ハンス・シュテルツァー(Hans Sterzer)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
CV.堀之紀(石黒監督版OVA)、荻野晴朗(Die Neue These)
概要
銀河帝国の貴族マリーンドルフ伯爵家につかえる家令。血色のよいつややかなピンクの頬、幅の広い肥満体を持つ老人で、同様にマリーンドルフ家につかえているらしき妻を持つ。当主フランツのことは「伯爵さま」、フランツの一女ヒルデガルド(ヒルダ)に対しては「ヒルダお嬢さま」と呼んでいる。初登場は第2巻野望篇だが、姓が明らかになったのは第9巻回天篇だった。
ヒルダを赤子のころから知る身として、他家の“深窓の姫君"とはことなる明晰さと活発さを発揮する「お嬢さま」を自慢とし、誇りとし、崇拝してすらいた。聡明さと気性では当時の大貴族子弟の誰にもまさり、国務尚書や元帥にもなれるとまで思っていたが、ただ女子ゆえにかなわないことが彼の残念とするところだった。しかし彼女は、まさにその才覚で頭角を現し、大本営幕僚総監という要職を得ることとなる。
登場
初登場は第2巻野望篇第2章。帝国暦488年初頭のリップシュタット戦役前夜、ヒルダが帝都オーディンから伯爵領に帰省した際に邸宅で出迎えた。ついで新帝国暦1年、第6巻飛翔篇第4章では、キュンメル事件に伴うマリーンドルフ父娘の謹慎が解かれることを知らせるアルツール・フォン・シュトライトからの通信を受け、ヒルダに取り次いでいる。なお、この2回の登場では、ともに「ハンス」とのみ記述されている。
その後、新帝国暦2年にはヒルダが大本営幕僚総監に任じられる。敬愛する「お嬢さま」の才覚を高く買っていた彼からすれば、男子でもそうは就けない軍の要職に彼女が至ったことはまさに欣快事であったようで、当主フランツが「ついでのように」「国務尚書になってしまった」こととあわせ「すべてヒルダお嬢さまのお手柄」と称えている(どうも主の扱いが悪いが、旧王朝時代のマリーンドルフ伯爵家が貴族界でも傍流オブ傍流の地味な存在だったことはハンスも認めるところであった)。
次の登場は第9巻回天篇第2章。例によって「夏の終わりのバラ」の章である。新帝国暦2年8月30日、柄にもなく午前六時に朝帰りし、しかもいつになくぼんやりしているヒルダを出迎え、不審と不安を覚えている(ただし、ヒルダは前夜の諸々による謎の気恥ずかしさからぼんやりしたふりをしているだけだった)。しかも同じ朝のうちに皇帝ラインハルトが来訪し、玄関を開けたら花束抱えた皇帝陛下というライヒスドッキリを食らって大慌てで主に報告するはめになった。
ともかくこれがきっかけとなり、第10巻落日篇第1章では皇帝ラインハルトとヒルダの婚約が発表され(新帝国暦3年元旦)、ハンスは妻とともに月末の結婚式の準備に奔走することとなる。すでにヒルダが懐妊していた以上、長く「ヒルダお嬢さま」を見てきたハンスでも感慨に浸っていられない忙しさもやむなしではあったが、つい浮かんできた「皇帝も意外に手が早い御方」という思いは発言すれば不敬罪ものだったのであわてて振り払った。
最後の登場となった1月29日の結婚式当日にあたっては、前夜から大神オーディンに晴天を祈願していたのもむなしく小雪がちらつく寒々しい気候となったため「神の無情と無能について二四とおりの悪口をならべたて」て歎いている(しかし結局は「神々が意図したよりはるかに美しく完成されたため、神々の嫉視をかうにいたった造形物であるようにすらみえた」という新郎新婦の盛装の華麗さが天候の無彩色さを圧倒する結果となった)。
関連動画
関連項目
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