実質利子率 単語

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実質利子率real interest rate)とは、経済学の言葉である。関連性の高い言葉は名目利子率である。

概要

定義

実質利子率とは、名目利子率からインフレーションを除去した数値である[1]

表記

実質利子率は年率の分率で示すことが一般的である。

経済学ではしばしば実質利子率をrと表記する。

1年間の金銭貸し付けで購買力がどれだけ膨張するかの計算に使う

1年間の金銭貸し付けをすると、元金が膨して「元金利子を足したお金」に変化し、「元金が持っている購買力」が1年でQ倍に膨して「元金利子を足したお金が持っている購買力」に変化する。

そのQを計算するには実質利子率を使う。

Q=1+実質利子率r×0.01  ※rは年率の分率

実質利子率が年率4とすると、Qは1.04になる。

計算

実質利子率は名目利子率インフレ率から計算できる。

実質利子率を簡単に計算するときは経済学者アーヴィング・フィッシャーの考案したフィッシャー方程式を使う[2]

フィッシャー方程式

実質利子率r=名目利子率i-インフレπ

※rもiもπも、年率で分率の表示である。

実質利子率を正確に計算するときは厳密な方程式を使う[3]

実質利子率の厳密な方程式

(1+実質利子率r×0.01)=(1+名目利子率i×0.01)÷(1+インフレπ×0.01)

実質利子率r={(1+名目利子率i×0.01)÷(1+インフレπ×0.01)-1}×100

※rもiもπも、年率で分率の表示である。

実質利子率の厳密な方程式解説すると次のようになる。1年間の金銭の貸し借りにより所持する金額が(1+名目利子率i×0.01)倍だけ変化したが、1年間のインフレーションにより通貨価値が1÷(1+インフレπ×0.01)倍だけ変化した。ゆえに(1+名目利子率i×0.01)÷(1+インフレπ×0.01)で、金額の変化からインフレーションを除去し、購買力の変化すなわち(1+実質利子率r×0.01)を得ることができる。つまり実質利子率の厳密な方程式は「購買力の変化(1+実質利子率r×0.01)=金額の変化(1+名目利子率i×0.01)×通貨価値の変化{1÷(1+インフレπ×0.01)}」という意味である。

エクセルオープンオフィスといった表計算ソフトを使っている人が、B1のセル名目利子率i()、B2のセルインフレπ)を入れるとする。フィッシャー方程式を使って計算される実質利子率r()は「=B1-B2」で表示される。厳密な方程式を使って計算される実質利子率r()は「=((1+B1*0.01)/(1+B2*0.01)-1)*100」で表示される。

フィッシャー方程式で得られる実質利子率は近似の数値でしかないが、名目利子率iやインフレπが年率で20未満ならかなり正確な近似になる[4]

事前実質利子率と事後実質利子率

実質利子率には2種類が存在する[5]

片方は事前的実質利子率と呼ばれ、ある時点において予測される将来の実質利子率である。お金の貸し借りの契約(金銭貸借消費契約)を結ぶときに想定する実質利子率は事前的実質利子率である。事前的実質利子率を計算するときはインフレπではなく期待インフレ率Eπを使う。

もう片方は事後的実質利子率と呼ばれ、ある時点において検証される過去の実質利子率である。過去経済の分析をするときには事後的実質利子率を考える。事後的実質利子率を計算するときはインフレπを使う。

令和X年1月1日において、名目利子率が5で将来1年間の期待インフレ率が3.5だとする。そして、令和X+1年1月1日になったら過去1年間のインフレ率が3であることが分かったとする。令和X年1月1日から令和X+1年1月1日までの事前的実質利子率は「5-3.5=1.5」と計算して1.5になり、事後的実質利子率は「5-32%」と計算して2%になる。

予想通りのインフレなら、期待インフレ率インフレ率が全く同じになり、事前的実質利子率と事後的実質利子率が全く同じになり、金銭債務者の費用と金銭債権者の収益が全く予想通りになる。

インフレが予想以上に進んで期待インフレ率よりもインフレ率の方が高くなると、事前的実質利子率(名目利子率期待インフレ率)が高くて事後的実質利子率(名目利子率インフレ率)が低くなり、金銭債務者の費用が減って金銭債権者の収益が減り、金銭債務者が予想よりも得をして金銭債権者が予想よりも損をする[6]

インフレが予想以上に沈静化して期待インフレ率よりもインフレ率の方が低くなると、事前的実質利子率(名目利子率期待インフレ率)が低くて事後的実質利子率(名目利子率インフレ率)が高くなり、金銭債務者の費用が増えて金銭債権者の収益が増え、金銭債務者が予想よりも損をして金銭債権者が予想よりも得をする。

性質その1 お金の貸し借りに影響を与え、元本の大きさに影響を与える

実質利子率はお金の貸し借りにを与え、元本の大きさにを与える。

実質利子率は、お金の借り手(金銭債務者)にとって元本に対する費用の率となり、お金の貸し手(金銭債権者)にとって元本に対する収益の率となる。

お金の借り手は、利子の支払いを費用に計上し、「収益-費用-法人税など=税引後当期純利益=利益剰余金追加金」で計算できる利益剰余金追加金の中の一部を元本の返済のために積み立てる。

実質利子率が高くなると、お金の借り手にとって利子の支払いという費用が増えて利益剰余金追加金が減るので、お金の借り手は元本の返済の資金を積み立てにくくなって元本の金額を小さくする必要に迫られる。

実質利子率が低くなると、お金の借り手にとって利子の支払いという費用が減って利益剰余金追加金が増えるので、お金の借り手は元本の返済の資金を積み立てやすくなって元本の金額を大きくすることが可になる。

性質その2 投資に影響を与え、投資財の購入量の大きさに影響を与える

実質利子率はお金の借り入れにを与えて元本の大きさにを与えるので、投資を与えて投資財の購入量の大きさにを与える。

投資とは財を購入して長期間にわたって少しずつ破壊しつつ使用する行為であり、長期間にわたって使用される頑丈で立な財を購入する行為であり、購入の金額が大きいことがほとんどである。投資は、お金を借り入れて長期間にわたって返済する行為を伴うことが極めて多く、お金の借り入れと密接な関係がある。

実質利子率が高くなると、お金の借り手にとって利子の支払いという費用が増えて利益剰余金追加金が減るので、お金の借り手は元本の返済の資金を積み立てにくくなって元本の金額を小さくする必要に迫られる。そして、投資財の購入量を小さくすることを強いられる。あるいは、少量の手間を掛けて作られる低級な投資財を購入することを強いられる。

実質利子率が低くなると、お金の借り手にとって利子の支払いという費用が減って利益剰余金追加金が増えるので、お金の借り手は元本の返済の資金を積み立てやすくなって元本の金額を大きくすることが可になる。そして、投資財の購入量を大きくすることが可になる。あるいは、大量の手間を掛けて作られる高級な投資財を購入することが可になる。

性質その3 家賃の高さに影響を与える

投資財の中で最も典的なものは賃貸住宅である。このため実質利子率は賃の高さにを与える。

賃貸住宅提供企業は、お金を借りて住宅という投資財を購入し、それから消費者に居住サービスを販売しつつ賃という収益を得ている。

実質利子率が高くなると、賃貸住宅提供企業にとって利子の支払いという費用が増えて利益剰余金追加金が減るので、賃貸住宅提供企業は元本の返済の資金を積み立てにくくなって元本の金額を小さくする必要に迫られる。そして、賃貸住宅提供企業は住宅の購入量を小さくする必要にも迫られる。賃貸住宅提供企業の所有する住宅が少なくなるので、タテ軸賃・ヨコ軸住宅量のモデルにおいて、住宅供給曲線が左に行移動し、均衡点が右肩下がりの住宅需要曲線に沿って左上に移動し、賃が上昇する。

実質利子率が低くなると、賃貸住宅提供企業にとって利子の支払いという費用が減って利益剰余金追加金が増えるので、賃貸住宅提供企業は元本の返済の資金を積み立てやすくなって元本の金額を大きくすることが可になる。そして、賃貸住宅提供企業は住宅の購入量を大きくすることが可になる。賃貸住宅提供企業の所有する住宅が多くなるので、タテ軸賃・ヨコ軸住宅量のモデルにおいて、住宅供給曲線が右に行移動し、均衡点が右肩下がりの住宅需要曲線に沿って右下に移動し、賃が下落する。

国家の中の実質利子率

国家の中で政府の実質利子率が基準となる

国家の中にはお金の借り手が多く存在していて、借り手の信用リスクによって様々な実質利子率が存在している。ただし、「政府の信用リスクが最も低い」とみなされており、政府お金の借り手になったときの実質利子率が最も低い。

国家の中で実質利子率は次のように決まる。政府の実質利子率を基準とする。企業計に対してそれぞれの信用リスクに従ってリスクプレミアムを個別に設定する。政府の実質利子率に個別のリスクプレミアムを足し、企業計の実質利子率を決定する。

国家Aがあり、政府を強く受ける中央銀行が発行する不換銀行券通貨に採用しているとする。そうしたの代表例は日本アメリカ合衆国イギリススイス中国ロシアなどである。

国家Aの中で最も低い実質利子率に従ってお金を借りているのは政府である[7]。「国家Aの政府には債務不履行リスクが全く存在せず、信用リスクゼロである」とみなされているからである。

国家Aの中で財務的に安定している企業計は「政府ほどではないが債務不履行リスクが低くて信用リスクが小さい」とみなされ、政府べてすこし高いだけの実質利子率でお金を借りることができる。

国家Aの中で財務的に安定していない企業計は「債務不履行リスクが高くて信用リスクが大きい」とみなされ、政府べてずっと高い実質利子率でお金を借りることを強いられる。そうした企業が発行する社債はジャンク債(junk bond がらくた債券)と呼ばれる。

国家Bがあり、政府を受けない中央銀行が発行する不換銀行券通貨に採用しているとする。そうしたの代表例は統合通貨ユーロを採用するであり、ドイツフランススペインイタリアなどである。

国家Bにおいても、政府の実質利子率が最も低く、財務的に安定している企業計は政府べてすこし高いだけの実質利子率になり、財務的に安定していない企業計は政府べてずっと高い実質利子率になる。国家Bの政府には徴税の権力があり、いざとなったら内の企業計から通貨を強制的に徴収できるから、「国家Bのなかで信用リスクが最も低い」と見なされる。

政府の実質利子率の中で短期金利が基準となる

政府の実質利子率は期間によって分類される。

日本政府お金を借りるときは国債を発行するが、最も短期の国債は支払期日が2ヶ後の国庫短期証券であり、最も長期の国債は支払期日が40年後の長期国債である。

貸付の利子率は期間に依存し、例外もあるが、通常は長期利子率の方が短期利子率よりも高い[8]。言い換えると、長期金利の方が短期金利よりも高い。

長期金利の決まり方には3つほどの学説があるが、そのうちの2つは、「長期金利短期金利を基礎として算出する」というものであり、「短期金利長期金利を与える」というものである。その2つの学説に従い、政府の実質利子率の中で最も短期のものを政府の実質利子率の基準と扱うことが多い。

政府の実質利子率をその国の実質利子率の代表とする

国家において、政府の実質利子率がすべての企業計にとって実質利子率の基準になる。国家において、政府の実質利子率が変動するとそれに応じてすべての企業計の実質利子率が変動する。

国家Cにおいて、政府の実質利子率を「国家Cの実質利子率」と表現することが慣例である。

大国開放経済の国が2つあり実質利子率に差があるとキャリートレードが発生する

国家Dの実質利子率が2%で、国家Eの実質利子率が1で、どちらも大国開放経済であるとする。

その場合は国家Eを起点とするキャリートレードが発生する。国家Eにおいて政府の実質利子率1リスクプレミアムを加えた実質利子率でE通貨を借り、そのE通貨をD通貨に両替し、国家Dにおいて政府の実質利子率2%リスクプレミアムを加えた実質利子率でD通貨を貸し付ける。

閉鎖経済の国における実質利子率の決定

長期の閉鎖経済の国における実質利子率の決定を投資資金モデルで説明する

物価やインフレ率や期待インフレ率が硬直的で一定を保つ期間のことを短期といい、物価やインフレ率や期待インフレ率が伸縮的で変動する期間のことを長期という。

長期の閉鎖経済における実質利子率の決定は、タテ軸実質利子率r・ヨコ軸投資資金Iの投資資金モデルで説明できる。

投資資金需要曲線は右肩下がりである[9]。実質利子率rが高くなって利子の支払いという費用が増えると、「収益-費用-法人税など=税引後当期純利益=利益剰余金追加金」で計算できる利益剰余金追加金が減り、利益剰余金追加金を使って元本の返済の資金を積み立てることが難しくなり、元本の金額を小さくする必要に迫られ、投資資金Iを少なく借り入れるようになる。実質利子率rが低くなって利子の支払いという費用が減ると、「収益-費用-法人税など=税引後当期純利益=利益剰余金追加金」で計算できる利益剰余金追加金が増え、利益剰余金追加金を使って元本の返済の資金を積み立てることが易しくなり、元本の金額を大きくすることができ、投資資金Iを多く借り入れるようになる。

投資資金供給曲線は、どれだけ実質利子率rが上昇しても限界貯蓄性向MPSや限界消費性向MPCが一定のままの民ばかりのなら垂直線になり[10]、実質利子率rが上昇すると限界貯蓄性向MPSが増えて限界消費性向MPCが減る民が多いなら右肩上がりになる[11]入門者向けの経済学教科書では話を単純化させるために前者の状態で描かれる。

投資資金供給曲線は「投資Iへ向けられる資金」の供給を示す曲線であり、「Y-G-C-CF曲線」と呼ぶことができる。全な閉鎖経済なら「Y-G-C曲線」と呼ぶことができる。

国家全体の資金(総所得Y、実質GDP)」から「政府購入Gに向けられる資金」と「消費Cに向けられる資金」と「純資本流出CFに向けられる資金」を引くと、「投資Iへ向けられる資金」を得られる。つまりY-G-C-CF=Iである。全な閉鎖経済純資本流出CFゼロなので、「投資Iへ向けられる資金」はY-G-C=Iと計算することができる。

政府購入Gや消費Cが増えると、「政府購入Gに向けられる資金」や「消費Cに向けられる資金」が増えるので、そので「投資Iへ向けられる資金」が減り、投資資金供給曲線すなわちY-G-C-CF曲線が左に行移動し、均衡点が右肩下がりの投資資金需要曲線に沿って左上に移動し、実質利子率rが上昇して投資資金Iが減る。このことをクラウディングアウトという。

政府購入Gや消費Cが減ると、「政府購入Gに向けられる資金」や「消費Cに向けられる資金」が減るので、そので「投資Iへ向けられる資金」が増え、投資資金供給曲線すなわちY-G-C-CF曲線が右に行移動し、均衡点が右肩下がりの投資資金需要曲線に沿って右下に移動し、実質利子率rが下落して投資資金Iが増える。

技術革新が進んだり、投資財を購入する人への減税をしたりすると、投資財への需要が増えて、投資資金への需要も増えるので、投資資金需要曲線が右に行移動し、均衡点が投資資金供給曲線に沿って上に移動して、実質利子率rが上昇する[12]

技術革新が止まったり、投資財を購入する人への増税をしたりすると、投資財への需要が減って、投資資金への需要も減るので、投資資金需要曲線が左に行移動し、均衡点が投資資金供給曲線に沿って下に移動して、実質利子率rが下落する。

長期の閉鎖経済の国における実質利子率の決定を投資財モデルで説明する

長期の閉鎖経済における実質利子率の決定は、タテ軸実質利子率r・ヨコ軸投資財Iの投資モデルで説明できる。前項投資資金モデルとほとんど同じである。

投資財需要曲線は右肩下がりである。実質利子率rが高くなって利子の支払いという費用が増えると、「収益-費用-法人税など=税引後当期純利益=利益剰余金追加金」で計算できる利益剰余金追加金が減り、利益剰余金追加金を使って元本の返済の資金を積み立てることが難しくなり、元本の金額を小さくする必要に迫られ、投資資金Iを少なく借り入れるようになり、投資財Iを少なく購入するようになる。実質利子率rが低くなって利子の支払いという費用が減ると、「収益-費用-法人税など=税引後当期純利益=利益剰余金追加金」で計算できる利益剰余金追加金が増え、利益剰余金追加金を使って元本の返済の資金を積み立てることが易しくなり、元本の金額を大きくすることができ、投資資金Iを多く借り入れるようになり、投資財Iを多く購入するようになる。

投資財供給曲線は、垂直線になったり右肩上がりになったりする。入門者向けの経済学教科書では話を単純化させるために前者の状態で描かれる。

投資財供給曲線は「投資Iへ向けられる供給力」を示す曲線であり、「Y-G-C-NX曲線」と呼ぶことができる。全な閉鎖経済なら「Y-G-C曲線」と呼ぶことができる。

国家全体の供給力(総生産Y、実質GDP)」から「政府購入Gに向けられる供給力」と「消費Cに向けられる供給力」と「純輸出NXに向けられる供給力」を引くと、「投資Iへ向けられる供給力」を得られる。つまりY-G-C-NX=Iである。全な閉鎖経済純輸出NXゼロなので、「投資Iへ向けられる供給力」はY-G-C=Iと計算することができる。

政府購入Gや消費Cが増えると、「政府購入Gに向けられる供給力」や「消費Cに向けられる供給力」が増えるので、そので「投資Iへ向けられる供給力」が減り、投資財供給曲線すなわちY-G-C-NX曲線が左に行移動し、均衡点が右肩下がりの投資財需要曲線に沿って左上に移動し、実質利子率rが上昇して投資財Iが減る。このことをクラウディングアウトという。

政府購入Gや消費Cが減ると、「政府購入Gに向けられる供給力」や「消費Cに向けられる供給力」が減るので、そので「投資Iへ向けられる供給力」が増え、投資財供給曲線すなわちY-G-C-NX曲線が右に行移動し、均衡点が右肩下がりの投資財需要曲線に沿って右下に移動し、実質利子率rが下落して投資財Iが増える。

技術革新が進んだり、投資財を購入する人への減税をしたりすると、投資財への需要も増えるので、投資財需要曲線が右に行移動し、均衡点が投資財供給曲線に沿って上に移動して、実質利子率rが上昇する。

技術革新が止まったり、投資財を購入する人への増税をしたりすると、投資財への需要も減るので、投資財需要曲線が左に行移動し、均衡点が投資財供給曲線に沿って下に移動して、実質利子率rが下落する。

短期の閉鎖経済の国における実質利子率の決定

短期の閉鎖経済における実質利子率は、名目利子率されて決定される。名目利子率iがαだけ変化すると、短期において物価Pやインフレπ期待インフレ率Eπが硬直的であり一定を保つから、「名目利子率i-期待インフレ率Eπ=実質利子率r」で計算される実質利子率もαだけ変動する。

短期の閉鎖経済における名目利子率は、マネーサプライMや実質GDPによって決定される。詳しくは名目利子率の記事を参照のこと。

閉鎖経済の国における実質利子率の決定について短期と長期で比較

短期の閉鎖経済において、物価Pやインフレπ期待インフレ率Eπが硬直的であり一定を保つから、名目利子率が決定されることで実質利子率が決定される。

長期の閉鎖経済において、物価Pやインフレπ期待インフレ率Eπが伸縮的であり変動するから、名目利子率が決定されることで実質利子率が決定されるわけではない。タテ軸実質利子率r・ヨコ軸投資資金Iの投資資金モデル投資資金需要曲線投資資金供給曲線が交わるところが実質利子率となる。実質利子率が決定されてから、それにインフレπ期待インフレ率Eπを加えることで名目利子率が決定される。このことをフィッシャー効果という[13]

短期の閉鎖経済において、「名目利子率i-期待インフレ率Eπ=実質利子率r」という公式の左辺が決まってから右辺が決まる。

長期の閉鎖経済において、「実質利子率r+期待インフレ率Eπ名目利子率i」という公式の左辺が決まってから右辺が決まる。

実質利子率は、短期において投資資金市場の均衡値から乖離することがあるが、長期において投資資金市場の均衡値に回帰していく。

関連項目

脚注

  1. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』88ページ
  2. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー128ページ
  3. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー128ページ
  4. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー128ページ
  5. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー131132ページ
  6. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』141ページ
  7. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』87ページ
  8. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』87ページ
  9. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』93ページ
  10. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』92ページ
  11. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』99~100ページ
  12. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』98ページ
  13. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー129ページ
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