長壁姫(おさかべひめ)とは、日本の伝承にある妖怪の一種である。
概要
江戸期の随筆や怪談集に登場する妖怪。その正体は、天武天皇の息子である刑部親王の娘・富姫、伏見天皇の寵愛を受けていた女房・小刑部の霊、蛇神、年老いた化け狐など、諸説ある。また、名前についても「長壁姫」「刑部姫」「小刑部姫」などの表記が存在する。
『甲子夜話』では、姫路城の天守閣の天守櫓に住み着いていたという。また、人間との面会を嫌い、年に一度、城主とだけ面会したという。
『老媼茶話』では、森田図書という小姓が、肝試しのために天守閣の七階まで登ろうとしている途中に出会ったと言われ。長壁姫は、緋色の袴に十二単という姿だったと言い、また、この森田図書に肝試しに正式に挑んだ証として兜の一部をくれたという。
『西鶴諸国ばなし』(井原西鶴)では、体は人間で、八百人の眷属を率い、人間を化かす妖怪と紹介されている。
『綜合日本民俗語彙』(石川一郎編)によれば、姫路・備後地方では蛇のことを「サカフ」と言うことから、「オサカベ」の名は蛇に由来すると解釈されている。
長壁姫の登場する本:「耳嚢」「甲子夜話」「老媼茶話」「諸国百物語」「今昔図画続百鬼」「鳥山石燕 画図百鬼夜行」
長壁姫に関する本:「日本伝説叢書 播磨の巻」(藤沢衛彦)、「民族怪異篇」(磯清)、「随筆辞典 奇談異聞編」(柴田宵曲編)、「日本未確認生物事典」(笹間良彦)、「江戸文学俗信辞典」(民俗学研究所編)、「綜合日本民俗語彙」(高田衛監修・稲田篤信・田中直日編)
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関連項目
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- ページ番号: 5090076
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「関連項目」に「刑部姫(Fate)」を追加し、ただの表記違い等を除去。未使用節や空白行を除去。記事冒頭を太字化。