舞妓さんちのまかないさんとは、小山愛子による漫画作品である。
概要
京都のど真ん中にある花街で、舞妓が共同生活を送る"屋形"にて毎日の食事を作る「まかないさん」として働く弱冠16歳の少女・キヨを主人公に、食事を通して温かい人間模様が描かれる作品。
花街の話ではあるが、置屋や水揚げといったちょっといかがわしい意味も含む用語は意図して使われていない。
2016年12月より週刊少年サンデー(小学館)にて連載され、単行本は2021年10月現在18巻まで刊行されている。第65回小学館漫画賞少年向け部門受賞。
テレビアニメはNHKワールド JAPANで2021年2月25日、NHK Eテレでは同年10月2日から毎週土曜日9時20分(再放送:17時25分)より放送開始。
あらすじ
舞妓に憧れ幼馴染と共に青森から京都にやってきたキヨは、紆余曲折を経て今はとある屋形で一緒に暮らす舞妓たちのご飯を作る「まかないさん」となっていた。
お座敷に華を添える舞妓たちだが、その裏側は厳しい踊りの稽古に所作や言葉遣いの習得、独特の化粧を自ら行い重たい着物を身に着けて夏も涼やかに歩くなど、地方から出てきたばかりの10代の女の子たちには過酷で地道な努力の積み重ねの毎日である。そんな彼女たちを、キヨの作る温かい「おうちご飯」が癒やし、元気付けていく。
登場人物
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野月キヨ(のづき きよ)
- 主人公。青森出身の16歳。舞妓になるために幼馴染のすみれと共に京都の屋形(置屋のこと)に来るが、仕込みさん(舞妓見習い)時代に舞を覚えられない・京言葉を覚えられない・着付けが分からないなどと舞妓の才能が全くないことから舞妓になることを許されず、青森に送り返されるところだったが屋形のまかないのおばちゃんが腰を痛めたことで家庭料理に堪能なキヨが新たなまかないさんとして残ることとなった。背は小さくおっとりした性格で、言葉選びが少々分かりにくい面があるため京都に来たばかりのころはよくトラブルに巻き込まれていた。一方すみれのことは言葉がなくともすぐに気付ける関係。舞妓としてデビューしたすみれのことを源氏名ではなく本名で呼び続ける。作中ではほぼ「キヨ(ちゃん)」としか呼ばれない。
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戸来すみれ(へらい すみれ)/百はな(ももはな)
- キヨの幼馴染で一緒に京都に来た女の子。キヨとは正反対で100年に一度の逸材と呼ばれ、百はなという名で店出し(舞妓デビュー)をしあっという間に引く手数多の花街の人気舞妓となる。完璧主義者でありそれを維持するために寝食を惜しんで努力するタイプで、同じ屋形の舞妓たちやおかあさん(後述)からも尊敬されている。一方で舞の最中にお腹が鳴りそうになるのを必死に堪えたり、大好物の唐揚げを見ると目が輝くという16歳の女の子らしい面もある。健太のことが気になっているが、健太の想いを知っているため胸のうちに収めている。またキヨのこともとても大切に想っており、以心伝心に近い。キヨからは「すーちゃん」と呼ばれている。作中で名字が出ることは滅多に無く、判明したのもかなり後のこと。
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中渡健太(なかのわたり けんた)
- キヨとすみれの幼馴染の野球少年。表情に乏しく口数も少なめでおおらかな性格。青森在住のため回想シーンか帰省時にのみ登場する。男手ということでキヨが京都に行ったため一人暮らしとなったキヨのおばあちゃん家の雪下ろしなどを自発的に手伝っている。キヨのことが好きだが、口下手なため未だ想いを口にしたことはない。地元では有名な新進気鋭の高校球児と新聞にも載るほどで、甲子園に出場しキヨとすみれと会う約束をすることになる。
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つる駒さん姉さん(つるこまさんねえさん)
- キヨとすみれの居る屋形の舞妓ですみれより先輩。オフでは眼鏡姿のため、つる駒という名前が判明するまではファンの間で眼鏡さんなどと呼ばれていた。水玉模様が好きでパジャマも私服もだいたい水玉。舞妓としては優秀だが私生活はズボラなため妹(直属の後輩のこと)の理子からは少し馬鹿にされているが、周囲からは漫才みたいなものと暖かく見守られている。
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理子(りこ)
- キヨとすみれの後輩にあたる仕込みさん。バスケットボール経験者で背が高く髪も短い。当初は舞妓の世界のしきたりに異論を唱えたり京言葉も使わないなど、仕込みさん時代のキヨ並の問題児であった。しかしキヨとは異なり努力する気がないわけではなく、徐々に仕込みさんらしく馴染んでいく。つる駒の妹だが「メガネ先輩」「メガネさん姉さん」とあだ名で呼んでおり尊敬の念はほぼ抱いていない。
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おかあさん
- キヨたちが暮らす屋形の女将。20代の若き「おかあさん」のため、歴史の長い花街での付き合いに少し苦労している。一方でうら若き舞妓たちをキッチリ締める迫力もある。
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男衆のお兄さん(おとこしのおにいさん)
- 男子禁制の芸舞妓の屋形に唯一立ち入りを許される男衆(おとこし、帯だけで5kgにもなる体力のいる着付けなどの力仕事を行う)と呼ばれる黒縁メガネを掛けた男性。既に男衆としての仕事は息子に譲った隠居の身だが、仕込みさんとしてあまりにも頼りなかったキヨや将来有望なすみれ、年若いおかあさんを見守るように時折屋形にやってくる。
-
百子さん姉さん(ももこさんねえさん)
- 花街以外でも名の知れた芸妓。百はなの芸姉妹(お互いの面倒を見るよう決められた芸舞妓独自の義姉妹関係)の姉となる。高級マンションに住み、ひっきりなしにご贔屓の男性たちが訪問するほどの売れっ子。容姿端麗かつ百はなも見惚れるほどに色っぽく、どこか浮世離れした印象が強い。
モデルがありました
2009年春から約12年に渡って営業していた、京都・五条にかつて実在した宿泊施設「ゲストハウス錺屋」にある台所のデザインを元に、作中の屋形の台所が描写されている。大正時代に建てられた古い町家なこともあり、漫画を描く資料として京都に出向いていた作者がこの宿を利用して、この宿の台所のデザインを気に入ってくれたことがきっかけだという。
アニメ化がされる前から錺屋は一部界隈では話題となっていたようで、実際に週刊少年サンデーで錺屋が紹介されたこともあった。錺屋にはこの漫画の単行本も置かれており、刊行される頃には小学館から単行本が送られるという待遇もあるほど。
2020年にアニメ化が決まり放送開始も近づいている中、残念ながら建物の賃貸契約更改の影響もあり2021年1月末までを持って閉店、しかも使われてきた建物は2021年5月に解体となり、本当の意味で幻の聖地と化してしまった。
関連静画
テレビアニメ
キャスト
- キヨ:花澤香菜
- すみれ:M・A・O
- 健太:高山みなみ
- つる駒:松田颯水
- おかあさん:片貝薫
- おにいさん:小山力也
スタッフ
- 原作:小山愛子
- 監督:鈴木洋平
- シリーズ構成:山川進
- 音楽:坂部剛
- アニメーション制作:J.C.STAFF
- 制作:NHKエンタープライズ
各話リスト
| 話数 |
サブタイトル |
今日のまかない |
脚本 |
絵コンテ |
演出 |
作画監督 |
放送日 |
| 01 |
キヨちゃんとすーちゃん |
プリン |
山川進 |
鈴木洋平 |
大木良一 |
2021
10/2 |
| 02 |
特別な日のためのごはん |
スタミナ料理 |
10/9 |
| 03 |
秘策のごはん |
イカメンチ |
10/16 |
| 04 |
眠れない夜のために |
甘酒 |
10/23 |
| 05 |
ずっと決まっているもの |
ホットケーキ |
10/30 |
| 06 |
同じ雪を見ている |
ひっつみ汁 |
11/6 |
| 07 |
キヨちゃん上京す(前編) |
みそ貝焼き |
11/13 |
| 08 |
キヨちゃん上京す(後編) |
親子丼 |
11/20 |
| 09 |
仕込みさんの朝 |
小っちゃいカツサンド |
11/27 |
| 10 |
私の食べたいもの |
からあげ |
12/4 |
| 11 |
見習いさんの夜 |
バタークッキー |
12/11 |
| 12 |
店出しのいちにち |
なべっこ団子 |
12/18 |
| 13 |
キヨちゃんのいちにち |
おにぎり |
12/25 |
| 14 |
おうちのカレー |
おうちカレー |
2022
1/8 |
| 15 |
雪の日の朝 |
ひっつみ汁 |
1/15 |
| 16 |
おたよりを待つひと |
焼きおにぎり |
1/22 |
| 17 |
花街のクリスマス |
|
|
|
|
|
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主題歌
- オープニングテーマ「明日きっと」
- 歌・作詞・作曲:つじあやの
編曲:根岸孝旨、本間昭光
- エンディングテーマ
- 作曲:坂部剛
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関連項目
関連リンク