キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ!とは、アニメ『キラキラ☆プリキュアアラモード』の劇場アニメーション作品である。
2017年10月28日公開。映画プリキュアの第23作である(レギュラーシリーズ映画では第14作)。
今回の物語の舞台は『映画 ハートキャッチプリキュア! 花の都でファッションショー…ですか!?』以来となる、フランスは花の都、そしてスイーツの本場であるパリ。パリと言えば新たに仲間に加わったシエル(キラリン)が双子の弟ピカリオと一緒に修行に行った所。ということで彼女とそのパリでの修業時代を物語の中心に据えて展開する。
キラパティの面々がフランスで行われるスイーツコンテストに出場することになったのだが、シエルが絶不調でスイーツ作りもプリキュアへの変身もままならない状態。そんなときにシエルの師匠であるジャン=ピエール・ジルベルスタインと出会うことになったりってシエルさん再会早々師匠に頭突きしてますが。で、いちかはシエルに「かつて師匠に作ってもらったミルフィーユ」をコンテストで作ろうと提案するが、その時怪物によるパティシエ襲撃事件が発生するわ、パリの街がお菓子になってしまっておかしな事になるわ、とすったもんだの大騒ぎに……というお話になる。
監督が土田豊、脚本が村山功と、『映画 プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法!』を手がけた2人が再びタッグを組んで物語を紡ぎ出す。どうやらまほプリでも関わってるこの二人(各話演出&シリーズ構成)とプロデューサーの内藤圭祐(こちらもまほプリのP)の仕業か、あるいは東映本社or東アニorバンダイが味を占めたか、予告編の時点であのぬいぐるみの姿が。なんと今回秋映画初の試みとして、みらいたちまほプリチームも客演として登場する。どこのライダーか戦隊の映画ですか。
キャラクターデザインは初期映画作品以来となる大ベテランの爲我井克美が総作画監督兼任で担当、作画監督は今やプリキュアには欠かせなくなった大田和寛が引き受ける。ゲストキャラのジャン=ピエール役は大のスイーツ好きで知られる歌舞伎俳優の尾上松也、ジャン=ピエールについているパティシエのお化けのクック役は近頃キュアショコラが好きすぎてどうしようもなくなってるシリーズ初参加、後に『ヒーリングっど♥プリキュア』で花寺のどか(キュアグレース)役になる悠木碧が受け持つ。
恒例となりつつある同時上映のフルCG短編作品は、『プリキュアオールスターズDX 3Dシアター』や直近では『ポッピンQ』を手がけた宮原直樹による『Petit☆ドリームスターズ! レッツ・ラ・クッキン?ショータイム!』に。こちらはペコリンだけでなく、名前が示すとおり春の『映画 プリキュアドリームスターズ!』に登場したパフ・アロマ・モフルンも再登板し、お菓子作りに挑戦する話となっている。モフちゃんはあっちもこっちも登場で大忙しだねー。
そしてこちらも恒例のミラクルライトはハートをかたどった「ミラクル☆キラキラルライト」が登場。さらに前売券特典が継続され、長編に登場する「メモワール・ミルフィーユ」と短編に登場する「キラリンクッキー」のいずれかが付く。また、前年に続いてアニマルスイーツのデザインコンテストも行われ、グランプリ作品が劇中に登場している。もちろん今回もスーパープリキュアは健在、白い翼をつけた形態として登場する。
この他、テレビアニメ本編と連動させる体制ができており、第22話のシエルの回想で一瞬ジャン=ピエールが姿を見せ、公開直前に放送される第37話ではシエルをパリに連れ戻そうとするショップオーナーのソレーヌが登場、シエルの修業時代を明かし、しかも尾上演じるジャン=ピエールも登場する。お馴染み上北ふたご先生の漫画版でも、なかよし2017年11月号に掲載されたシリーズ連載初の2本立ての内の1篇が同じく映画の前日譚として描かれている。
2週連続で週末に台風が来る中、映画連動回や各種プロモーション展開が功を奏したか、はたまた『ブレードランナー 2049』の公開初日が金曜だったのに救われたか、公開初週土日2日間の興行動員数ランキングで『映画 スマイルプリキュア! 絵本の中はみんなチグハグ!』以来5年ぶりとなる、シリーズ2度目の首位獲得となった(ちなみに興収ではブレランの方が上回っている。これは大人向けかつ特別上映がある同作品に対し、子供中心のプリキュア映画は客単価が低くなるので仕方が無い)。
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ここから先は映画のネタバレ成分を含んでいるペコ~ スクロールする覚悟ができていないなら先に映画を見てほしいキラ! |
本作においてはシエルの過去と共にいちご坂に戻って以降の成長も垣間見えたこと、それと共にジャン=ピエールの情熱やこだわり、そしてクックの嫉妬や怨念が軸となったと言える。
ピカリオと共にジャン=ピエールの調理の凄まじさやミルフィーユの美味しさに感激し、彼に弟子入りするキラリン。まず人間になるべく一心不乱に修行を積み重ねた事でシエルという人間へと姿を変えることができた。こうしたことがあったことで彼女が天才へと昇華できたわけだが、それが元でかえって自分しか見えなくなってしまう。この映画においても作品描写的にだんだんとピカリオの姿が見えなくなるのもそれが強調されたことであろう。
しかし今のシエルはいちご坂でいちかたちに出会ったことにより、ピカリオをはじめ他人のことを思えるようになり、さらにキラパティの仲間たちの支えもあって新たな気づきも得られることで、パティシエとしてより高みを目指せるようになった。
もちろんスイーツに情熱を傾けすぎて個性的すぎるゆえにつまはじきにあうジャン=ピエールもその情熱あってこそ一人でやっていっている以上、仲間たちと仲良くスイーツ作りをするようになったシエルを見て落胆はするわけだが、シエルとしては最初の出会いから尊敬すべき、そして信頼のおける師匠であることには変わりないし、ジャン=ピエールなりのやり方も尊重している。こうした両輪あってこそのシエルの成長なのではないだろうか。
一方のクックはかつて低評価を受けて屈辱に陥り、いつしかお化けに姿を変えてジャン=ピエールを使ってまで復讐しようとする。しかし裏返せば彼女もまた真っ当な評価をして欲しかったのだろう。
もちろん究極のスイーツを作ってまでパリ中をお菓子に変えてしまうのはパルフェが喝破したように自己満足でしかない。でもクックとしては自分のスイーツを認めてほしかったのである。プリキュア達によって浄化され、シュプレヒコールが響く中、最後のジャン=ピエールの「トレビアン!」の一言が救いになったのではないだろうか。
ラストの生まれ変わりなのか少女の姿になってジャン=ピエールと一緒にスイーツ作りをする姿、いつしかそれが実る日が来ると思いたい。
と、こういった奥深い物語のバックグラウンドがあるにもかかわらず、今回の映画は土田演出がフルに発揮された、「映画なのにもかかわらず全力を出したギャグ回」だったと言える。
オールスターズDX3部作などのように多人数キャラをこなすことが出来る村山氏の脚本の妙もあるのだが、それ以上にこれまでもギャグ回の傑作エピソード(スマプリの修学旅行京都編・ミエナクナ~ル回・夏休み最終日のゲーム回、まほプリのモフデレラ回・カボチャドリ祭り回等々)などを手がけ、コミカルな演出には定評のある土田氏の本領が活かされ、所々で笑えるようになっている。
もちろんただギャグやコミカルさを出すだけでは無く、ジャン=ピエールとシエルがらみの挙動が物語の展開に重要に作用してくるし、そうした中でシエルの成長といちかたちとの友情も感じさせてくれるものとなった。
また、シエルに重きを置いた故にいちか達が彼女を支える形になったとは言え、それでも要所要所で見せ場があり、特に動物モチーフゆえ本来のうさぎなどからクックによって亀など別の動物に変えられてしまうも、その変わった動物の特徴を活かす演出も取られている。客演のまほプリ一家もさすがにそんなに出番は無いとは言え、これも要所要所で姿を現し、先輩らしい活躍を見せてくれており、彼女たちを知る子供たちにとってはこれ以上無いファンサービスになっただろう(ちなみにコンセプトはここ数年のミュージカルショーでの先輩達の客演だとか)。
何より今回のゲスト声優である尾上・悠木両者にもその演技に拍手を贈らねばなるまい。特に尾上は癖の強いジャン=ピエールをまさしく怪演と言うべきに演じきっており、その演技力も含め全般的に評価が高い。悠木も可愛らしいが一層癖のありすぎるクックをうまく演じており、いいスパイスとなった。この2人の演技で物語がうまくかき回された感じだろう。
これまでのプリキュア映画は他の子供向け作品の映画版もそうであるように、コミカルさも入れながら大人の鑑賞にも堪えうるよう、泣かせる、あるいは感動させる要素を組み込んでいる。だが、これが子供たちにとってはわかりづらく、また怖がりやすい面でもあった。この点は内藤氏もインタビューで触れている。
そこで、本作はあえてコミカルさを全面に出したプリアラらしいエンターテイメント作品となった。もちろん本作においても奥の深さを知れば考えさせられる面はある。しかし、それ以上に子供向け作品であることに立ち返り、あえてわかりやすいエンタメ要素を主体にするという、昨今の風潮に一石を投じる物になったのではないだろうか。
もっとも、EDに関して言えば春のドリームスターズに続いて2作連続でEDダンスが無かったことを惜しむ声もある。ずっと続いてきて恒例化していたため、楽しみにしていた人も少なからずいたことを考えれば、何らかの事情はあるにせよ、確かに残念かもしれない。
また、前述したいちかたちがあまり前面に出ていないことや、「なんでまほプリいるんだ、春映画じゃないのに必要なのか」という声はもちろん、クックの過去について詳しく触れられていない点に苦言がでているのも否めない点ではある。
短編についても触れると、妖精のCG表現がより強化されており、そのかわいらしさと短編特有のコミカルさが際立つ。もし妖精においてもCG表現がよりよくなった場合、プリキュアも妖精も全編CGで描かれたさらに踏み込んだ中長編作品ができるのかもしれない。
掲示板
36 ななしのよっしん
2018/03/21(水) 15:59:57 ID: 4WCnBGUw/0
ジャンはステレオタイプの気難しい師匠かと思ったらけっこう愉快なキャラクターだったな
37 ななしのよっしん
2019/01/27(日) 16:26:13 ID: OtWDPYofmp
亜種アニマル形態?がひそかにお気に入りだったりする(特にパンダマカロン)
そのうちトゥインクル缶バッジのラインナップに加わったりしないかな・・・
ところで冒頭のミラクルライト解説シーンで、
あきらさんが「さあ、ショータイムだ」って言うけど、これは前期EDに由来するものであり、
“魔法つかい”プリキュアがゲスト出演していることとは何も関係ない、よね?
38 ななしのよっしん
2020/05/09(土) 16:30:33 ID: V/RuBUs6ku
初めて見たがいつからこんなサンリオ臭になったんだよwツッコミたくなったわw 後クックが後のキュアグレースになるととわなw
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最終更新:2025/04/01(火) 03:00
最終更新:2025/04/01(火) 02:00
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