攻撃機とは、軍用機の分類の一つ。対地・対艦攻撃を主任務とする。
概要
攻撃機の厳密な定義及び爆撃機や戦闘機との区分ははっきりしていないが、現代ではおおむね爆撃機よりも小型で戦闘機とほぼ同じ程度の機体規模を持ち、地上・海上の目標に対する戦術的な攻撃を行うものをいう。
アメリカ軍では、A(Attcker)の機種分類が行われているが、最近の戦闘機のマルチロール(多用途)化にともない、純粋な攻撃機と呼べるものは退役しつつある。各国軍においては単一の機種が任務に応じた兵装を搭載し、制空戦闘や対地・対艦攻撃を行うのが一つの趨勢である。結果、戦闘機と攻撃機、戦闘爆撃機/戦闘攻撃機の分類はあいまいなものとなりつつある。
地上目標に対する近接航空支援に特化した攻撃機としては、A-10が挙げられるが、こうした純粋な対地攻撃機はアメリカ軍でもある意味特異な存在で、F/A-18、F-16、F-15Eといったマルチロール能力を持つ戦闘(攻撃)機が実際の対地攻撃任務の主軸を担っている。米軍ではその他、輸送機を改造したAC-130、海兵隊のVTOL機AV-8Bといった攻撃機を運用している。また、戦闘機を示すF(Fighter)のナンバーが与えられながら実際はほとんど攻撃機としてのみ運用されたF-111やF-117のようなケースもあり、なおさら分類を複雑にしている。
日本(航空自衛隊)でも対艦・対地攻撃を行う航空機を運用しているが、「攻撃」と言うニュアンスを嫌って「支援戦闘機」と呼んでいた。「要撃戦闘機」と対比される用語で、運用思想上、来寇する敵上陸部隊を撃破するためのミサイルを用いた対艦攻撃能力が重視されており、過去にはF-1、現在はF-4EJとF-2がその任に当たっている。F-1及びF-2は「支援戦闘機」としてFの符号が与えられているが、その主任務が対艦攻撃であることからしていわゆる「攻撃機」に該当すると言われる。ただし、F-2はBVR(視界外射程)の対空ミサイルを運用する能力を持ち(F-1は赤外線誘導の短射程ミサイルのみ)、対空戦闘を行うことも考慮されているため、「対艦能力を重視したマルチロール戦闘機」であるとも考えられる。なお2005年度の新防衛計画大綱からは「要撃戦闘機」と「支援戦闘機」の区分が廃止され、どちらも単に「戦闘機」と呼ばれるようになった。
第二次世界大戦時[1]
第二次世界大戦では、軽爆撃機よりも小型か、ほぼ同じ大きさでもより軽快に運動できる機体を攻撃機と呼んでいた(米陸軍航空隊のA-26等)。
旧日本海軍では空母搭載機のうち、戦闘機や偵察機を除いて、爆弾だけを搭載するものを艦上爆撃機(艦爆)、魚雷か爆弾を搭載するものを艦上攻撃機(艦攻)と呼んだ。
米海軍の場合は爆弾を搭載して急降下爆撃を行う「ダイブ・ボマー(dive bomber)」と、魚雷か爆弾を搭載する「トーピード・ボマー(torpedo bomber)」に分かれていた。急降下爆撃機は構造強度の点から大きな魚雷を積むことはできなかったからである。しかし大戦末期になると急降下爆撃と魚雷攻撃の両方をこなせる機体、AD-1(後のA-1)「スカイレイダー」が作られ、ここで初めて攻撃機(attacker / attack aircraft)の呼称が艦載機に登場し、以降の米海軍の空母艦載機は戦闘機、偵察機、攻撃機という分類が固定した。
関連項目
脚注
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