QCサークルとは、多くの社会人を苦しめる悪魔のシステムである。
QC、カイゼン、改善活動とも。
PDCAサイクルを基本に仕事の問題点や、性能の向上を追求し品質(Quality)を管理(Control)する。
(なおPDCAとはPlan『計画』、Do『実施/実行』、Check『点検/評価』Act『処置/改善』である。)
この活動を行う事で製品の品質を高め、仕事の能率を上げ、安全性も確保し、仕事の負担を軽減し、
仕事の報告もコレにそって行えば大体OKになる夢のシステムなのである。
またこの活動は部署内や会社全体、全国の規模で発表を行い、他部署、他社の優れた所を吸収し、
自身のスキルUpにも繋がる為大変勉強になる。
発表に対する質疑応答等もあり、それにより新たな発見もあり次の活動へのステップとなる。
自主的、自発的に行うこの活動は上司を巻き込み活発的な意見を出し合い取り組む為、
部下、上司間のコミュニケーションも図られ一石2丁である。
儀式、サービス残業活動とも。
自主的、自発的活動を行なわなければならないと言う、日本語として矛盾している事が前提である。
ちなみにこの命令者は一体誰なのか判らない事が多い。
余り深入りすると、自分の身が危ないからである。(リストラ的な意味で)
直属の上司も、所詮末端の人間であり、真の黒幕は不明である。
上司も更に上の上司から命令されるのである。
会社によって運用方法は違いがあるだろうが、大体、年間4件の自主的活動を義務付けられており、
平均して1件に対し3ヶ月間しか時間が無い。
「3ヶ月もあるなら余裕ジャン?」などと思ってはならぬ。
通常の業務をこなしながら行なわなければならないのだ。
当然、日々の業務を圧迫し、残業をしなければならなくなる。
しかしQCサークルは自主的活動だ。
会社側の意見としては「お前等が勝手に行なう活動だろ?」との言い分で給料など出ない。
泣く泣くQC活動を行い年間4件のノルマを達成出来たとしよう。
じゃあ仕事の負担は軽減し、品質は改善できたと言えるだろうか?
答えは殆どNOである。
まず絶対に仕事の負担は軽減しない。
取り組んだ活動に対する仕事の負担は軽減するかもしれない。
しかしQCサークル活動は年間4件の義務がある。
即ち、また来年も4件活動を行なわなければならない。
するとどうなるか?
結局、日々の業務を圧迫する活動は継続され、しかも、改善すればするほど改善ネタも無くなる為、
ネタを探す為に業務を更に圧迫する、と言う悪循環に陥るのである。
品質は改善できる事も有る。
しかしたった3ヶ月しかない期間でロクな研究が出来るはずが無い。
日々の業務も忙しいのだ。提出時間に遅れればペナルティもある。
なし崩し的に、適当なデータを提出し、出来もしないことを出切ると言いお茶を濁すのである。
問題点を自主的に徹底的に追求し、品質を高める活動に時間制限があるのだ。
一体何が出来ようか?
そしてそんな適当な活動成果を報告する発表会がある。
それぞれの部署10サークル位が作成したQC事例を持ち寄り発表するのだが、これもロクな場ではない。
初めてサークル活動を行なう人間はココで「茶番」と言う言葉の意味を知る。
大勢の前で発表する為、資料や原稿を作成しなければならない。
当然、練習も必用だ。勿論、日々の業務を削ってである。
直属の上司も色々熱い指導をしてくれる。
「発音が悪いな」「演出が良くない」
・・・俺達は役者や演出家ではない。ただのサラリーマンだ。
そんな技能が備わっているなら、こんな会社入社するか!
・・・失礼。執筆している内に腹が立って興奮してしまった。
ともかく業務そっちのけで猛練習を積む。当然サービス残業だ。
そうして作り上げた発表事例を大勢の前で読み上げる。
その後は質疑応答時間だ。
当然、質疑応答も抜かりは無い。質問者は別のサークル員が行なう。
当然お互いの苦しみも悲しみも知り抜いている。
予め、質問内容と応答内容は決めておくのだ。
ちなみにこのヤラセっぽいこの行為は直属の上司も協力してくれる。
なにせ自分達も苦しんで来た道だから部下の苦しみは身にしみて解っている。
発表会を盛り上げる為、と称して事前に質問者は割り振られているのだ。
「このサークルが発表する時はコッチのサークル員2名程度が質問する事」と、こんな感じで。
そうして余計な突っ込みが無い様に、細心の注意を払って当たり障りの無い事を質問し応答する。
「苦労した点はなんですか?」
「工夫した点はなんですか?」
「品質には影響ないんですか?」
だいたいこんな内容の無難な質問が判で押したように繰り返される。
目が死んでいる質問者と、質問に考えるそぶりも見せず即答する発表者。
発表会の最大の見せ場である。
その後、司会者が「発表者に盛大な拍手を」と促し、まばらな乾いた拍手が開場に響き渡る。
そう言ったやり取りが10サークル分あり発表会は終了する。
後日、社内メールや掲示板にて発表会の模様が報告される。
「素晴らしい発表と盛り上がりを見せ大盛況のもと無事終了しました」と締められる。
私は「盛況」と言う言葉を調べてみた。
せい‐きょう【盛況】
催し物に多くの人が集まって、盛んなようす。「バザーは―のうちに終わった」
アレが大盛況なら、この世の演説、舞台演劇は全てスタンディングオベーションだと思う。
ちなみにココで1位を獲得すると更に上の発表会へ行かなくてはならない。
当然、更に業務を圧迫する。
だから皆、1位にはならない様に、でも最下位にはならないように渾身の努力を払って手を抜くのだ。
ではこんな儀式が繰り広げられるQCテーマは如何にして作られるのだろうか?
長年QCに苦しめ鍛えられているサークル員達。疲れ切った脳細胞を振り絞ってサークル会合を行なう。
まずは、テーマ選定だ。
本来のやり方は、テーマを持ち寄ったり、効率の悪い作業を提案して、案件をデータ化し一番非効率、危険な作業を選ぶ。
それこそ作業を細かく細分化し、何に時間が掛かっているのか?危険なのか徹底的に議論する。
本来ならそうすべきなのだが、そんな馬鹿な事に割く時間は無い。
今まで散々関わってきた作業だ。そんなモン直感で解る。
持ち寄られた案件に対しサークル員の一番発言力の強い者が「ん。コレ」と決める。
後は、それらしいデータを後付けして選定理由を決めるのだ。
そしてその作業は今、どの様に行なっているのか?どの様な理由で危険なのか?徹底的に調査し掘り下げる。
その理由を追求し、作業に対する問題点を炙り出す。
本来ならそうすべきなのだが、そんな馬鹿な事に割く時間は無い。
今まで散々関わってきた作業だ!そんなモン直感で解る。
ワザとらしく、「理由は解らないが、ココが無駄、ココが危ないからどう対策すれば良いか?」と締める。
直感で解ってはいるから対策もクソもないのだが、そこはぐっと堪えて次に進む。
今後行なう要因解析、調査、対策を誰が、何を、いつまでにやるか決める。
当然名ばかりの表面上の計画だ。どんなに時間が掛かろうが最後には帳尻が合う魔法の計画である。
出来上がった物は必ず計画通りに終わった事になっている。
何が要因で作業がやりにくいのか?危険なのか洗い出す。
特性要因図を使い沢山の要因を挙げコレが要因だと決める。
系統図法を使い対策に対し何が一番相応しいか決める。
当然誰もが要因は直感でコレしかないと頭で思い描いているので、結果は火を見るより明らか。
八百長ココに極まれり。
どんな事を物を使えば良いのか調査する・・・フリをする。
色々アイデアを詰めたと偽りの対策を施す。
そして完成するのである。
今までも殆ど反則技であるが、こちらはちょっと質が違う。
QC活動を行なっている会社は大体「創意工夫」活動を行なっている。
創意工夫とは個人QCみたいなものである。
その時に使ったネタをQCに作り変えるのだ。
すなわち完成品、完成対策から今までの手順を逆に遡って行くのだ。
実は結構難しいので面倒であるが、背に腹は変えられない。
こんなまどろっこしいやり方などせずとも一瞬で終わらせる方法もある。
数年前に提出したQC活動を、日付を変えて再提出するのだ。
余り早く出しては怪しまれるので、活動をやっているフリをしつつ、
細部データ、レイアウトをチョット変更したりする。
ただしQCを信仰している上司が所属している部署ではお勧めできない禁断の奥義だ。
ココはニコニコ大百科なのでネタ(と言っても大体真実だが)を交えつつ概要を書いたが、
とんでもない事件も起こっており、決して笑い事ではない。
詳しくは下記リンク参照
この様に過労死まで起こっているのだ。明日は我が身である。
ちなみに、日頃「QC」だ、やれ「改善」だと馬鹿の一つ覚えのように、お決まりの『言霊』を連呼するお偉いさんは、
この惨たらしい事件の判決が出た翌日、「QC残業自重令」をだした。
亡くなった方の尊い犠牲にによりQCサークル活動の改善という滑稽な現象が起きたのだ。
現在も相変わらず茶番活動は続いているが少しはマシになってきているのが現状であろうか?
QCサークル活動が便利だと言うのは解る。
解りやすい手順により仕事がはかどる事も解る。
ちゃんと極めれば、素晴らしい活動になることは想像に難くない。
ただ、QCを推奨する会社がQCを理解せず間違って運用する故に、素晴らしい理論を踏みにじっているのである。
違うと言うならそれを証明して欲しいものだ。盲信するQCストーリーを使って。
・・・社会人は大変なのだ。
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最終更新:2025/12/05(金) 23:00
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