インターグロリアとは、1974年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牝馬。
「天才」福永洋一を背に桜花賞、エリザベス女王杯を勝利し、当時としては破格の牝馬による有馬記念連対を果たした70年代を代表する二冠牝馬。
主な勝ち鞍
1977年:桜花賞(八大競走)、エリザベス女王杯、サンスポ阪神牝馬特別
1978年:マイラーズカップ、京都牝馬特別
1979年:京都牝馬特別
1977年優駿賞最優秀4歳牝馬
1978年優駿賞最優秀5歳以上牝馬
※当記事では活躍した当時に合わせて旧馬齢表記(現在の表記+1歳)を使用しています。
父ネヴァービートは日本における「ネヴァーセイダイブーム」の火付け役となった大種牡馬。
母ヒダカチェリーは本馬を生産する辻牧場の持ち馬で、9戦して2勝した後生まれ故郷の辻牧場で繁殖入りした。
母父コダマはカミソリの末脚と称えられた快足で無敗で皐月賞、ダービーを制して「夢の超特急」と呼ばれた1960年の春の二冠馬。
1974年5月1日に辻牧場で生まれ、「インター」、「キョウエイ」の冠名で知られる松岡正雄氏に購入された。後にインターグシケン、キョウエイプロミス、キョウエイボーガン、キョウエイマーチなどの名馬を所有することになる松岡氏であったが、この時はまだ八大競走を勝利することは出来ていなかった。
3歳を迎えたインターグロリアは後に騎手デビュー時の細江純子騎手が所属したことでも知られる栗東の柳田次男厩舎に入厩した。
入厩後にデビューに向けての調教が始まったわけなのだが、とにかく飼葉食いが止まらず、馬体が絞れない日々が続き、デビューは結局4歳になった1977年2月5日の新馬戦にずれ込んだ。しかしそれでもデビュー戦までに仕上げきれないまま太目残りで出走することになってしまい7着に敗れてしまった。ならばと気を遣わずに牡馬並みの厳しい調教を課した結果、新馬戦1400mのレコードを更新して大差勝ち。3戦目の若葉賞も1.9倍の1番人気に応えて3馬身差で制すると、桜花賞からは当時「天才」と呼ばれリーディングジョッキーにもなっていた福永洋一とコンビを組み、1番人気に応えて2着ファインニッセイに再びの3馬身差で勝利。デビューからわずか2か月でクラシックホースとなった。
桜花賞後はもちろん二冠目の優駿牝馬勝利へ向けて関東へ遠征したが、環境が変わってしまったことで体調を崩してしまい、前哨戦のサンスポ4歳牝馬特別で9着、本番の優駿牝馬でも14着と惨敗。そのまま休養に入った。
秋初戦は地元関西の京都牝馬特別から復帰。休養中の体調面の立て直しも上手くいき古馬に交じって3着と上々の結果を得て三冠目のエリザベス女王杯に出走した。休養前の4歳牝馬特別と優駿牝馬の惨敗が距離のせいではないかと思われたこともあって神戸新聞杯含む2連勝できたアイノクレスピン、オークス馬リニアクインから離された3番人気に留まったが、内埒に張り付いて経済コースを走って足を溜めて直線の末脚勝負にかける福永洋一の好騎乗もあってゴール直前でリニアクインを差し切り二冠達成。囁かれていた距離不安も一蹴した。その後インターグロリアは4歳時の最終戦として阪神牝馬特別に出走。ここではエリザベス女王杯で戦ったリニアクインやアイノクレスピンを始め9頭中8頭が同世代となったが、前回とは逆にインターグロリアが1番人気となった。レースでは岩本市三騎乗の単勝人気394.6倍の最低人気馬スリーファイヤーが激走を見せたが、インターグロリアは何とかハナ差先着して重賞2連勝。4歳時は9戦5勝。うち桜花賞を含む重賞3勝の活躍で優駿賞最優秀4歳牝馬に選ばれた。
5歳時は1月末の平場のオープン戦から始動。ここでは桜花賞で2着に破ったファインニッセイと再戦し再び2着に破って幸先のいいスタートを切る。しかし2戦目の600万下仁川ステークスはファインニッセイのリベンジを許し2着。3戦目にしてこの年初の重賞挑戦となったマイラーズカップは母トウメイとの母子制覇を狙う同期の牡馬テンメイ、これが3回目の対戦となるファインニッセイを半馬身抑えて勝利し重賞4勝目を手にした。その後は主戦の福永洋一騎手が他の馬に乗る為武邦彦騎手を助っ人に招いたが、オープン戦でホクトボーイの6着。阪急杯では今回も36.5倍のブービー人気とだったスリーファイヤーが激走を見せて1着を取る中同じく6着となかなか振るわなかった。夏を超えた後は福永洋一騎手も戻って去年好走した京都牝馬特別に出走。夏までの2戦で4番人気まで落ち込んだが、不良馬場で迎えた本番では武騎手に乗り替わって1番人気になっていたファインニッセイに5馬身差を付け復活勝利。有力馬の1頭として年末の有馬記念へと向かった。
1978年の第23回有馬記念は史上3回目の多頭数である15頭の有力馬が集結して行われた。1番人気は前年の有馬記念でTTGに次ぐ4着に入った同期の菊花賞馬プレストウコウ、2番人気はそのTTG世代の天皇賞馬ホクトボーイ、3番人気はTT2頭に続いて自身も有馬記念の勝利を目指すTTG最後の1頭グリーングラスで、インターグロリアは鞍上の福永洋一騎手がこれまで主戦を務めてきたエリモジョージに騎乗するため柳田厩舎に所属する樋口弘騎手へ乗り替わったこともあり10番人気の伏兵扱いだった。しかしレース本番ではエリモジョージとメジロイーグルが逃げ争う中その後ろの3番手につけ、エリモジョージが失速する中メジロイーグルに迫るカネミノブの外から猛然と追い込んだが、1馬身差で惜しくも2着に敗れた。しかし当時の牝馬としては破格の有馬記念連対、次に達成する牝馬は1994年にヒシアマゾンが達成するまで現れなかった。この活躍で78年の最優秀5歳以上牝馬に選ばれた。
6歳時は2月の中京記念から始動。有馬記念で見せた活躍から1番人気に推されたが、57キロの斤量が響いたか53キロのメジロホークと51キロのエンペラーエースを捉えられず3着。敗れたとはいえハンデ差もあり上々の滑り出しと思われた。しかし翌3月に落馬事故により主戦騎手の福永洋一騎手が命の危険もある重症を負ったため、ここまで代打を務めてきた樋口騎手が手綱を引き継ぎ、連覇を目指してマイラーズカップへ向かう。かつて戦ったファインニッセイやスリーファイヤーが54kgを背負う中、インターグロリアは牝馬では唯一の56kg。しかしそれでも前年度覇者として単勝3.0倍の1番人気に推された。しかし同じ56kgを背負う6.4倍の2番人気の牡馬バンブトンコートに半馬身差で惜しくも敗れ、連覇はならなかった。
前年の有馬記念からここまで1着はなくとも好走を続けてきたインターグロリアであったが、流石に疲れが出てしまったのか次走宝塚記念では牝馬唯一の出走となったが13頭立て12着と大敗してしまった。夏の休養を挟んだあとの京都牝馬特別では宝塚記念の大敗が響いたが3番人気に下がってしまったが、今回は1番人気で激走を見せたスリーファイヤーを退けて連覇を達成。牝馬限定戦ではまだまだやれることを示した。その後インターグロリアは史上初めてのフルゲート開催となった有馬記念に唯一の牝馬として出走したが、前年とは違い宝塚記念同様牡馬を相手にするには力負けするようになってしまったか9着に敗れ、これを最後に引退した。最終戦績は21戦9勝。うち重賞6勝。
引退後はオーナーの松岡氏が所有していたインターナショナル牧場で繁殖入りした。牡馬相手にも活躍した二冠牝馬として当時の人気種牡馬であるテスコボーイ、マルゼンスキー、トウショウボーイや、インターグロリアの翌年に菊花賞勝利した同馬主のインターグシケン、GI3勝のニッポーテイオーなどと交配された。インターグロリアは所謂仔出しは良く1994年までに13頭の産駒を残したが、産駒の中から活躍するものは現れず、最後の出産後は体力の衰えを見せ、翌1995年に死亡した。22歳没。
インターグロリアで念願の八大競走初勝利を遂げた松岡氏は、その後多くの活躍馬に恵まれ日本有数の大馬主となり、80年代初頭には中央競馬のリーディングオーナーとなった。松岡氏は現在中央競馬で最後にリーディングオーナーとなった個人馬主である。その後自分の牧場であるインターナショナル牧場からキョウエイマーチを輩出し、GI馬を送り出したオーナーブリーダーにもなっている。しかし松岡氏の死後インターナショナル牧場は閉鎖され、インターグロリアの血を引く馬もその時に散り散りになってしまっている。
*ネヴァービート Never Beat 1960 栃栗毛 |
Never Say Die 1951 栗毛 |
Nasrullah | Nearco |
Mumtaz Begum | |||
Singing Grass | War Admiral | ||
Boreale | |||
Bride Elect 1952 鹿毛 |
Big Game | Bahram | |
Myrobella | |||
Netherton Maid | Nearco | ||
Phase | |||
ヒダカチェリー 1968 鹿毛 FNo.1-w |
コダマ 1957 栗毛 |
*ブッフラー | Prince Chevalier |
Monsoon | |||
シラオキ | *プリメロ | ||
第弐スターカツプ | |||
*ストーミーセツシヨン 1956 鹿毛 |
Court Martial | Fair Trial | |
Instantaneous | |||
Squall | Umidwar | ||
Heavenly Wind | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Monsoon=Squall 4×3(18.75%)、Nearco 4×4(12.50%)、Blandford 5×5×5(9.38%)
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最終更新:2025/04/28(月) 15:00
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