WWEは、アメリカのプロレス団体である。
会長兼CEO(最高責任者)はビンス・マクマホン、副社長はHHHことポール・レヴェック、ステファニー・マクマホンなどが務める。
アメリカにおける格闘技業界ではUFC、ボクシングと並ぶ最高峰の団体。
かつてはWWF(World Wrestling Federation)という団体名だったが、世界自然保護基金(WWF)に名称変更を求める訴訟を起こされて敗訴し、WWE(World Wrestling Entertainment)に変更となった。
2011年にはこの"World Wrestling Entertainment"のブランド名称を"WWE"に統一している。
概要
主軸となるTV番組「RAW」「SmackDown」、国内外からトライアウトを経た選りすぐりの精鋭が上位ブランドを目指し鎬を削る「NXT」、クルーザー級の選手にスポットを当てた「205 Live」、月1~2回行われる特番(PPV=有料TV放送)などを中心に数多くのレスラーが活躍する、世界最大のプロレス興行会社。ニューヨーク証券取引所上場。
TV映像としての見せ方を強く意識しており、派手なセットを使用したドラマ仕立てのショープロレスが主体である。日本国内のプロレス団体等とは違い、ストーリー展開や試合結果を事前に決めている事を公表している。
所属選手をレスラーではなく「スーパースター」と呼び、自らの興行形態もプロレスではなく「スポーツエンターテイメント」と呼ぶなど、一般的なプロレスとは一線を画した興行・番組作りを行っている。興行形態としては、試合のみを行い、テレビでは放送されない「ハウスショー」と、試合の他に前述のストーリー展開を見せる「テレビショー」に分類され、特にテレビショーでは、世界135カ国で放送されている。
日本での大会も年1~2回のペースで定期的に開催されているが、その全てがテレビ放映されないハウスショーとしての開催となっている。但し、2005年2月4日(RAW)・5日(スマックダウン)のさいたまスーパーアリーナ大会では、アジアでは初、世界ではイギリス・オーストラリアに続く3カ国目となるテレビショーとして開催され、その模様が全世界に放送された。現在はWWE Liveとして、主に夏季に大会場でのハウスショーを行っている。
TV放送の他、映画製作や「WWEシリーズ」(日本国内旧称「エキサイティングプロレス」)などのゲームソフトも発売されており、ニコニコ動画上に多数プレイ動画が投稿されている。詳細は「エキプロ」の項を参照。
略歴
現在の会長、ビンス・マクマホンの父ビンス・マクマホン・シニアがNWAから独立する形で1963年にWWWF(World Wide Wrestling Federation)を設立。
ブルーノ・サンマルチノやボブ・バックランドなどの人気レスラーを抱えて勢力を拡大。
1984年から全米進出を本格的に開始。ハルク・ホーガンなどの人気レスラーを次々に引き抜き、1985年には第一回レッスルマニアを成功させる。
93年には現在まで続く長寿番組『Monday Night RAW』がスタート。
ライバル団体であるWCWとの熾烈な視聴率戦争は「マンデーナイトウォー」と呼ばれ注目を集める。
一時は視聴率を上回られ会社存続の危機に瀕するも、オーナーであるビンス・マクマホン自身がリングに上がり悪役としてストーンコールド・スティーブ・オースチンやザ・ロックなどの人気レスラーと抗争を行うスタイルがヒットしWCWを逆転する。
90年代末から00年代頭の、悪ふざけやお色気、過激な試合を中心としたスタイルにシフトしていったこの時代は「アティテュード時代」と呼ばれ、現在でも根強いファンが多い。
99年にはもう一つの看板番組『Smack Down!』がスタート。
2001年にはWCWに加え、ハードコアレスリングで人気を得ていたECWなどのライバル団体を次々買収、名実ともに全米最大のプロレス団体となる。
2002年に上述の理由からWWEに改称。
アティテュード時代のレスラーも徐々に引退をしていく中、新しい番組のスタート、インターネット放送の開始、中東進出など様々なアプローチで世界進出も行っている。
主要番組
基本的にレスラーはいずれかの番組に所属し、それぞれの試合を行う。2011年から2016年までの間はブランドが統合され、WWE所属という形式になっていたが、現在は再分割されブランド所属に戻っている。
4月のレッスルマニア後には「スーパースターシェイクアップ」と呼ばれる選手入れ替えイベントがあり、NXTからの昇格もこのタイミングで行われることが多い。
RAW
毎週月曜日放送(日本では火曜の朝)。
イメージカラーは赤。開始当初の番組名は「Monday Night RAW」
WWEの中でも最も歴史のある番組であり、多くのスーパースターを抱えるWWEの看板でもある。
他の番組が映像編集を加えた録画放送であることが多いのに対して、RAWは生放送であるというのが特徴として挙げられる。
2018年には25周年を迎えた。
Smack Down!
イメージカラーは青。
放送日はちょくちょく変わっているが、2019年10月より放送局がFOXになったことで現在は金曜日(日本では土曜の朝)に放送されている。
1999年にスタートし、RAWに次ぐ歴史を持つ番組。
基本的に録画放送だったが、2016年から生放送に切り替わり、金曜に移行するまでは「Smack Down! Live」として放送した。
NXT
イメージカラーは黒と黄色。
元は2010年にスタートした新人オーディション番組だったが、WWE下部団体と統合され、2006年から2010年までRAWとSmackdown!に並ぶ第三のブランドだったECWの放送枠を引き継ぐ形でプロレス興行として確立し現在に至る。
位置づけ的にはRAWやSmack Downの下部組織にあたり、若手選手や世界各国から移籍してきた選手はここからWWEのキャリアをスタートし、上位番組へ昇格するという形になっている。
しかし2019年よりUSA Networkでテレビ放映が始まり、上位番組の選手が殴り込みに来たり逆に殴り込みに行ったりする展開も増え、今では下部組織というイメージも薄れてきている。
上位番組に比べて規制が緩く、激しい投げ技や打撃の応酬が見られるのが特徴。
それゆえコアなプロレスファンからは人気が高い。
またイギリス版のNXT UKも発足し、2018年から番組としてスタートしている。
205 Live
2016年に新しく始まった番組。イメージカラーは紫。
基本的にクルーザー級(軽量級)の選手だけで行われており、派手な飛び技などが魅力。
開始当初から中心選手がスキャンダルで脱退したり、Smackdown!の放送前に同じリングで収録されていることもあり会場の盛り上がりが薄かったりで苦戦していた。
PLE(プレミアムライブイベント)
月に1度ぐらいのペースで行われる大型特番。以前はPPVと呼ばれており、RAWとSmackDownのテレビ放送とは別に、視聴者が番組を購入して視聴する仕組みであったが、WWEネットワークやPeacock(米国のみ)などのサブスクリプション制の動画配信サービスによる配信が一般化したことに伴い、PLE(プレミアムライブイベント)という名称に一般化している。
RAWとSmack Downの垣根を越えて合同で行われる。また、NXT単独でも不定期にPLEが行われる。
開催は主に日曜日。
こちらも新しいのが増えたり無くなったりを繰り返しているが、
ロイヤルランブル(1月)
レッスルマニア(4月)
サマースラム(8月)
サバイバーシリーズ(11月)
この4つは「4大PPV」と呼ばれ、長い歴史を持っている。
この他にも、巨大な金網の中で試合を行う『ヘル・イン・ア・セル』やチャンピオンへの挑戦権をハシゴに上って奪い合う『マネー・イン・ザ・バンク』などが有名。
日本での視聴・興行
テレビ放映はJ SPORTSが長きにわたって担当していた。
また2000年代初頭にはテレ東が深夜枠で放送し新たなファンを獲得した。
その後フジテレビに放映が移ったが、あまりにバラエティ感を強調した番組作りが不評で一気にファン離れを起こしてしまった。
そのJ SPORTSも2021年内に中継を終了することになり、以降2023年9月まで日本国内ではRAWとSmackDownはリアルタイム視聴ができなくなり、代替としてWWE公式Youtubeチャンネルが編集版のRAWとSmackDownを後日配信していた。
2023年10月より、ABEMAで配信が開始。毎週火曜日の夜8時にRAWが、毎週土曜日の夜8時にSmackDownが日本語実況・字幕付きで本国の生放送から数時間後に格闘チャンネルなどで無料配信される形式であり、放送から1週間後は無料見逃し配信が行われる。また、PLEなどそれまでWWEネットワークで行われた多くのコンテンツが日本国内ではABEMAに移行することが決定し、多くのPLEはABEMAで無料生中継&プレミアム会員限定配信(大きな大会はPPVも検討)されることも発表されている。この他NXTも後日配信予定。
この他、2017年からはDAZNで通常番組の配信が開始(2018年末で終了)。
またWWE独自の配信サービス、WWE Networkでは過去の試合に加えてPLEもリアルタイム視聴が出来る(海外サービスのため契約がちょっと面倒)。
日本での開催は2002年以降毎年行われている。
2012年以降は夏に2日間、両国国技館での開催が恒例となっており、2016年からは1日のみ大阪府立体育会館での開催も行われるようになっている。
その他
日本人選手
古くはジャイアント馬場などを始めとし、多くの日本人レスラーがWWEのリングに上がっている。
藤波辰爾やブル中野などチャンピオンになったレスラーもいるが、80年代までの日本人レスラーはヒールとしての役割が多かった。
90年代以降は、英語が喋れないことを逆手に取って全て吹き替えでマイクアピールするTAKAみちのくとフナキの海援隊、周りはみんな英語なのに一人だけずっと日本語で喋るTAJIRIなどややコミカルなキャラクターが人気を博す。
00年代半ばからも鈴木健想やYOSHI-TATSU(山本尚文)などがWWEに所属し、それなりの活躍を見せるも中々メインの立場になることはなかった。
しかし10年代に入るとヒデオ・イタミを先頭にASUKA、中邑真輔、戸澤陽、カイリ・セイン、紫雷イオなどの日本でも人気のあるレスラーが次々参戦。
かつては独自のギミックを与えられ、前座に甘んじることも多かった日本人レスラーだが現在では日本と変わらないスタイルのまま、王座戦線に絡むなどかなり待遇が変わってきている。
女子レスラーの変化
80年代からWWEにも女子レスラーは在籍していたが、大会に華を添えるお色気要員や恋愛ストーリーのための存在としての意味合いが強く、プロレスの技術が未熟な選手も少なくなかった。
90年代末からは選手のマネージャーなども含めて番組に出演する女性を『ディーヴァ』と呼ぶようになり、激しい試合を行えるトリッシュ・ストラタスやリタなどの人気選手も登場。
その一方でお色気も過激になり、下着マッチや泥まみれマッチなどの他、リング上でS〇X(疑似)が行われたこともあった。
これらの路線は放送枠の拡大に伴って徐々に減少していく。
その後、NXTの誕生により女子選手のプロレス技術が大きく向上。
若干21歳でチャンピオンとなったペイジが宣言した「ウィメンズレボリューション」を旗印に、お色気要員としての意味合いも含む「ディーヴァ」から「ウィメンズ・スーパースター」へと呼称が変化していった。
現在ではPPVのメインを女子が務めることも増え、ヘル・イン・ア・セルの金網戦やマネー・イン・ザ・バンクのラダーマッチなどの激しい試合も、男子だけでなく女子でも行われるようになった。
2018年10月には女子選手だけのPPV『エボリューション』が開催された。
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