後にシリーズ化し、2016年現在、第5作までが公開されており、6作目『マクレーン』(仮題)が制作中と報じられたが、20世紀フォックスの買収問題などで制作が遅延し、2022年に主演のブルース・ウィリスが失語症に伴う俳優業引退を発表したことで続編制作の可能性は限り無くゼロとなった。
概要
ブルース・ウィリスやヤン・デ・ボンの出世作にして、80~90年代におけるアクション映画の金字塔。
それまでのハリウッドでは、「機関銃を持ったマッチョな男優がほぼゴリ押しで悪に立ち向かう」いわゆるコマンドー的作品がアクション映画のスタンダードだったが、この映画は「劣勢の主人公が頭脳と無線を駆使して徐々に悪役側を追い詰めていく」という新たなスタイルを確立したことで大人気を博した。
主人公であるジョン・マクレーンはベテランの刑事でこそあれ、ボロボロの服装に武器はハンドガンなどのわずかなもののみと、非常に頼りないポジションの人物として描かれる。
殆どのシリーズ作品においては、「敵に捕らわれた家族を救う」ことが物語の骨子となっている。
タイトルの『ダイ・ハード』は、直訳すれば「死に難い」「不死身」「容易には死なない」という意味。でもどちらかと言うと「死にぞこない」ぐらいがあってる気もする。
日本語吹き替え版について
これまで、主人公ジョン・マクレーンの吹き替えを担当した声優は樋浦勉(ソフト版1~4.0及び吹替の帝王版ラスト・デイ)、野沢那智(テレビ朝日版1~3及び劇場公開版4.0)、村野武範(フジテレビ版1~3)、中村秀利(劇場公開版ラスト・デイのみ)の4人である。その中でネット上ではやはり野沢那智のマクレーンの熱演が人気であろうか。
マクレーンの口から放たれる、とても主人公とは思えない悪態の数々は演じるブルース・ウィリスの演技でも衝撃的だったものの、野沢版では彼のハイテンションな演技も合わさって、「原語版よりこっちの方が面白いのでは?」という層も多い模様。
そのため他の三人(樋浦,村野,中村)のマクレーンが影に隠れがちだが、いずれも野沢に勝るとも劣らない演技も一見の価値はある。
上記の様な理由から、野沢の方が人気が根強いためかダイハード4.0の劇場公開版のマクレーンの声は野沢が起用されている。(同作がDVD・BD化されたときは野沢版と過去作品のソフト版で担当した樋浦版も収録されている)
野沢没後に公開されたダイハード/ラスト・デイでのマクレーン役は野沢の弟子の一人である中村が引き継いでる。
吹替の帝王から2013年7月3日に野沢版、村野版、樋浦版の三種類の吹き替え版を収録した日本語吹替完全版コレクターズ・ブルーレイBOX(1・2・3)が発売された。
さらに2015年12月18日には同じく吹替の帝王から樋浦の新録によるラスト・デイ日本語吹替完全版がリリースされた。
シリーズ一覧
ダイ・ハード(原題:Die Hard)
1988年公開。ジョン・マクティアナン監督。
制作費2,800万ドル(≒36億円)、興行収入約1億4,000万ドル(≒182億円)。
クリスマスの夜、テロリストに占拠された高層ビルを舞台に、妻を人質に取られて孤立無援のマクレーン刑事が、その救出と敵の壊滅に奔走する。
舞台は、20世紀FOXの本社ビルを利用して再現された『ナカトミ・プラザ』と呼ばれる高層ビルで、マクレーンはダクト内を這いずり回ったり、ホースを体に巻いて屋上から飛び降りたりして、敵の目をかいくぐって行動する。
通風ダクトの中を行くマクレーンの姿は、本シリーズを代表するシーンとして有名。
この作品はロデリック・ソープが出版した同名の小説(原題:Nothing Lasts Forever)を元にしている。
ダイ・ハード2(原題:Die Hard2:Die Harder)
1990年公開。レニー・ハーリン監督。
制作費7,000万ドル(≒105億円)、興行収入約2億4,000万ドル(≒360億円)。
原題は、「さらに不死身」とか何とかそういう意味。
前作からちょうど1年後のクリスマスの日、テロリストによってシステムを掌握され、一切の航空機が着陸不可能となったワシントン・ダレス国際空港で、上空の航空機の中で怯える妻を救うために、マクレーン刑事が再び奮闘する。
舞台がビルから空港に拡大された。ダレス国際空港に設定されてはいるが、実際にはロサンゼルス国際空港を初めとする複数の別の空港で撮影されている。
前作とは対照的に、考証をすっ飛ばして派手さを追求するレニー・ハーリンの作風がフルに発揮され、妙に起爆までの時間の長い手榴弾や、X線検査に引っかからないグロック17や、何故か人を殺しうるほどの圧力を持った荷物運搬機など、ありえないものがいくつも登場する。
特にクライマックスは、前作とは別の意味で圧巻で、助走中であるはずの飛行機の主翼の上で5分以上ラフファイトが展開される。
この作品も小説の話に基づいており、今度はウォルター・ウェイジャーの『ケネディ空港着陸不能』(原題:58 Minutes)を原作としている。
ダイ・ハード3(原題:Die Hard With a Vengeance)
1995年公開。ジョン・マクティアナン監督。
制作費9,000万ドル(≒81億円)、興行収入約3億6,000万ドル(≒324億円)。
原題は、「凄まじく不死身」「猛烈に不死身」という訳になりうるが、“Vengeance”単体では「復讐」という意味になり、これもストーリーに合致するものとなる。
妻に三行半をつきつけられてしまい、やさぐれて久しいマクレーンに、テロリストからの指名が届く。
サイモンと名乗るそのテロリストは、ニューヨーク市内で爆弾テロを引き起こしていた。
次なる爆破を阻止するために、成り行き上同行することになった黒人の男・ゼウスと共にニューヨーク中を走り回るマクレーン。だがやがて、サイモンの正体が、1作目で戦ったテロリスト・ハンスの兄、サイモン・ピーター・グルーバーであると判明する。
1作目と同じくマクティアナンが監督に戻されたが、舞台はニューヨーク市全体に拡大され、さらにはクリスマスどころか真夏の日中が舞台になるなど、シリーズの統一性が一気に消えた作品。
セントラルパーク内でのカーチェイス、地下鉄の爆破など、派手な演出が格段に増えた。
さらに、ほぼ全編に渡って共に行動するゼウスにはサミュエル・L・ジャクソンが起用されている。
当初、ラストシーンはこれまでのシリーズと同様クリスマスに決着がつくはずであったのだが、実際のシーンがそれまでのハイテンションぶりから一気に冷め、あまりに渋すぎるためにお蔵入りになってしまった。
ダイ・ハード4.0(原題:Die Hard 4.0 / Live Free or Die Hard)
2007年公開。レン・ワイズマン監督。
制作費1億1,000万ドル(≒121億円)、興行収入約3億8,000万ドル(≒418億円)。
原題はニューハンプシャー州の標語「我に自由を、さもなくば死を」のもじり。ここまで来ると日本語には容易には訳せず、もう「自由に生きるか、さもなくばダイハード」ぐらいの意味で良いかもしれない。
アメリカ全土を混乱に陥れるサイバーテロを企む組織を相手にした戦いに、組織に利用された青年を救ったことで巻き込まれたマクレーンが、アメリカ東部を股にかけた奮闘を見せる。
舞台がとうとうアメリカ東部全域にまで拡大した。
潤沢な予算をフルに使って、トンネル内で実際に車を用いて大量衝突事故を、全長300m模擬高速道路を作ってトラックアクションを撮影し、さらには当時まだ実物が存在しなかったF-35をCG・模型によって忠実に再現するなど、スケールの大きい製作体制を実現しており、作品には、車をヘリにぶつけて墜落させる、戦闘機の上に飛び降りるなど、大迫力のアクションが詰め込まれた。
ブルース・ウィリスの頭は本作で完全に禿げ上がり、その一方で、ダイ・ハードシリーズを見て育ったと豪語するレン・ワイズマンなど、若手スタッフ・キャストが多く起用されている。
サイバー犯罪を題材にしているということで、ナンバリングもバージョン番号っぽくなっている。
ダイ・ハード/ラスト デイ(原題:A Good Day to Die Hard)
監督は『エネミーライン』のジョン・ムーア。脚本は、『G.I.ジョー』『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』などのスキップ・ウッズ。
主演はもちろんブルース・ウィリス。『4.0』に登場した娘・ルーシーもカメオ出演する。
マクレーンの息子・ジャックが、ロシアで警察沙汰を起こして拘束される。マクレーンは彼の釈放を求めて、娘に見送られつつロシアへ渡る。しかし、息子が出廷するはずの裁判所が爆破され、マクレーンは親子共々巨大な陰謀に巻き込まれていく、というストーリー。
「シリーズはついにクライマックス」云々と宣伝されているので、完結は近いのではないかとも噂されている。
原題は、『A Good Day To Die Hard』。
ネイティブ・アメリカンの伝承の中で語り継がれ、ベトナム戦争の兵士達も口にしたという「死ぬにはいい日だ」という言葉のもじり。「ダイハードにはいい日だ」と言ったところである。
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関連項目
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