ニコニコ大百科

くー

おー

張り詰めていた心
「自覚」したあの日から片時も休まる事なく胸中を満たしていた感情の澱が、少しずつ融解していくのを感じる

久方ぶりに感じる胸の隙間はひどく冷たく空虚で、かつてない激情に身を委ねながら、心は次第に妙な虚脱感に包まれていった

じー

ふー

ぬー

みー

語り始めてからどれ程時間が経っただろうか
生まれて初めての慟哭を経験した喉は嗄れかけ、未だ一言も言葉を返していない妹はただただ驚いたような顔で呆けており その胸中は伺い知れない

きー

ふー

きー

くー

んー

ぴー

ゆー

ぷー

じー

うー

んー

ぬー

んー

（ああ、喉が渇いた）

（表情筋が痛いな）

（戦闘以外でこんなに疲弊したのはいつ以来だろう）

流れ続ける涙で歪んだ顔に反してその心は不思議と凪いでいた
激情と理性が同居する奇妙な浮遊感

おー

くー

ぽー

ゆー

いー

きー

のん気な考えが脳裡に浮かびながらも整然とした思考回路はまとまらず、激情の感触も確かにまだ残っている

そんな頭で対面する妹を見つめ、思う


（あいつがこの状況を受け止めきれていないなら落ち着いてからまた話さないとな）

（いや、その前に「本題」だけは伝えておこう）

（だから、私を殺してくれ）

（一緒に死のう）


――いや


（殺してやるよ）　かな