空母(艦これ) 単語


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※この項目では、『艦隊これくしょん~艦これ~』における「空母」について、史実解説を中心に記述しています。

 概要

 『艦これ』には2015年7月現在、太平洋戦争に参加した日本海軍の空母のうち19隻と水上機母艦1隻(+陸軍の揚陸艦1隻、特殊な水上機母艦1隻、特殊な補給艦1隻)と、ドイツ海軍の未成空母1隻、イタリア海軍の未成空母1隻、アメリカ海軍の空母1隻、フランス海軍の水上機母艦1隻が実装され、今後投入予定のあるものとしては「信濃」が挙げられている。

 『艦これ』において空母が期待されている役割は、戦闘開始直後の航空攻撃によって、砲撃戦前に敵艦隊の数を減らすことである。敵がそこまで強力な部隊編成でない場合、航空攻撃だけで全滅させてしまうこともある。
 ……というのは過去の話であり、時間経過と共に『艦これ』の戦闘システムがブラッシュアップされ続けた結果、空母の役割も大きく変わり、現在は艦載機による攻撃よりもまず「制空戦で打ち勝つことによって、相手の弾着観測攻撃を防ぐ」ことが空母の最大の役割とされ、結果として烈風キャリアーと揶揄されることもある。
 ……というのも過去の話となった。というのも、2015年夏に艦載機熟練度が導入され、この熟練度による補正値はこれまでの艦載機の常識を大きく変えるほどのものだったからである。詳細は各自で調べられたしだが、対人戦となる演習はともかく、今のところ艦載機熟練度を導入していない深海棲艦相手であれば、これまでより少ない艦戦で制空戦をモノにすることが可能となり、その分空いたスロットをどう使うか、提督が腕を振るう余地が広がったといえる。
 空母の戦闘力は当然ながら艦載機の種類と性能・搭載数に左右され、初期値で93の搭載数を持つ正規空母「加賀」が、今のところ『艦これ』内では最強の空母とされている。

 一方欠点は、中破・大破の損害を受けると昼戦でも艦載機を飛ばせなくなること(装甲空母「大鳳」のみは中破しても戦闘可能)、そして夜戦では全く何もできない点[1]。夜戦で棒立ちになった「赤城」に敵の攻撃集中→大破など、安定の食っちゃ寝コースまっしぐらだ。
 また、『艦これ』では、正規空母は潜水艦への攻撃ができない。潜水艦実装当初は、正規空母も軽空母も艦上爆撃機で潜水艦への攻撃が可能だったが、ゲームバランスを考慮して正規空母に関しては外された。軽空母にその機能が残されているのは、大戦中にアメリカ軍・イギリス軍が小型の「護衛空母」を使って、ドイツ軍潜水艦による通商破壊戦から輸送船団を守った戦訓を踏まえているものとされる。帝国海軍の護衛空母?いえ、知らない子ですね……逆に、演習において敵に軽空母がいる場合は、潜水艦を自軍に加えておけば砲撃戦において敵の攻撃を吸収させることができる。

 『艦これ』において、空母は大きく分けて正規空母と軽空母に分類される(「大鳳」は前述の通り分類は装甲空母だが、実際の使用時には正規空母の扱いをされることが多い)。史実上の分類とは事なり、『艦これ』ではあくまでも搭載機数で分けているらしく、史実では正規空母だった「鳳翔」「龍驤」が軽空母に分類されている。

 正規空母に対する軽空母のメリットといえば、なんといっても燃費の良さであろう。飛鷹型・千歳型(航改二)は正規空母「蒼龍」「飛龍」に近い搭載数を持ちながらローコストとあって、好んで使われる。
 「瑞鳳」などは搭載数で劣るがその分更にローコストであり、3-2-1へのレベリング出撃のお供・空母を必要とする長時間遠征での運用に最適。特に「鳳翔」は改でも燃費が軽巡洋艦並で、コストダウンのためにレベリング・遠征でいつも「鳳翔」を使っていたら、いつの間にかレベルが上がりまくっていたということも少なくない。

 要するに『艦これ』の空母は一艦一艦に特性があるので、これを使いこなす提督の指揮力が試されていると言える。

 その一方、水上機を運用する専用艦である水上機母艦は、これまで実装されていた「千歳」「千代田」は改造することで最終的に軽空母となるところから、水上機母艦のまま運用されることはあまりなかった。しかし、2015年になり、「秋津洲」「瑞穂」、2016年には「コマンダン・テスト」と続けて"空母にならない水上機母艦"が実装された。事実上の「飛行艇母艦」で毛色の違う「秋津洲」はともかく、「瑞穂」「コマンダン・テスト」は立派な戦力になり得る水上機母艦であり、今後その運用方法が提督達によって開発されていくと思われる。

 なお、同じく艦載機を運用する「航空戦艦」は戦艦(艦これ)、「航空巡洋艦」は重巡洋艦(艦これ)、「潜水空母」は潜水艦(艦これ)を参照。
 また、海外の空母及び水上機母艦については、それぞれの解説記事を参照されたし。→グラーフ・ツェッペリン(艦これ) →アクィラ(艦これ) →サラトガ(艦これ) →コマンダン・テスト(艦これ)


※ここから、日本海軍の空母・水上機母艦の史実での所属航空戦隊ごとでの解説等

 一航戦 (第一航空戦隊)

→  赤城(艦これ) 加賀(艦これ) 一航戦 航空戦隊 も参照

 「一航戦、赤城、出ます!」の出撃セリフ、そして帰投してからの補給・修理で要求してくる膨大な資源(特にボーキサイト)のエピソードで、一躍『艦これ』の主役的存在となった正規空母「赤城」の所属した航空戦隊。相方は正規空母「加賀」。

 両艦とも元は八八艦隊計画で、巡洋戦艦(赤城)と戦艦(加賀)として建造されるはずだったものが、ワシントン海軍軍縮条約の成立によって計画が中止され、空母へ転用となったもの。特に「加賀」は、軍縮で建造中止→標的艦として処分される予定が、関東大震災で空母改装中の「天城」(赤城の姉妹艦)が修復不能の損傷を受けたため、代わりに空母へ改装されることになったという、なかなか波乱な生い立ちを持っている。

 『艦これ』では「加賀」が「赤城」と似たようなキャラ造形(2Pカラー)となっているので2人を姉妹艦と思っている提督も少なくないが、上記のように別艦型である。

 第一航空戦隊が初めて編成されたのは昭和3年だが、もちろんその当時は「鳳翔」と、空母(三段式甲板)として完成したばかりの「赤城」がいるだけ。昭和4年に「加賀」が就役して3隻をローテーションで編成できるようになるが、何分にも“空母”という新しい艦種を扱うため、運用は試行錯誤の連続だった。
 昭和8年に「龍驤」が就役してからは、一航戦が「龍驤」「鳳翔」で、二航戦が「赤城」「加賀」だった時代もある。

 太平洋戦争では開戦初期、世界最強を謳われた【南雲機動部隊】の司令戦隊として各戦場を蹂躙。日華事変における実戦と猛訓練を重ねた一航戦のパイロットの技量は人外レベルとも言われ、実際に真珠湾攻撃やセイロン沖海戦で大戦果を叩き出した。しかし、その戦果と評判が慢心を生み、ミッドウェー海戦の惨劇に繋がったことは巷間よく知られている。
 『艦これ』では、「赤城」にその慢心を戒めるセリフを、「加賀」には史実を象徴するセリフを言わせている(※田中謙介プロデューサーは、「加賀」のセリフに関しては「やりすぎたかな」とコメント)

 ミッドウェー海戦は開戦からわずか半年後に起こり、その後の第一航空戦隊は、ミッドウェー作戦に参加していなかった第五航空戦隊の「翔鶴」「瑞鶴」および軽空母の「瑞鳳」で再編されたため、実のところ太平洋戦争の期間においては、「赤城」「加賀」より鶴姉妹が一航戦だった期間の方が長い。また短期間ではあるが「大鳳」が所属していた時期もある。
 しかし「赤城」「加賀」は黎明期から日本海軍空母部隊の主力を担っていた艦であり、“一航戦、赤城”のイメージは今後も変わることは無いだろう。

 ※ちなみに空母部隊が壊滅した戦争末期、一航戦は艦載機を持てない残存空母(雲龍型の「天城」「葛城」)の寄り合い所帯に成り果て、挙句の果てには戦艦の「大和」が配属された上に戦隊司令官は任命されないという、無残な状態となってしまった。

なお、太平洋開戦時のトンボ釣り=不時着機の救助役の駆逐艦としては、第七駆逐隊の綾波型駆逐艦「曙」「漣」「潮」が所属していた。ただし、真珠湾には航続距離の関係で綾波型は参加出来ず、代わりに一水戦の第一七駆逐隊(「浦風」「浜風」「磯風」「谷風」)がその任務にあたっている。

 二航戦 (第二航空戦隊)

蒼龍(艦これ) 飛龍(艦これ) 飛鷹(艦これ) 隼鷹(艦これ) 龍驤(艦これ) 龍鳳(艦これ) も参照

 南雲機動部隊のもう一つの主力を担った、正規空母「蒼龍」「飛龍」の所属する航空戦隊。ミッドウェー海戦で両艦が戦没した後は、商船改造空母の「飛鷹」「隼鷹」および四航戦から移ってきた軽空母「龍驤」で再編された。

 一航戦とともに歴史のある航空戦隊で、昭和8年に「龍驤」が就役して空母が「鳳翔」「赤城」「加賀」「龍驤」の4隻体制となったので、これを第一艦隊・第二艦隊・予備のローテーションで運用するために、第二艦隊所属の戦隊で編成されたのが最初。

 昭和13年に「蒼龍」、14年に「飛龍」が就役すると、この準姉妹艦どうしでの編成となり、昭和16年4月に第一航空艦隊(南雲機動部隊)が組織されて配属。開戦劈頭の真珠湾攻撃を戦う。なお、太平洋開戦時のトンボ釣り=不時着機の救助役の駆逐艦としては、第二三駆逐隊の睦月型駆逐艦「卯月」「長月」「夕月」(艦これ未実装)が所属していたが、こちらも一航戦同様に航続距離の問題で真珠湾には同行せず、代わりに朝潮型と陽炎型からなる第一八駆逐隊(「霰」「霞」「陽炎」「不知火」)を二水戦から借用して同行させている。
開戦後は山口多聞司令官の下で各地を転戦。一航戦のパイロットに劣らぬ驚異的な技量を発揮し続けてきたが、ミッドウェー海戦で両艦とも戦没。山口司令官も「飛龍」と運命を共にする。

 空母機動部隊が第三艦隊として再建されると、二航戦には改造空母の「飛鷹」と「隼鷹」、そして開戦時は第四航空戦隊にいた軽空母「龍驤」が配属される。
 「飛鷹」が機関故障で本土へ後退したため、ソロモン諸島をめぐる第二次ソロモン海戦は「隼鷹」と「龍驤」で出撃。ここで「龍驤」は戦没する。続く南太平洋海戦には「隼鷹」のみで出撃し、日暮れ時まで攻撃隊を発進させ続ける猛攻ぶりを発揮した。

 失われた「龍驤」に代えて、潜水空母「大鯨」からの改装がようやく完了した軽空母「龍鳳」を加え、昭和19年のマリアナ沖海戦は「飛鷹」「隼鷹」「龍鳳」の3隻編成で出撃したが、「飛鷹」は戦没、「隼鷹」も発着艦不能となる損害を受け、おまけに海戦全体では400機近い航空機とそのパイロットを失う大敗となったため、二航戦へは配属できる艦載機が無くなってしまい、レイテ沖海戦を前に戦隊は解隊となってしまった。

 残された「隼鷹」と「龍鳳」は輸送任務に使われた後、それぞれ佐世保と呉で、太平洋戦争の終幕を見届けることになる(「隼鷹」は潜水艦の雷撃を受け大破、なんとか佐世保まで戻ったものの、機関の修理が出来なかったため、外洋に出られなくなった。「龍鳳」は空襲により大破し、防空砲台として係留された状態で終戦を迎える)。

 『艦これ』では一航戦の「赤城」や五航戦の鶴姉妹のように、所属航空戦隊をセリフで言う艦娘がいるが、二航戦の場合は「飛龍」の持ちセリフとなっていて、大戦後期の二航戦だった「隼鷹」たちには無い。
 その代わり、「隼鷹」「飛鷹」と「龍驤」は姉妹艦でないにもかかわらず、同じ絵師(声優は別)による作画かつ、艦載機を式神として操る空母というキャラクターで設定されており、これで3人が二航戦の同僚だったことを表していると思われる。
 なお、後日実装された「龍鳳」は二航戦所属だが、武器が式神ではなく日本弓である。これは二航戦としてはマリアナ沖海戦の一度しか戦ってないことと、艦型が「瑞鳳型航空母艦」でひとくくりにされることから、スタイルを祥鳳&瑞鳳と合わせたためだろうと思われる。

 三航戦 (第三航空戦隊)

→  鳳翔(艦これ) 瑞鳳(艦これ) 千歳(艦これ) 千代田(艦これ) も参照

 開戦時と最終時で、所属空母が大きく変化した航空戦隊。
 開戦時は「瑞鳳」と「鳳翔」が所属し、いったん解隊して再編成された時は、水上機母艦から空母へ改装された「千歳」「千代田」姉妹が所属。その後、一航戦へ転属していた「瑞鳳」が復帰し、マリアナ沖海戦後は「瑞鶴」も転属してきて、事実上最期の空母戦隊としてレイテ沖海戦を戦った。

 昭和11年から13年にかけては「神川丸」などの特設水上機母艦によって編成と解隊が繰り返され、日米開戦の機運が高まりつつあった昭和15年末、二線級扱いとなっていた「龍驤」「鳳翔」の受け入れ場所のような形で再編。まもなく「龍驤」は新編成の第四航空戦隊へ異動し、新たに潜水母艦から空母へ改装された「瑞鳳」が所属して、この2艦で太平洋戦争を迎える。(※トンボ釣り=不時着機の救助役の駆逐艦として「三日月」と「夕風」(峯風型駆逐艦)が所属)

 特に戦力に数えられている訳ではなかった三航戦は、昭和17年4月の編成で解隊。「鳳翔」「瑞鳳」ともにミッドウェー海戦へ出撃しているが、所属艦隊は別だった。海戦後、機動部隊の再建で「瑞鳳」は一航戦所属となり、「鳳翔」は内地で訓練艦とされる。

 水上機母艦の「千歳」と「千代田」の空母改造が完了すると、この姉妹で第三航空戦隊を再編成。正規空母「大鳳」が就役して一航戦に配属されると、「瑞鳳」が再び三航戦所属に異動。マリアナ沖海戦では、「大和」「武蔵」らの戦艦・重巡部隊と行動を共にした。

 マリアナ沖海戦で「大鳳」と「翔鶴」が戦没し、一航戦が「瑞鶴」単独となったため、一航戦は新鋭の空母「雲龍」「天城」で再編し、「瑞鶴」は三航戦へ移る。一航戦は空母こそ新鋭だが搭載する航空機が無く、かろうじて戦力を残していた三航戦が、事実上最後の日本海軍空母部隊だった。
 昭和19年10月、三航戦は最期の機動部隊としてレイテ沖海戦へ出撃。栗田艦隊のレイテ湾突入を援護する囮艦隊として戦い、「瑞鶴」以下4隻は任務を全うして全滅した。

 所属空母の変化が激しいためか、『艦これ』の艦娘のセリフで“三航戦”を使っている者はいない。設定するなら千歳型姉妹か。しかし最期の三航戦で戦った「瑞鶴」「瑞鳳」「千歳」「千代田」の改の衣装は、レイテ沖海戦時の迷彩色で彩られている。セリフにはなくともこの色で、悲運の三航戦を表しているということだろう。

 四航戦 (第四航空戦隊)

祥鳳(艦これ) 伊勢(艦これ) 日向(艦これ) も参照

 大戦末期、航空戦艦に改造された「伊勢」「日向」が所属した航空戦隊。開戦時の編成は「龍驤」と、後に特設空母「大鷹」へ改造される商船「春日丸」。開戦後に「祥鳳」加入。

 開戦直前の昭和16年9月に新編成。所属は南雲機動部隊こと第一航空艦隊だったが、軽空母ゆえに真珠湾までの進軍は不可能とされ、東南アジア方面の攻略部隊に配置。正規空母が全てハワイ攻撃に出払っている間、南方攻略の航空支援を行う。
 昭和17年1月に潜水母艦からの改造が完了した「祥鳳」が配属されるが、「龍驤」はすでに前線へ出撃しており、5月に「祥鳳」はソロモン諸島方面の珊瑚海海戦で戦没してしまったので、最後まで統一行動をとることはなかった。

 『艦これ』で、「祥鳳」と「瑞鳳」、さらに「龍鳳」が姉妹艦であるのに絵師・声優ともに異なっているのは、所属航空戦隊が異なって接点に乏しかったこと、更に建造過程が異なる[2]ことが反映しているものと思われる。

 ミッドウェー海戦の後、「龍驤」は再編成された二航戦へ配属となったので、この時点で四航戦はいったん解隊。次に編成されたのは、ミッドウェーの損失の穴埋めとして航空戦艦へ改造された戦艦「伊勢」「日向」を配属した昭和19年5月。

 しかし航空戦艦として運用するにはそれ用の航空機を開発しなければならなかったが、戦局の悪化で遅々として進まず、マリアナ沖海戦には不参加。レイテ沖海戦では三航戦とともに機動部隊へ配属されたものの搭載機はゼロで、代わりに噴進砲などの対空兵器を満載して、航空戦艦ならぬ“防空戦艦”のような形で戦った。
 艦齢30年を数える低速・旧式戦艦ながら、戦隊司令官・松田千秋少将の指揮によって、米空母の空襲をほとんど損害なくかわし切った逸話が有名(『艦これ』での伊勢型戦艦の対空・回避・運の高さはここから)。

 昭和20年2月には、その航空機格納スペースへ資源物資を詰め込んで、本土まで強行突破する北号作戦を敢行。奇跡的に成功をおさめ、呉に帰投する。しかし内地の資源枯渇をまかなえるようなものではなく、まもなく燃料不足で戦艦は浮き砲台化されることとなり、3月1日付けで四航戦は解隊となった。そしてその後、「伊勢」「日向」は呉軍港空襲によって大破着底し、軍艦としての生涯を終える。

 『艦これ』では、航空戦艦となってからの「日向」に“四航戦”、「伊勢」に“小沢囮艦隊”のセリフがある。「祥鳳」にはこの関係のセリフが無いが、戦隊を転々としていた「龍驤」との兼ね合いもあるので、セリフ設定は難しかったか。

 五航戦 (第五航空戦隊)

翔鶴(艦これ) 瑞鶴(艦これ) も参照

 開戦時の最新鋭大型空母「翔鶴」「瑞鶴」による航空戦隊。初期編成時は、トンボ釣りの駆逐艦として「朧」と「秋雲」も所属していた。

 開戦直前の昭和16年8月に「翔鶴」、9月に「瑞鶴」が就役。ただちに南雲機動部隊(第一航空艦隊)へ配属され、12月の真珠湾攻撃に間に合わせるべく急ピッチで訓練を課される。このころ作戦指導部では、ハワイまでの航続距離の問題から「加賀」と五航戦のみによる出撃が検討されていて、なおさらの猛訓練となった。
 結局は「赤城」「飛龍」「蒼龍」を含む6空母での全力出撃となったが、一航戦・二航戦のベテランからはヒヨッ子扱いされ、真珠湾では魚雷攻撃をせず爆撃のみを担当(それでも命中率は凄まじかったが)することになり、ベテランからは「五航戦の連中と一緒にするな」の声も聞かれた。
 なお、開戦時の五航戦のトンボ釣り部隊は綾波型駆逐艦の「朧」と陽炎型駆逐艦の「秋雲」だったが、このうち「朧」は真珠湾には航続距離の関係で未参加となり、「秋雲」のみが同行していた。

 インド洋のセイロン沖海戦の後、南太平洋方面へ転戦して珊瑚海海戦を戦う。ここで「翔鶴」が中破したので五航戦は内地へ後退してミッドウェー海戦には不参加。そのミッドウェーで母艦を失った一航戦のベテランたちが、再編一航戦へ横滑りした五航戦の空母を母艦にして戦うことになるのは、皮肉としか言い様がない。
 「翔鶴」「瑞鶴」とも一航戦へ転属となったので、五航戦はこれをもって解隊。実のところ五航戦が存在したのは、昭和16年9月から17年7月までの10ヶ月間にすぎず、鶴姉妹は一航戦所属の方がはるかに長い。

 「瑞鳳」も加えた新生一航戦で鶴姉妹は第二次ソロモン海戦と南太平洋海戦を戦ったが、海戦のたびに戦力を消耗。「い号作戦」と「ろ号作戦」では艦載機とパイロットを基地航空隊へ転用され、特に後者は投入した航空隊の機体7割・パイロット5割を失うという惨憺たる結果に終わり、機動部隊再建失敗の致命傷となった。

 昭和19年、新鋭空母「大鳳」が加入して機動部隊は表面上、形を整えたが、日本軍航空機の長い航続力を活用してのアウトレンジ戦法は、初期一航戦のベテランパイロットでもなければこなせない技量と疲労を強いるもので、フラフラになりながらたどり着いた先の米軍機動部隊から浴びせられる猛烈な対空砲火の前では、“七面鳥撃ち”されるのも当然といえば当然だった。
 そして「翔鶴」と「大鳳」は、潜水艦の魚雷攻撃によって戦没。唯一の残存艦となった「瑞鶴」は三航戦へ移籍し、迷彩を施されてレイテ沖海戦の囮任務へ出撃する。

 『艦これ』での鶴姉妹は、初期所属の五航戦として登場。「瑞鶴」は改になると、レイテ時の迷彩色衣装に変化する。“被害担当艦”と言われた「翔鶴」にはその関係のセリフがあり、二次創作の方面では、史実一航戦の慢心セリフを放つ「加賀」との絡みを描いたものが多数ある。
 2015年秋に、「翔鶴」「瑞鶴」に相次いで"改二"および"改二甲"が実装された。特に"改二甲"は後発の「大鳳」の仕様に準じる装甲空母化であり、また「瑞鶴」がレイテ仕様の迷彩柄から元の紅白に戻っているところからも、「マリアナ・レイテを生き延びて最新技術による近代化改装を受けた翔鶴型空母」という仮想戦記めいた仕様といえる。

 十一航戦 (第十一航空戦隊)

千歳(艦これ)  瑞穂(艦これ) も参照

 第十一航空戦隊は、いわゆる空母ではなく、水上機母艦によって編成された航空戦隊である。
 なお、航空戦隊のナンバリングは、一桁が空母、十番台が水上機母艦、二十番台が海軍の航空基地隊によるもの、五十番台が訓練部隊となっており、十一航戦より前に10の航空戦隊があるわけではない。
 ただし、そうなったのは太平洋戦争に入ってからであり、実際にこの水上機母艦による戦隊も、開戦前は第七航空戦隊で、開戦にあたっての再編に伴って第十一航空戦隊に改称した。(同様に六航戦も十二航戦に改称している)

 母体となった七航戦は、その時最新鋭だった水上機母艦の「千歳」と「瑞穂」によって編成された。直後に日中戦争に出撃したが、各国は千歳型水上機母艦への関心が高く、中国では「千歳」も「瑞穂」も写真を撮られまくった、という逸話が残っている。
 なお、「千歳」の同型艦である「千代田」は、水上機母艦時代は特定の戦隊に所属はしていない。

 太平洋戦争の開戦後、七航戦から改称した十一航戦は四航戦と共に東南アジア方面の攻略部隊に配置されていたが、42年5月に修理を終わり回航中だった「瑞穂」が敵潜水艦による雷撃で轟沈、太平洋戦争における"軍艦"としては初の喪失となる。そして残された「千歳」は同年6月のミッドウェー海戦に参加したが、これが十一航戦の最後の活動となった。同海戦で正規空母4隻を失った海軍は、「千歳」と「千代田」の空母への改装を決定。そして両艦は三航戦に異動となり、所属艦のいなくなった十一航戦は解隊となった。

 『艦これ』において、「千歳」は「千代田」と共に甲標的母艦や空母となってからの活躍の方がクローズアップされる傾向が長く続き、「千歳」だけが所属していた十一航戦のことはほとんど触れられることがなかったが、2015年夏イベントで水上機母艦「瑞穂」が実装され、その時報セリフに「千歳」と十一航戦について触れているものがある。 

 間に合わなかった空母たち

大鳳(艦これ)  信濃(未実装)  雲龍(艦これ) 天城(艦これ) 葛城(艦これ) 伊吹(未実装) [3]も参照

 大和型戦艦・翔鶴型空母を建造したマル三計画に続き、昭和14年以降の軍備充実としてマル四計画・マル五計画を立て続けに策定した海軍だったが、昭和16年に太平洋戦争が開戦すると、現有戦力の維持整備・大艦巨砲主義から航空主兵主義への戦術の大転換・急速に拡大していく戦線維持のための中小艦の需要増大で、ただでさえ少ない物資・資源と港湾工廠能力はたちまちパンク状態に陥る。
 これによって、建造を夢見た超・大和型戦艦などの大型艦計画はことごとく御破算。「信濃」は、その巨大ドックを他艦の建造・整備に使うため、船体を急造して追い出したという記録がある。さらにミッドウェー海戦での四空母喪失で新規の正規空母建造が急務だったが、前線は飛鷹型・千歳型などの改造空母でなんとかしのぐという有り様だった。

 「大鳳」は、そうした中で唯一、最後の決戦へ間に合わせられた正規空母だった。日本空母の欠点とされた、飛行甲板の防御力の弱さをカバーする装甲を施した「大鳳」は、次世代の日本空母のモデルとも言うべき艦となった。
 モデルという点では、実際の海軍が量産を図った正規空母は雲龍型だったが、改・飛龍型である雲龍型は翔鶴型以前の空母並みの防御力しか持っておらず、さらに機体が大型化した「烈風」や「流星」などの新型機を運用出来なかったのではないかと言われており、実戦投入ということを考えれば、やはり「大鳳」が量産できれば最も望ましかっただろう。

 しかし「大鳳」は艦こそ会戦に間に合わせられたものの、その艦載機とパイロットは間に合ったと言い難かった。「ろ号作戦」に基地航空隊として投入された一航戦・二航戦航空隊の大消耗は致命的で、数字上は南雲機動部隊をも上回る戦力を持ちながら、その実態は比べるべくも無かった。
 加えて「大鳳」は、「翔鶴」(3年8ヶ月)並みの艦体を持ちながら「蒼龍」「飛龍」(3年)より短い工期で就役(2年8ヶ月)に漕ぎ着けており、どこかで急造の無理が隠れていたというのは想像に難くない。

 そしてマリアナ沖海戦に出撃した「大鳳」は、たった一本の魚雷でその短い生涯を閉じることになる。

 『艦これ』では、2013年12月からシステム開始となった“大型艦建造”によって建造が可能。史実に準じて、プレイヤー側では新艦種となる“装甲空母”として登場する。
 この手のゲームでしばしば問題となる「大鳳」の搭載機数の少なさだが、一般的に大鳳の搭載機数として知られている数値は大戦後期の大型機で換算されたものである。艦これにおける搭載機数は基本的に大戦初期の小型機を元に換算されているためこれより増加し、更に本人がゲーム内セリフで言及している通り露天駐機を活用した結果改では翔鶴並の搭載機数を得た。正規空母陣でトップクラスに強い艦ではあるが、搭載数や火力など個々の能力で見れば大鳳を上回る能力を持つ既存空母は他にもいるため一長一短である。大鳳自身も装甲空母だけあって装甲が厚い代わりに回避が格段に低いという弱点を抱えており、敵の火力がインフレしてくるイベント海域後半などでは使いにくくなるという欠点もある。

 日本海軍の大型空母の最終進化型が「大鳳」だとすると、中型空母のそれは雲龍型と言えよう。設計時点では「中途半端」と言われており、実験的に一隻のみ建造する予定だったが、ミッドウェーで正規空母を一気に四隻失う惨事に、急遽大量建造が決まったが、やはり無理は出来ないもので、結局完成したのは「雲龍」「天城」「葛城」の3隻のみとなった。そしてその3隻すらも、マリアナ沖海戦にもレイテ沖海戦にも間に合わなかった。
 結局、「雲龍」は特攻兵器「桜花」の輸送任務に駆り出され、そしてそれすら完遂できずに敵潜水艦の雷撃で短い生涯を閉じる。「天城」「葛城」は、所属こそ一航戦であったが、戦場に出ることすら叶わず、敵に対して艦載機を発艦させることも経験しないまま、最後は呉軍港に繋がれたまま、空襲によって横転、沈没と、空母としては余りに寂しい最後を迎えることになる。
 終戦後、まだ動くことは出来た「葛城」は、最大規模の復員船として、5万人近くを日本へと帰還させるという最初で最後の大仕事を完遂させ、この戦争の後始末を付けた。

 このように戦うことすら出来なかった雲龍型だが、『艦これ』では2014年秋イベントで「雲龍」、同年冬イベントで「天城」、2015年春イベントで「葛城」と、順番に三隻全てが実装された。いずれも「改」にするには改装設計図が要求されるが、改造時に持ってくる艦載機は高性能な「六〇一空」のネームド機である。ただ、姉的な存在である「蒼龍」「飛龍」の改二勢と比較すると流石に非力が否めない。利点としては、姉妹共々正規空母では最も燃費が良い点で、現状では「硬い軽空母」のような扱いが多い模様である。また、「実戦を体験できなかった空母を、今度こそ戦わせてあげられる」ことに浪漫を感じるのも良いかも知れない。

 補遺-着艦識別文字

ぶっちゃけ、空から空母を見ると、海に棒が浮かんでいるようにしか見えないわけで、現代のように電子機器が発達しているわけでもない当時は、その空母が何なのかは目で確かめるしかない状態である。
そのため、空母の甲板には、「着艦識別文字」と呼ばれる、その空母を表す文字が大きく書かれていた艦もあった。
艦娘デザインにもその文字は取り込まれている。
艦これ登場の空母の着艦識別文字は以下の通り。

空母名 着艦識別文字 艦娘デザイン上の表示位置
赤城 前垂れ、飛行甲板
加賀 前垂れ、飛行甲板
蒼龍 なし
飛龍 前垂れ、飛行甲板
翔鶴 胴着、飛行甲板
瑞鶴 胴着、飛行甲板
大鳳 なし
飛鷹 なし
隼鷹 なし
瑞鳳 づほ 袴の裾。改のみ
千歳 ちと からくりボックス。航以降
千代田 ちよ からくりボックス。航以降

※鳳翔、龍驤、祥鳳、龍鳳、雲龍、天城、葛城には着艦識別文字は史実/艦娘共になし。
 艦娘の蒼龍に「サ」の文字がないのは、現代では史実の蒼龍には甲板に着艦識別文字が書かれなかったという説が有力なため。他の「なし」の艦も同様。

 またこれ以外にも、誤って敵空母に着艦しかけてしまう事件が起こって以来、国識別のために飛行甲板に大きな日の丸を描いていたのだが、ミッドウェーでは逆にこれが目立ちすぎて敵艦爆の的になってしまった、という反省から、その後は描かれなくなった。

 海外に目を転じると、空母を量産していたアメリカ海軍も同じような悩みを抱えていたようで、同型艦のレキシントンには「LEX」、サラトガには「SARA」と甲板に書いていた。ただ、これは初期の頃だけで、後には綺麗に塗りつぶしてしまい、またそれ以降に建造されたヨークタウン級、エセックス級では最初から書いていない。

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 関連項目

  • 艦隊これくしょん~艦これ~
  • 戦艦(艦これ)
  • 重巡洋艦(艦これ)
  • 軽巡洋艦(艦これ)
  • 駆逐艦(艦これ)
  • 潜水艦(艦これ)
  • 航空母艦

脚注

  1. *演習や海域攻略において、敵方の空母は中大破状態でも砲撃戦に参加してくる。(12月11日のアップデートで味方の空母と同じになるように修正された。)また、海域攻略において「空母ヲ級Flagship」(通称:フラ空)及びそれよりも格上の深海棲艦のみが夜戦でも空撃可能だったが、2015年11月になって待望の夜戦可能な空母であるグラーフ・ツェッペリンが、2016年11月には同じく夜戦可能な空母サラトガが実装された(ただし、サラトガは改装すると夜戦不可)。
  2. *祥鳳は潜水母艦「剣埼」として竣工したのちに空母に改装され、瑞鳳は給油艦として建造中に計画が変更されて潜水母艦→更に変更され、空母として竣工した。龍鳳は潜水母艦「大鯨」として竣工した後に空母に改装された。
  3. *2017年4月5日に実装された「鈴谷航改二」は、史実の伊吹が「改鈴谷型重巡洋艦」の改装空母であったことを元ネタに実装された。伊吹自体は現在も未実装であるが、実証紹介の公式ツイートの読み方次第では実装の可能性も否定できなくなってきた。

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