紀伊半島(きいはんとう)とは、日本最大の秘境半島である。
日本最大なのは間違いないが、明確な定義がなく、とりあえず三重県の松阪市以南、奈良県の吉野以南、和歌山県の和歌山市を除く全域とされている(半島振興法の対象エリアがそれだが、実際は和歌山市も含まれている)。
面積は房総半島の3倍、伊豆半島の10倍以上はあり、エリア外の人は秘境感はんぱないとか言ってるが、半島としてでかすぎるため、そこに住んでる人はあまり半島に住んでるって実感がない。
紀伊半島の特徴といえば、一も二もなくまずは山、というか山林ばっかりである。とりわけ戦前、戦後は吉野杉、熊野杉、龍神杉といった優秀な杉材産地として繁栄したため、二次林ばっかりとなっている。そして、その頃に栄えた集落があちこちに点在しているため、とにかく「こんな所に集落が!?」というところが非常に多いのが特徴。それゆえ、あちこちに国道や県道、林道が張り巡らされている。…のだが、正直酷道や険道も多い。とにかく多雨地帯のために木がよく育つ、そして生い茂る。そのため、近年は過去の植生に戻そうと植林運動が進んでいる。また、一帯には河川がよく発達しており、清流が多い。著名な清流として銚子川や宮川、熊野川上流の北山川(瀞峡がある)、古座川、日置川などがある。鮎やアマゴといった川魚も獲れる。
紀伊山地は信仰の地としても著名であり、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や伊勢神宮(ICOMOSは伊勢神宮も当時推薦したが、式年遷宮ができないなどの理由で伊勢は固辞)などがある。太古より自然を神格化した原始崇拝が盛んであり、社殿がなく山を祭神とする大神神社などが著名。その後は奈良に仏教が伝来し、真言密教の聖地として高野山が開山され、大峯は修験道の地となり、熊野三山は神道や神仏習合の聖地として発展した。その歴史的な巡礼、参詣道が交通アクセスが殺人的に悪かったため、そのまま遺されていたことが幸いし、今に見る世界文化遺産に至っている。
なお、世界文化遺産になってから東日本や外国から訪れる人もすごく増え、特に高野山、熊野古道はヨーロッパ人の来訪が非常に多くなっている。なお、紀伊山地は過去にミシュランで3つ星(国内で16ヶ所のうち紀伊半島で5件)、ナショナルジオグラフィックで高野山が世界の20大観光地のうち、日本で唯一選出、ロンリープラネットで紀伊半島が世界で5位(日本では唯一)とか海外で妙に評価されているが、後に、県外の日本人から評価され、後で県がやっつけで動き、県民は「あっそう」という反応をする。なぜ、海外でこの紀伊半島が評価されているかは、
「京都や奈良は人が多すぎる。ここは静かでいいね」
だそうである…。当たってるだけに否定はできない。
紀伊山地は林業が盛んだった。御坊、熊野、新宮、尾鷲などはいずれも林業で発展した都市であり、それを流れる河川で木を運んだ。また紀州鉄道の前身の御坊臨海鉄道や廃線になった有田鉄道なども元は森林資源を運ぶための鉄道である。しかし、戦後の自由化に伴い下落、大幅に衰退した。それでもなお主産業であることに代わりはなく、逆に良質の建材で勝負するようになり、中国や東南アジアなどに輸出もしているなど健闘しているものの、高齢化と後継者不足が問題になっている。
他には農業が盛んで、特にウメに至っては国内の90%近いシェアを持つ。和歌山県がウメ産地として有名だが、実は奈良や三重もそこそこ盛ん。高温多湿で雨が多い気候が美味しいウメの実を育てるのである。それから柿も盛んで高野山の一帯は東西南北とも柿産地である。優れた土壌と気候差が優れた柿を育てている。ミカンは有田~田辺に至る一帯と三重県の御浜町などで盛んで他にも不知火、ポンカン、イヨカン、キンカン、レモンなどを育てている。畑作も盛んな場所があり、山椒は日本一のシェアを誇るが、稲作ともども栽培面積はそこまで多くない。
水産業は小規模ながら優れた漁場が多い。特に伊勢志摩あたりはブランド産地としても名高く、イセエビ、安乗ふぐ、的矢牡蠣やアワビなどが名産。また、南紀地方では新宮~熊野のサンマ、勝浦のマグロ、串本~すさみのカツオ、日高地方のクエなど旬の味覚がいっぱいである。また、鮎の養殖も盛んで、かつては日本一の産地だったのだが大水害で壊滅的打撃を受けてしまった。
工業はあまり振るわない。だから自然が綺麗なのだ。せいぜい新宮周辺の製紙工場ぐらい。また、白浜周辺はIT関連のサテライト施設が多い。
観光業はかなり盛んな方で、かつて「南紀」や「伊勢志摩」は新婚旅行のスポットだった。今日でも温泉やグルメ、はたまた文化遺産や綺麗な自然を求めて訪れる人も多く、特に伊勢志摩と白浜、そして勝浦は宿泊施設も多く拠点として機能している。なお、特急くろしおの大半は白浜で降りることが多く、勝浦あたりになると三重側の方がアクセスが良いので、中京からの観光客の方が多い。
紀伊半島を取り囲む計画があり、現在は阪和自動車道が南伸し、田辺までつながりそこから紀勢自動車道を延伸中である。一方の三重県側は伊勢自動車道の後は熊野市まで紀勢自動車道が開通している。一方、直轄方式で作ったために高速料金無料が祟り、下道の交通量が激減し、熊野市の山間部やすさみ町辺りは道の駅が潰れたり、商店が姿を消したりと、ゴーストタウンみたいになってしまっている。
紀伊半は正直言って道路事情はあまり良くない。というかあちこちに車線が広い区間があるが、それが長続きせず、急にとんでもない険道になったりするからであり、正しく迷路そのものである。それゆえ、観光客が自動車で知らない道を走ろうとするのは正直オススメしない。実際某G◯◯gle mapのせいで、とんでもない道を案内され、迷子になったり遭難したりする県外の観光客が後を絶たない。有名な酷道425号はその典型例であり、和歌山側からは迂回してくださいと巨大な警告看板が出ている(奈良側からは出ていない)。また池原ダム周辺はダムの上の狭い道をそのまま走る必要がある。また、全体的にツーリングライダーが非常に多いため、カーブでの衝突、巻き込み、巻き込まれ事故が後を絶たない。紀伊半島に来たなら国道は全車線一部区間を覗いて普通に走行できるR42、R311、R168、R169と知る人ぞ知る有田市以南のR424以外は使わない方が身のためである。それ以外を使おうとすると険道に案内され立ち往生したJRバスみたいなことになります…。
JR紀勢本線が海岸線を縫って走っている。和歌山県側は電化されているが、三重県側は一部非電化区間がある。なお特急はくろしお、三重県にワイドビュー南紀が走行しており、それぞれ白浜温泉や勝浦温泉へのアクセスを担っている。また、紀伊半島の基部を走るJR和歌山線や
南紀白浜に空港があるだけで、プロペラ機が羽田を結ぶ。意外だが、三重には空港がない。また、紀伊半島の紀伊水道は国際線の航路となっており、関空発着の便が発着を繰り返している。
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最終更新:2025/12/23(火) 20:00
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