特定秘密保護法案 単語


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特定秘密保護法案(特定秘密の保護に関する法律案)とは、日本の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。「特に秘匿することが必要であるもの」を特定秘密として指定し、取扱者の適評価の実施や漏洩した場合などの罰則を決める法案である。

2013年10月25日、第2次安倍内閣はこの法案を安全保障会議の了承を経たうえで閣議決定し、第185回国会に提出した。
その後、有識者の意見による統一基準の作成や、野党との合議によって修正を行った上で、
2013年11月26日、衆議院本会議において賛成多数により可決した。

概要

特定秘密の指定と定義

行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、
その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定できる。
行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。指定の有効期間が満了する時において、当該指定をした情報が要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長できる。
指定の有効期間は、通じて三十年を超えることができないが、以下の事例に限り、六十年を超えない範囲で延長できる。
ただし、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得た場合に限る。

一 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物
二 現に行われている外国の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報
三 情報収集活動の手法又は能力
四 人的情報源に関する情報
五 暗号
六 外国の政府又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に提供された情報
七 前各号に掲げる事項に関する情報に準ずるもので政令で定める重要な情報

行政機関の長は、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」という特定秘密の要件を全く欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。

つまるところ、この条文では例えば原発の警備情報については特定秘密にあたる可能性があるが、原発の現状の情報や国民に与える危険性等については特定秘密にすることができない。
安倍晋三首相は同質疑に対し、「福島の皆さんの原発の情報が外に出てこないのではないかというご懸念。それが特定秘密になることはない」「原発をテロから守るために警察が取る対応は特定秘密に当たるが警察が取る対応でない対応については(特定秘密に)当たらないということだ」と説明した。

国民の「知る権利」に対する配慮の明文化

一部メディアから、国民の知る権利の侵害が行われるとする批判があるが、実際にはこれに配慮して、
第二十二条には、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない
出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。
と明文化されている。
つまり、真に特定秘密の乱用が行われ、訴訟となれば、この条文を根拠に政府側に勝ちの目は無いと言える。

罰則と犯罪の構成要件

1.特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、
十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

2.提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。

3.外国の利益若しくは自己の不正の利益を図り、又は我が国の安全若しくは国民の生命若しくは身体を害すべき用途に供する目的で、人を欺き、人に暴行を加え、 若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。

つまり、特定秘密に関わる業務に携わる者以外は1・2の罰則の対象にはならない。一般人に関係し得るのは3のみである。その3のみについても、「これが善良な一般市民が犯し得る犯罪になるだろうか?」というような厳しい内容であり、西山事件のような暴挙に打って出た悪意ある取材を行ったマスコミ関係者以外は対象になり得ないと言える。「○○を知ったら逮捕される!」というような批判は、3に触れない限りほとんどの場合的外れになる。

同法に対する批判

国民の知る「権利」が侵害される、恣意的な運用をされる、等の理由から一部メディア(朝日新聞・毎日新聞・共同通信・TBS・テレビ朝日)や識者(後述)、市民団体等(後述)からの批判が根強くある。
衆議院本会議において同法案が可決された際は、野党との修正合議を行って(「知る権利」に対する配慮の条文もこの合議によって追加された。)、1ヶ月にわたる審議を行い、みんなの党等の野党を含む賛成多数による可決であるにも関わらず、強行採決という文面が多くのメディアで紙上を踊った。

メディアの取材方法を規制する可能性があるので、自己の利益的にメディアが反発する性質を持つ法案であるため、我々はこの法案の条文をしっかりと確認して、冷静に判断していくことが求められる。

団体・個人別賛否状況の一覧

種別 賛成 反対
政党 自由民主党 公明党 幸福実現党
日本維新の会 みんなの党[1]
民主党 日本共産党 生活の党 社会民主党 緑の党 新社会党
市民団体
労働組合
宗教団体等
統一教会 幸福の科学 日弁連 日本ペンクラブ 日本新聞協会 9条の会 グリーンピース・ジャパン アムネスティ日本 部落解放同盟 日教組 新聞労連 中核派 革マル派
国際組織 国際連合人権高等弁務官事務所 国際ペンクラブ
研究者 池田信夫 長谷部恭男 前田雅英 白川秀樹 益川敏英 その他特定秘密保護法案に反対する学者の会参加者2006人
文化人
ジャーナリスト等
田母神俊雄 青山繁晴 西村幸祐 京本和也(KAZUYA CHANNEL) 高畑勲 山田洋二 宮崎駿 田原総一郎 吉永小百合 大竹しのぶ 菅原文太 仲代達矢 その他特定秘密保護法案に反対する映画人の会参加者269人

公式ニコ割アンケート

2013年11月28日に実施された公式ニコ割アンケートのネット世論調査において、特定秘密保護法案に関するアンケート調査が行われた。回答者は実施時間中にニコニコ動画を視聴していた122,604人のニコ動ユーザーである。

今国会での成立の是非
回答 総合 世代 性別 安倍内閣支持
50代
以上
40代 30代 20代 10代
以下
男性 女性 支持 不明 不支持
成立させるべき 36.6 45.4 41.6 38.6 27.2 20.4 43.2 29.8 60.1 15.5 9.9
審議延長が必要 30.7 23.0 27.8 32.0 32.9 28.4 30.1 31.2 26.5 42.5 30.0
廃案にすべき 17.6 17.6 17.3 16.7 19.4 22.9 16.2 19.1 5.5 18.0 51.3
わからない 15.1 14.0 13.4 12.7 20.4 28.2 10.4 19.8 7.9 23.9 8.8
法案成立後に最も起こり得るであろうこと
回答 総合 世代 性別
50代
以上
40代 30代 20代 10代
以下
男性 女性
スパイ天国の一掃による国民生活の安全化 23.7 30.0 25.4 25.5 19.2 17.7 27.4 19.9
機密情報に関する国際協力の進展 28.7 30.2 32.0 27.9 25.1 21.1 32.5 24.8
国民の知る権利の制約 21.8 19.7 20.2 20.3 25.9 29.5 16.5 27.2
公権力による捜査・逮捕権の濫用 25.8 20.1 22.4 26.3 29.8 31.6 23.5 28.0

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関連項目

  • 安倍晋三
  • メディア・リテラシー
  • 西山事件
  • マスゴミ
  • 国家安全保障会議(日本版NSC)
  • 法律に関する記事の一覧

脚注

  1. *両党は特定秘密保護法そのものには賛成であるとして修正に応じたものの、審議状況への不満や内容への懸念から全部または一部の議員が棄権または反対票を投じている。

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