基礎データ | |
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正式名称 | ブータン王国 འབྲུགཡུལ་་ |
国旗 | (未作成) |
国歌 | 雷龍の王国 |
公用語 | ゾンカ語 |
首都 | ティンプー(Thimphu) |
面積 | 38,400km²(世界第128位) |
人口(’22) | 約78万人(世界第166位) |
通貨 | ニュルタム(Nu.,BTN) |
標準時 | UTC+6 |
ブータン(不丹) 、ブータン王国とは、インド半島の北部、ヒマラヤ山脈中部に位置する国家である。
概要
北側を中華人民共和国、南側をインドと接する。両国に挟まれている内陸国である。
近年は「世界一幸せな国」と報道されたことから観光地として人気が上昇している。
歴史的な文化遺産としては、王宮兼国会のタシチョ・ゾンが有名。
ブータン人は自国を「ドゥク・ユル」(Druk Yul)と呼称する。「龍の国」の意。
同様に国王は「ドゥク・ギャルポ」(Druk Gyalpo)と呼称する。こちらは「龍王」あるいは「雷龍王」の意。
政治
ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクが5代目国王を務める。日本では「ワンチュク国王」の呼称が多い。
かつては世襲制による絶対王政だったが、2008年より立憲君主制に移行した。これは新憲法制定に伴うもので、国王の65歳定年制も規定された。
国内総生産(GDP)や国民総所得(GNI)ではなく、国民総幸福量(GNI)を優先する政策を行う。簡単に言えば、金銭的幸福や物質的幸福より精神的幸福を重視するということである。
そのため政策においては、伝統文化の保持、環境保護が優先される。その功績で手付かずの自然や昔ながらの仏教寺院が多数存在し、ブータンの文化的価値を高めている。それが観光収入にも繋がっている。
ただ2005年の幸福度調査アンケートでは「非常に幸せ」「幸せ」「不幸」の3つで、中間の選択肢がなかったことが問題視された。選択肢の不備は、2010年に解消された。
「幸せの国」「最後の秘境」「シャングリラ」などと呼称される素晴らしい国という印象が強いが、薬物汚染の深刻化やネパール系住民に対する人権侵害など、影の部分もある。(ネパール系住民については後記)
1999年以降、インターネットとテレビが解禁された。また近年は輸入品が増加した。その影響か、一部の若者の価値観にも変化が生じている。精神的幸福から物質的幸福へ、農業から第二次、第三次産業へ憧れる若者もいる。
鎖国政策は廃止されたが、現在も入国規制は継続されている。これはブータン政府が掲げる文化及び環境保護を目的として実施されている。2013年には日産とリーフを納入する覚書を交わした。2020年までに全国内車を電気自動車にする計画である。
日本とは1986年に国交樹立。2011年11月には、5代国王ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクが来日した。
JICA所属の日本人、西岡京治は1964年からブータンの農業振興に大きく貢献し、国王から「ダショー」の爵位を贈られている。「ダショー」は「最高に優れた人」という意味でブータンで最も名誉ある爵位とされており、外国人には西岡に贈られたのが初めてのことであるそうだ。
中国とは国境策定を議論している段階にあり、国交を樹立していない。
インドとは友好関係を築いており、インドからの補助金も存在。観光目的の場合双方の国民がノービザで入国できる。
ネパールとは度々要人を双方が迎えているが、ネパール系住民に対するブータン政府の人権侵害政策により緊張している。国交は樹立されている。
歴史
民族
国民の8割がチベット系、2割がネパール系である。チベット系住民には民族衣装の着用が義務付けられている。これはネパール系住民に対抗し、民族的アイデンティティを確立する目的もあった。
宗教
チベット系住民はチベット仏教(小乗仏教)を、ネパール系住民はヒンドゥー教を信仰する。チベット仏教は国教化されている。日本の仏教は大乗仏教で、国教化もされていない。
言語
公用語はチベット文字のゾンカ語である。ネパール語やヒンディー語、ツァンラ語も話されている。ツァンラ語もゾンカ語と同様、チベット文字である。
そして実際には公用語でないネパール語使用者が一番多い。ヒンディー語やネパール語はデーヴァナーガリーで表記される。
イギリスの保護国的地位だった経緯から、小学生から英語教育が行われている。ゾンカ語が専門用語に乏しいことや、インド人教員を招聘した経緯から、国語以外の授業は英語で行われる。そのため国民は英語に明るい。
ただし今後は、国語以外でもゾンカ語で教授していく方針である。これも民族的アイデンティティの確立を図るためである。
そして実際には公用語でないネパール語使用者が一番多い。ヒンディー語やネパール語はデーヴァナーガリーで表記される。
イギリスの保護国的地位だった経緯から、小学生から英語教育が行われている。ゾンカ語が専門用語に乏しいことや、インド人教員を招聘した経緯から、国語以外の授業は英語で行われる。そのため国民は英語に明るい。
ただし今後は、国語以外でもゾンカ語で教授していく方針である。これも民族的アイデンティティの確立を図るためである。
ネパール系住民の人権問題
1975年、ブータンの隣にあるシッキム王国がインドに併合された。原因はネパール系住民が増加したためである。ブータンはシッキムの二の舞になることを懸念した。国勢調査でネパール系住民の人口が増加していると判明すると、1985年、一方的に国籍剥奪し、国外追放した。
またブータン政府はアイデンティティ画策を模索し、ゾンカ語の国語化、チベット系民族衣装の強制(ネパール系は免除)、伝統的礼儀作法の遵守の政策が実施された。これに反発するネパール系住民のデモ活動も弾圧した。上記政策の緩和を上訴した王立諮問委員会のテクナト・リザル(ネパール系)でさえ、反政府活動とみなされ追放された。
その結果、現在まで10万人の難民が発生している。(ブータンの人口は70万人である)
この難民たちの多くはブータン国籍を所持するネパール系ブータン人であり、ブータン政府が主張する「不法滞在」の理屈は通らない。(1958年の国籍法により国籍を保有したが、1985年の公民権法で剥奪された。)
なおチベット系、ネパール系の双方が拷問などの暴力的扱いを受けたと主張している。またネパール系住民の中には人権侵害政策に反発し、ゲリラとして武装蜂起する者も現れた。
2007年より、UNHCRによる第三国定住の取り組みが開始された。
2008年、ブータンは立憲君主制に移行した。しかし未だネパール系の政党は非合法とされ、公式には活動できない。
料理
トウガラシを大量に使用するブータン料理は「世界一辛い料理」とも言われている。
ドラマ「孤独のグルメSeason5」で主人公・井之頭五郎を演じる松重豊が顔を真っ赤にしながらブータン料理を食する姿が放送された。
なお現地の観光客向けの料理店では味はトウガラシをあまり使わないようにアレンジした料理を出す店もあり、辛い物が苦手な人は食べるものがないという事態は避けられるらしい。
その他
2002年6月30日、FIFAランキング最下位を決める国際試合を開催。ブータン代表はモントセラト代表と対戦した。4-0でブータンが勝利した。同日の横浜では、2002 FIFAワールドカップの決勝が行われていた。
後にこの国際試合のドキュメンタリー映画「アザー・ファイナル」が公開された。
関連動画
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関連項目
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