概要
銃刀法などで、拳銃・ライフルなどの所持について規制を行うこと。
日本の銃規制
日本では、豊臣秀吉の刀狩りに始まり、以降とても銃規制の厳しい国として続いている。一部の猟師や警察官、自衛官などの職務のために所持する場合や、射撃などのスポーツ選手が許可を得て持つ場合を除いて、ほぼ合法的には所持することが出来ない。このため、国民の拳銃所有率、また拳銃による殺人件数は非常に低い。
この厳しい銃規制のデメリットとして、
- 銃器産業が育ちづらい(海外への輸出も制限されているため納入先が警察や自衛隊くらいしかない)
- 射撃競技の選手も育ちづらく、マイナースポーツに甘んじている。
- 猟師不足で害獣が駆除できない
- 歴史的価値のある拳銃ですら博物館でなかなか展示できない(高知県の坂本龍馬記念館で、坂本龍馬愛用の拳銃を展示したところ、銃刀法違反として一時展示できなくなった)
などが挙げられている。しかし、2022年現在、これらのデメリットが大きく取りざたされることはまれで、銃規制が緩められる気配はない。
銃規制を突破した事例
- 拳銃の密輸
暴力団などが利用する手段であり、輸入元にはロシア・中国などが挙げられる。 - 秘密工場での製造
かつて1990年代にオウム真理教が実施した方法であり、ロシアのライフルを少数密輸し、それを基にしてライフルの自作を行った。 - 3Dプリンタでの拳銃製造
2010年代以降、3Dプリンタで立体部品を製造する技術が確立すると、それで拳銃の部品を製造して組み立てる事件が発生した。
アメリカでの銃規制
「銃規制を強めるべきだ」という意見がよく聞かれるのは、アメリカに於いて銃の乱射事件が起きた時である。アメリカでは時たま銃の乱射事件が発生し、多くの死傷者を出している。そのたびに、「なんでアメリカは銃規制しないのか」という声が上がる。
もちろん、アメリカ人全てが銃規制に反対しているわけではない。銃規制賛成派もいる。しかし、日本とは歴史も文化も異なっているアメリカに於いては、これらの銃規制賛成が大きなムーブメントを起こすのはまれである。銃規制はなかなか進まない。
理由としては、以下のようなものがある。
- 拳銃を持って自衛することが当たり前という歴史があるから
西部開拓時代のアメリカは警察力がフロンティア最前線に届いておらず、開拓者たちは自衛する必要があった。そのために拳銃は欠かせないものであり、その精神は今でも生きている。 - 警察が信用されていないから
単純に国民が警察を信用していない。不審者が現れて通報しても、国土が広いので警察が駆けつけるのが遅い傾向にある。じゃあ自分の身は自分で守ろう、となるわけである。 - 銃の保持は憲法で保障された権利であるから
アメリカ合衆国憲法修正第2条[1]は人民の武装権が認められているため。 - 実現可能性の有無
仮に銃規制が実施されたとしても、アメリカでは違法合法合わせて3億丁以上の銃器が保有されている。全部を取り締まれるわけがない。そして中途半端に銃規制が実施された場合、犯罪の抑止力が失われる恐れがある。 - 圧力団体が強いから
上記のような権利の保持を主張する団体が複数存在している。全米ライフル協会(National Rifle Association of America、NRA)が特に有名だが、当時の会長だったチャールトン・ヘストンの、「銃が人を殺すのではない。人が人を殺すのだ」の発言はよく取り上げられる。他にもアメリカ銃所有者教会(Gun Owners of America、GOA)など銃規制反対派は強力な圧力団体を持ち、政治家に多額の献金をしている。
これらの主張が続けられる限り、アメリカでなかなか銃規制が進まない状況にある
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関連項目
脚注
- *「A well regulated Militia, being necessary to the security of a free State, the right of the people to keep and bear Arms, shall not be infringed.(規律ある民兵は、自由な国であることへの保障のために必要であるから、武器を持つ権利は侵してはいけない)」に
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