平成生まれだけを選んで吸い上げる穴とは、醜くデコボコした平成を綺麗に舗装するための最終兵器である。
「平成の世に生まれし者たちよ。その命、この王に返上するがいい」
映画『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』に登場した穴。
正式名称は不明だが、劇中に詩島剛の「平成生まれだけを選んで吸い上げてんのか」という台詞があり、視聴者からはこのセリフを元にして「平成生まれだけを選んで吸い上げる穴」のフレーズが主に使われている。
未視聴勢からはこのフレーズが出る時点でだいぶかっとんだ映画であることが感じられると思うが、これ以外にもこの映画ではさらにミラクルが起き放題なので、気になった人は一度視聴してみることをオススメする。
劇中の描写
平成生まれだけを吸い上げる穴が出来るまで
歴代の平成ライダーたちの歴史を受け継ぎ、最高最善の魔王を目指す常磐ソウゴの前に突如現れた謎の集団「クォーツァー」そして彼らを束ねる王:常磐SOUGO。ソウゴは平成ライダーを一つにまとめる計画のために魔王の替え玉としてクォーツァー達に利用されており、全ての平成ライダーの歴史を受け継いだことで用済みとして始末され平成ライダーの歴史が終わってしまう。
そして巨大ロボット「ダイマジーン」が複数飛び立ち、上空に巨大なタイムホールが完成すると、「もう一度平成という歴史を一から作り直す」「平成を綺麗に舗装し直す」為に平成生まれだけを選んで吸い上げ始めるのだった。
穴が吸い上げたものとその終焉
穴はまず「平成生まれ」と思われる学生や若者などが穴に吸い上げられていった。家族連れの場合、平成生まれの子供だけが穴に吸い上げられ、昭和生まれの両親が必死で抑える様子が見られた。
平成生まれの平成ライダーである詩島剛も平成生まれだけを選んで吸い上げる穴の対象となり、穴に吸い込まれかけたが、とある理由で戦国時代からタイムトラベルしてきた元禄元年生まれの忍者「牛三」に支えてもらうことで事なきを得た。その後は牛三を背中に背負うことで重石の代わりとして行動した。
また、平成よりはるか未来の生まれである明光院ゲイツやツクヨミ、そもそもどこの時代の生まれなのかもわからないクォーツァーたちは平成生まれだけを選んで吸い上げる穴の対象にならないようである。
次に家電や自動車、建築物などの「平成に生まれた無機物」も吸い込まれていった。劇中では「平成に建築された東京スカイツリーが真っ二つに折られて吸い上げられる一方で悠然と佇む東京タワー」というワンシーンが見られた。
クォーツァー達のイメージ描写として、「最後は地球大まで巨大化した穴が地球丸ごと平成元年までタイムトラベルさせる(その際トラベル先の地球は破壊される)」という物があるが、これをそのまま起こすつもりだったのか「一からやり直す」の比喩表現だったのかは不明。
「平成そのものに意味がない」と言う理屈でクォーツァーに倒されたジオウ=ソウゴも穴に吸い込まれていったが、未来の自分であるオーマジオウからライドウォッチを継承し、仮面ライダージオウ オーマフォーム変身したことで形勢逆転。最後はウォズが「逢魔降臨歴」を破くことで散らばったページの破片によって穴の一部を形成していたダイマジーンが破壊され、平成生まれだけを選んで吸い上げる穴は閉じられた。
考察
平成生まれだけが選んで吸い上げられたらどうなるの?
劇中描写では地球全体を対象としていたようなので、ここはいったん全世界を対象として平成生まれだけが選んで吸い上げられたらどうなるのかを考える。
まず一番のポイントは平成元年から平成30年までの人間がごっそり吸い上げられること。(映画が公開された2019年時点で)0歳から30歳の国を支える若年世代がごっそりいなくなるため、あらゆる場面で人手不足が起こることが想定される。さらに劇中描写から自動車などの乗り物や建築物も平成生まれであれば吸い上げられるため、「平成生まれの自動車に乗っていた昭和生まれ」なども巻き添えを喰らっている可能性がある。
建築物も多くの平成生まれの建物が被害に遭うだろう。劇中では昭和生まれと思われるビル内部の平成生まれの家電が吸い上げられている描写があるため、昭和生まれの建物も吸い込まれこそしないものの物的被害が出る可能性が高い。
技術面では、コンピューターを用いたデジタル産業が30年前に戻るのが影響が大きい。1988年はまだwww(ワールドワイドウェブ)も開発されていない時代である。当然スマートフォンはおろか携帯電話さえ誕生してまもない時代であり、通信技術はあらゆる産業に影響を与えるだろう。
地味に痛いのが環境面である。自然の大半は平成生まれではないので、「平成30年間で切り開かれ疲弊した自然」はそのままの状態である。また家畜や農作物といった食糧ももほぼ絶滅状態になり、食糧難となる可能性が高い。環境的なダメージがそのまま文明のみが遡るような状態なので、かつての平成のような発展を遂げられるかは微妙である。
というわけであまりにも過酷な道のりが待ち受けていることは想像に難くないが、クォーツァーが果たして平成をどのように舗装し直すつもりだったのか、その歴史は永遠に隠されたままである。
疑問点
- 平成(というか元号)の概念がない日本国外の国で平成生まれだけを選んで吸い上げる穴は効果があるのか?
- 「平成生まれ」の最小単位はどれぐらいまで適用されるのか?
たとえば「昭和生まれの機械の内部に平成生まれのネジが使われている」場合、ネジだけが吸い上げられてしまうのか? - 「平成生まれの服を着た昭和生まれ」は服だけが吸い上げられ、全裸状態になってしまうのか?
- 平成ライダーシリーズの一部に昭和生まれだが平成ライダー(五代雄介、津上翔一、紅音也など)に変身する人物が見られるが、彼らは平成生まれだけを選んで吸い上げる穴の対象になるのか?
劇中時点で全ての平成ライダーがジオウに歴史を受け渡して変身能力を失っているため、既に「平成ライダー」の概念自体が失われているとも考えられる。
他に気になる疑問点があり次第追記予定。
余談
- COMIC OGYAAAにて連載される漫画「邦キチ!映子さん」は日本映画マニアを題材にした漫画で、「劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer」がテーマに取り上げられたことがある。当然「平成生まれだけを選んで吸い上げる穴」も漫画化されている。
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