スエズ運河とは、エジプトにある紅海と地中海にある運河である。
概要
古くは古代エジプトの頃にも、細々とした運河はあったようで、紅海とナイル川を結んでいたという。ネコ2世も運河を作ることを考え、実際に工事が行われたが完成はせず、後にダレイオス1世が完成させたと言われる。この運河はプトレマイオス朝の時代にも整備されたが、プトレマイオス朝の衰退とともに放棄された。紀元後1000年頃に改修されたという話もあるが、一部を除いて埋まってしまっており、この地域の運河は長らく失われていた。
その後、フランスの外交官レセップスが、「地中海と紅海を結んだら便利だなー」と考えスエズ運河株式会社を設立、建設を始めた。この時の労働力は現地のエジプト人の強制労働によって賄われ、多数の住民が亡くなった。フランスが権益を握ることを嫌ったイギリスの妨害や工事自体の難航もあったが、1869年、なんとか開通した。その後、エジプトが保有していたスエズ運河株式会社の株が、財政難のためにイギリスに売却され、会社や権益はイギリスのものとなった。
1956年にエジプト共和国大統領のナセルがスエズ運河の国有化を宣言し、反発するイギリス・フランス・イスラエルとの間に第2次中東戦争が起こる。戦争自体はイギリス側が優位に進めていたものの、アメリカやソ連などの国際社会から非難を受け、結局イギリス・フランス・イスラエルは撤退することとなった。これ以降、スエズ運河はエジプトの「スエズ運河庁」が管理しており、2010年代でも「新スエズ運河」などの拡張工事が行われている。
スエズ運河が完成したことにより、ヨーロッパの国などから日本などへの航海は非常に容易となった。スエズ運河を使わないなら、アフリカ大陸を南に大回りするか、一旦エジプトで貨物を降ろし、陸路で紅海まで運び、また船に積むというめんどくさいことをしなければならなくなる。そのため、運河の使用料は安くはない(船の種類や規模によって変わる)が、使わないともっと多くの時間と費用と燃料が必要となるため、多額の使用料を支払ってここを通ることがほとんどである。万が一、船の座礁などによって通行ができなくなった場合は、非常に多くの損失が出ることもある。
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関連項目
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