概要
1967年生まれ、千葉県出身。東京大学経済学部を首席で卒業後、大蔵省(現財務省)に入省。1999年に退職したあとは一橋大学経済研究所専任講師を経て現在慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネススクール)の准教授を勤めている。
逆神として名高い藤巻健史と共に反リフレ論者として有名で、セットでの出演も多い。近著「リフレはヤバい」は10万部を突破した。彼によると今後リフレ政策を続けると「国債が暴落し、銀行危機、政府危機のスパイラルになる」らしい。
2013年5月2日、参議院予算委員会の公聴会において民主党推薦で出席。アベノミクスを批判した。
発言
- 「インフレは基本的に良くない。なぜなら、(現在の景気では)『物価』が上がっても『賃金』が上がらない。『賃金』が安くても働きたい人はいっぱいいる。(賃金が上がらないまま)牛丼やハンバーガーが1000円になってしまったら、もう誰も生活していけない」
- 「デフレが貨幣現象だというのは、学界では否定されています。マネーの量を増やしただけでは、物価は動かない。また、世界の中央銀行の間では日本銀行の評価は高い。量的緩和を世界に先駆けて始めたのは日銀ですし、現状でも十分にやっている。そして、実体経済を上向かせるために日銀は、「成長基盤融資」や「貸出支援基金」に力を入れている。これは、株価など金融商品の価格を上げることではなく、実体経済を支えることが重要だという認識の現われです。 安倍さんの金融政策は、経済を破綻させるリスクがある。なぜか。おカネをいっぱい刷ると、「モノ」の値段が上がるんじゃなくて、「資産」の値段が上がる。金融緩和でおカネの量を増やしても、そのおカネは、モノではなく、インフレに強いと思われる不動産や株といった資産のほうに行く。 資産家や世界の投機家にとっては大儲けのチャンスですが、実体経済へのプラス効果は非常に小さいので、持たざる者にとっては家が買えなくなり、家賃も払えなくなりマイナスです。一番危ないのは、資産インフレが起きると、現金に近い日本国債が売られることです。日銀が国債を無制限で買い入れるならば、投機家は無限に売ってくるので、国債の暴落リスクが出てきます。国債を大量に保有する銀行が破綻し、国有化される。これが世界のエコノミストが一番恐れているシナリオです。」「よりも安倍さんの一番の問題点は、日銀法改正を主張したり、建設国債の買い入れ要求など、個別政策にまで口出しをしていることです。これは先進国のトップの政治家にはありえないことです。」
- 「小泉政権下でも景気拡大局面が現われて株高となったが、庶民はそれほど恩恵を受けられなかった。現在、それと同じような状況がある。株や土地が上がっても持たざる人や投資資金のない人には関係ない。円安で業績が好転して賃上げにつながるのは一部の大企業にすぎません。多くの庶民にとっては賃金が上がらない中で、物価だけが上がるというのはマイナスでしかありません」
- 「メディアはアベノミクスを礼賛してきましたが、流れが変わりつつあるのを感じます。私は反リフレ派で有名になって、いろんなところで排除されてきましたが、最近はさまざまな媒体から声がかかる(笑い)。この4月1日から小麦や紙、保険料などいろんなモノの値段が上がり、給料が上がらなくて大丈夫かと、夢から覚めたような雰囲気が出始めた。急激に揺り戻しが起きています。」
- 「国債買い上げのクロダノミクスは明らかにやり過ぎで、財務省もかなり心配し始めている。特に国債の乱高下は本当に気が気じゃない。金利が上がったら日本は終わりで、消費税を上げるとかいう次元を超えていますから。」
- 「目標が2%となると、これはかなり難しい。なぜなら、2%のインフレ率が現在の日本で実現することは、極めて困難であるからだ。仮に実現するシナリオがあるとすると、極端な円安による輸入インフレしか考えられず、その状態になった場合には、日本経済は極端に悪い状況となるからだ。経常収支は極端に悪化し、名目金利が上昇し、銀行は危機に陥り、財政が行き詰るというシナリオが予想される。 その最悪のシナリオが実現するには、円が100円を超えるような流れになる必要があり、実現はしないだろう。そうなると、インフレ率2%は、無理だ。日本でインフレ率が2%に近づいたのは、バブル期以降では、円安が140円台まで進んだ1997年の1.76%、原油が1バレル147ドルなど資源価格が急騰した2008年の1.38%しかない。だから、2%にはどうあがいてもならない。」「もし、インフレ率を2%とし、これを何が何でも実現する、となると、名目金利を無理やり上昇させ、極端な円安を進めるしかない。しかし、それでは国債暴落で、銀行危機、財政危機になってしまう。」
- 「量的緩和は景気を悪化させる。 私はまじめに言っている。そして、これは小幡績という主流派でない経済学者の奇をてらった見方ではない。なぜなら、これが20世紀の最も重要な経済理論に関する書物である、ケインズの一般理論のエッセンスであり、メッセージだからだ。 実は、バーナンキ(米FRB議長)ですら、この事実に部分的に気づいており、賢明な白川方明総裁は、よく分かっている。」
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関連項目
外部リンク
- 小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記 - ライブドアブログ
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行動ファイナンス小幡績 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
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