概要
戦死や野垂れ死になど、埋葬されることなく悲惨な最期を遂げた死者の怨念の集合体。最大の特徴は「巨大な骸骨」という、シンプルながらもインパクトの強いその外見であろう。ガチガチと音をたて夜を彷徨い、生者を見つければ握り潰して食べると言われる。
実は1970年代になってから創作された妖怪である、というのは有名な話。
「がしゃどくろ」と聞いてぱっと頭に浮かぶあの絵(記事冒頭)は歌川国芳の傑作「相馬の古内裏」。山東京伝によって書かれた「善知鳥安方忠義伝」という読本(小説)の一場面を切り取った錦絵で、作中では数百の骸骨との戦闘シーンであるところを、国芳は一体の巨大な骸骨として描いた。この生々しくも写実的な骸骨は、蘭学の医学書の骨格図に基づいており、解剖学的にもかなり正確であると指摘されている。
…というふうに実際にはがしゃどくろと何の関係もないのだが、この絵によって現在のがしゃどくろのビジュアルがほとんど位置付けられたと言ってよい。かの水木しげる御大も、がしゃどくろとしてこの国芳の絵に似せた骸骨を描いている。
髑髏の怪自体は古くから存在する。平安時代初期に書かれた「日本霊異記」には、
備後に住む牧人が買い物に行く旅の途中で竹原のところで一泊したところ、夜中に「目が痛い」という声を聴いて眠れなかった。その翌朝、野ざらしになった髑髏を見つけたが、眼窩を貫くようにタケノコが生えてしまっている。牧人はその髑髏からタケノコを抜いてやり、持っていた食べ物をお供えした。すると帰り道でその髑髏が生前の姿で現れ、牧人にお礼を言って恩返しをするとともに、自分を殺した者を告発した。
という話が載っている(下巻の第27話、「髑髏目穴笋揭脫以祈之示靈表緣」)。
…しかし先述したようにがしゃどくろの初出は1970年代前後である上、この話も仏教的な因果応報を説くお話のため、がしゃどくろと関係はなく、「がしゃどくろ」という言葉も登場しない。
人々の伝承から生まれた伝統的な妖怪と違い、様々なイメージをそれっぽく集め形成されたがしゃどくろ。歴史こそ浅いが、今日では立派な妖怪のひとつとして数えられている。
キャラクターとしてのがしゃどくろ
見た目の強烈さゆえか、がしゃどくろに関連するキャラクター、またがしゃどくろそのものがキャラクターとして登場する作品も少なくない。
- がしゃどくろ(がんばれゴエモン ~でろでろ道中 オバケてんこ盛り~)
- がしゃどくろ(ゲゲゲの鬼太郎)
- がしゃどくろ(ぬらりひょんの孫)
- ガシャどくろ(妖怪ウォッチ)
- 貴公子ジュニア(忍者戦隊カクレンジャー)
- 髏々宮カルタ(妖狐×僕SS)
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関連項目
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