本作「 ありがとう~vocal version」は、2004年6月に発売された「ORATORIO~海より青い夏の彼方へ」というエロゲーの販促活動で生み出されることになったボーカル曲である。
原曲はゲーム内のクライマックス付近で使用されており、作内のとあるキャラクターが、少し悲しい形での再会を果たす、切なくも感動的なシーンでかかるBGMであり、作曲はBGM全般の作曲を担当したATM氏が担当している。
ゲーム本体の売り上げは散々な有様で、なんと宣伝広告費を10万円しか使えなかったという、ある意味伝説のゲームソフトでもあったORATORIOだが、2ちゃんねる等での評判自体はかなり良く、それに気を良くしたスタッフが2004年8月、販促活動のためにボーカル曲を作成することを決意。
編曲には八乙女葦菜氏を起用、ボーカルはエンディングテーマを担当している瀧沢一留が引き続き担当し、何だかんだありながら情熱的に作業を進行、2カ月をかけての完成となった。
瀧沢一留の透明感あふれるフェアリーボイス、メロディーセンスのかたまりのようなATMの作曲、普遍性を保ちながらハイセンスにまとめあげる八乙女葦菜の編曲、独特の死生観を醸し出すpokinの作詞、これらが渾然一体となって、「前向きなわかれうた」というひとつの青空を形成している。
バラードが好きな人にはぜひ聴いてほしい。きっと、何か感じるものがあるのではないかと思う。
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