蘭州級駆逐艦 単語

ランシュウキュウクチクカン

2.8千文字の記事
これはリビジョン 1943503 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

( `ハ´)<蘭州級駆逐艦とは、中華人民共和国人民開放海軍が誇る駆逐艦アル! ちなみにわが中国国内では『052C』型、NATOでは旅洋(ルヤン)Ⅱ型と勝手に名づけているアル。

導入の背景

1980年代より中国は自分の国の艦艇が他国に対し劣りすぎていることに危機感を抱いていた。特に対空能力が周辺諸国に対しあまりにも劣っていた。というか1980年代って多数の航空機に対する対処能力を持ったタイコンデロガ級やらソブレメンヌイ級やらスラバ級やらキーロフ級が出現した時代なんですが。

で、とりあえず1996年にソ連崩壊後金がないロシアからソブレメンヌイ級を2隻買い求める(後にもう2隻追加購入)。その後ソブレメンヌイの対空兵装を搭載した国産駆逐艦、広州級を建造した。

が。

実はソブレメンヌイ級&広州級の対空ミサイルは射程50kmの『9M38M2シュチーリ』。西側諸国で言えばスパローに毛が生えたくらいの射程。余裕で100km越えのスタンダードミサイルにはかなわない。そこで長距離対空ミサイルを運用できる本格的防空艦を広州級の船体をベースに建造することにした。こうして蘭州級は建造された。

解説

中華イージスの異名を持つDDG(ミサイル駆逐艦)。

アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦をパクったかのような艦橋直下に斜めに設置された4面のフェーズドアレイレーダーが特徴的……

( `ハ´)<失礼アル! それを言うなら日本のあきづき級だって似たようなデザインアル!

……失礼しました。ちなみにレーダーが曲面状に見えるのはかまぼこ型カバーがかけられているだけ[1]っていうのは有名な話。目玉の対空ミサイルはパトリオットミサイルをパク……

( `ハ´)<失礼アル! ロシアのS-300を元に自主開発したHHQ-9(海紅旗9型)アル!

……だそうです[2]。射程120kmとのこと。発射装置はVLSでコールドランチ式、つまり最初は圧搾ガスでミサイルを放り投げてから点火する形をとる。

あと武装は。

  • 100mm速射砲1門
  • 対艦ミサイル『YJ-62』を8発
  • 対潜ロケット発射機を2基 ※チャフ/フレアー発射機と併用
  • 対潜魚雷発射管3連装2基
  • CIWSとして730型ガドリング砲を2基
  • 対潜ヘリコプターを常用1機搭載、最大で2機の運用が可能

実際のところどうよ

多分対空は一級品(?)、対潜水艦は……orz

  • フェーズドアレイレーダーの設置位置が低すぎて対艦ミサイルに襲われた際の対処能力に問題がある。これは設計した人自ら中国国内の軍事系雑誌で暴露している。
  • そもそもHHQ-9が低空目標の迎撃が苦手。いやあんたハープーンって水面すれすれ飛んでくるんですが。
  • HHQ-9の搭載数は最大48発。これで個艦防空(自分自身を守ること)も艦隊防空もするってのは少なくね?[3]
  • 対潜能力貧弱。艦載対潜ミサイルを積んでない(というより積めない)上対潜ヘリコプターの能力が貧弱[4]
  • 艦橋から真横が見えない。港の接岸が大変(!)。ちなみに横を見るための潜望鏡が設置されている。

対空については確かに問題あるのかもしれない(実際に後述する成都級では艦橋構造物を1階層分積み増ししてレーダーの設置位置をあげている)が、こんなことぶっちゃけてもその雑誌が廃刊に追い込まれたとか発言者が粛清されたとかの話は聞かないので恐らく設計者は不満だけど実用には問題ないレベルなのではないだろうか。

そっちより問題なのは対潜能力。対潜ロケット発射機がチャフ/フレアー発射機と共用って、西側じゃコルベットですがな。脚注にあるように、対潜ヘリは問題ありな上、これは中国艦艇全般に言えるのであるがソナーもそんな信用あるものなんか導入されていない。現在の中国でのソナーの技術は1980年代にフランスから購入したソナーが元らしいのだが、買った物が輸出向けソナーのため比較的低スペック[5]になってしまう。というかフランスとかドイツ製のソナーなんて基本近沿海向け。70年前の殺し合い、そして太平洋の大海原でソ連と魚雷を撃ちあわないだけのガチな戦争をやり続けていた日米のソナー技術や対潜戦ノウハウは、一朝一夕で手に入るようなもんではないのである。結論として、現在のところ蘭州級というか中国艦艇は日米に挑もうものならロサンゼルス級そうりゅう型ハァハァされるのがオチと考えるのが自然であろう。あくまでも今のところは、であるが。

とはいえ、純国産装備で外国特許に縛られず自由に作れる上、性能もまぁ妥当というメリットは大きいらしく、蘭州級は現在6隻が建造されている。そのうち4隻が空母遼寧のいる南海艦隊に配属、要するに空母直衛艦ですな。

成都級駆逐艦

2013年11月に1番艦が進水したばかりの蘭州級の改良型。配備は2015年の年始ぐらいになりそうなのだが、こちらは前述のとおりレーダーの設置位置を上げたうえ、VLSも西側のMk41(アーレイ・バーク級やこんごう級のアレ)ばりに対潜ミサイルも搭載できるとされる箱型を64セル搭載。といっても多分対空ミサイル48発+対潜ミサイル16発の構成になるのではないかと思われる。

成都級は中国海軍DDGの決定版という位置づけで10隻配備予定なんだとか。艦隊のワークホースたる舟山級フリゲートと共に強力な防空のかさを空母と艦隊に提供するとされている。但し、イージス艦の真の利点「対空・対水上艦・対潜水艦すべてに対応し、一番危険な存在を瞬時に判定して各艦が協調して攻撃に当たる」なんて芸当が蘭州級や成都級、舟山級でできるか疑問視されていたりするのだが。

関連動画

関連商品

蘭州級駆逐艦に関するニコニコ市場の商品を紹介してください。

関連コミュニティ

蘭州級駆逐艦に関するニコニコミュニティを紹介してください。

関連項目

  • 中国
  • 軍事/軍用艦艇の一覧
  • 遼寧
  • アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦
  • こんごう型護衛艦

脚注

  1. *何でもレーダー素子を冷やすための水冷機器が露出してしまったのでカバーをかけてるんだとか。
  2. *最初はスパイとかハニトラとかで手に入れたパトリオットのデータを元に開発してたがS-300の実物が手に入ったのでそちらに乗り換えたらしい。
  3. *参考まであたご型は艦隊防空用のスタンダードミサイル(対航空機用のSM-2)を80発積んでいる。アーレイ・バーク級はVLSにたまに陸地攻撃用のトマホークを積んだりするので対空ミサイルがもう少し減るが、そこは艦艇の数でカバー。
  4. *中国は対潜ヘリとしてロシア製Kaー28と国産のZ-9を配備しているが、前者は行動時間が短く後者は兵器の搭載能力が低いと言われている。
  5. *というか、普通ソナーはどんな国でも外国に売る場合モンキースペックしか売らない。自国製ソナーで自国の潜水艦が殺られたらたまったもんではないからである。これはあの金のない時期にロシアがソブレメンヌイ級は売っても対潜水艦特化型駆逐艦であるウダロイ級を売ろうとしなかったことからもわかる。

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
麻倉もも[単語]

提供: (o・∇・o)

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/24(水) 06:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/24(水) 06:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP