「ミノフスキー粒子」とは、アニメ「機動戦士ガンダム」およびその後継シリーズに登場する架空の素粒子である。ファンの間ではミノ粉とも。
ミノフスキー粒子が初めて登場したのは、ガンダムシリーズ1作目であるTVアニメ「機動戦士ガンダム」。
当初のミノフスキー粒子は、それを戦場に散布することで、あらゆるレーダー兵器や通信機器を妨害するというものであり、巨大ロボット(モビルスーツ)同士が白兵戦を行うことに現実味を持たせるための理由付けとして設定されていた。
しかし、ガンダムシリーズの後続作品が作られ世界観が拡大していくとともに、ミノフスキー粒子はガンダム世界のSF的矛盾点を解消する便利な設定として、様々な役割が追加されていくことになった。
ミノフスキー粒子は性質として、静止質量がほとんどゼロで、極めて強力な帯電性質を有する。また、一定濃度において立体格子状に整列する性質を持っている。そのためミノフスキー粒子が散布された空間では、ミノフスキー粒子より大きい物質を通さない性質がある。
これをミノフスキー効果と呼び、電波(マイクロ波~超長波)、一部の可視光線、赤外線を遮断する効果を生むとされる。
これら一連の現象を前提にした学問を「ミノフスキー物理学」と呼び、かつてはWikipediaの記事でもミノフスキー粒子ではなくこちらを記事名に採用していた。本記事では検索のしやすさや一般での知名度からミノフスキー粒子を記事名とする。
始まりはトレノフ・Y・ミノフスキー博士による未知の素粒子を前提とした仮説の発表である。発表当時は仮説にすぎず、それまでの全ての物理学の根幹を否定してしまう考えであったことから学会には受け入れられず、ミノフスキー博士は失意のうちに学会を去った。
その後、いつごろかははっきりとしないが、建国の父であるジオン・ズム・ダイクンの側近でのちにジオン公国公王となるデギン・ソド・ザビの知己を得て研究の場をサイド3へと移す。
宇宙世紀0045年にはミノフスキー物理学を支持するミノフスキー物理学会が設置され(余談だがジオン・ズム・ダイクンのコントリズム発表が同0046年、サイド3への移住が同0052年であることからデギンにとっては実はダイクンよりも付き合いの古い知人である可能性はある)二年後にはイヨネスコ博士とM&Y社を加え研究速度は飛躍的に増したようである。
ミノフスキー博士は技術者としても高い能力を持っていたのか、あるいはイヨネスコ博士とM&Y社の影響なのか、同0047年にはミノフスキー粒子の立方格子構造を利用して放射線を遮断する小型の核融合炉(のちのミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉)の開発に成功。
同0065年には実験中、熱核融合炉内にて特殊な電磁波効果を発見。同0069年、ついには公証実験に成功しミノフスキー物理学が証明された(MS IGLOOでは0071年に有用性を実証と説明)。
0070年代に入ると応用技術も爆発的に広まりを見せ、証明の翌年には早くもミノフスキー効果を使った電磁波かく乱技術とメガ粒子砲の実用化にこぎつけている。
しかし、この頃からミノフスキー博士はサイド3(この時点ではすでにジオン公国)の軍国主義化を嫌い、同0072年に連邦へと亡命。これら技術は連邦にも伝わることとなった。
ミノフスキー博士の亡命と前後して、公国軍はミノフスキー粒子散布下でも活躍できる機動兵器の開発を各研究機関や会社に命令。
これに答えたのがジオニック社であり、同0073年にはモビルスーツ(MS)第一号機であるクラブマンを開発。翌年に量産型としてザクI(いわゆる旧ザク)がロールアウトし、以降100年以上に及ぶMSの歴史が幕を開けたのだった。
作品の根幹を作った人物であるが、後付設定であったためかほとんどの作品媒体では矛盾した描かれ方がなされている。
宇宙世紀0072年の亡命についても成功したとする説と失敗し死亡したとする説に分かれ、成功説に立った場合でもその後の足取りは諸説ある。
安彦良和氏の漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では死亡説を取り、その際に生じた連邦とジオンとの戦闘を初のMS戦としている(スミス海の戦いまたは虐殺)。
地味ではあるが、MSが活躍する大前提としてもっとも欠かせない技術である。作中ではミノフスキー粒子を発生させる装置の描写はなく、また散布を命令する描写もほとんどないがオペレーターによる「ミノフスキー粒子濃度が濃い」と言う言い回しはZ以降、比較的よく聞かれる。
戦術として、戦闘開始前に散布し敵の通信やレーダー、誘導弾等を機能不全に陥らせ、小回りの利くMSに艦艇を襲撃させると言うものが一年戦争以降の定石である。
この戦法を活用することでジオン公国は初戦のブリティッシュ作戦を成功裡に収め、もって30:1と言う絶望的な国力差を補うことに成功する。
これは第二次世界大戦時、戦前まで最強と考えられていた戦艦が航空機に敗れた事例をほうふつとさせ、敗者であった連邦のレビル将軍もこの故事をひいて大艦巨砲主義から抜けられない連邦の軍制を批判している。
ただし、定石化したために決して万能ではなく、ミノフスキーレーダーの実用化や敵味方双方の有視界戦闘の前提化もあって、その活用が戦闘の勝敗を決する事例は少なくなって行った模様である。
ガンダムUCでは、教科書通りのミノフスキー粒子散布を実行した敵部隊(ジオン共和国軍)をネェル・アーガマ側が素人もしくは実戦経験のない連中と見抜く場面もある。
また、仮にミノフスキーレーダーを持たなくても通信やレーダーに突然の異常が出る=襲撃の前兆であり、奇襲効果は当然に失われてしまう諸刃の刃とも言える。
前述のミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉として実用化し、ほぼすべての機動兵器に搭載されている。むしろこちらがミノフスキー博士の本命の研究であり、ミノフスキー粒子の発見より先んじていたようである。ヘリウム3と重水素を燃料としており、それまで知られていた核融合炉よりも格段に小型化が進んでいる。
これはミノフスキー粒子の立方格子構造が放射線を遮断する作用を応用した結果であり、作中では防護服などを用いず機体の運用や整備をする姿が確認できる(もっとも、内部に関する作業まではさすがに無理で防護服の備えは必要である)。
ちなみに、ヘリウム3と重水素を用いた核融合では反応前と反応後で粒子数の変化はないため、厳密な意味では核融合炉ではない。それを反映してか、核反応炉と言う名称を与えられている。
宇宙世紀0070年には早くもメガ粒子砲の実用化に成功している。従来の荷電粒子砲やレーザー兵器よりも小型かつ効率的なエネルギー変換率を実現し、0070年代には連邦・ジオンともにほぼ全ての艦艇で主兵装となっている。
MSへの搭載については連邦が先んじており、ガンキャノンやガンダムではエネルギーCAP(メガ粒子になる直前のミノフスキー粒子を保持する装置。卑近な例を言えば缶詰?)を用いたビームライフルが装備された。
一方、ジオン公国はジェネレーターの冷却に有利な水陸両用MSに搭載することでお茶を濁す状況であり、本格的な搭載機はゲルググを待たねばならなかった(ただし、V作戦の機体はあくまで試作であり、量産機であるジムの本格的な登場時期とは2か月程度の差しかないが)。
Z以降はEパックと呼ばれるカートリッジを利用したエネルギー供給システムが主流となり、あたかもマガジンで給弾されるライフルのような運用がなされている。
また、ビームサーベルも同様に連邦が先んじてガンダムに搭載させている。エネルギーCAPによって縮退寸前の高エネルギー状態で保持されたミノフスキー粒子(一説にはメガ粒子)をIフィールドによって収束し、ビーム状の刀身を形成している。Iフィールドには斥力があるため、サーベル同士をぶつけ合うと反発し、いわゆる「殺陣」や「チャンバラ」が可能になる(こちらも卑近な例を挙げると、空気でチャンバラは無理だが風船に詰めれば可能になるのと同じ)。
ちなみにIフィールド自体が後付設定(初出は1981年のガンダムセンチュリー)であり、放送当初からの疑問の解決にはそれなりの月日を要したこと(裏を返せば配慮があったこと)は留意すべきである。
ガンダムセンチュリーではIフィールドはメガ粒子の生成やビーム収束形成などに使用されるもので、ビグ・ザムのビーム偏向バリアーもIフィールドによるものとされている。
ビームバリア、ビーム偏向フィールドとも。一定濃度になるとミノフスキー粒子は立体格子状に整列する性質を持っているが、この際に生じる斥力を応用してバリアとしたのがIフィールドバリアである。
非常に高出力のジェネレーターが要求されるため、初めてこれを搭載した兵器はMAのビク・ザムである。実戦投入された本機はジムはもちろんガンダムのビームライフルや戦艦の砲撃さえ問題にはならないほどの防御力を誇った。反面、Iフィールドを機体の周辺に展開すると言う方式であったため、接近されてしまった場合は効果が薄く、さらに実体弾にも効果は薄かったとされる(宇宙世紀0100年代以降に登場するビームシールドでは改善されている)。
また、これは趣味の問題だが、漫画「機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像」においてゼロ・ジ・アールに乗る機会を得たシャア・アズナブルはその巨体ゆえに「防御を前提として回避性能が低い」ことを問題視し、間接的ではあるがIフィールドバリアとそれを利用する戦術にもあまり好感は抱かなかったようだ。
防御兵器としての印象が強いが、この技術は前述のビームサーベルにも用いられている。
ミノフスキークラフトやミノフスキーフライト、ミノフスキードライブ、ビームローターなど様々な技術が存在する。どれも基本的には上述のIフィールドがもたらす斥力を応用したものである。初期は大型のミノフスキー粒子発生装置や制御装置を用いたため、一部の艦船にのみ搭載されていた。
よく誤解されているが、MSは宇宙世紀0105年に初のミノフスキークラフト搭載機であるΞガンダム、ペーネロペーまではドダイなどの支援航空機を用いなければ飛べなかった(試作機としてグフにジェットエンジンをつけたものはあるが)。
ちなみに、ミノフスキー粒子設定のきっかけは富野由悠季監督が「機動戦士ガンダム」の第五話において、SF考証を担当していた脚本家の松崎健一に無断でホワイトベースを大気圏内で飛ばしたことにあると言う。
頭を抱えた彼はまず、艦艇を大気圏内で飛ばす理論を考え、そこから設定を広げて行ったと言う。つまり作品的な意味では飛行技術がミノフスキー物理学の端緒と言える。
ニュータイプの脳波(サイコウェーブ)を用いて機体や浮遊砲台(つまりファンネルやビット)を操作する技術。厳密な意味ではミノフスキー粒子を用いた兵器ではないが、機外の兵器を駆使するためにミノフスキー通信と呼ばれる通信方法が採用されているためこちらに分類した。
ガンダムの技術にしては珍しく、ほとんどがブラックボックスであるため詳細は不明である。
そもそも、作中当事者たちもその原理は分かっていない様子であり、一種のオカルト的な能力と世間から見られているシーンも存在する(アクシズの落下を防いだアムロ・レイの力も作中世界ではこれで説明する向きがあるらしい)。
宇宙世紀ものやその後の世界とされる∀ガンダムの正歴では当然にこの技術が前提とされ、取って代わる技術も登場しなかったためにミノフスキー粒子以上の目立った作品設定は存在しない。
宇宙世紀以外を舞台にした作品でミノフスキー粒子を意識した作品としては「機動戦士ガンダム00」が挙げられ、GN粒子と言う類似したニュートリノが存在している。
また、メタルギア2 ソリッドスネークでは無許可で「ミノフスキー粒子」と言う電波妨害粒子が散布される設定が採用されているが関連性は不明(余談だが、メタルギアの製作者である小島秀夫氏はスネークのイメージとしてガンダム作品の登場人物であるアナベル・ガトーを挙げ声優も大塚明夫氏を充てている)。
掲示板
139 ななしのよっしん
2025/02/22(土) 12:56:30 ID: uaaIfU4WoH
>>135
『ガンダムセンチュリー』の記述では、ミノ粉の「広域散布技術」自体がそれまでに存在しない
というよりも元々が「力場を粒子として物理学的記述した方が都合がよいからそう呼称することがある」仮想粒子にすぎないので
散布技術以前には巨大加速器の中で発生している超限定規模の力場とかの感覚で
空間に展開できる(「粉」「チャフ」として広域にばらまける)物というような発想自体が連邦側では技術者にすら一切無かった可能性もある
ついでにM-I反応炉自体も連邦にもあったが
艦艇未満の機動兵器に搭載できるほど小型化できたのもジオン側(というか蓑博士自体がそちらにいたので)の技術的優位があったため
映像作品ではないけど、宇宙のイシュタムという漫画でも開戦直後のその状況
(マゼランが散布領域に突っ込んで電波障害やM-I炉の状況から、ミノフスキー力場が広域に展開された、という驚愕の事態を推測する)
が詳細に描かれている
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
140 ななしのよっしん
2025/03/07(金) 13:54:17 ID: Trmn038ydu
万能粒子
141 ななしのよっしん
2025/03/13(木) 21:08:43 ID: uaaIfU4WoH
ミノ粉散布技術が戦前に存在しなかったなんて聞いたことないよ!? 本一冊だけの独自設定じゃないの?
とか思うかもしれないけど
そもそも反応炉がミノフスキー粒子に関係あるって設定がガンダムセンチュリー発
センチュリーを否定したら「連邦にも反応炉があるということはミノ粉散布技術もあるはず」という大前提自体が成立しない
何度も繰り返してるけどこれが宇宙世紀設定の厄介なところ
元々セットで作られた設定の一部を公式化して一部をしなかったりする上に、全く典拠を広めようとしないから
ほんの少し考えただけでも>>135みたいな疑問や辻褄があわない点がどんどん出て来る
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最終更新:2025/03/30(日) 15:00
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