大相撲超会議場所とは、2014年4月26日・27日に幕張メッセで行われるイベント「ニコニコ超会議3」において開催される大相撲の地方巡業である。2014年春巡業の一環。リクルートが協賛企業に名前を連ねている。
概要
SUMOU動画が人気を博したり(元をたどればふたば☆ちゃんねるが発祥だが、こまけぇこたぁいいんだよ!)、八百長問題に絡んで技量審査場所のTV中継がなかった際にはニコニコ生放送で中継を行ったり、時に引退相撲の中継を行ったりと、ニコニコ動画と大相撲の縁は決して浅からぬものがあった。
そして、この度春巡業の一環としてニコニコ超会議を舞台に2日間の興行が行われることとなった。元々春巡業は3月場所の行われる大阪近辺をスタートし、4月上旬以降は関東近郊で行われるのが恒例であり、超会議の開催時期とも重なったのもイベント開催を後押ししたのかもしれない。
チケット
砂被り席 | 12000円 | チケット購入は こちら (完売御礼) |
イス席 | 5000円 |
※料金は26日・27日とも共通 ともに当日限り有効
※共通してお弁当・お土産付き 砂被り席には座布団有り
超会議の一般入場券(前売り1500円、当日2000円)と比べると割高に思えるかもしれないが、大相撲の巡業としては一般的な価格である。巡業の開催者によってはお弁当やお土産は別売りであることも多く、また相撲終了後は超会議にも入場できることを思えばむしろ割安かもしれない。
砂被り席(溜まり席とも)は、普段の本場所ではあまりチケットの数も出回らない(ほとんどがスポンサーが通年で接待用に抑えていたり、熱心な好角家が通年で買っていたりする)レアな席である。その名の通り砂を被るほど土俵に近く、ともすれば土俵から力士が降ってきたりすることもあり、危険を避けるために休憩時間以外の飲食が制限される可能性があるので注意したい。
これとは別に、超会議の入場券を持っていれば立ち見ブースでの見学も可能。モニターも設置される予定である。
スケジュール
一般的な地方巡業では8時には開場されて朝稽古を見ることが出来たりするが、超会議場所は2時間遅い10時開場のため、通常の巡業に比べていくらかのイベントが簡略化されたり、開催されない可能性がある。
現時点で超会議場所のタイムテーブルが出ていないため、ここでは一般的な巡業の一日を紹介する。
- 朝稽古……諸々の準備で前乗りする幕下以下の力士から時間を追うにつれて十両、幕内と格上の力士が登場。多くの力士が土俵周囲を埋め尽くして熱の入った稽古を繰り広げる。
- 地元少年たちとの触れ合い……ちびっこ力士たちが土俵に上がり、関取衆の胸を借りる。今ほど交通網やネットが発達していなかった時代は巡業が重要なスカウトの場であった名残とも言える。
- 初っ切り……相撲の禁じ手をコント仕立てで紹介する。本場所では絶対に見られないプログラムの一つで、巡業などの花相撲のお楽しみの一つ。動画でも何本か上がっている。
- 相撲甚句……力士の美声を堪能出来る伝統芸能の一つ。土俵上に数人の力士が上がって輪を作り、中央の一人の歌に合わせて周囲の力士が合いの手を打つ。
- 綱締め実演……横綱が化粧回しと一緒に着ける綱を締める工程の実演を土俵上で行う。屈強な力士数人がかりで綱を締めあげる様子は壮観である。
- 土俵入り・取組……十両力士、幕内力士がそれぞれ本場所さながらに土俵入りと取り組みを行う。超会議場所では2日目となる27日にトーナメント戦の開催も予定されている。
以上のプログラムの中から土俵入り・取組を含めたいくつかが行われるものとみられる。
当日の主なイベント紹介
2014年4月14日現在で発表されている主なイベントを紹介する。
当日の実況・解説・ゲスト
超会議場所を中継する生放送の実況者、解説者、そしてゲストが既に発表されている。
実況者(2日間共通)
- 清野茂樹……広島エフエム出身のフリーアナウンサー。現在はプロレス・格闘技やバスケットボールを中心に実況。
- 山崎正……70歳を迎えた大ベテラン。好角家には今はなき『大相撲ダイジェスト』の司会といえばピンとくるだろう。
解説者
- 振分親方(元・高見盛)……26日に登場。2013年に引退した角界の人気者で、今やあちこちのバラエティ番組で引っ張りだこにもなっている。現役時代の仕切り前に行う気合入れのパフォーマンス(本人いわく、ケガへの恐怖を振り払うためのもの)や、ズラッと連なる永谷園の懸賞幕なども有名だった。解説としては少々滑舌の悪さがみられるが、相撲に対する姿勢は真摯なままなので、しっかり内容に耳を傾けてほしい。
- 浅香山親方(元・魁皇)……26日に登場。歴代最多となる通算1047勝の記録を持つ名大関。出身地の九州では絶大な人気を誇り、彼が勝つ度に地元の福岡県直方市では花火が上がっていたほど。2014年2月には独立して浅香山部屋を興している。また、5月場所からは審判委員も務めることになり、しばらく解説としては見納めになるので注目してほしい。なお、前述した高見盛とはかつてちょっとした確執があったので果たしてどうなることか……(稽古嫌いとして知られていた高見盛に魁皇が憤慨した、という記事が出たことがある)
- 式秀親方(元・北桜)……27日に登場。3月場所前には朝稽古の様子をニコニコ生放送で中継したことでも話題となった。現役時代は最高位が前頭9枚目とそこまで高くなく、横綱との対戦経験も無かったが、その豪快な塩撒きで上位力士並みの人気を博した。今でも並の相撲取り並みの堂々とした体格を誇るが、その見た目に反し?ビーズ編みが趣味というカワイイ一面も持つ。
- 谷川親方(元・北勝力)……27日に登場。強烈な突き押しを武器に、朝青龍の35連勝を止めたことでその名を馳せたこともある力士。解説者としても評判は上々で、ファンサービスにも熱心な人ではあるが、現役時代にはネット上での愛称が「フニス」(不人気ワロスの略)になってしまった不憫な人。これは、ある解説者に「こんなに実力あるのに人気はイマイチ」と言われてしまったことが由来。実際に、立ち合いはあまり上手ではなく、好角家からの評判は芳しくなかったが……
ゲスト
- 武井壮……26日に登場。百獣の王を目指す不惑の男。相撲との縁は結構深く、横綱・日馬富士に一日弟子入りをしたり、レギュラーであるラジオ番組の企画で大関・稀勢の里と対談を行ったりしている。当日はそういったエピソードも聞けるかもしれない。
- デーモン閣下……27日に登場。御年100,051歳の大ミュージシャン。そして好角家としても広く知られ、最近は音楽の仕事より相撲の仕事が多くなったことに少し胸を痛めているとか。今では毎年のように大相撲中継のゲストにも招かれており、そんじょそこらの好角家など目じゃない愛と知識を披露してくださることだろう。
わんぱく土俵祭り
通常の巡業であれば、「わんぱく相撲」といえばちびっこ力士たちとの交流の場である……が、こと超会議場所に至ってはその常識は通用しない。
今回土俵に上がるわんぱく力士は、ネット上のわんぱく共……つまりお前らである。力士に真っ向からぶつかる事の出来るまたとない機会であるので、腕に覚えのある人は挑戦してみてはどうだろうか(反則行為はくれぐれも控えるように)。
なお、ネット上のわんぱく代表として堀江貴文とひろゆきの参戦が決定している。横綱、思いっきり投げ飛ばしちゃってください。
豪華プレゼント
相撲料理といえば、なんといってもちゃんこ鍋。超会議場所では土俵近くの相撲茶屋で、横綱・白鵬の所属する宮城野部屋直伝の横綱ちゃんこ鍋(塩味)が各日先着1000人に振舞われることになっている。具沢山で意外とヘルシーなちゃんこ鍋、ぜひこの機会に堪能してほしい。
また、オリジナルグッズの当たる大相撲くじも行われる。横綱・白鵬の実寸大の腕まくらや、手形入りの特製扇子などが当たる内容となっている。
なお、これらはいずれも協賛社のリクルートが運営するリクルートポイントを使うためのリクルートIDへの登録が必要となる。くわしくはこちら。
懸賞を出してみよう!
大相撲中継には付き物の懸賞の垂れ幕。これが超会議場所でも実現する運びとなった。
通常の本場所では個人名で懸賞を出すことはできないが、今回はユーザー名で広告を出すことが可能。
わんぱく土俵祭りの項目に掲載した動画にニコニ広告を出すことで懸賞を出すことが出来る。
5000ポイントの広告で、5人まとめて掲載されるユーザー広告の権利が、
25000ポイントの広告で広告メッセージ付の単独広告を出す権利が与えられる。
それぞれ先着40組までで、受付は4月21日~23日。詳しくはこちら。
懸賞幕といっても、本場所とは異なって模造紙に墨で書かれただけの簡素なものであり、
対象となる取組や力士が選べるかどうか不明など、不透明な点も多いが、
前述したように個人名で相撲を支援できる絶好の機会ともいえる。
国技である相撲の名を貶めないように、メッセージ出稿の際には十分気をつけてほしい。
なお、本場所でも自前で懸賞幕を用意し、1場所15本以上(=93万2千円)出すことが条件ではあるが、
懸賞を出すことは可能である。NHKの中継カメラは懸賞幕が流れる際に引きの画面になってしまうが、
広告費としては存外割安であるので、我こそはと思う団体の代表者は問い合わせてみてはどうだろうか。
注目力士紹介
超会議場所に参加予定の力士は幕内力士と十両力士合わせて70人。ケガ人が出れば休場者が出るが、それでも60人ほどが土俵に上がる予定になっている。初めて相撲を見る人からすれば、名前も聞いたことがない力士も多いかもしれない。この項目では、様々な観点から注目力士を紹介しよう。カッコ内の地位は春場所の番付(鶴竜を除く)。
実力者たち
言わずと知れた両横綱に、三役と呼ばれる大関、関脇、小結。数ある力士の中でもエリート中のエリートである。
白鵬(横綱)
優勝回数は歴代3位の28回、歴代2位の63連勝を記録するなど、言わずと知れた大横綱。単独記事もあるので、経歴などの詳細はそちらも参照していただきたい。⇒白鵬
基本的には組んでからの投げや寄りを得意としているが、離れても並の力士ではなかなか歯が立たない。柔らかい体で、生半可な衝撃は吸収してしまう。2013年は年6場所、90番の相撲のうち負けたのはたったの8回。このうち、三役より下の地位、いわゆる平幕の力士に負けたのは1回だけ。平幕の力士が横綱に勝つことを金星と呼ぶが、白鵬は横綱になってから7年弱(40場所)で与えた金星はたったの8つであり、格下の力士にほとんど取りこぼさない(参考までに、もう一人の横綱の日馬富士は全休した場所を除く8場所で9つの金星を許している)。
強烈な投げを持つが、本場所でない超会議場所のような巡業(花相撲)ではさらに派手な技を見せる傾向にある。PVで披露しているような豪快な投げが幕張の土俵でも見られるかもしれない。一方で、巡業の土俵では受けに回ってコロッと負けることも少なくなかったりする。負けるところが見られたらそれはそれでレアなことではあるのだけれども。
日馬富士(横綱)
読みは「はるまふじ」。かつての名前の「安馬(あま)」なら分かる、という人ももしかしたらいるかもしれない。白鵬と並んで昨今の相撲界を引っ張った横綱である。幕内の力士の中では一、二を争うほどの軽量力士であるが、それゆえにスピードを生かした相撲が特徴的。速さなら白鵬をもしのぐほど。こちらも単独記事があるので経歴などはそちらも参照してほしい。⇒日馬富士
1月場所は足首のケガ(慢性的に抱えているケガである)のために全休、親方曰く「靭帯が断裂している状態」のため心配されたが、3月場所は白鵬に勝つなど12勝3敗と優勝こそ逃すが最低限の仕事は果たして周囲を一安心させた。横綱になってからはちょくちょく下位の力士に負けて優勝争いから早くに脱落することが多いが、それさえなければ2013年も2回優勝している通り白鵬に次ぐ実力者であることは揺るぎない。現役の力士では一番白鵬との対戦成績も競り合っており、トーナメントの決勝戦で横綱決戦となるかどうかに注目。
鶴竜(大関→横綱へ)
読みは「かくりゅう」。モンゴル第3の男。例によって単独記事がある。⇒鶴竜
大関になって2年が経ち、先だって行われた1月場所で大関昇進以後初めて優勝争いに絡むと、3月場所では白鵬・日馬富士の両横綱を撃破して優勝。ワンチャンスを生かして横綱へと一気に駆け上がっていった。白鵬が力強さ、日馬富士がスピードで勝負なら、鶴竜の場合は巧さが際立つ力士。その場所で優れた技能を見せた力士に贈られる技能賞という賞を7度も受賞している。この賞は大関に上がると受賞できなくなるので、いかに巧い相撲でここまで上がってきたかが分かる。どことなく犬系統の顔立ちであることから、2ちゃんねるの実況スレッドなどでは「わんわん」と呼ばれることも。
琴奨菊(大関)
3月場所の序列では日本人力士で一番上にいるのがこの人。個別記事はこちら。⇒琴奨菊
大関に上がってからはケガがちでなかなか力を発揮できずにいるが、大関に上がって来た時は左を差してからの強烈ながぶり寄り(相手に体を密着させ、激しく上下動することで一気に寄る技)が琴奨菊の代名詞でもあった。この得意技をもじってファンからは「ガブリエル」と呼ばれることも。満身創痍となった最近の土俵ではあまり見せることもなくなってしまったが、果たして幕張の土俵で渾身のがぶり寄りが見られるかどうかに注目してほしい。
稀勢の里(大関)
長らく日本人力士期待の星として頑張ってきた力士。個別記事はこちら。⇒稀勢の里
2014年になってからのこの人を一言で表すなら「どうしてこうなった」。2013年の11月場所で白鵬・日馬富士の両横綱を撃破して13勝の好成績。1月場所ではその成績次第では貴乃花以来の日本人横綱へ……という期待もつかの間。年末に親方の名義をめぐるゴタゴタで突然の引っ越しを余儀なくされたのがケチのつき始めで、1月場所の土俵では初日にいきなり負けがつくなど早々に横綱昇進が消滅。ついには足の親指を傷めて力士人生初めての休場にまで追い込まれてしまった。3月場所で何とか大関の座は守ったが本調子からはまだ程遠く、巡業での復調が待たれるところ。
組んでも離れてもどちらでも相撲が取れるが、白鵬相手なら離れた方が、日馬富士相手なら組み止めた方が分が良い。新横綱・鶴竜には最近2連敗中だが、トータルなら24勝11敗と相性がいい。希ガス元素の一つであるキセノンの元素記号である「Xe」がネット上の実況でよく使われる愛称。
豪栄道(関脇)
関脇は大関予備軍とも言える地位。この関脇に3月場所で12場所連続で君臨しているのがこの豪栄道である。単独記事はこちら。⇒豪栄道
当記事冒頭のPVにも出演しており、今一番大関に近い存在。12場所連続で関脇、というのは史上単独2位の記録で、これより上は引退した魁皇のみ(13場所連続)。3月場所で12勝を挙げたことによりこれに並ぶことがほぼ確定している。裏を返せばなかなか大関に上がれないいわゆる「名関脇」に甘んじつつある。相撲のスタイルとしては組んでまわしを取って力を発揮するタイプで、左右を問わない半面組み負けて相手の得意の型になってしまうこともしばしば。それでもどちらでも相撲が取れるうえに思い切りのいい投げで勝ちを拾うことが出来る。離れればタイミングのいい引き、はたきを持っており、センスで相撲を取っているような感じの人である。
栃煌山(関脇)
「とちおうざん」と読む。こちらも三役では常連となる力士。ただ、小結で勝ち越しても関脇の席が詰まっていることが多くてなかなか関脇に上がれなかった不運な人でもある。
相撲のスタイルとしては組んで力を発揮するタイプだが、栃煌山の場合は速攻が身上。素早く自分の得意な型に組んで一気に決めるスタイル。今の大関陣とはほぼ互角に戦えるが、白鵬にはまるで歯が立っていない(対戦成績は1月場所終了時点で1勝23敗)。ネット上では「シャケ」という珍妙な愛称がついているが、これは今は引退した元大関・把瑠都との相撲で高々と吊り上げられてしまった(持ち上げられてしまった)時に解説者から「ちょっとは抵抗しないと。(お歳暮の)シャケじゃないんだから」と苦言を呈されたのがその由来。
豊ノ島(小結)
三役と平幕の間を行き来する力士。身長は169cmと力士としてはかなり小さい部類に入る。昔ながらの相撲ファンなら、頭にシリコンを埋め込んで身体検査を通過した舞の海を知っているかもしれないが、豊ノ島の場合は規定が改定されており、従来では身長が足りなくても体力が基準値を満たして晴れて相撲取りになることが出来た。3月場所で惜しまれつつ引退した琴欧洲と相撲を取ると頭一つ分ほどの違いがあり、そんな琴欧洲を豊ノ島は「巨神兵」とも呼んでいた。
その小さな体を相手に潜る形で密着させてからの速攻や投げが得意技。それでありながら立ち合いで腰が高いので小さな体でありながら相手の突進をモロに受けてそのまま負けてしまうこともしばしば。
松鳳山(小結)
「しょうほうざん」と読む。テレビ画面越しにもはっきりと分かるほどの色黒の肌が特徴的。また、強面でありしばしばヒール扱いもされる。本人に故意は無いのだろうが、かつて対戦相手を多く休場に追い込んでしまったのもその一因か。
立ち合いから両手を出していく「もろ手突き」が得意技で、そこからそのまま突っ張っていくもよし、両腕をスパッと差して一気に前に出てもよし、ととにかく一直線な相撲が持ち味。なかなか三役には定着できずにはいるが、これまで4度も小結に昇進するのはまぐれでは出来ないことであるので、上位陣に次ぐ実力者であることは間違いない。
有望株たち
三役ではないが、人気や実力共に上の力士たちをうかがう勢力。記事冒頭のPVにも出演した以下の3人は皆個性的で注目される存在である。
遠藤(平幕)
彗星のごとく現れた日本人の新たなる有望株。単独記事はこちら。⇒遠藤聖大
相撲界に入ってからまだ1年ほど。アマチュア相撲でタイトルを複数獲得して鳴り物入りで入ってきたが、その実績を裏切らない活躍を見せている。1月場所の時点ではまだちょんまげすら結うことが出来ない状態であり、色々な意味で異彩を放っている。すでに人気は絶大で、CMにもすでに起用されているほど。
相撲のスタイルは組んで力を発揮するタイプ。ただ、まだ立ち合いの鋭さは発展途上であり、突き押し相手に弱い傾向にある。初めて上位に進出した3月場所は横綱・大関相手に苦戦を強いられ6勝止まり。だが、この経験を生かす場として超会議場所での活躍にも期待がかかる。
大砂嵐(平幕)
エジプト出身。アフリカ大陸出身では初めての大相撲力士。単独記事はこちら。⇒大砂嵐
プロになる前からすでに相撲経験があり、世界大会の無差別級で3位になったことも。イスラム教徒としても初めての力士ということもあり、食事などの制約もある中それをものともしないスピード出世。まだ相撲界に入って2年ほどである。
怪力を生かした突き、押しが武器だが、まわしを取ってもそれなりに力を発揮する。1月場所では初めて幕内で勝ち越し、3月場所ではついに大銀杏(相撲取りのする独特の髪形)を結えるようになりそう。まだ横綱と戦えるほどの地力はついていないが、幕張の土俵では番付の差を飛び越える取組もあり得るので、上位に立ち向かう姿が見られるかもしれない。
碧山(平幕)
「あおいやま」と読む。PVでリンゴを片手で潰していた力士。琴欧洲と同じブルガリア出身。
191cmの大きな体を生かし、組んでの相撲を得意とするが最近はその体を立ち合いで思い切りぶつけて相手を吹っ飛ばす場面が時折見られるようになった。相撲取りはその見かけによらず意外と体脂肪率の低い人もいるのだが(2013年の年末に行われた検査では体脂肪率24%と、いわゆる「肥満」の基準から外れる力士もいた)、碧山は比較的肉の付きやすい体質なのか、体脂肪率は幕内力士でも最高の39%を記録してしまった。体重も上下動が激しい力士で、場所ごとに10キロ単位で体重が変動することも珍しくない。
2月に行われた日本大相撲トーナメントでは積極的な相撲で躍進し、決勝で同郷の先輩・琴欧洲に勝って優勝を果たした。一発勝負の強さを持っているため、2日目のトーナメントでは要注目。
知っておくと自慢できる個性派力士
一口に相撲取りといってもそのスタイルは様々である。ここでは、世間的知名度はまだそこまで高くないが、知っておくとちょっと自慢できる力士を何人か紹介しよう。
旭天鵬(平幕)
いまや3人のモンゴル人横綱が角界の頂点に立っているが、モンゴル人力士の草分けとなったのがこの人。モンゴル人力士の第一号でもあり、39歳になる今でも現役バリバリで活躍中。
190センチの長身を生かし、まわしを掴めば上位陣でも侮れない地力を持つ。さすがに足腰は弱りつつあるが、2011年にはノーマークながら優勝までしてしまうなどツボにハマった時の力はかなりのものがある。すでに日本に帰化しており、日本名は「太田勝」である。
時天空(十両)
モンゴル出身からもう一人。「じてんくう」ではなく、「ときてんくう」と読む。「じてんくう」の方で単独記事があったばかりに、この力士の単独記事が先日作られている。⇒時天空慶晃
モンゴル出身だが、日本の大学(東京農業大学)も卒業している変わり種。この力士は柔道経験が豊富で、それを生かした足技をちょくちょく繰り出してくるのが特徴的。組み合って膠着状態になれば、足払いを仕掛けてくることが多く、時折それが鮮やかに決まると拍手喝采もの。ベテランの域に入り、最近は平幕と十両を行き来し始めてきたが、十両ではまだまだ格の違いを見せている。十両力士として参戦するであろう超会議場所で持ち味の足技が炸裂するかに期待してほしい。
一部から「あの野郎」という愛称で呼ばれている。由来はこの動画を参照。
安美錦(平幕)
日本人業師その1。読み方は「あみにしき」。あの横綱・貴乃花の最後の対戦相手である。
ヒザに巻かれた大きなサポーターが痛々しいが、それを感じさせない巧さがこの人の特徴。丸い土俵をうまく使って、たとえ攻め込まれても涼しい顔をして逆転勝ちすることもしばしば。
この人ももうベテラン力士ではあるが、昔から上位キラーとして名を馳せており、超会議場所でも波乱を演出してくれるかもしれない。
里山(平幕)
日本人業師その2。残念ながら3月場所で大負けをして5月場所は十両転落がほぼ確実だが、巡業はまだ平幕の身分で出られる(はず)ので、この個性派にもスポットライトを。
小さい体で、相手の懐に潜り込む相撲が特徴的。頭を下げてまわしを掴んで、自分より大きな力士を振り回して時間をかけて勝ちをもぎ取る相撲にはファンも多い。
一度平幕に上がってからケガで幕下(十両、いわゆる関取の一つ下の地位)に落ちて、そこから6年半かけて這い上がってきた苦労人であったり、離島(奄美大島)出身であったりと、判官贔屓を招く要素がてんこ盛りなのも特徴的。
千代鳳、千代丸(平幕)
若貴兄弟が一世を風靡して20年弱。その次を担うかもしれない兄弟力士がこの二人。千代鳳(ちよおおとり)が弟、千代丸(ちよまる)が兄。二人とも平成生まれのまだまだ若い力士。そして今時珍しい中卒から角界に飛び込んで出世してきた、昔ながらのファン大喜びの力士。
出世が早かったのは弟の千代鳳。鍛え上げた足腰の強さで、はたきや引きを受けても簡単に前に落ちずに一気の突き押しで勝負を決めに行くのが特徴。番付運も良く、5月場所ではあの遠藤よりも年下であるにも関わらず、ひと足早く三役への昇進が有力視されているほど。
弟に追い付け追い越せ、と3月場所に平幕に上がってきたのが兄の千代丸。四股名の通りの丸々とした、まるで人形のような体。こちらも強烈な突き押しを武器としている。
鹿児島の実家が3年前に火事で全焼し、兄弟で稼いで実家の再建を目指しているというエピソードもファンの間では有名。ちなみに、幕内力士なら年収2000万円クラスなので実家の再建も近いと思われる。
読みづらい力士たち
相撲取りの四股名は十人十色。それぞれに個性的である(DQNネームとか言うな)が、中には個性的すぎてビギナーの人には読み方すら分からない四股名もしばしば。せっかく観戦するなら名前の読み方も覚えておいた方が楽しめるので、ぜひ覚えておこう。
勢(平幕)
読み方は「いきおい」。幕下まではまさに勢いよく駆け上がったが、そこから十両に昇進して関取になるまでに5年半かかった苦労人。
191センチの大きな体でスケールの大きな相撲を取るが、いまいち殻を破り切れず三役にもう一歩手が届かない。超会議場所で飛躍のきっかけを掴めるか。歌が上手く、上述した相撲甚句の名手でもあるので、美声を聞けるかもしれない。
臥牙丸(平幕)
読み方は「ががまる」。東欧の国・グルジア出身であることから、その四股名の由来を人気外国人歌手のレディー・ガガと勘違いされがちだが、実際には無関係。母親が彼に付けた愛称がその四股名の由来となっている。
200キロに迫る巨体から繰り出す迫力ある突き押しを武器としている。
天鎧鵬(平幕)
読み方は「てんかいほう」。特撮ファンなら現在放送中の『仮面ライダー鎧武』のおかげで多少は読みに近づけるかもしれない。
パッと見は厨二っぽく思えるこの四股名にはきちんとした由来があり、「天」は出身地の熊本県旧・天水町から、「鎧」は鎧のように力強い相撲取りになるという願いを込め、「鵬」の字は父親が使いたかった(往年の名横綱・大鵬に憧れた世代だったのだろうか)からとのこと。
184センチ、188キロという恵まれた体を持つが、今はそれを生かしきれずに幕内と十両を行き来するエレベーター力士。3月場所では途中で捻挫をしてしまい休場。超会議場所までに治してきてほしいところ。
阿夢露(十両)
読み方は「あむーる」。世界地理に明るい人なら、出身地も見当がつくだろうが、出身はアムール川が流れるロシア。細身のすらっとした体つきが特徴的な力士。
相撲経験0で角界に飛び込んできた。えてしてこういう外国人力士は柔道経験があったりするのだが、阿夢露の場合はそれすらなく、あるのはボクシング経験という変わり種。それでも持ち前の運動神経の良さで番付を上げていたが、左ヒザの靭帯に大ケガを負って半年休場。やっと十両に上がったと思ったら右ヒザの靭帯を断裂して今度は1年休場とケガに悩まされた苦労人。普通なら相撲を諦めてもおかしくない中で立ち直り、3月場所で2年ぶりに十両に復帰してきた。これから一花咲かせようと頑張っているので、ぜひ名前を覚えてあげてください。
地元出身力士たち
かつて、相撲取りは地元の英雄であった。今でも地域によっては、新聞の地域面にご当地力士の星取表が掲載されているところもあるだろう。そんな相撲取りたちにとって、巡業とは地元に錦を飾るための晴れ舞台でもあり、地元力士にはいつも以上に大きな歓声が上がるものである。そこで、幕張がある千葉県出身の力士たちをここで紹介しよう。
舛ノ山(平幕)
「ますのやま」と読む。印旛郡栄町出身。いかにもお相撲さんらしい丸々とした体が特徴的。
見た目には分からないが、フィリピン人の母親を持つハーフ(舛ノ山は日本国籍を所持)。両親の離婚で母子家庭となったことで、稼いで親孝行するために相撲の世界に飛び込んでいる。母方の実家のあるフィリピンに仕送りを続け、家を建てたほど。
また、この力士は「20秒しか戦えない」ことでもかつて注目を集めた。スタミナ不足ですぐに息が上がってしまい、普段の稽古も満足に積めない中での奮闘が取り上げられ、その原因が人より肺が小さいだとか、心臓に病気があるだとか、色々と推測されたが、結局は本人の呼吸法に問題があったらしく、最近はそれも改善の兆しが見えつつある。それでもすぐに長い相撲が取れるわけではないので、舛ノ山の相撲は常に短期決戦が身上となる。止められて持久戦に持ち込まれたら最後、という分かりやすさと全力で短期決戦に挑む姿勢で平幕下位ながら人気は上々。
旭日松(十両)
「あさひしょう」と読む。野田市出身。まだ24歳とこれから脂が乗ってくる力士。
174センチと決して大きくない体で、よく動き回って勝ちを掴む力士。だが、この力士の最大の特徴はその塩まき。相撲ファンならかつての水戸泉や、先ごろ朝稽古の様子がニコニコ生放送で公開された式秀親方こと元・北桜が豪快な塩まきで人気を博したが、旭日松もその系譜を辿っている。実力は幕内と十両のエレベーターであるが、その塩まきをもっと世間に周知させるためにも超会議場所で名を上げて、番付も上げていってほしいところ。
若荒雄(十両)
「わかこうゆう」と読む。船橋市出身。今年で30歳になった、中堅からベテランに片足を突っ込んでいる力士。
一番強かった頃は、立ち合いからの強烈な突き押しからのタイミングのいい引き、はたきが面白いように決まるなど、動きと勘の良さで白星を積み重ね、三役も経験したほど。ここ数年は低迷が続いているが、地元で迎える超会議場所を復調の糸口とすることができるか。
予習
ここまで色々と紹介してきたが、生で相撲を初めて観る、あるいは相撲のことがまだよく分からないという人向けにいくつかの動画や生放送アーカイブをここで紹介しよう。
巡業の様子
春巡業としては恒例となっている伊勢神宮、靖国神社での奉納相撲の様子が放送された。こちらのアーカイブはニコニコ動画の会員でなくても視聴可能となっている。
3人になった横綱の土俵入りや、初っ切り・相撲甚句の披露(靖国神社のみ)、そしてもちろん力士たちの激しい取組など、一般的な巡業の雰囲気を感じることが出来る。もっとも、超会議場所が「一般的な」巡業になるかどうかは分からないが……
朝稽古の様子
27日に解説を行うと前述した式秀親方の運営する式秀部屋の朝稽古の様子も3月にニコニコ生放送で中継され、現在アーカイブ放送が視聴可能。こちらもニコニコ動画の会員でなくても視聴できる。
現在関取のいない小部屋ではあるが、稽古の熱は大きな部屋に負けず劣らず熱いものである。稽古前に行う入念な柔軟体操を見れば、いかに相撲取りの体が柔らかく出来ているかが分かるだろう。
式秀部屋の稽古は見学に際して私語などはOKとのことだが、これに興味を持って近所の相撲部屋を見学に行く場合は私語や撮影厳禁というところもあるので注意してほしい。前もって見学できるかどうかを問い合わせておけば一安心。
相撲の決まり手
大相撲には多種多様な決まり手が存在する。その数、実に82手(これとは別に非技に分類される≒自滅にあたる5手がある)。実際はその大半が、寄り切りや押し出しといった基本技、上手投げや下手投げといった投げ技、引き落としやはたき込みといった引き技で占められてしまうが、超会議場所は本場所とは違う花相撲。普段は見られない珍しい決まり手が見られるかもしれない。
ゲームとはいえ、ほとんどの決まり手を網羅している動画がこちら。これで珍しい決まり手を少し頭に入れておいて、実際に見られた時に「今のは○○だな(ドヤァ)」と通ぶってみるのも一興かもしれない。
その他
「大相撲」や「相撲」で検索をかけてみれば、往年の力士の名取組から、相撲を題材としたゲームまで様々なものがある。興味を持った人はそちらを見てみるのもいいかもしれない。
漫画やアニメにも少数ながら相撲を題材としたものがある。中でも、今期放送中のアニメとして『暴れん坊力士!!松太郎』というものがある。ちばたつやの名作漫画を原作としたものであり、詳しくは当該記事を参照してほしいが、日曜朝の6時半という時間帯に主演・松平健という朝から胃もたれしそうな一風変わった構成となっている。戦隊もの、ライダー、プリキュアファンの方々は、ちょっと早起きして一度見てみてもいいのでは?
関連項目
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