洗礼されたとは、「洗練された」の誤記である。
「洗練」は「磨きのかかったものにすること」を指すが、「洗礼」は「キリスト教の入信の儀式」、転じて「初めての経験をすること」や「(集団に入るために)試練を受けること」を指す。
そのため「洗練された」を「洗礼された」と書いてしまうと、聞き手にはキリスト教徒として水に浸かった(または額に水をつけられた)光景が連想される可能性がある。良くても「初めて経験をした」か「何らかの困難を乗り越えた」というニュアンスになってしまい、「洗練」とは違う意味に捉えられかねないので注意が必要である。
SNSでは「洗礼されたデザイン」のほか、「(ラーメンの)洗礼されたスープ」や「洗礼された寿司」、「洗礼されたオタク」、「(ギャグとして)洗礼されたボケ」などの形で「洗礼された」が一部で使われているが、恐らく誤記と思われる。
ちなみに「洗礼」は「洗礼を受けた」という形で使うのが一般的で、「洗礼された」という表現は現在は「洗礼を受けた」と比べると使われない。「初めての経験をする」「試練を受ける」等の意味で「洗礼を受ける」という使い方であれば、キリスト教と関係がない場面でも慣用句的に使われる。
ただしあくまでも比較的使われないだけであって、キリスト教の儀式や何らかの経験・試練を指す「洗礼された」という表現自体は存在している。
- Jordan
- ジョルダン(男)
【語源】「ヨルダン川」の意。現代フランス語のJourdain。イエス・キリストが洗礼者ヨハネから洗礼を受けた川の名前。ヨルダン川から持ち帰ったという水で洗礼された者に名付けられたようである。
私達はぶなの林の中を歩いていた。霧はつめたく、ぶなの木は生れてはじめてだった。これが山の霧に洗礼された最初だった。
石川欣一『可愛い山』(1954)
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最終更新:2025/12/16(火) 02:00
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