A・オリゼーとは、一般的に麹または麹菌と呼ばれる菌の一種である。 古典ラテン語読みではA・オリザエが正しいが、後述する「もやしもん」の影響もあり、最近は英語読みでオリゼーと呼ばれることが多い。
概要
【学名】Aspergillus oryzae
(学名の由来)Aspergillus→聖水刷毛(宗教儀式に用いられる水を振り掛ける器具)/oryzae→イネの
【和名】ニホンコウジカビまたはキコウジカビ
種小名の"oryzae"はイネ属の学名"Oryza"に由来する。米麹から発見された菌であったためにつけられた。
人間に有用な生命活動として、タンパク質をアミノ酸に分解したり、デンプンをブドウ糖(グルコース)に分解したりといったことが挙げられる。醤油や味噌では前者の、醸造酒では後者の能力が利用されている。食卓に放っておいたお昼のご飯の上でその生命活動が行われた場合は腐敗だが、人間の管理の下で酒などの食料品を作るために行われた場合は発酵(醸し)と呼ばれる。
日本では、日本酒・甘酒・味醂・味噌・醤油などの醸造に利用され、これらの生活に不可欠な食品を作るために役立っている。また、本種がデンプンを分解するのに用いる酵素はアミラーゼであるが、別名をジアスターゼといい、日本の高峰譲吉(科学者。三共(現・第一三共)初代社長)は本種からこれを抽出して医薬品「タカジアスターゼ」として販売した。このように医療の分野でも彼らの活躍は大きい。しかし、本種はカイコに麹病を起こし、これは養蚕業にとっては重要病害なので、カイコの近くで醸造を行うのはタブーである。
日本人はすべて彼らのがんばりのおかげで生きているといっても過言ではない。そのため、学会から晴れて「日本の国菌」という名誉ある称号を授けられた(一島英治は2004年に本種が日本の国菌だと提唱し、それは2006年の日本醸造学会大会で認定された)。2005年には日本の研究によって世界で初めて本種のゲノムが解読された。
「もやしもん」におけるA・オリゼー
石川雅之の漫画・テレビアニメ「もやしもん」に登場する様々な菌たちの代表格としてもおなじみで、主人公を差し置いて主役ともいえる扱いを受けている。「だいたいの事は自分で出来ると思っている」という設定は本種の持つ多彩な能力を表している。麹菌の知名度を一躍上昇させたのがこの作品である。
かもすぞー
関連動画
関連項目
- 7
- 0pt