60fps

60fpsとは、60 frames per secondの略である。

fpsとはフレームレート、乃ち単位時間あたりのフレーム数を示す単位である。
この場合、簡単に言えば1秒間の動画に60枚の静止画が使われていますよ、という意味。

この場合において、１フレームだけを取り出した場合の映像が解像度に対して完全な一枚絵ならプログレッシブと言い、解像度に対して偶数ラインまたは奇数ラインのみの簾のような映像である場合はインターレースと呼ばれる。

概要

　厳密には、通常60fps = 59.94fpsである。（このような数値なのは、60fpsだった白黒放送がカラー化される際、色差信号を埋め込むためにフレームレートが低下した事による。白黒放送との上位互換性を持たせるための措置である）

　通常の動画の多くは30fps(= 29.97fps)であったり、容量節約のためにそれ以下のフレームレートにされていることが多い。対して、ニコニコ動画の60fps動画は、1秒間あたり2倍の情報量で動画が構成されているため、通常の動画よりも滑らかに動いて(=ヌルヌル)見える。

Xbox360のゲーム映像などがヌルヌル動いて見える、とはこういうことである。 

　60fpsの動画を得る手段としては、①PCゲームを60fpsでキャプチャする。②PV4などを用いて、ゲーム機の映像を60fpsで取得する。③テレビ放送をインターレースで正しく受信し、30fpsとして記録された動画を60fpsの動画としてインターレース解除を行う。

の3つがあげられる。

　なお、動画のフレームレートは他に24fpsなども用いられているので興味のある人は調べてみてほしい。
　また、具体的にfpsの差による映像の滑らかさの変化を体験できる動画があるので、是非ごらんいただきたい。

 

TV放送について 

　前述の3番目のことについて特に誤解をしているケースが多いのだが、基本的にTV放送は秒間のコマ数に関しては、59.94フレームに相当する能力がある。

　ただし、一枚の絵を取り出した場合、それは奇数ラインのみ（あるいは偶数ラインのみ）で構成されて櫛状に間が抜けた、ブラウン管向けの映像であるため、液晶などの固定画素系の映像として扱う際には、この奇数ライン・偶数ラインは一枚の絵として格納して取り扱われる。
　この場合、59.94フィールドの映像は、30fpsの動画の一コマに2フィールド分をまとめてあるため、TV放送は30fpsであると説明されることが多い。
　情報量としては、秒間60フィールドのインターレース信号も、秒間30フレームのプログレッシブ信号も同等であるため、30fpsという表現も間違いではないが、30fpsに重畳した場合、60fpsに相当する動画のなめらかさを再現するのは特別な処理を行う必要がある。また、激しい動きの場合、映像が櫛状に乱れるコーミングノイズが発生する。このノイズを処理する方法で、滑らかさが決まる。

　前述3番目の動画を得た場合、1フレーム分の映像から2フィールドのインターレース映像を取り出して、簾状になっているインターレース画像の隙間ラインを補完して、すべてのフィールドをそれぞれ一枚絵に変換すれば、60コマの映像を取り出せる。こうすれば滑らかさは保たれるが、動画を30fpsとして無理矢理丸め込んだ場合、本来のなめらかさは失われる。
　テレビ放送は動きの激しい映像も滑らかにするために、秒間59.94コマの送信を行ないたかったが、完全に一枚の絵を表現できるブラウン管が放送開始当時では困難だったため、人間の目の錯覚を利用して、実質解像度を飛び越し描画で半分にして、秒間のコマ数を維持して送信する方法を選択した。
　このインターレース方式は、動きの早い映像の品質の認知が人間には難しい事を利用し、滑らかさと、見た目の美しさと、技術的困難を一度に解決した妙案であるのだが、近年になって、プログレッシブで表示できるブラウン管や、固定画素系の液晶テレビの登場により、インターレース方式は今では時代遅れの方式となっている。
　固定画素系の映像装置では、先述のインターレースに由来するコーミングノイズなどの映像破綻が認知できるようになってしまうためだ。

　この問題を解決できる最大のチャンスが、デジタル放送の開始であったのだが、NHKがインターレースによる1080iハイビジョン放送を狂信的に推進したため、テレビ放送50年の盲腸とも言われるインターレース放送は、今後20年近く続けざるを得ない状態となることがほぼ確定してしまっている。（これには、NHKに機器を納品している某企業の思惑も絡んでいたとする指摘もある）。
　BSデジタルはプログレッシブ（縦解像度720ドット）による放送が可能なのだが、それを実験していたBS朝日は何らかの理由によりプログレッシブ放送を取りやめている。また、唯一SD解像度でのプログレッシブ（525P）放送を行っていたスターチャンネルも、現在1080iによるハイビジョン放送に移行してしまっている（こちらは、アナログハイビジョンが終わったことで、帯域をもらった為に可能になった）。
　これらの変化により、今後720P解像度による60fpsのテレビ放送を堪能することは望めない状況となってしまっている。
　また、外付けチューナーの多くが720P出力への対応をやめてしまっている（レコーダーはほぼ問題なし）事から、プログレッシブ放送は現時点では絶望的である。
　なお、某NHKがどのくらい狂信的であったのかは、元マイクロソフトの古川氏のブログに詳しい。