拡散とは (カクサンとは) [単語記事]

「拡散」とは、広がること、広がり散ること。（例文：感染症が―する。）　意味的には「拡大」と似たようなもの。

特にインターネット上では、「情報を多くの人に広めること」を、主語や客体を省いて単に「拡散」と呼ぶことが多い。
この項では主にインターネット上でのスラングとしての情報の「拡散」について述べる。

概要

情報を知らない人に知らせる為には、当然「知らない人にその情報を見せる」必要がある。
ニコニコ動画内で言えば、動画や大百科の記事を宣伝したり、工作してランキングに乗せる事で、多くの人の目に触れる。
特に強く拡散したい場合、その情報とは全く関係ない人気動画や大百科掲示板にコメントを書きこむような事もある。
ニコニコ動画外でも、ブログコメントや掲示板にコピペ爆撃したりといった形で行われる。

さらに、それらのコメントを見て賛同した人間が同様の拡散行為を行う事により、情報は爆発的に広がっていく事になる。例えば１人が２人に伝え、伝えられた２人が２人ずつに伝え、と続けていけば、倍々ゲームで情報を知る人間が増えていき、あっという間に情報が多くの人間に伝わる。
最近では、twitterで「拡散希望」と文頭に書いて呟く事でその呟きを他者にリツイートしてもらう方法が有名だろう。

このようにして拡散を行う事により、不特定多数にその情報を知らせ、興味を持たせる事ができる。
主に、イベントや特定の活動を宣伝したり、政治的主張を喧伝する事で賛同者を集めたりする事に使われる事が多い。

拡散のデメリット

しかし、拡散には大きなデメリットが存在する。

１つは、「その情報を知らない人間に情報を伝える」と言う行為の性質上、伝えられる側の人間が必ずしもその情報を知りたいと望んでいるとは限らない点である。
知らせる側が善意で「相手のため」と思っていても、受け取る側は余計なお世話と思っているかもしれない。
特に、概要でも述べた「全く関係ない場所での宣伝行為」は非常に嫌われる行為であり、通常は荒らし行為とされる。動画を楽しんでいる時に「政治家の◯◯は××な奴だ！」などと大文字で騒がれて喜ぶ人間はまずいない。

酷い場合には、「そんなことを気にしてたら何もできずじまいになってしまう」「ＴＶやネットのニュース報道と同じこと」「嫌なら見るな」などと言う動機で、受け取る相手の事情を全く勘案する気が無いと言う事もある。
当然、こういった押し付けがましい主張は、受け取る側に反感を持たれる事になる。無視されるなら良い方で、拡散への反発から反対意見に回られてしまう事も多い。「自分の主張の賛同者」を集める為の拡散で、「自分の主張の反対者」を増やしてしまう事になるのである。
「自分は拡散で教えてもらった事に感謝しているから、他人も感謝する筈」と主張する拡散者もいるが、もちろんそんな事はない。
これらの押し付け的な拡散行為はネット右翼やネット左翼といった政治的な主張者に特に多いとされる。「政治厨」の記事も参照して欲しい。

もう１つは、「信憑性の検証が疎かになる」と言う点である。
その情報を調べ、考え、文章として纏め上げなければならない「発信」に比べ、「拡散」はある情報を見て、それを何も考えずにただコピペするなりリンクを貼るなりするだけで成立してしまう。そのため、拡散する情報の信憑性を検証せずに拡散してしまう人間も多い。
その結果、情報拡散過程で情報がねじ曲がるなどして、嘘の情報が爆発的に広がってしまう場合が多く存在するのである。酷い場合は、最初の情報発信が勘違いや偏見、あるいは悪意を持って発信された誤情報だったりする事さえある。
その結果、嘘情報がまるで真実のように語られ出す事も少なくない。

最近では、東北地方太平洋沖地震においてtwitter・ブログ・2ch等で多くのデマ情報が拡散され、問題となった。
その他にも、日常的に多くの誤情報がネット上に広まっている（外部リンクも参照）。

正しい拡散をするために

このようにデメリットの大きい拡散行為だが、「多くの人間に、簡単に情報を知らせる事ができる」と言うメリットは確かに存在する。
正しく行えば、拡散行為も役に立つだろう。

そのためには、「場所を選び」「真実が伝わるようにする」事が大切である。
例えば、政治的な主張拡散をアニメの掲示板で試みれば政治厨と叩かれるが、政治関連の掲示板で行えば、正しく興味を持つ人間に伝える事が出来る。
伝言ゲームで情報がねじ曲がるのを防ぐため、拡散するのは情報発信者のホームページや確かなソースのあるまとめページへの誘導にとどめて、実際の情報は拡散せずに直接来てもらって伝えると言うのも良い。
拡散行為を見かけた時に、すぐに一緒になって拡散するのではなく、自分でもその情報ソースが正しいか調べる事で、誤情報の拡散を防ぐ事が出来る。もしその情報が誤っていたら、拡散している人間を止める事もできる。

ネットも情報も、便利な物だが誤った使い方をすれば他人に迷惑をかけ、傷つける事になる。取り扱いの際は冷静になって、必ず正しく活用しよう。

ちょっと待て、ほんとにそれをリツイート？