濡羽色(ぬればいろ・濡れ羽色)とは女性の美しい黒髪の色を形容する色名の一つである。「濡烏(ぬれがらす・濡れ烏)」、「烏の濡羽色」、「烏羽色(からすばいろ)」ともいう。
概要
「濡羽色」は黒くつややかな女性の髪の毛を形容する言葉として用いられる。 日本では万葉集の時代から黒く美しい髪を通じて女性の美をたたえる表現が登場する。中でもこの表現はカラスの黒い羽色になぞらえたもので、濡れたような艶を伴った美しい黒を彷彿とさせる。
色として説明される場合は「青みを帯びた黒」「やや緑がかった黒」「濃紫色」などとされる。

カラスといえば黒一色というイメージが強いが、よく観察するとその羽は青や藍色、紫、緑などの光沢を帯びて見える。これは羽毛の表面にわずかに「構造色」(微細な構造により光が干渉が起こることによって生じる色)を持つためである。また、雨などで濡れると表面の羽毛が水を含んで寝た状態になり表面が滑らかになることで、乱反射が減って一層黒味が増す(濡れ色効果)。さらに光沢とのコントラストでその黒がより映えて見える。
表面が傷んでいないまっすぐで健康的な髪もまた同様に、水や髪油などを含むことでわずかな干渉色を浮かべた「烏の濡羽色」の美しい黒となるのである。
webカラーとしての「濡羽色」
右はカラスにまつわる色のwebカラーとして紹介されているものの一部である。
「濡羽色(濡烏、烏の濡羽色)」「烏羽色」はどちらもJIS慣用色名として登録されておらず、紹介されているサイトによってそのwebカラーはまちまちである。「濡羽色」と「烏羽色」は別の色として紹介されているサイトもあるが、「濡烏」と「濡羽色」についてはおおよそが同色の別名として扱われている。
関連項目