MOTHERとは、1989年7月27日に任天堂から発売されたコンピュータRPGである。
キャッチコピーは「エンディングまで泣くんじゃない」。
概要
ゲームデザインはコピーライターの糸井重里。開発はパックスソフトニカ、エイプ。
斬新すぎるアイディアが盛り込まれており、著名人等にもファンが大勢いる作品になった。
当時のコンピュータRPG(主にDQ)が主に中世ヨーロッパ風の剣と魔法のファンタジー世界を舞台としていたのに対し、本作では現代を舞台にしており、普通の人・動物(中盤以降は宇宙人・怪物)が敵として出現するが、「敵を殺す」ということは無く、撃退すると「われにかえった(人の場合)」「おとなしくなった(動物の場合)」と表示される。
ポケットモンスターの元になったゲームでもある。
元祖ポケットモンスターはゲームボーイでMOTHERを再現するのが目的であり、ポケットモンスターの主人公の帽子をかぶった少年は、この「ぼく」がモデルである。(自転車に乗っているシーンはネスがモデル)→参照
舞台
1980年代(1988年)のアメリカのある架空の田舎町・マザーズディから物語は始まる。ある日突然起こったラップ現象をきっかけに、世界で起こる怪奇現象を調べる為に主人公は旅に出る。
ストーリー
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1900ねんだいの はじめ
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登場人物
ぼく
主人公。マザーズディの北東に住んでいる。
ご近所さん(なのだがかなり距離がある)に、行方不明になった女の子ピッピがいる。
不思議な研究に没頭した曽祖父…よりも曾祖母のマリアの方の血を受け継いだのか、テレパシーが使える。
武器は主にバットで、打撃をこなす一方で回復・補助のPSI能力(超能力)を覚える万能タイプ。
ただし喘息持ちで、排気ガスを吸うと喘息の発作が起こってしまい、攻撃できなくなる為、車等の排気ガス攻撃を使う敵は対策が無いと何も出来ない。
ロイド
サンクスギビングのティンクル小学校に通う少年。機械に興味があるが、気弱な性格な為、いじめられている。
スウィートリトル工場にあるペンシルロケットを渡すと仲間になってくれる(その際、教室が爆発する)。
PSI能力は使えないが、エアガン等の武器を使って戦う。
ロイドの武器は2種類しかないため貧弱だが、消費系の攻撃アイテムにはロイドにしか使えないものが数多く存在する。
いじめっ子から逃げる為に屋上にあるゴミバケツに入っている。因みに父親も何故か湿地帯でゴミバケツに入っている。
アナ
スノーマンの教会の娘。レインディア駅に帽子を忘れており、それを届けると仲間になってくれる。
母親を宇宙人に攫われている。
主人公同様PSI能力が使える。
こちらは所謂魔法使いタイプで、本人の攻撃力等は低い(最強の非売品武器でも、ショップで買える「ぼく」の武器と同レベル)が、「ぼく」には無い攻撃系PSIが多数使用できる。
テディ
バレンタインに住む、不良達のリーダー。
ライブハウスで主人公とのタイマンの後、ロイドと入れ替わりで仲間になる。
両親を宇宙人に殺されたらしく、それが影響ですさんだらしい。
PSI能力は無いが力が強く、武器も実戦的な物(ナイフ・刀等)を使うため、戦闘力が非常に高い。
ピッピ
主人公のお隣さん。序盤で行方不明になっており、発見してから家に帰るまでの間だけ一緒に戦ってくれる。
ステータスの伸びが恐ろしく優秀で、うっかりすると主人公を追い越しかねない。
家に帰ったあと、お礼として主人公にフランクリンバッヂをくれる。元ネタは童話「長靴下のピッピ」。
イヴ
終盤で仲間になる巨大なロボット。その見た目通り非常に強力で、主人公達が苦戦するラストダンジョンの敵を片っ端から薙ぎ倒してくれるが、すぐに離脱してしまうため活躍の期間は短い。
あるテクニックを利用することで彼女を連れ回すことも可能だったが、リメイクで修正された。
フライングマン
幻想的な天上世界マジカントに住んでいる鳥人間。五人兄弟で、そのうち一人が主人公と一緒に戦ってくれる。
戦闘力はさほど高くなく、また回復させてやることが出来ないためすぐに倒れてしまう。
そして、彼らだけは本作の登場人物の中で唯一死ぬ。倒れたら死ぬ。それっきりである。
その後彼らの家に行くと横に墓が建っており、中にいる他の兄弟に話しかけると全滅するまで仲間にできる。
ギーグ
全てが謎に包まれている存在。どこから来て、何を目的としているのか…。
主人公の名前について
主人公の名前は様々な名前が付けられている(マザー百科では「ニンテン」。小学館以外のある攻略本では「マリオ」だったり「しぶちん」「CROSS」だったり、小説版では「ケン」だったり、ゲームブック版では「ダグラス」だったり、Wiiのゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズX」では「にんてん」だったり、と様々)。
当時のファミコンの攻略本では、会社の名前を主人公の名前にすることが多く、「ニンテン」で写真を載せた攻略本も多々あった(例:エニックス→えにくす スクウェア→すくえあ 任天堂→ニンテン)。
この主人公のデフォルトネームについて、GBA版の「1+2」が発表された時、各種媒体に出回った画像では名前が「ネス」になっていた。 これは、海外のファミコンの愛称がネス(NES)だった為、そこからとられた2の主人公の愛称。当事のファン達から「『にんてん』ではないのか?」という問い合わせが任天堂に殺到(?)した結果、その後出回った画像は「ネス」の部分が「ニンテン」に差し替えられていた…と言う逸話がある。
だが、「ニンテン」も「ネス」も正確なデフォルトネームでは無く、多数あるデフォルトネーム名前のうちの一つ。MOTHER1+2の任天堂公式サイトでは主人公の名前は「ぼく」である。
なのでプレイするときは、あなた自身の名前かあなたの好きな名前を付けて遊べば良いと思うよ。
リメイク作について
2003年6月20日に、GBA用ソフトとしてMOTHERとMOTHER2をセットで移植したMOTHER1+2が発売された。
本作では変更点や追加要素がある(『北米版MOTHER『EarthBound Zero』について』も参照すること)。
- Rボタンでダッシュできるようになった
- 移動が1キャラ単位からドット単位になった
- 敵が出現する場所でチェックする(若しくはLボタンを押す)と、「あやしげな けはいが…。」と表示されるようになった
- エンカウントは、FC版だとメニュー開閉で調整できたが、完全に乱数になった
- A+B+START+SELECTでソフトリセットが出来るようになった(ゲーム選択まで戻る)
- パンくず、ノミとシラミの仕様変更により裏ワザが使えなくなった
- グラフィックが一部変わっている(カラスがタバコを持っていない等)
- マジカントの吟遊詩人の歌の最後が変わっている
- マジカントの泉でお金をおろせる
- 地下大河のマップが簡略化された
- トンネルの中で砂漠の敵が出てくる
- 「ドラクエのフォー」が「あのゲーム」に、「ストリップげきじょう」が「れいのみせ」になっている
- 最後のメロディを覚える場所が違う(MOTHER:クイーンマリーから教わる/リメイク:XX石を調べる)
- ホーリーローリーマウンテンの頂上付近に上記のXX石が登場する
- ラスボスとの決戦の直前に追加マップがある
- 味方攻撃時と敵攻撃時の効果音が入れ替わっている
- エンディングの超大幅変更。まさに「エンディングまで泣くんじゃない」
- 後ろ姿ではあるが、ある場面で「パパ」が登場する。
「MOTHER」こぼればなし
- 爆笑問題の太田光はMOTHERの大ファンであり、このゲームに衝撃を受け、当時付き合い始めてすぐの奥さんと2人で一緒に遊んでいた。彼にとって『MOTHERは夫婦で初めての旅行で、今でも良い思い出』らしい。また、自分の飼っていた鳥にエイトメロディーズを覚えさせていた。
- 主人公のお父さんが作品に登場せず電話でしか話せないのは、糸井重里が多忙で自分の娘と電話でしか話せなかったため、「離れてはいるが娘を愛している」と一人の娘のためにMOTHERにメッセージを込めたのが理由。MOTHER1、2に出てくる父親は糸井重里本人と言っても過言でないぐらいに。
そのことを糸井本人は娘に話したことは無かったが、それから十数年経過したある日、娘からのメールの中に「ガチャン、ツーツーツー」の文字が入っていたことに感銘を受けている。 - 糸井重里はMOTHERを作るために、スピルバーグ監督の映画を全部見たらしい。そのため随所にその影響が見られる。
- 糸井氏はタバコを吸っていたが(1日四箱吸っていたらしい)ミーティング等で吸わないと平気な人と吸わないと持たない人の差が出るので、吸わずにはいられないのかという目で見られるのが嫌になったので、2004年頃吸うのをやめた。MOTHERのリメイクでカラスがタバコを吸っていないのは、糸井氏からの「タバコやめました」というメッセージなのかもしれない。
- 主人公が喘息持ちなのは映画「グーニーズ」の主人公をオマージュしたという説もあるが、糸井重里本人が喘息持ちだったというのも大きく関係している。かつて発作が出て眠れない夜はスーパーマリオをやって、落ち着いたら寝る(起きていたほうが治まりやすかったそう)という生活を送っており、自分を救ってくれたゲームへの恩返しとしてMOTHERを作った、という話もファミ通のインタビューで本人が語っている。
- MOTHER3発売時のインタビューでは喘息について「ヒトの生理を表現することは、僕のテーマのひとつなんです。喘息スプレーもそうですけど、PSIを覚えるときに汗が出るのは、知恵熱のようなものなんです。ヒトという生き物が、成長するときとか、新しい能力を獲得する前って、ドヨ~ンとダウンするものなんです。」と語られている。
- 主人公は喘息持ち、ロイドはいじめられっ子、アナは母親が居ない、テディは不良、と全員が何かのハンデを抱えた「ふつうの少年少女」である。
- MOTHERシリーズのロゴに地球(Earth)が描かれているのは、合わせて読むと「MOTHER Earth(母なる地球)」となるからである。糸井氏はインタビューでMOTHER Earthについて質問されたとき言葉を濁し苦笑いをしていた。EightMelodiesが星歌と呼ばれる所以の1つでもある。(小説版MOTHERではEightMelodiesではなく星歌と表記されている)
(他に何かあったら追加して下さい)
北米版MOTHER『EarthBound Zero』について
『EarthBound Zero』は海外版『MOTHER』の名称とされているが、『MOTHER』は日本以外では発売されていないので誤りである。以下にその概要を記す。
『MOTHER』『MOTHER2』『MOTHER1+2』『MOTHER3』のうち、正式にローカライズされたのは『MOTHER2』だけであり、北米市場では『EarthBound』という名称で発売された。海外のユーザーが合法的に『MOTHER2』以外を遊ぶには、個人輸入した上で日本語と格闘しながら遊ぶしかなかった。
1998年、インターネット上のある掲示板で、Mariottiと名乗る人物が『EarthBound NES』なるプロトタイプ版(ROMイメージではなくカートリッジ)を100ドルで販売するという投稿を行った。しかし、このカートリッジをどう入手したかは明言されておらず、NOA(Nintendo of America)の関係者から譲り受けたか、あるいはこっそり持ち出したものではないかと推測されている。結局このカートリッジには買い手がつき、Kenny Brooks が100ドルで購入している。
それと同時期に、Neo Demiforceと名乗るグループが『MOTHER』の英語翻訳(ファン翻訳)に取り組んでいた。やがて彼らはこのプロトタイプ版の話を知り、Kenny に接触を試みるようになる。しかし Kenny はこのカートリッジを Demiforce に売却(あるいは貸し出し)すると、ROMイメージを吸い出されて希少価値が低下してしまうことを恐れていた。
結局、Kenny は400ドルでカートリッジを貸し出すことに同意した。Demiforce の元には複数のユーザーから出資が行われ400ドルに達している。そしてROMイメージは吸い出され、オンライン上で拡散されることとなった。
ROMイメージは、当時主流だったエミュレータでは正常動作しなかったが、TrelaneQ がプログラムを少し修正することでその問題を解決した。さらに、『MOTHER2』と『EarthBound』とのタイトルの混乱を避けるために、タイトル画面を『EarthBound Zero』に改変している。
以上が『EarthBound Zero』が生まれるまでの経緯である。
プロトタイプ版については『MOTHER』をハックして英語翻訳したものをROM交換して作られたフェイクではないかという意見が多く見られた。しかし2003年に発売された『MOTHER1+2』では、『EarthBound Zero』に見られる様々な仕様変更(カラスがタバコを持っていないなど、北米はタバコの表現規制が厳しい)と一致する箇所が多く、プログラムレベルでも一致する箇所が確認されている。そのためプロトタイプは限りなく本物であるということ、そして『MOTHER1+2』に収録されている『MOTHER』は海外版の逆移植であるいうことがほぼ確実視されるようになった。
余談として、海外版のMOTHERプロトタイプカートリッジは5本存在していることが確認されている。しかし eBay にはプロトタイプ版なるものが多数出品されているが、これらは全て偽物である。また、プロトタイプとGBA版ではスタッフロールのBGMが異なり、GBA版だとパラダイス鉄道のテーマになっている。ちなみにゲーム中では区間によって最大1ループ程度の曲だが、スタッフロールでは2ループ程度まで聞く事ができる。
『EarthBound Beginnings』
2015年6月14日(現地時間)、E3に合わせて開催されていたイベント「任天堂ワールド・チャンピオンシップ2015」が始まる直前、本作の公式な海外版「EarthBound Beginnings」が、Wii Uバーチャルコンソールで配信されることが糸井重里のビデオメッセージによって明らかにされた。海外ファン待望の移植発表に、会場は大歓声に包まれた。
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↓当時のMOTHERのCM(ニコニコ動画で現存する最古のMOTHER動画でもあります)
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