーケードゲーム業界においては然程珍しくはなくなったシステムなのだが、問題は上記に記載した「そもそものプレイ料金が高額」という点と「レアリティの高いMS支給が恐ろしく長い」点である
本作はプレイ終了後に開発するMSを選択でき、その進捗はレアリティとプレイコースに依存する。現状使用出来るMSは全てMS開発によって取得できる。しかし最高レアリティともなると1ゲーム終了時における開発進捗は非常に小さく、具体例を挙げるとスタンダードコースを選択していた場合、MS開発でガンダムを選択すると進捗は2%しか進まない。新規パイロットがスタンダードコースで進めた場合、ガンダムを取得するまでは50回100戦を初期MSで戦い続けなければならない訳である。後述するが、高性能MSが勝敗を左右しかねない環境においてはガチャしないというのは本ゲームを楽しむ上ではデメリットの方が大きい
加えてガチャ自体も俗に「天井」と言われる確定でピックアップされているアイテムが入手出来るというシステムが採用されておらず、1回300円を10回引けばモビルスーツを確定で入手出来るというものである。狙っている機体どころか初期から持っているジムが出る事もある
10連一括という機能もないため3000円分長い時間かけて1回ずつ回し、欲しくない武装やセッティングを入手させられた挙げ句、この仕打ちである
ちなみに途中でガチャを辞めてしまうと最初からやり直しで、モビルスーツ確定までまた10連し直さなければならない。この説明は辞めようとする時に警告するポップアップでのみ知り得る事が出来る。公式サイトの記載もなかったため、気軽に回し初めてしまい途中で辞めて泣きを見たプレイヤーもいる
しかも当初はガチャに軍という括りすらもなかったため、ガンダムが欲しいのに出撃する予定すらないジオンの武装やモビルスーツばかりが出るという事も普通に起きていた
ピックアップ天井も未だに実装されておらず、ガチャ自体も欠陥を抱えていると言ってよいだろう
ゲームだけしてガチャを引かなければ良いと考えたユーザをあざ笑うかのようにマッチングシステムの問題があり、初期装備では現状どんな熟練者でもゲームを楽しむことが出来ない仕様となっていること、前作ではプレイを楽しんでいるうちに新規機体を獲得出来ていた事が本作不評の一因となっている
様々なMSが選択できていた前作と比べるのは酷ではあるが、続編である以上これでは新規ユーザを獲得出来ると考えるほうが無理があるだろう
またマイクロトランザクションを採用しているゲームの多くがゲーム買い切りか基本プレイを無料としており、高額なゲーム料金に並行して採用しているゲームは類を見ないと言っていいということも付け加えなければならない
- 3.公平でないオンライン対人マッチングシステム
- 長く稼働しているゲームにはありがちだが、上級者と初心者では当然ながら実力に大きな開きがある
本来なら実力に応じて分けて対人戦が行われるべきなのだが、本作においては適切に運用されていない
これ自体はオンラインゲームならままある話だが、本ゲームは前作引き継ぎ組の多くが准尉、新規スタートが二等兵だが、それらをマッチングさせるのは当たり前で、酷いと初心者と大佐といった佐官をマッチングさせることもある
当然ながら上級者による初心者狩りによって勝敗が決まってしまい、双方にとって有益ではないゲームが稼働初期から続いている
初心者がみんなすぐに辞めてしまうため、設置店舗側で初めのうちはオンラインを選択せず、トレーニングモードを強く推奨している店も存在する程である
また自軍4人が操作している人間に対し相手がCPU4人マッチングされる事が多いが、これはまだ良い方で(それも1プレイが高額な事を考えれば不満なプレイヤーがいるだろう)、それどころか自軍にCPUがいるのに対し相手は4人とも人間という事も発生するのが本作である(しかも相手が同時出撃で声がつながっている事が多い)
今作においてもCPU機は弱いため、1人でも混じってしまえばゲームバランスが変わってしまい勝敗に直結してしまう。両軍に1、2人ずつならまだ公平なのだが、人数差が発生してしまうと殆どゲームにならなくなってしまう
戦術チームバトルを謳っているのにも関わらず、そもそもチームが成り立っていない事の方が多いのである
- 4.ゲーム進行不能となるバグの多さ
- アーケードゲームなのにゲームが進行不能となるバグが数多く確認されている
そこそこやり込んでいれば進行不能バグに必ず遭遇すると言われる程発生率が高い
またステーション側だけでなくターミナル側がフリーズすることもある。その場合当然全台ステーション含めて再起動しなければならない
本作も前作同様ゲーム開始時1プレイ毎に従量課金制をとっているため、ゲームが進行不能となってプレイヤーへ1ゲーム分サービスしなければならなくなった場合、そのプレイ料金を補填するのは設置店舗側である
店舗が負担している問題に対し、バンダイナムコ側からの説明はない
- 5.MS格差及び編成の不自由さ
- 本作は4VS4を基本としている。出撃する戦場はニューヤークのみでありリバースマップも存在しない。主な戦術として拠点攻略組と拠点防衛組に別れ、攻略組にタンクが1人割り当てられる。つまり前衛3人がそれぞれ2組に分かれるのが基本で、すなわち発生するのは主に個人戦となる。これによって何が生まれるかというと機体相性と個々人の技量によって、そのまま勝敗に直結してしまうという状況が非常に多くなるということ
事例を挙げればザクで出撃したものの、相手が実力が同等のガンダムで機動力で圧倒され撃破されてしまい、拠点攻略/防衛に失敗し相手は帰還、味方は善戦したが敗戦してしまい原因は自分という場合
コストを抑えて自軍の被害を低減しようと考えても、相手を一度も撃破出来なければマイナスにしかならない。ならば高コストの方が当然撃破されにくくなるため、そちらを選択して自軍コストを温存したほうが良い。帰還ボタンの使用も視野に入れる事が出来る
このような環境においても自由にMS選択出来る人間は真にチームの勝利に貢献する気はないか、自分本位なプレイヤーだろう
これでは多少戦場に慣れたパイロットであっても、チーム戦での勝利を目指すのであればセオリー以外の事をするのは躊躇いが生じてしまう
初心者同士や仲間同士なら問題はないが、上記の織り交ぜるマッチングシステムがある以上、セオリーから外れた事をしているプレイヤーを見れば、勝利を第一に目指すゲームである以上他のプレイヤーから不満が出るのは必然と言える
また拠点攻略を主とするタンクも武装レベルによって拠点攻略速度が大きく変わってくるため、前衛に自信がないからといって安易に選択すると他のプレイヤーから悪評を得る事になる
その結果、初期デッキやタンクなしといったセオリーとは乖離しているデッキ編成やLVの高い装備を有していないと総じて忌み嫌われる傾向にある。腕がどうであろうがである
前作から大なり小なりあった問題ではあるが、以前はある程度のマッチングの棲み分けやMSの豊富さとMAPで展開を変化させる事が出来たが、デッキシステムを採用した要因の一つにしては他の問題と相乗して状況が悪化してしまっている
その他にも画面や椅子の違和感といったハードウェア的な問題や、MS全般の動きにもっさりとした違和感がある、画質が良くなっただけでゲーム性が何も変化していないどころか劣化している等と言った様々な意見が報告されており、現状で満足しているユーザは皆無と言って良い。一刻も早い改善がユーザを取り返せるかどうかにかかっているのだが、公式Twitterの発信数も鈍く、いずれも解決の道は遠いと思われる。設置店舗数が激減した前作「戦場の絆」の方が新作より人気で未だに稼働しているという意見も囁かれる中、今後の修正が望まれる。