小説家とは、わりと多くの人にとって憧れの職業である。
単に「作家」と言う場合、一般的には小説家を指す。どこからどこまでが小説家かは意見の分かれるところだが、概ね「小説を書くことで生計を立てている人」がこう呼ばれる。実際にはプロでも本業の合間に小説を書いている兼業作家が多数いるのだが、そのへんは本人が明かさない限り読者の知り得るところではない。
小説家に「編集者に『先生』と呼ばれてチヤホヤされ、1日に何枚か原稿を書くだけで印税でがっぽがっぽ儲かって左うちわ」的なイメージを(あるいはそこまでいかなくても「細々とでも年に2冊ぐらい本を出していれば人並み程度には食べている」的なイメージを)抱いている人もまだいるかもしれないが、特に近年は本が売れないのに出版点数と書き手の数だけはどんどん増えているため、「ごく一握りの売れっ子作家」と「その他の全然売れない作家」への二極化がどんどん進んでいる。長期間かけて一生懸命原稿を書いてもなかなか本にしてもらえず、ようやく本を出してもらっても初版数千部、印税が数十万円で増刷なし、売れなかったので出版社からは次の仕事はなし、というのが当たり前のようで、運良く一発当てれば大きいとはいえ、現代では基本的には夢のない職業と言わざるを得ない。
小説家になるためには、通常は公募新人賞(たとえば純文学なら文學界新人賞や文藝賞、ミステリーなら江戸川乱歩賞や鮎川哲也賞、SFならハヤカワSFコンテストや創元SF短編賞、ライトノベルなら電撃小説大賞やファンタジア大賞などなど、各ジャンルに渡ってたくさんある)に投稿して賞を獲り、受賞作が出版されてデビュー、というのが常道。ただし受賞してもなかなか本にならない賞もある。また、前述の通り新人賞を受賞してデビューしたからといってその後も本を出し続けられるとは限らず、本が売れず仕事がこなくなり投稿生活に戻らざるを得なくなる者も多い。ある作家曰く「デビューは癌告知と同じ」。そのこころは「5年生存率が問題」。なので編集者が自社の新人賞受賞者に最初にアドバイスするのは「仕事を辞めないこと」だとか。
ちなみに、賞の性質(出版社による審査から、ケータイ小説に多く見られる、一般読者による投票式など)・規模の大小・競争率の高低を考慮せずに全国の小説の新人賞を数えると、毎年100人単位でグランプリが誕生している(当たり前だが、審査員特別賞のような賞も含めるとさらに増える)。上記のような大規模かつメジャーな新人賞はもちろん非常に数少ないものであり、またその獲得者の突出した実力を十分に保証するものであるが、獲得後の競争を勝ち抜けるかどうかはまた別問題なのである。
小説家になりたい人は世の中にたくさんいる。ただし小説家になりたい人が本好きとは限らない。とにかく本を出したい人たちを狙った共同出版という詐欺まがいのビジネスが一時期流行したことも。ネット上や同人誌などで小説を発表している者も多く、いわゆるなろう系やケータイ小説もその一分野。
明治前期から戦後の高度成長期にかけては、小説の同人活動は現在よりもかなり活発であった上に新人賞の乱造もなかったため、新人賞をとらずに同人活動からメジャーになっていく小説家の方が多かった(太宰治、菊池寛など。もちろん、現在のアニメや漫画に関する同人活動とは異なる)。というか、同人活動から新聞などへ投稿する、という形がむしろ一般的であったとさえ言える。現在でも可能ではあるが、一般的ではない。
文学同人誌からのデビューというラインがほぼ消滅してからは、小説家デビューの道はほぼ公募新人賞か個人的な編集者とのコネに限られていたが、近年は公募新人賞以外にも、Web小説の連載で人気を得て書籍化という形でのデビューが当たり前のものになり、電子書籍でのセルフパブリッシングから商業出版に引き抜かれる例も珍しくない。ただしそっちも厳しい競争に晒されるのは新人賞デビューと同じであり、なろう系も結局はコミカライズ頼りというのもよく聞く話である。
小説家になりたい人向けのガイド本は山ほど存在するが、生まれて初めて書いた小説であっさりデビューしてしまう人もいれば、10年以上も投稿生活を続けてようやくデビューする人もいる。要は才能と努力と運次第であり、さらにそこから売れっ子になるにはさらなる才能と努力と運がいる。
ある小説家の言葉には、「30年書き続ければ、1本ぐらいの傑作は誰からも生まれる」とある。年数や本数の部分が度々形を変えられて引用される言葉だが、どのガイド本にも大抵「とにかく数を書いて鍛えるべき」と書いてあるように、とにかく書かないことには腕が上がらないのは間違いない(この発言の趣旨は、「1本ぐらいなら誰でも書ける。何本も傑作を生み出せるかどうかが重要」「技術なんて誰でも上げられるのだから、自分以外の小説家を越えられる他の何かが必要」というところにあるが、ここではどうでもいい)。
何にしても、現代においては「小説家になる」道は多数あり、「商業出版でデビューすること」自体は比較的容易になっている。しかしそこからこの出版不況の中「小説家として食べていく」道のりは非常に険しい。
なお、フィクションの登場人物で小説家をしている者は、ほぼ間違いなく変人として描かれる。
掲示板
58 ななしのよっしん
2023/01/09(月) 02:03:27 ID: ghN9w4svFX
59 ななしのよっしん
2023/01/21(土) 00:50:13 ID: aD9hTN52Qg
理由は分からないが小説家が政治を語るとちょっとカッコいいって思っちゃうんだよね
思想自体には共感しないが、思想に傾倒する作家個人に生々しい個性が付与される気がする
バカっぽくても間違っててもいいから、とにかく国や社会について作家が小難しい事を語るだけで
本人なりに色々考えてそうで俗世間から少し離れた人って感じがする
自分の中に「小説=ちょっと堅苦しい娯楽」ってイメージがあるせいか
政治デモへの参加って小説家にちょっと似合うけど漫画家には何か合わない気がしちゃう
新聞や週刊誌みたいな政治に近い媒体で連載されてるのも漫画じゃなくて小説だし
政治を具体的に語るには絵や映像じゃなく文字が必須だからだろうか
漫画やアニメで使われる絵や映像よりも、小説で使われる文字って政治と親和性が強そう
60 ななしのよっしん
2023/01/23(月) 23:07:51 ID: Xs6oGMRiB1
岸田はキーウに行かずに犬食をやめるのが国益とか意味不明ことを言うのが小説家なんだなと
何言ってるかよくわからないだろうけど俺もかれが何を言っているのかわからない
そこそこ売れてる小説家らしいが
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最終更新:2025/03/21(金) 20:00
最終更新:2025/03/21(金) 19:00
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