アポロ13とは、1995年に公開された映画のタイトルである。
この項では映画の元となった「アポロ13号爆発事故」についても合わせて記述するものとする。
概要(史実)
1970年、有人月面探査「アポロ計画」は三度目の打ち上げを行おうとしていた。しかし、前年1969年にアポロ11号で人類初の月面着陸を成功させてからというもの国民の関心は薄かったのも事実であった。
アポロ11号のバックアップクルーがそのままアポロ13号のメインクルーとなる予定だったが、直前になり予備クルーの息子が風疹にかかったことを知らされる。司令船パイロット、ケン・マッティングリーがその予備クルーと接触していたことから発症が疑われてバックアップクルーのジャック・スワイガートへと交代するトラブルが発生した。また打ち上げ時にロケット側でもトラブルが発生したが、こちらはなんとか支障なく当初の目的を果たすことができた。
このようにアポロ13号は当初よりトラブル続きだったがさらなるトラブルが彼らクルー、スタッフに襲いかかることになる。
アポロ13号は当初の計画通り順調に月まで航行を続けていたが到達間際になって謎の爆発が発生。酸素残量が急激に減少する状況を示した。地上スタッフたちはあわててアポロ13号を構成する司令船・機械船モジュールから着陸船モジュールへの移動を命じることになる。当初予定では司令船・機械船から着陸船モジュールが月面へと降下する手はずだったが、この判断により当初の月面降下はキャンセルされ、乗組員三名の無事帰還が目的となる。
地上スタッフは大慌てで製造メーカー担当者らと協議、月からの帰還方法を練ることになるが問題点は大きく二つあった。
一つは電力問題。故障が発生した機械船モジュールと無事である着陸船モジュールは発電方法が異なること、また月面着陸時のみ使えばよいと考えられていた着陸船モジュールでは供給できる電力に限りがあるため必要最小限の電力消費しか行えない。
二つ目は二酸化炭素除去フィルターの問題で、乗組員が呼吸するたびに発生する二酸化炭素を除去するフィルターが必要だが着陸船モジュールではこの予備フィルターは船外に置かれており到底取りに行けるものではなかった。逆に司令船・機械船モジュールにあるフィルターはなんと着陸船モジュールとフィルターの口が違うという問題に遭遇することになる。これは司令船・着陸船モジュールがノースアメリカン社、着陸船モジュールがグラマン社という二つのメーカーが混在していたために発生した理由だった。
一つ目の電力問題はさまざまな問題を引き起こした。帰還軌道に乗るための着陸船の降下エンジンを使った軌道修正は誘導コンピューターを使用できず手動で行うはめなったほか、機体の保温用ヒーターも動かせず乗組員達は気温1~4度という極めて過酷な状況に置かれることになる。
二つ目はある程度織り込み済みだったため、地上スタッフたちはアポロ13号に搭載された機材でやりくりするための方策を乗組員たちに知らせ、フィルターの口径を合わせることに成功した。
上記以外の様々なトラブルに襲われたもののアポロ13号は無事、事故発生からおよそ3日後に地球への帰還を果たすことになった。
後の事故調査により製造時・訓練時のトラブルなど複数の要因が複雑にからみあった理由により爆発が発生したという見解が示され、改良を施されることになった。
このようにアポロ13号爆発事故は関係者らの果断・積極的なトラブル対策が功を奏したものと評価され「成功した失敗」「栄光ある失敗」と言われている。
概要(映画)
…史実の「アポロ13号爆発事故」に遭遇した船長のジム・ラベルが書いた「Lost Moon(『失われた月』のちに『アポロ13』に改題)を元に映画化された。監督はロン・ハワード。主演はトム・ハンクス。
史実で遭遇したトラブルはほぼ忠実に再現されているほか、一部に映画的演出がなされているものの人間模様なども描かれている名作という評価も高い。
ジム・ラベル自身も物語終盤、アポロ13号を回収する揚陸艦『イオージマ』の艦長としてカメオ出演を果たしていることでも有名である。
またこれでは描き足りないと思ったのか、トム・ハンクスは製作総指揮として(ロン・ハワードも共同プロデューサーとして参加)、1998年、HBOよりTVドラマ「From the Earth to the Moon(邦題『人類月に立つ』)」を制作する。(手法としては「プライベート・ライアン」に対する「バンド・オブ・ブラザーズ」的な方法である)
凝り性のトム・ハンクスらしい緻密なTVドラマで、アポロ計画の最初から最後までを描いた作品となっておりアポロ13に興味を示した方で未見の方はおすすめである。
関連動画
関連商品
関連項目
- 3
- 0pt