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フィジックス

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PhysXとは、物理演算エンジンライブラリ。及び、そのライブラリのための専用チップの名称である。

概要

開発元は米カリフォルニア州に本拠を置くAGEIAだが、現在はNVIDIAに買収されている。

PhysX対応ゲームは公式情報で150タイトル以上(2010年現在)存在する。

NVIDIAのグラフィックチップであるGeforceでPhysXのアクセラレーションを行うのには、Geforec8xxxシリーズ以上が必要で、グラフィック描画に使われるシェーダプロセッサであるストリーミングプロセッサ(通称:SP)の一部を使う為、グラフィック描画のパフォーマンスが低下するが、この弱点を補う為にSLIで1台のPCに二枚以上のGeforceを搭載して一枚をPhysX専用として割り当てる事が180.48番のGeforceドライバから出来るようになった。またGeForce GTX 275+GeForce GTS 250を一枚のグラフィックボードに搭載し、GTS250側をPhysX用として割り当てる事ができるボードも発売されており、GeForce GTX470+GT240といった世代を超えて性能を補う製品も販売されている。
また、CPUでもPhysXを実行できるものの、PC向けCPUでは物理演算に必要なベクトル演算性能が低いためにPhysXのパフォーマンスが低下し、PhysXに演算処理が割り当てられる分、CPUパフォーマンスも低下する。

以前はRADEONなどのNVIDIA製以外のグラフィックボードと、PhysXに対応したGeforceやPhysXボードを一つのPCに乗せ、メインボードとしてRADEONを使い、GeforceのPhysXの機能だけをプラスして使う、という事も出来ていたが、186番台以降のGeforceドライバで物理演算機能を強制停止されてしまうようになり、公式にはこの使い方ができなくなった。(※ただし非公式パッチなどを使用する事で現在もこの使い方が可能)

PhysXソフトウェアライブラリ(PhysX SDK)

浮動小数点など、物理演算のためのライブラリ。
慣性など物理学に沿った物体の挙動を演算するために物理解析やゲームなどで用いられる。

PC向け(Windows/Linux)と家庭用ゲーム機向け(PS3/Xbox360/Wii)に無償でライブラリの一部が配布されている。

PhysXボード

PhysX SDKに対応する演算をCPU、グラフィックスボードのGPUから肩代わりする事で動作スピードの上昇を目指した専用チップ(PhysX PPU)を搭載した拡張ボードのことで、AGEIAが2008年2月にNVIDIAに買収される以前に販売していた。
このボードは2006年~2007年中盤にかけて複数のメーカーから3万円後半~4万円台の高値で販売されていたが、対応するソフトウェアが少なかったためか、秋葉原をはじめとたPCショップなどで2007年後半には6千円以下で投げ売られ、AGEIA社買収後2009年前半には秋葉原PCショップで2千円以下で処分される姿が見られた。

なお、NVIDIAのグラフィックチップGeForceの8千番代以降の製品で、シェーダを利用したPhysXアクセラレーションが利用できるようになったが、PhysXボードよりもGeForceに物理演算させた方がはるかに性能が高いため、現在PhysXボードの存在意義は無くなった。

ライバルの物理エンジン

この、NVIDIAが推進するPhysXに対抗する物理エンジンには、ライバルのATIとIntelが推進するHAVOK社の『Havok (Havok Physics)』(ATIではATI Stream Physics」としてATI版PhysXの位置で提供)や『Bullet Physics』などのオープンソースの物理演算エンジンがあり、グラフィック業界の物理エンジンサポートの足並みはそろっていない状況である。
こうなった背景には、2006~2009年に大きな動きがあった将来におけるCPUとGPUの関係性問題が起因しており、IntelがNVIDIAと敵対関係になった事、HAVOKがNVIDIA・ATI両社のグラフィックカードに対応したHavokFXを開発中であったものの2007年9月にIntelのHAVOK買収により開発中止になった事、物理エンジンPhysXをアクセラレーションする汎用PhysXボードとして2006年頃から販売していたAGEIAが、2008年2月にNVIDIAに買収され、NVIDIAとライバル関係であるATIがPhysXをサポートできなくなった事などの業界の動きが関係している。

これに加え、IntelとCPUでライバルであるAMDが2大GPUメーカーの一つであったATIを2006年に買収している事や、2008年にはそのライバルであるAMDにHavokを最適化していく事を発表した事、IntelとAMDとの間で長らく続いていた独占禁止法やクロスライセンス問題が2009年11月に和解するなど、会社ではNVIDIA VS Intel+AMD/ATI 物理エンジンではPhysX VS Havokという構図が描かれることとなっている。

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関連項目

  • NVIDIA
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