ソーラ・レイとは、
である。ここでは3について記載する。
概要
初登場は第42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」。コロニーそのものを巨大な砲身に見立てた大量破壊兵器で、宇宙世紀初のコロニーレーザーでもある。
ソーラ・レイはいわゆる炭酸ガスレーザーの一種とされ、二酸化炭素やヘリウムなどをコロニー内部のシリンダーに充填し、エネルギーを加えて電磁波を増幅、原子を衝突させて発射するという仕組み。エネルギーの供給には太陽光パネルが使用。ソーラ・レイの周囲には大量のパネルが展開しており、影を落とすと出力が落ちるとして邪魔なムサイに退避命令を出す描写がある。砲身コロニーには大量のスラスターが装備されていてこれを使って射角の変更を行う。
劇中の活躍
一年戦争末期の12月22日、ジオン軍は来るべき決戦に備えて切り札となるソーラ・レイの建造に着手。素材には3バンチコロニーのマハルが選ばれた。貧困層300万人の住民を強制疎開させると早速改造工事を開始。しかし時間が無い事から凝った作りには出来ず、エネルギー源の太陽光システムは他コロニーからの流用で済ませている他、発射実験も行っていない。レーザー集光や冷却時間の問題から、再発射には膨大な時間(約10日程度)が掛かると予想され、実質1発限りの兵器だった。開発責任者として技術将校のアサクラ大佐が着任、計画を推進した。
その頃、地球連邦軍は一大反攻作戦を開始。ジオン軍の宇宙要塞ソロモンを攻略し、勢いに乗っていた。追い詰められたジオン軍だったが、かろうじてア・バオア・クー攻防戦前にソーラ・レイが完成した。ソーラ・レイ自身移動が出来ず、敵に散開されると効果が激減するので存在は秘匿された。このためソーラ・レイの存在を知っていたのは軍上層部やカスペン大佐、モニク・キャディラック特務大尉など一握りであった。そんな中、デギン公王が密かに連邦軍と接触し、隠密裏に和平交渉を進めているとの情報が入った。総帥のギレン・ザビはこれを阻止すべくソーラ・レイの使用を決定。
12月30日21時5分、ゲル・ドルバ照準でソーラ・レイが発射された。放たれた巨大な光の放流は真っ直ぐに真空を貫き、ア・バオア・クー要塞をかわして連邦軍艦隊を貫通。大量のサラミスやマゼラン、ジムが犠牲となった。その中にはデギン公王とレビルの乗艦であるグレート・デギンとフェーベも含まれており、両陣営のトップが同時に死亡する異常事態に発展。和平交渉すら跡形も無く吹っ飛ばしてしまった。これを近くで見ていたアムロは「あれは憎しみの光だ!」と絶叫している。またグラナダ方面に向かっていた第603技術試験隊も光芒を観測。遠く離れていたにも関わらず、その光は艦橋内を真っ白に染めた。
ソーラ・レイ照射により連邦軍艦隊は戦力の30%を喪失し、指揮系統が混乱。ア・バオア・クー攻防戦に投入する予定だったソーラシステムをも喪失し、星一号作戦に大きな悪影響を及ぼした。残存の艦艇はホワイトベースを基点に集結し、再編成を強いられる事になる。ソーラ・レイによる大損害は、本来迂回するはずだったア・バオア・クーを急遽攻略せざるを得なくなったとする説もあり、何がともあれ連邦軍に災厄をもたらした。ソーラ・レイが挙げた戦果は、ギレンの演説にも使われている。
小説版『コロニーが落ちた地で…』下巻では、ソーラ・レイの被害によって地球軌道上の連邦軍艦艇が引き抜かれ、手薄になる事態に陥っている。ジオン軍が生物環境兵器アスタロスを宇宙に打ち上げてようとしている状況での手薄化は連邦軍には痛恨事だった。アスタロスの重要性を鑑み、改めて封鎖艦隊が急派されたが、どうしても24時間は掛かる計算だった。
その後、ソーラ・レイは使用されずに放置。終戦を迎えた後、どうなったかは不明。
トミノメモでは
ガンダムが途中で打ち切りにならなかった場合の展開が書かれたトミノメモによると、ソーラ・レイは2回発射される予定だったという。
第47話「ジオン最終兵器を探れ」でソーラ・レイ建造のための疎開が行われる。第48話「ジュピター船団を撃つ」で、シャアから提案される形でソーラ・レイの存在が明らかになる。どうやらシャアのアイデアだったらしい。この報告を聞いたギレンは勝利を確信したという。第49話「ソーラ・レイ パート1」で遂にその全貌が明らかになる。そしてグラナダを攻略し、月の裏側に出てきた連邦軍艦隊に第一射が加えられる。連邦軍の半分の戦力が消し飛び、第50話「ソーラ・レイ パート2」で第二射を行ってレビルもろとも艦隊を消し飛ばした。その後、アムロとシャアがソーラ・レイを巡って攻防戦を繰り広げる予定だった。
余談
- シーマ・ガラハウの出身地は、ソーラ・レイに改造されたマハル。よって彼女の故郷はもう存在しない。
- デギンとレビルを無視し、連邦軍艦隊の中核を撃っていれば更なる被害を与えられたとする説がある。故にゲーム『ギレンの野望』では原作通りゲル・ドルバ照準で撃つか(30%の損害)、レビルを無視して主力を撃つか(50%の損害)を選択できる。ただし後者を選んだ場合はレビルとデギンの会談が成立し、自軍の士気が下がるデメリットがある。
- 連邦軍が使用したソーラシステムと名前が似ている事から混同されがちだが、原理は全く違う。ソーラシステムは太陽光を集めるための巨大な凹面鏡、ソーラ・レイは炭酸ガスレーザー発生装置である。どちらも巨大な指向性エネルギー兵器であるためか、アムロやプロホノウ艦長がソーラ・レイをソーラシステムと同様の兵器だと勘違いしている。また、名称の混同は製作側にもあったのか、第36話「恐怖!機動ビグ・ザム」冒頭のナレーションにおいて「地球連邦軍第三艦隊の宇宙要塞ソロモンに対しての総攻撃は、ソーラレイシステムによって一つの突破口を開いた」と語られている。
関連項目
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