ミシュラン(Michelin)とは、フランスのクレルモン・フェランに本社を置く世界第2位のタイヤメーカーである。
また、レストランやホテルなどを紹介するミシュランガイドを出版する企業としても知られる。
会社カラーは青と黄色。会社のマスコットはビバンダム(Bibendum)である。
英語圏の人には「ミチュリン」と発音される。
概要
1863年に創業、1889年からミシュランの名称を社名に使うようになった。
1946年にバイアスタイヤを改良し、ラジアルタイヤを発明、1948年に商品化し始めた。その後1977年にルノーとともにF1に参入し、それまでバイアスタイヤが主流だった中でラジアルタイヤを導入、数年後には他のメーカーもラジアル構造に切り替えた。そのほかの4輪、2輪カテゴリーにもミシュランが参戦し、モータースポーツでもラジアルタイヤが主流となった。
また、日本で冬用タイヤとして使われていたスパイクタイヤが、アスファルト路面を削って発生する粉じんによる公害が社会問題になると、1982年にいち早くスタッドレスタイヤを開発。現在、同社のタイヤは日本で開発してヨーロッパなどに輸出している。
ビバンダム
ミシュランのマスコットは、タイヤを積み上げて作ったようなキャラクター、ビバンダム(ビブ、ミシュランマン)である。
1864年にミシュラン兄弟が積み上げられたタイヤをヒントに考え出されたキャラクターだが、名前がつき始めたのは1898年からで、"Nunc est bibendum"(ラテン語で「いざ飲まん」)というキャッチコピーから(釘やガラス片などの障害物をも飲み込むほどの強さをアピールする意味)、ビバンダムと呼ばれるようになった。
最初はタイヤを積み上げた格好のモンスターのような姿だったが、年々デフォルメされて愛嬌のあるキャラクターとなった。現在でもミシュランの販売店やモータースポーツの場でも確認することができる。
ミシュランガイド
1900年に、ミシュランがドライバー向けに発行した市街地図や整備方法をまとめたガイドブックが起源である。タイヤメーカーであるミシュランがタイヤの消費を促進するため、より遠くの場所への旅行、ドライブを勧める目的で作られた。
その後、1930年代からレストランの格付けを星(*) で行うようになり、匿名の調査員が各レストランを調査するようになった。やがてミシュランガイドで星が1つ増えると売り上げが3割増すと言われるようになり、ミシュランガイドは権威のあるレストランガイドとして世界的に知られるようになった。
日本では2007年に東京版(現在は横浜、鎌倉に拡大)が発行され、2009年に京都・大阪版(2012年に神戸、奈良に拡大予定)が発行、2012年には北海道版が発行された。
なお、ミシュランガイドは一般的に知られるレッドブック(レストランガイド)のほかに、観光地を紹介するグリーンブックがある(グリーンブックの日本語版は現在販売されていない)。
MotoGPのタイヤサプライヤー
2016年からミシュランはMotoGPの最大排気量クラスに独占的にタイヤを供給している。タイヤがバイクの走行に与える影響は大きく、常にミシュランが話題の中心になっている。
ミシュランのMotoGPにおける活躍については、ミシュラン(MotoGP) の記事を参照のこと。
ミシュランの拠点
クレルモン・フェラン
ミシュランはフランスのクレルモン・フェランに本社や主力工場がある。
MotoGP向けのタイヤはクレルモン・フェランにて開発されて製造されており、ミシュランが語られる記事では「クレルモン・フェラン」が頻出する。
詳しくはクレルモン・フェランのこの項目を参照のこと。
群馬県太田市
群馬県太田市に日本ミシュランの研究所がある。場所はここで、もともとは日本のオカモトというゴム製品メーカーの工場だった。オカモトとミシュランは1989年から2000年まで業務提携していた。オカモトは2000年まで自動車用タイヤを製造しており、その従業員の多くがミシュランに移籍した。
ミシュランは自動車大国日本のモータースポーツにも積極的に参加して、レース技術を磨いている。その拠点となるのが、群馬県太田市である。
ミシュランは世界に6ヶ所研究開発拠点を持っているが、その中で太田市の工場が3番目に大きい。1番目に大きいのがフランスのクレルモン・フェラン近郊のラドゥで3000人勤務。2番目に大きい拠点がアメリカのグリーンヴィルで900人勤務(近くのローレンスがテストコース)。3番目に大きいのが日本の太田市で300人勤務。海外からも人がやってきて従業員の2割が外国人なので、英語が太田市の工場内の公用語になっている。
特に騒音対策と冬タイヤに関する研究は太田市の工場がミシュラングループ内で最先端である。太田市の工場の中に「雪の路面」「氷の路面」を再現できる直径5メートル程度の円状の設備があり(この記事に画像あり)、それをぐるぐる回し、タイヤの性能を検査する。そうして作った冬タイヤを豪雪地帯で走らせる。
諸外国の豪雪地帯に比べて日本の豪雪地帯は緯度が高めで、比較的に太陽光が強く気温が高めである。このため、雪が解けやすく、氷が発生しやすく、一日で様々な路面状況に変化する。深夜は雪たっぷりの状態、朝は雪が踏み固められた状態、昼は太陽光で氷が解けたシャーベット状態、夜の初めは水が凍り付いて氷になったアイスバーン状態、とさまざまな条件に変化し、そして雪がない高速道路も整備されている。日本の豪雪地帯は、冬タイヤにとって世界一難しい環境とされる。
北海道士別市
豪雪地帯の北海道士別市に交通科学総合研究所という会社があり、テストコースを所有している。ミシュランは、このテストコースを借りて冬タイヤを研究している。
ちなみに士別市は自動車関連企業の試験場が集中している。トヨタ、ダイハツ、ヤマハ、ブリヂストン。このため試験道路を上手く作る業者が多い。
「群馬県太田市に工場があるんだから、すぐ近くの新潟県にテストコースを作ればいいじゃないか」と思ってしまうが、新潟県には試験道路を上手に作る業者がいないので、やっぱり士別市のテストコースを使うことになる。
関連動画
関連項目
関連項目
- タイヤ
- レストラン
- クレルモン・フェラン (本社所在地)
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