成果主義 単語


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成果主義とは、労働者賃金を与える方法に関する思想の1つである。

類似した思想として能力主義がある。多くの面で反対の性質を持つ思想として年功主義年齢主義がある。

概要

定義

成果主義とは、労働者が生み出した成果や労働者が実行した「成果に結びつく行動」を客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えようとする思想である。

ここでいう成果とは、企業なら収益を増やしたり費用を減らしたりして税引後当期純利益(利潤)を増やすことである。

性質

成果主義とは、労働者に対して成果を挙げることを推奨するものであり、労働者に対して成果を挙げることについて正の外発的動機付けを掛けるものである。

長所と短所

成果主義には長所と短所がある。本記事において『成果主義の長所』と『成果主義の短所』の各項でそれぞれ解説する。

分類

成果主義は、単純成果主義標管理成果主義過程観察成果主義の3つに分けられる。

単純成果主義は、期首に労働者標を設定せず、期末になって労働者がどれだけ成果を挙げたかを使用者客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えるものである。

標管理成果主義は、期首に労働者標を設定し、期末になってその標をどれだけ達成したのかを使用者客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えるものである。1993年富士通が導入したことで有名である。

過程観察成果主義は、労働者行動使用者が入念に観察し、使用者認定した「成果に結びつく行動」をどれだけ行ったかを客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えるものである。1996年トヨタ自動車が導入したことで有名である。

本記事において『単純成果主義』と『目標管理型成果主義』と『過程観察型成果主義』の各項でそれぞれの特徴を述べる。

親和性の高い思想

株主資本主義株主至上主義という思想がある。この思想を支持する者は、収益を減らした企業労働者賃金を減らして税引後当期純利益を維持することを支持する傾向にあり、成果主義を支持する傾向がある。

優生学優生思想という思想がある。この思想を支持する者は、劣った労働者が低額の賃金を受け取って死にやすくなることや、優秀な労働者が高額の賃金を受け取って生き残りやすくなることを強く肯定する傾向があり、成果主義を支持する傾向がある。優生学の中には「劣ったものに対しては結婚させず、優れたものだけ結婚させる」という考えがあるが、成果主義を極めると「劣った労働者に対しては結婚をあきらめる程度の安い賃金を与え、優れた労働者に対しては結婚できる程度の高い賃金を与える」ということになる。つまり成果主義は優生学の入口であり、優生学は成果主義の行き着く先である。

成果主義の長所

軍隊風の組織を作ることができる

成果主義を導入すると、使用者労働者仕事を評価するようになり、労働者賃金を増やしたり減らしたりする権力を握ることになり、使用者の権力が劇的に強くなる。

年功主義年齢主義は権力を抑制して弱体化させる思想だが、成果主義や能力主義は権力を解放して強化する思想である。年功主義年齢主義は非権力義で、成果主義や能力主義は権力義である。

成果主義を導入するとき、使用者は「労働者に対して評価を行う際に最大限努力して客観的かつ理性的に計測する」と宣言する。しかし労働者は「使用者は、労働者に対して評価を行う際に、どこかで主観的かつ情緒的かつ恣意的に判断するだろう」と感じ、使用者に対して「この者に対して反抗してはいけないし、この者の機嫌を損ねてはいけない」と考えるようになり、使用者を恐れるようになる。

プロスポーツ選手はスポーツという労働を提供してその対価として賃金を受け取る存在である。そして、スポーツには「成果や力が客観的な数字となって厳格に現れる」という性質がある。このためにプロスポーツ選手は使用者に対して「主観的かつ情緒的かつ恣意的に判断することができないだろう」と確信しやすく、成果主義を導入したときに使用者を恐れることが少ない。しかし、プロスポーツ選手は数少ない例外であり、大多数の労働者は成果主義を導入したときに使用者を恐れることが多い。

このため成果主義を導入した企業は、労働者使用者の顔色をうかがう企業になり、使用者を中心とした中央集権の組織になる。使用者に対して口答えばかりする生意気な労働者が減り、口うるさくて厄介労働者が減り、「上の言うことは絶対である」とする軍隊の組織になり、上意下達(トップダウン)が底される。

労働者の消費を抑制し投資を増やす

成果主義を導入すると、労働者が将来の賃金の安定性に確信を持てなくなり、労働者が「自分の賃金は将来に大きく減らされるかもしれない」と思うようになり、労働者が将来不安にさいなまれる。そうなると労働者は予備的貯蓄をする必要性に迫られ、倹約好みで消費嫌いの性格に変貌していく。

国家全体の限界消費性向MPCが低くなって限界貯蓄性向MPSが高くなり、消費が減って投資が増え、「クラウディングアウトの逆」となり、実質利子率が下落していく。実質利子率が下落すると、投資が増えて将来の生産設備が増え、将来の資本量が増え、将来において国家実質GDPが増え、国家する。

企業の倒産の危険性が低くなる

成果主義を導入すると、消費が減って投資が増え、「クラウディングアウトの逆」となり、実質利子率が下落していく。実質利子率が下落すると企業の利払い費用が減って企業の税引後当期純利益が増える。

また、成果主義を導入すると、使用者の権力が劇的に強くなり、労働者使用者に対しておびえるようになり、労働運動をすることが難しくなる。そうなると賃金という費用が増えにくくなり、税引後当期純利益が減りにくくなる。

また、成果主義を導入すると、企業賃金を「景気に対応する調整弁」として使うことが可になる。不景気になって業績不振に陥って収益を低下させた企業は、成果主義で労働者に難を付けて賃金という費用を一気に削減できるので、税引後当期純利益を減らしにくくなる。「企業の間で成果主義が流行るのは賃金の削減がめられる不景気の時である」と言われることがある[1]

つまり、成果主義を導入すると企業倒産の危険性が低くなり、企業倒産しにくい社会になる。

衰退産業の企業の株主が残余財産を多く受け取るようになる

あるにおいて成果主義を一般化したあとに衰退産業が発生したとする。そのとき、衰退産業の企業は成果主義のために賃金最低賃金準にまで大きく減らすことができるので、解散するときに弁済する負債が少なくなり、解散した後にへ分配する残余財産が多くなる。

衰退産業の企業が解散する前に労働者が有望産業に就職して部門間シフトが行われる。つまり、成果主義が一般化すると、財産を維持しながら部門間シフトが行われるようになる。

成果主義は企業財産権を保護する思想であり、株主資本主義に適合する思想である。

自由貿易に対応できる企業を作りやすくなる

成果主義を導入すると、使用者は「労働者を雇ったあとに企業の収益が減ったとしても成果主義を口実にして賃金という費用を最低賃金準にまで減らすことで企業を存続させられる」と思うようになり、業績を拡大して市場占有率を増やす機会に恵まれたときに積極的に労働者を雇用するようになる。そのため、市場占有率の高い大企業が増えやすくなる。

自由貿易を導入すると、企業安価海外産の商品と競争することになるので、市場占有率を高めてスケールメリットの恩恵を受けて安価な商品を生産できる体制をつくらねばならなくなる。成果主義を導入すると市場占有率の高い大企業が出現しやすくなり、スケールメリットの恩恵を受けやすくなり、自由貿易に対応しやすくなる。

年功主義年齢主義保護貿易を基調とするに適合しやすく、成果主義・能力主義自由貿易を基調とするに適合しやすい。

失業者の就職率が上がる(ただし失業率が下がるとは限らない)

あるにおいて成果主義を一般化すると、使用者が「労働者を雇ったあとに企業の収益が減ったとしても成果主義を口実にして賃金という費用を最低賃金準にまで減らすことで企業を存続させられる」と考えるようになり、雇用に対して積極的になるので、失業者の就職率が上がる。

ただし、あるにおいて成果主義を一般化すると、使用者によって労働者賃金最低賃金準にまで減らすことが可になり、労働者の待遇を一気に悪化させることが可になるので、労働者の離職率が上がる。このため成果主義を一般化したとしても失業率が下がるとは限らない。

経済学者経済の状況を測定するときに最も頻繁に使う経済統計は、実質GDPインフレ率と失業率の3つである[2]。そして、失業率は、労働者の離職率と失業者の就職率という2つの要因によって決定される[3]

中途採用労働者が企業の収益を増やす(ただし収益を減らすこともある)

あるにおいて成果主義を一般化すると、失業者の就職率が上がり、労働者の離職率が上がり、転職が増え、雇用の流動化が達成され、企業における生え抜き労働者の割合が少なくなって中途採用労働者の割合が多くなる。そうなると、企業の収益が増えることがある。

中途採用労働者は、他の会社の企業土を知っているので企業に新鮮な感覚をもたらして企業を改革することがあり、生え抜き労働者と入れ替わったときに企業の収益を増やすことがある。

また中途採用労働者は、優秀な生産技術を持っていて即戦力と呼ばれるほどの実力を持っていることがあり、生え抜き労働者と入れ替わったときに企業の収益を増やすことがある。

しかし中途採用労働者は、新たに就職した会社の企業土などの知識を持っていないなどの理由である種の生産技術をわずかにしか持っていない存在であり、生え抜き労働者と入れ替わったときに企業の収益を減らすことがある。

また中途採用労働者は、同僚や上から「この人に教育をしても簡単に離職されて損をするかもしれない」と疑われやすい存在であり、十分な教育を受けられない可性があり、生え抜き労働者と入れ替わったときに企業の収益を減らすことがある。

中途採用労働者が企業の費用を減らす(ただし費用を増やすこともある)

あるにおいて成果主義を一般化すると、失業者の就職率が上がり、労働者の離職率が上がり、転職が増え、雇用の流動化が達成され、企業における生え抜き労働者の割合が少なくなって中途採用労働者の割合が多くなる。そうなると、企業の費用が減ることがある。

中途採用労働者は、優秀な生産技術を持っていて即戦力と呼ばれるほどの実力を持っていることがあり、企業にとって教育費用を支払わずに済む存在であることがあり、生え抜き労働者と入れ替わったときに企業の費用を減らすことがある。

しかし中途採用労働者は、新たに就職した会社の企業土などの知識を持っていないなどの理由である種の生産技術をわずかにしか持っていない存在であり、企業にとって教育費用を支払わねばならない存在であり、生え抜き労働者と入れ替わったときに企業の費用を増やすことがある。

成果を出せる短期勤続労働者や低年齢労働者が我慢せずに済む

成果主義を導入すると、成果を出せる短期勤続労働者や低年齢労働者年功主義年齢主義に基づく安い賃金に押しとどめられずに高い賃金を得るようになり、慢せずに済む。

成果を追求する労働者が増えて税引後当期純利益が増える

成果主義を導入すると、成果を挙げた場合に短時間で高い賃金を得られるようになり、労働者に対して成果を挙げることについて外発的動機付けが掛けられる。そのため労働者たちが積極的に成果を挙げようとするようになり、企業の税引後当期純利益が増える可性が高まる。

成果主義の短所

労働者が使用者を恐れるようになり労働に集中しなくなる

成果主義を導入すると、使用者の権力が劇的に強くなる。そして労働者使用者に対して「この者に対して反抗してはいけないし、この者の機嫌を損ねてはいけない」と考えるようになって使用者を恐れるようになる。

会社の生産効率を高めるが使用者の機嫌を損ねることと、使用者の機嫌を取ることができるが会社の生産効率を低くすることのどちらかを選択することになった場合、迷わずに後者を選択する労働者が増え、軟弱な労働者が増える。

の顔色をうかがうとか上の機嫌をとるといった「職務から外れた行為」をする労働者が増え、労働者が労働に集中しなくなり、職務専念義務を遂行しなくなり、「労働強化の逆」が進み、企業の生産性が低くなる。

そういう企業が増えると国家全体の生産技術が劣化し、労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下がって国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

日本はダラダラと長い会議が多くて労働生産性Y/Lが低い」と盛んに摘されるが、その原因の1つは成果主義・能力主義である。日本は成果主義・能力主義によって使用者の権力が劇的に強くなっており、「使用者の機嫌を損ねても構わないから会議の時間を短くすることを提案して会社の業務を向上させよう」と考える強気な労働者が少なく、「会議の時間を長くして会社の業務を劣化させることを問題視せず使用者の機嫌をとることを優先しよう」と考える弱気な労働者が多く、そのために労働生産性Y/Lが低下している。

成果主義を導入すると使用者の権力が強くなって労働者使用者のことを気にするようになって労働へ全神経を集中させなくなることは、エドワード・L・デシの実験昔話を見ても察することができる。詳しくは本記事末尾の『エドワード・L・デシの実験や昔話』の項を参照のこと。

労働者が使用者に対して積極的情報提供権を行使できなくなる

成果主義を導入すると使用者の権力が劇的に強くなる。すると企業が「労働者賃金を変化させる権力を持つ強い使用者」と「使用者の権力に従するだけの弱い労働者」で構成される階級社会になる。

階級社会になった企業は大きな欠点に苦しむことになる。労働者使用者に対して「この者は自分と対等の存在ではないのでとても話しかけられない」と感じるようになり、労働者使用者に対して話しかけることをためらう企業になり、労働者使用者に対して積極的情報提供権(表現の自由)を行使することを遠慮する企業になり、上意下達(トップダウン)だけが発生して下意上達(ボトムアップ)が行われず情報伝達が盛んに行われない組織になり、通しの悪い企業になり、気ある労働者使用者の欠点を摘する気が損なわれた企業になり、欠点がいつまで残り続ける企業になり、発展せずに停滞する企業になる。

そういう企業が増えると情報流通が円滑に行われない国家になり、国家全体の生産技術が劣化し、労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下がって国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

年功主義年齢主義を導入すると使用者に対して労働者が意見を表明しやすくなり、民主主義の組織に近づく。一方で成果主義や能力主義を導入すると使用者に対して労働者が意見を表明しにくくなり、権威の組織に近づく。

労働者が他の労働者に対して積極的情報提供権を行使できなくなる

成果主義を導入すると、成果や「成果に結びつく行動」の量によって労働者賃金が変動するようになり、労働者間の所得格差が広がるようになる。労働者で構成される社会平等社会から格差社会になり、無階級社会から階級社会になっていく。

階級社会になった企業は大きな欠点に苦しむことになる。労働者が他の労働者に対して「この者は、自分と対等の存在ではなく自分とは出来が違う存在であるのでとても話しかけられない」と感じるようになる。労働者が「所属する階級が異なる労働者」に対して話しかけることをためらう企業になり、労働者が「所属する階級が異なる労働者」に対して積極的情報提供権(表現の自由)を行使することを遠慮する企業になり、情報伝達が盛んに行われない企業になり、通しの悪い企業になり、「見て見ぬ振り」「知らぬ存ぜぬ」「自分の知ったことではない」「関せず」という気が広がる企業になり、労働者同士がお互いの欠点を摘し合う気が損なわれた企業になり、欠点がいつまで残り続ける企業になり、発展せずに停滞する企業になる。

そういう企業が増えると情報流通が円滑に行われない国家になり、国家全体の生産技術が劣化し、労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下がって国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

労働者が他の労働者に対して嫉妬心や競争意識を持たなくなる

成果主義を導入すると、成果や「成果に結びつく行動」の量によって労働者賃金が変動するようになり、労働者間の所得格差が広がるようになる。労働者で構成される社会平等社会から格差社会になり、無階級社会から階級社会になっていく。

労働者で構成される社会階級社会になると、劣った労働者が優れた労働者に対して嫉妬の心を抱かなくなる。嫉妬には見苦しいなどの短所があるが、ライバル意識と競争心を生んで労働強化をもたらして社会を活気づけるという長所があり、絶対的な悪徳というわけではない。

次のような話がある。年功序列的と揶揄された会社にAとBが同期で入社した。AとBが入社して数年後にAの給がBの給よりも数百円だけ多くなった。Aは「自分の方が評価されている」とり切り、Bは「あいつには負けられない」と頑り、AとBが2人とも出世街道をばく進し、給の差が数百円のままで2人とも取締役にまで出世したという[4]。ここでのBの心理は「あいつに負けて悔しい」といったものだが、これは嫉妬心の一形態である。その嫉妬心が猛ライバル意識を生み、競争を煽り労働強化をもたらした。

このため、嫉妬心を失った労働者ばかりの企業は、ライバル意識や競争心を持たない労働者ばかりになり、「あいつに負けて悔しい」という気持ちを失った労働者ばかりになり、活気を失ってしまう。「労働強化の逆」が進み、生産性が低い企業になる。

そういう企業が増えると国家全体の生産技術が劣化し、労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下がって国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

労働者の労働運動が弱体化して労働者の賃金が上がりにくくなる

成果主義を導入すると、使用者の権力が劇的に強くなる。そうなると労働者使用者に対しておびえるようになり、「使用者のご機嫌伺いを優先しよう」と考えるようになり、労働運動をすることができなくなる。

ここでいう労働運動は、労働者使用者に対して賃金を上げるように要する行為のすべてをす。「労働者労働三権を行使して使用者労働協約を結ぶ」という本格的なものも含むし、「労働者使用者に聞こえるように賃金の安さを愚痴って使用者効率賃金仮説に基づいて賃金を上げるように誘導する」という簡易的なものも含む。

成果主義を導入すると、労働者の労働運動弱体化するので、賃金が上がりにくくなる。労働者賃金が上がりにくくなると労働者の消費が増えにくくなり、労働者生活準が向上しにくくなる。また、結婚率や出生率の下落が抑制されにくくなり、少子化と人口減少が抑制されにくくなる。そして、政府移民の導入に頼るようになり、国家における言語や文化の統一性が劣化しやすくなり、国家における情報の流通が円滑な状態が劣化しやすくなり、国家全体の生産技術が劣化しやすくなる。国家全体の生産技術が劣化すると労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下落し、国家落する。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

労働者の賃金が不安定になって労働者の消費が抑制される

成果主義を導入すると、労働者賃金使用者恣意的な判断で急減少する可性が発生するので、労働者が将来の賃金の安定性に確信を持てなくなり、労働者が「自分は将来に賃金を大きく減らされるかもしれない」と思うようになり、労働者が将来不安にさいなまれる。そうなると労働者は予備的貯蓄をする必要性に迫られ、倹約好みで消費嫌いの性格に変貌していき、生活準を下落させることになる。

ちなみに消費というのは生活準そのものである[5]。消費が多いと生活準が高くなって生活が豊かになるし、消費が少なくなると生活準が低くなって生活が貧しくなる。

さらには、成果主義を導入すると、大な消費が予想される結婚・子作りに踏み切る勇気労働者が持てなくなり、結婚率や出生率を下落させていき、少子化や人口減少を抑制する力を作れなくなる。人口減少が進むと政府移民の導入に頼るようになり、国家における言語や文化の統一性が劣化し、国家の中の情報の流通が円滑である状態が劣化する。国家全体の生産技術が劣化し、労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下落し、国家落する。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

クラウディングアウトを発生させられずバブル経済の発生を抑制しにくくなる

成果主義を導入すると、労働者賃金使用者恣意的な判断で急減少する可性が発生するので、労働者が将来の賃金の安定性に確信を持てなくなり、労働者が「自分は将来に賃金を大きく減らされるかもしれない」と思うようになり、労働者が将来不安にさいなまれる。そうなると労働者は予備的貯蓄をする必要性に迫られ、倹約好みで消費嫌いの性格に変貌していく。

国家全体の限界消費性向MPCが低くなって限界貯蓄性向MPSが高くなり、消費が減って投資が増え、「クラウディングアウトの逆」となり、実質利子率が下落していく。実質利子率が下落することで、実質利子率が低すぎる状態に近づき、バブル経済の発生を抑制しにくくなり、国家経済を安定させにくくなる。

実質利子率が低くなりすぎると、需要がいのに需要が有るかのように見せかけて投資から融資を騙し取る投資詐欺を行う知犯罪者が増え、過剰投資と呼ばれる状態になって不良債権が増え、バブル景気バブル崩壊の両方を作り出し、強な負の需要ショックを作り出し、長期にわたる深刻な不景気を発生させ、将来世代を苦しめる。

大企業と中小企業の格差が拡大する

成果主義を導入すると、経営者は「労働者を雇ったあとに企業の収益が減ったとしても成果主義を口実にして賃金という費用を最低賃金準にまで減らすことで企業を存続させられる」と思うようになり、業績を拡大して市場占有率を増やす機会に恵まれたときに積極的に労働者を雇用するようになる。そのため、市場占有率を大きく高める大企業が増えやすくなり、「が社は市場占有率が高いので君たちはが社の要を受け入れるしかない」と協力企業に威圧する大企業が増えやすくなる。

大企業の協力企業が、大企業に対して値上げ交渉をしにくくなり、大企業に対して価格転をしにくくなり、収益を増やしにくくなり、労働者に支払う賃金を増やしにくくなる。このため、大企業に勤める労働者と「大企業の協力企業」に勤める労働者賃金格差が拡大する。「大企業の協力企業」というのは多くの場合において中小企業であるため、大企業に勤める労働者中小企業に勤める労働者賃金格差が拡大し、格差社会階級社会に近づく。

中小企業労働者が「大企業労働者は自分とは出来が違う存在でとても話しかけられない」と考えるようになり、中小企業労働者大企業労働者に対して積極的情報提供権(表現の自由)を行使しなくなる。国家の中で情報の流通が行われにくくなり、欠点が修正されにくい国家になる。さらには国家全体の生産技術が劣化し、労働生産性Y/Lと資本生産性Y/Kと実質賃金実質資本レンタル料実質GDPのすべてが下がって国家落していく。そのことはコブ=ダグラス生産関数で簡単に計算できる。

労働者の離職率が上がる(ただし失業率が上がるとは限らない)

あるにおいて成果主義を一般化すると、使用者によって労働者賃金最低賃金準にまで減らすことが可になり、労働者の待遇を一気に悪化させることが可になるので、労働者の離職率が上がる。

ただし、あるにおいて成果主義を一般化すると、使用者が「労働者を雇ったあとに企業の収益が減ったとしても成果主義を口実にして賃金という費用を最低賃金準にまで減らすことで企業を存続させられる」と考えるようになり、雇用に対して積極的になるので、失業者の就職率が上がる。このため成果主義を一般化したとしても失業率が上がるとは限らない。

経済学者経済の状況を測定するときに最も頻繁に使う経済統計は、実質GDPインフレ率と失業率の3つである。そして、失業率は、労働者の離職率と失業者の就職率という2つの要因によって決定される。

他者に損害を与えながら成果を追求する労働者が増える

成果主義を導入すると、成果を挙げた場合に短時間で高い賃金を得られるようになり、労働者に対して成果を挙げることについて外発的動機付けが掛けられる。そのため「他者に損を与えてもいいから強引に成果を挙げよう」と考える労働者が増え、他者に損を与える労働者が増える。

成果主義を導入すると、人事権を持った管理監督労働者が「部下に損を与えてもいいから強引に成果を挙げよう」と考える可性が増え、部下を長時間労働させたり部下に無理難題を押しつけたりして部下を疲弊させる可性が高まる。

成果主義を導入すると、人事権を持たない平社員労働者が「周囲の人々に損を与えてもいいから強引に成果を挙げよう」と考える可性が増え、周囲の人々に配慮せずに行動する可性が高まる。

警察に成果主義を導入すると、警察官が「周囲の人々に損を与えてもいいから強引に成果を挙げよう」と考える可性が増え、冤罪に手を染める可性が高まる。

日本警察官は、国家公務員総合職試験を合格したキャリアと、国家公務員一般職試験を合格した準キャリアと、国家公務員試験を合格していないノンキャリアの3種類に分けられる。このうちノンキャリアは「どれだけ成果を挙げたとしても現役のうちに昇進できるのは警視正まで」という不文を課せられており、成果主義が大きく制限されている。それはなぜかというと、ノンキャリア警察官に成果主義を導入すると「強引に手柄を立てて昇進しよう」と考える者が増え、冤罪に手を染める警察官が増え、市民人権を侵する警察官が増えるからである。このため日本警察他者加害原理に従ってノンキャリア警察官の成果主義を大きく制限している。

このため成果主義の導入は周囲の人々にを与えにくい分野に限られる。個人種スポーツは周囲の人々にを与えることが少ないので成果主義を非常に導入しやすい。団体種スポーツは個人種スポーツべて周囲の人々にを与えことが多いので個人種スポーツよりも成果主義を導入しにくい。警察は周囲の人々に極めて強いを与えるので成果主義を非常に導入しにくい。

成果主義を採用する企業が多い国の特徴

転職市場が大きくなる

成果主義を採用する企業は、20代の低年齢労働者の離職率が高くて就職率が低いので、「低年齢労働者教育してもしょうがない」という考えを持つようになり、「働き盛りの30代・40代の従業員を他の企業から引き抜こう」という考えを持つようになる。つまり、人材育成を他の企業依存する傾向が強まる。

成果主義を採用する企業ばかりになったは、どこの企業も「人を教育することを他社にまかせる」とか「他社が教育した人材を引き抜く」という気を持つようになる。

そういうでは転職市場が大きくなり、転職を通じた労働者の再配置が多くなり、転職を仲介する企業かるようになる。

成果主義を導入していなかった時代の電機業界の大手企業は、各社が「同じ電機大手からは従業員を引き抜かない」という紳士協定を守っており、中途採用を全く行わなかった。しかし、1993年富士通が成果主義を導入し電機業界にも成果主義を導入した。そして1998年富士通が中途採用を始めてから電機大手企業の各社が引き抜きを始め、転職市場が大きくなっていった[6]。このように、成果主義は即戦力の引き抜きを促進して転職市場巨大化を促進するものである。

部門間シフトの際に新規ベンチャーが多く出現する

新しい産業が生まれるときにそうした産業へ労働力を円滑に移転させることは、どこのにとっても重要な課題である。つまり「部門間シフトの円滑化」「労働力の円滑な移転」「円滑な労働移動」「労働移動円滑化」はどこのにとっても重要な課題である。

成果主義を採用する企業ばかりになったは、転職を通じて労働者を再配置するという手法で対応する。新しい産業が生まれそうなときに、起業ベンチャー企業を立ち上げて転職者を雇って新しい産業に参加することが多くなる。

単純成果主義

定義

単純成果主義は、期首に労働者標を設定せず、期末になって労働者がどれだけ成果を挙げたかを使用者客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えるものである。

例その1 成果を出した労働者への臨時賞与

「あの労働者は画期的な発明をして特許を取得して使用者に多大な貢献をしたから臨時賞与を与える」といった調子で、成果を挙げた労働者に対して特別に賃金を与えることが単純成果主義の典例である。

企業に所属しつつスポーツに励んで著しい功績を挙げた労働者に対し、その成果に報いるために臨時賞与を与える」というものも単純成果主義の典例である。2010年代後半以降の日本でいくつかの例が見られる[7]

例その2 成果を出せなかった労働者を解雇すること

アメリカ合衆国日本べて解雇しやすいである。そのアメリカ合衆国企業では、成果を出せなくなった労働者をいきなり解雇することがある。これも単純成果主義の例と言える。

目標管理型成果主義との比較

単純成果主義では期首に厳密な標を設定しないが、標管理成果主義では期首に厳密な標を設定する。

単純成果主義では、使用者が成果を出した労働者に対してサプライズでいきなり臨時賞与を与えるし、使用者が成果を出さない労働者に対してサプライズでいきなり賞与の額を削る。一方で標管理成果主義では、期末に近づくにつれて労働者が自分の成果を把握できるようになるので、さほどのサプライズは発生しない。

単純成果主義は、使用者の気まぐれに振り回されるところがあり、労働者が将来の賃金を予測しにくい。標管理成果主義は、使用者の気まぐれを多少なりとも抑制する機があり、労働者が将来の賃金を予測しやすい。

目標管理型成果主義

定義

標管理成果主義は、期首に労働者標を設定し、期末になってその標をどれだけ達成したのかを使用者客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えるものである。

歴史

標管理成果主義は、1993年富士通が導入したことで有名である。他の企業でも導入が進み、2000年代前半の日本では「成果主義を導入している企業の9割以上が標管理成果主義を採用している」といわれるほどであった[8]

導入しにくい職種と導入しにくい職種がある

労働者ごとの標を設定しにくくて標管理成果主義を採用しにくい職種と、労働者ごとの標を設定しやすくて標管理成果主義を採用しやすい職種がある。

生産管理や人事や経理のような事務系の部署では、労働者標を設定しにくい。

チームワークで営業をする部署では、部署ごとの標を設定することなら可だが、労働者ごとの標を設定することが非常に難しい。

個別の労働者が営業をする部署は、個別の労働者ごとの標を設定することが容易である。「個別の労働者が販売活動をして同一の商品を同一の販売地域で売る」という形態の部署なら、標管理成果主義を導入することができる。例えばタクシー会社の中のドライバーを集めた部署である[9]

個別の労働者バラバラ力を発揮する部署というと、営業の他には研究が挙げられる。研究の部署の中で、1年以内に結果を出す短期研究を繰り返す部門なら、標管理成果主義を導入しやすい。しかし、研究の部署の中で、1年をえて長期的に研究をする部門は、標管理成果主義を導入しにくい。

短所その1 「営業の隠し球」が横行して営業の質が下がる

「個別の労働者が販売活動をして同一の商品を同一の販売地域で売る」という形態の企業標管理成果主義を導入したとする。そういう企業では「営業の隠し球」をする営業部門労働者が増える。

隠し球野球用語である。野球において内野手隠し球をするときのように営業部門労働者が「契約にまで進みそうな顧客」の存在をひた隠しにして、期首に標を設定した後になって契約を結んで標を達成したとすることを「営業の隠し球」という[10]

営業の隠し球の欠点は、営業部門労働者秘密義になり、上の忠告を受けずに全くの単独で営業活動を進めるようになり、営業の質が下がり、会社の業務に悪を及ぼすところである。そもそも労働というものは、経験を積んだ上監督や忠告を受けつつ自らの足りないところを上の忠告によって修正して品質を向上させながら行うべきものであるのだが、そうしたことが行われなくなって労働の質が下がる。

短所その2 目標を遂行することに集中してそれ以外のことを怠るようになる

標管理成果主義を導入して「標を達成すると賃金が上がって標を達成しないと賃金が下がる」という精神状態に労働者を追い込むと、労働者標を遂行する以外のことを積極的に行わなくなる。

後輩導したり、同僚に問題点を摘したり、上に職場の問題点を報告したりすることを行わなくなり、教育情報提供を行わなくなる。社内で情報が流通せず、通しの悪い会社になり、欠点が残り続ける会社になり、発展せずに停滞する会社になる。

期首に標を設定したときには存在することに気付かなかったが仕事を進めていくうちに存在することに気付かされる業務のことを隙間業務という。標管理成果主義を導入するとこうした隙間業務をもが避けるようになる[11]

短所その3 成果が出やすい部署と成果が出にくい部署の格差が発生する

標管理成果主義を導入すると、売れ筋の商品を扱う部署において営業標を立てて達成することが簡単になるが、地味な商品を扱う部署において営業標を立てて達成することが難しくなる。地味な商品というと「アフターサービス」「修理サービス」といったものが代表例である。

地味な商品を扱う部署に回された労働者は、「自分の賃金が上がらない」と考えて士気を大いに落とすようになり、地味な商品を扱う部署の生産力が落ちる。

そういう企業は顧客から「地味な商品を雑に扱っているので駄企業である」と扱われるようになり、顧客から好かれなくなる。

過程観察型成果主義

定義

過程観察成果主義は、労働者行動使用者が入念に観察し、使用者認定した「成果に結びつく行動」をどれだけ行ったかを客観的に計測して数量化し、そうして得られた数量に応じて労働者賃金を与えるものである。

導入企業

1996年トヨタ自動車が導入したことで有名である。同社では「部下を教育すること」も「成果に結びつく行動」と認定しており、過程観察成果主義によって教育が盛んになるように誘導している。

エドワード・L・デシの実験や昔話

エドワード・L・デシの実験

心理学者のエドワード・L・デシは、次の実験を行った[12]

複数の大学生を集めておき、大学生にとって十分に面い内容のパズルを用意する。そして、実験室に大学生を1人入れてパズルを解かせつつ休憩時間を与えることを条件を変えて繰り返す。

大学生Aに対して「パズルを解いても金銭的報酬を与えない」と告げて実験に参加させたら、その大学生Aは休憩時間も面がってパズルを解き続けた。

一方で、大学生Bに対して「パズルを解くことに金銭的報酬を与える」と告げて実験に参加させたら、その大学生Bは休憩時間に休むようになり、大学生Aにべて休憩時間の中でパズルを解く時間が少なくなったという。

エドワード・L・デシの昔話

またエドワード・L・デシは、1975年の論文の中で次のような話を紹介した。

第一次世界大戦後、ユダヤ人排斥の空気が強い米国南部の小さな町で、一人のユダヤ人抜き通りに小さな洋の仕立屋を開いた。すると嫌がらせをするためにボロをまとった少年達が店先に立って「ユダヤ人ユダヤ人!」と彼をやじるようになってしまった。困った彼は一計を案じて、ある日彼らに「私をユダヤ人と呼ぶ少年には1ダイム(=10セント硬貨)を与えることにしよう」と言って、少年達一人ずつに硬貨を与えた。戦利品に大喜びした少年達は、次の日もやってきて「ユダヤ人ユダヤ人!」と叫び始めたので、彼は「今日は1ニッケル(=5セント硬貨)しかあげられない」と言って、再び少年達に硬貨を与えた。その次の日も少年達がやってきて、またやじったので、「これが精一杯だ」と言って今度は1ペニー(=1セント硬貨)を与えた。すると少年達は、2日前の十分の一の額であることに文句を言い、「それじゃあ、あんまりだ」と言ってもう二度と来なくなった。

-『虚妄の成果主義(日経BP社)高橋伸夫』33~34ページより引用。著書の高橋伸夫は、エドワード・L・デシの1975年論文を引用して多少手を加えている-

エドワード・L・デシの説明

エドワード・L・デシは、実験昔話で外的報酬を与えられた人のやる気が失われたことについて次のように説明している。

あらゆる外的報酬は二つの側面をもっている。すなわち、①それを提供することで、受け手の行動を統制し、特定の活動に従事させ続けることを狙いとしている統制的側面と、②報酬の受け手に彼もしくは彼女が自己決定的で有能であることを伝える情報的側面である。(a)もし受け手にとって統制的側面がより顕現的であれば、自己決定の感覚が弱まり、外的報酬を獲得するために活動に従事していると知覚し始める。(b)もし情報的側面がより顕現的であれば、自己決定と有能さの感覚が強まる。

-『虚妄の成果主義(日経BP社)高橋伸夫』168~169ページより引用。著書の高橋伸夫は、エドワード・L・デシの1975年論文を引用して多少手を加えている-

エドワード・L・デシの言葉を要約すると次のようになる。金銭的報酬など外的報酬は、人の行動を統制する側面と、人に「自分は有能である」と気付かせる側面がある。人の行動を統制する側面が強まると、人に「自分は有能である」と気付かせる側面が弱まってしまう。

権力仮説

エドワード・L・デシの実験昔話において外的報酬を与えられた人のやる気が失われたことの原因について、数多くの仮説が考えられるのだが、その中から1つを紹介すると次のようになる。

エドワード・L・デシの実験の中で、実験者が被験者に対して金銭的報酬を与えることを宣告した間に、被験者が「賃金について決定する権力を持たない弱い労働者」になって実験者が「賃金について決定する権力を持つ強い使用者」になった。

エドワード・L・デシの昔話の中で、少年に対してユダヤ人仕立屋が金銭的報酬を与えた間に、少年が「賃金について決定する権力を持たない弱い労働者」になってユダヤ人仕立屋が「賃金について決定する権力を持つ強い使用者」になった。しかも、ユダヤ人仕立屋は日ごとに賃金を改定し、少年に対して「君たちに賃金を決定する権力はない」と印づけた。

権力を持たない弱い存在は、権力を持つ強い存在を恐れるものであり、権力を持つ強い存在を意識すると緊ストレスを感じるものである。

エドワード・L・デシの実験に参加した被験者の大学生も、金銭的報酬を与えられることを宣告された間に「自分は権力を持たない弱い存在である」と直感し、緊ストレスを感じた。そうした緊ストレスから逃れるため、パズルを解いた後に休憩をするようになった。

エドワード・L・デシの昔話に登場する少年も、金銭的報酬をもらった間に「自分は権力を持たない弱い存在である」と直感し、緊ストレスを感じた。そうした緊ストレスから逃れるため、ユダヤ人仕立屋から賃金をもらうことを中止した。

こうした考え方は「権力仮説」とでも呼ぶことができる。

関連項目

脚注

  1. *『虚妄の成果主義(日経BP社)高橋伸夫』13ページ・90ページ、『内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊(光文社繁幸』214ページ・227ページ、『やる気を引き出す成果主義 ムダに厳しい成果主義(青春出版社)野田稔』12ページ
  2. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』5ページ、26ページ
  3. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー220~223ページ
  4. *『虚妄の成果主義(日経BP社)高橋伸夫』35ページ
  5. *マンキュー マクロ経済学 応用編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』の3ページに次の文章がある。・・・「祖父が若かった頃の生活がどのようなものだったか聞いたことのある人は、経済成長に関する重要な教えを学んだに違いない。その教えとは、ほとんどの々において、大半の家族が時代とともに物質的な生活準を大幅に改善してきたということである。この進歩は所得の増加によるものであり、それによって人々はより多くの量の財・サービスを消費できるようになった。」・・・マンキュー教科書のこの文章は「実質GDP(所得)が増加するとそれを原因として消費が増えて生活準が上がる」ということを摘する内容である。
  6. *『内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊(光文社繁幸』22~23ページ
  7. *2020年東京オリンピックフェンシング団体競技で金メダルを獲得した見延和靖選手に対して、所属先のネクサスが報奨金1億円を払った(記事exit)。2018年男子マラソン日本記録更新した設楽悠太選手に対し、日本実業団陸上連合が報奨金1億円を払い、所属先のホンダも高級を贈呈した(記事1exit記事2exit)。
  8. *日本 「成果主義」の可性(東洋経済新報社)繁幸』62ページ
  9. *日本 「成果主義」の可性(東洋経済新報社)繁幸』86ページ
  10. *『内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊(光文社繁幸』81ページ、200ページ
  11. *『内側から見た富士通 「成果主義」の崩壊(光文社繁幸』62~63ページ
  12. *『虚妄の成果主義(日経BP社)高橋伸夫』30~31ページ
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掲示板

  • 3 ななしのよっしん

    2024/10/17(木) 08:29:41 ID: +HmD4EXpHr

    年功序列年齢というもが客観視できるものを標にしてるけど成果なんか評価者が成果じゃないと言ってしまえばそれまで
    まともな評価体制を作らないことでこの使用側の体制は揺るぎないものになる
    独裁者に必要なのは何かを通したりする権ではなく何でも拒否できる権利なのと一緒だね

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  • 4 ななしのよっしん

    2025/03/30(日) 11:27:03 ID: vbt/7aIN4G

    ちゃんとした評価体制を作って成果主義を実践してる会社だけが生き残れる
    適当なことをしてる会社は倒産して淘汰される

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  • 5 ななしのよっしん

    2025/05/18(日) 22:45:40 ID: nRYRVKF+tZ

    成果主義だとみたいなは切り捨てられるから困る

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