概要
西部劇「3時10分、決断のとき」、「ウルヴァリン:SAMURAI」のジェームズ・マンゴールド監督と、これまでのX-MEN映画10作品に17年間出演してきたヒュー・ジャックマンによる「最後の」ウルヴァリン映画。
ほとんどのミュータント達が抹殺され、絶滅しかけている2029年のアメリカを舞台に、ある重大な秘密を抱えた少女を守るための老いたウルヴァリンの逃避行を描く。
本作は前年の「デッドプール」に続き2作目のR-15指定のX-MEN映画(ウルヴァリンとしては初)であり、流血や切断などの過激なバイオレンス描写が含まれる。そしてそれらの上に成り立つ物語と世界設定、キャラクター達の迎える運命も相応に過酷なものとなる。
原作コミックの「ウルヴァリン:オールドマン・ローガン」やウルヴァリンの遺伝子上の子孫、X-23を扱ったストーリーなどを元に脚本が構築されている。さらに「オールドマン・ローガン」が影響を受けている「許されざる者」などの西部劇に近い映画を作りたかったとマンゴールド監督は語っている。特に象徴的なのが名作「ショーン」からの引用とカントリー調のエンディング曲「The Man Comes Atound」だろう。
本作を観てゲーム「The Last of Us」や「メタルギアソリッド4」を連想するという観客も少なくない。特に後者のクリエイター小島秀夫監督はMGSの内容に絡めたローガンに対するレビューを執筆している。
時系列・世界観
本作が「X-MEN:フューチャー&パスト」以降複数に分岐したX-MENシリーズのどの世界線に位置するのかについては議論がある。
大まかには「フューチャーパスト」以後のリセットされた世界の後の物語とも考えられるが、リセットされる以前の「ウルヴァリン:SAMURAI」などの要素もあるため矛盾が生じる。そこで本作の世界はこれまでの作品とは世界観・リアリティラインの異なるパラレルワールドである可能性が高い。劇中ではX-MENを描いたコミックブックや映画シリーズの活躍が一部フィクションであるかのようなセリフも存在する。
20世紀FOXは現在、「フェニックス・サーガ」や「ザ・ニュー・ミュータンツ」等複数のX-MEN続編を企画しているが、それらが本作のタイムラインをそのまま引き継ぐ可能性は少ないかもしれない。
登場人物
ローガン/ウルヴァリン 演ヒュー・ジャックマン:(山路和弘)
数々の戦いによって疲弊し、老化でヒーリングファクター(治癒力)が衰えた結果自身の体内に埋め込まれたアダマンチウムの毒によって老眼になり死につつある、かつてウルヴァリンと呼ばれたミュータント。
テキサス州とメキシコとの国境でリムジンのドライバーを務めながら、キャリバンと共にチャールズの介護を手伝っている。
かつて多くの人間を傷つけ、自分のせいで死に追いやったと感じる彼は、他者との接触を最小限に留め、ローラを守るという依頼も当初は断っていた。しかし住処を襲撃され自身そっくりのローラの能力を目の当たりにした彼の意思と運命は変わり始める。
チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX 演:パトリック・スチュワート(麦人)
世界最高のテレパスと呼ばれた、X-MENの創設者でありミュータント最大の庇護者だった老人。メキシコ国境でローガンとキャリバンに介護されながら生きている。ローガンにローラは最後の希望だと語る。
アルツハイマー病を患っており、そのせいで起きた発作で力を暴走させ、「恵まれし子らの学園」があったウェストチェスターにおいて7人のミュータントが死亡する悲劇を引き起こしてしまう。
チャールズとローガンの最後の夢は、「サンシーカー(太陽を追う者)」と名付けたボートを手に入れ、誰も傷つけることのない海の上で余生を過ごす事だったという。
ほとんど言葉を語らず、ローガンと同じ鋼鉄の爪と強いヒーリングファクターを持つ謎の少女。
その正体はメキシコのアルカライ遺伝子研究所でウルヴァリンの遺伝子を元に人工的に作り出されたクローンミュータント。戦闘に向かない精神を持った他の実験体たちと共に処分されそうになっていた所を脱走し、ガブリエラという女性からローガンに託される。X-MENを描いたコミックブックの中に登場するノースダコタ州の「エデン」という場所を目指している。
ローラとローガンたちの追跡部隊を率いる傭兵。彼自身を含む隊員は腕などをサイボーグ化しミュータントに対抗している。かつて多くのミュータントを殺害したことを匂わせる発言をしている。
原作からのキャラクター(1980年初出)だが、このご時世に妙に気になる名前をした悪役である。
他のミュータントを探知する能力を持つ、スキンヘッドに青白い姿のミュータント。太陽光に弱く、外では常に全身を覆う服装をしている。メキシコ国境でローガンと共にチャールズの介護をしている。
襲撃後ドナルドに捕らえられ、ローガンたちを探すために利用される。
前作「X-MEN:アポカリプス」のエジプトにおけるシーンで一瞬登場している。
ローラたちやX-24を生み出した遺伝子研究所の所長。ドナルドの雇い主。
妻と息子と共に農場を経営する男性。家畜がトラックから逃げ出し狼狽していたところをチャールズのテレパスによって助けられ、お礼にローガン一行を夕食に招待するが……
X-24 演:?
研究所の他の実験体たちの精神的な問題を解決し、殺戮に対する疑念を持たない完全なる兵器として調整されたという謎のミュータント。
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関連項目
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