輝ける場所
大切なパーティーには
間に合わなかったし
ようやくの晴れ舞台も
誰かの引き立て役でも気づくことができた
私にも輝ける場所があった
ここでなら私は飛べる機会は限られるかも知れない
だから決して見逃さないで
光放ちながら羽ばたく様を
ノースフライトとは、日本の元競走馬・繁殖牝馬である。トニービンの初年度産駒で、「マイルの女王」と謳われた女傑。
愛称は「フーちゃん」。
主な勝ち鞍
1993年:府中牝馬ステークス(GIII)、サンスポ阪神牝馬特別(GIII)
1994年:安田記念(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)、マイラーズカップ(GII)、京都牝馬特別(GIII)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「ノースフライト(ウマ娘)」を参照してください。 |
病弱な彼女が見せる女王の片鱗
父は府中の鬼トニービン、母はシャダイフライト、母の父ヒッティングアウェーという血統。ちなみに社台ファーム生まれではなく浦河の大北牧場生まれである。
しかしこの馬、体質が弱くてデビューすらままならず、桜花賞が終わった後にようやく裏開催でデビューするという有り様であった。
デビュー戦は勝ったがその次走が2ヶ月開けて夏競馬の小倉。ここも勝ったがエリザベス女王杯までに賞金積まなきゃならず負けられなかった9月の特別戦で5着敗戦。
これでエリザベス女王杯出走は絶望的になったかと思われたが、ようやく体調がそれなりに安定したことや才能を買った調教師の方針で当時1600m戦だった府中牝馬ステークスで古馬との対戦に踏み切った。…とはいえ除外確実な賞金額だったのだが、回避馬が出て出走が確定。
このレースの鞍上であった角田晃一が斤量50キロに対応するために急遽減量したくらいなので、出走できたのが奇跡的な賞金額であった。しかしレースでは軽量を活かし2番手から押し切り、古馬を一蹴。
晴れて賞金積みに成功しエリザベス女王杯へ。レースでは6番手から抜け出したが最内からスルスル抜けてきたホクトベガに屈し2着に終わった。しかし、二冠牝馬ベガや一番人気スターバレリーナはねじ伏せ能力を証明してみせたし、後のマイル無双を考えれば不向きの2400mで不調とは言えベガを抑えホクトベガに迫ったのはやや信じがたいことである。
その後は年末の阪神牝馬特別を勝ち重賞2勝目を挙げ、4歳シーズンを終える。
マイルの女王、君臨す
翌年は休みなく1月の京都牝馬特別@阪神1600に出走。ここで大楽勝し、陣営は安田記念を大目標に定め3月のマイラーズカップ@中京1700に出走。ここをレコード勝ちし意気揚々と安田記念へ。安田記念は1993年に国際競争となって二年目だったのだが、前哨戦の京王杯スプリングカップで上位を独占した外国馬が揃って出てきており、日本馬最上位人気はスプリントの絶対王者サクラバクシンオーの3番人気が最高という状況であった。
一番人気の*スキーパラダイス、二番人気のSayyedatiは欧州屈指のマイラー牝馬であり、前哨戦も結果出してたんだからこの人気も当然と言える。 しかもフーちゃん、スタートで出遅れる。コレはマズいと思われたが、調整失敗で太った*スキーパラダイスや、滞在で崩れた部分があったのか伸びないSayyedatiを尻目に凄まじい豪脚で一刀両断。マイルの女王に君臨した。
2着にも日本馬のトーワダーリンが入り、外国馬はDolphin Streetが3着に食い込み意地を見せたが、この年は日本馬の前に屈したといっていいであろう。
ちなみにだが安田記念のグレード導入後としては牝馬の制覇は二例目、ダイイチルビー以来の勝ちであった。その後牝馬の勝利は64年ぶりの名牝ウオッカまで途絶えることになった。
秋はスワンステークス→マイルチャンピオンシップというローテを組み、スワンステークスではサクラバクシンオーの凄まじいスピードが叩き出したスーパーレコードに屈したが、マイルチャンピオンシップでは逆にサクラバクシンオーをねじ伏せ、マイルGI春秋制覇を成し遂げた。またマイルチャンピオンシップについては前年度のシンコウラブリイに続いて牝馬二連覇の達成ともなった。タイムは1分33秒0。91年にダイタクヘリオスが出したタイムを更新しての勝利である。
日本の短距離路線黎明期最速の男ニホンピロウイナー以来2頭目で、この後も欧州GI制覇を達成した怪物タイキシャトル・98世代マイラー代表エアジハード・ダスカ自慢のお兄ちゃんダイワメジャー・ステゴ産駒の異端児インディチャンプとその時代時代最高レベルのマイラーしか達成していない。
もちろん、牝馬では最初の達成である。その後しばらく牝馬の混合マイルGIの優勝は途絶えたが、2000年代後半に入ると安田記念連覇を達成したウオッカやマイルチャンピオンシップではフーちゃん以来の牝馬制覇を達成したブルーメンブラットら牝馬も牡牝混合のマイルGIで成果を残し始め、
2020年にはグランアレグリアがフーちゃんを彷彿とさせる安心感すら覚える圧倒的パフォーマンスを見せ彼女以来のマイルGI春秋統一を果たした。
不世出の名マイラーとしか言い様がない成績を残した彼女だがマイルチャンピオンシップ後引退、繁殖入りした。通算11戦8勝。
繁殖牝馬としてはプリンシパルステークスを勝ったミスキャストが最高成績という、現役時代からすると寂しい成績しか残せないまま、2011年、この年の不受胎を最後に功労馬生活に入った。しかしそのミスキャストが突然変異的にビートブラック(天皇賞(春))を輩出し、意外なところで彼女の名を高めた。 2018年1月、心不全のため28歳で死去。
フーちゃん、それは私とあなたの絆
さて、この子はレースでの絶対性(マイル5戦5勝。1700m2戦2勝)もさることながら、女性厩務員が担当しての初のGI馬としても有名である。
その女性厩務員こと石倉女史は彼女のことをフーちゃんと呼びかわいがっていたのだが、引退してしばらくたった後、女性の記者が大北牧場に取材に行った時、「フーちゃん!会いに来たよ!」と声をかけたら猛烈な勢いで突進してきてびっくりしたというエピソードが残っている。
突進してきたフーちゃんが「なんだ、石倉さんじゃないじゃない」とばかりに方向転換して去っていったというおまけ付き。
馬の知能というのは諸説あり、人間の愛情が届いているかなどは色々と議論になることもあるが、彼女と石倉女史の間には、確かな絆があったであろうことは疑いないことといえるのではなかろうか。
血統表
*トニービン Tony Bin 1983 鹿毛 |
*カンパラ 1976 黒鹿毛 |
Kalamoun | *ゼダーン |
Khairunissa | |||
State Pension | *オンリーフォアライフ | ||
Lorelei | |||
Severn Bridge 1965 栗毛 |
Hornbeam | Hyperion | |
Thicket | |||
Priddy Fair | Preciptic | ||
Campanette | |||
シャダイフライト 1973 鹿毛 FNo.12-c |
*ヒッティングアウェー 1958 鹿毛 |
Ambiorix | Tourbillon |
Lavendula | |||
Striking | War Admiral | ||
Baby League | |||
*フォーワードフライト 1967 栗毛 |
Porterhouse | Endeavour | |
Red Stamp | |||
Bashful Girl | Khaled | ||
But Beautiful | |||
競走馬の4代血統表 |
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関連項目
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