さくら学院(さくらがくいん)とは、日本のアイドルユニットである。株式会社アミューズ所属。
「学校と部活動をテーマにした成長期限定ユニット」というコンセプトのアイドルユニット。
メンバーは小学校5年生から中学3年生に限られ、中学3年生の義務教育終了とともにさくら学院を卒業しなければならないという「鉄の掟」がある。
「学校」というコンセプトに徹底的にこだわり、本当の学校のように授業と季節の行事を繰り返しながら、教師と生徒が人間関係の中で成長する様子をドキュメンタリーかつエンターテイメントとして提供している。
また「部活動」として多数のサブユニットが活動してきた。特に『重音部 BABYMETAL』は、最終的にさくら学院から独立して、世界的なメジャーアーチストにまで成長した。
小中学生のアイドルユニットではあるが、そのダンススキルは日本のアイドルの中でもトップクラスであり、歌唱力や演技、お笑いやトークの技術においても、アイドルとしては高い実力を持つメンバーがいる。
さくら学院のファンは「父兄」と呼ばれる。実際に中高年の男性が多いが、女性でもメンバーと同年代の学生でも「父兄」と呼ばれる。
さくら学院のメンバーは開校(結成)以来、常に偶数となっている。2010年の開校時は8名。初ライブは10名で行われ、2011年度以降は、2014年度の10人を除いて常に12人体制で運営されている。
さくら学院の生徒(メンバー)は共に学び成長する仲間であるとともに、ダンスや歌唱のポジションを競うライバルであることから、ライバルであり、かつ親友であるというコンセプトがダンスの振り付けや歌詞に頻繁に織り込まれている。
これは、実際に生徒達の活動の様子を職員室(マネージャー陣)が観察し、その様子を作詩家に伝えて、さくら学院の世界観を構築した結果であるが、同時に生徒達もさくら学院の歌を歌い踊ることで、その世界観を自分たちの人生観に深く刻み込んでいく。
そして、代表曲『FRIENDS』のサビにある「ライバルと親友の顔を持つふたりだから」というフレーズを体現するような、多くのペアがさくら学院の歴史の中で多数生まれ、偶数メンバーならではのペアダンスの振り付けが、歌詞と相まって感動を作り出している。
2008年から2009年にかけて期間限定で活動した小学生女子3人組ユニット『可憐Girl's』のメンバーが、期間限定であるが故に短期間で感動的な成長を遂げたことにをヒントに、期間限定にすることで少女の成長と感動を見せることを売りにしたアイドルユニットとして、『さくら学院』が企画された。
また2009年にTBS系動画サイトで流された教育番組『新しいこども番組』のコンセプトや知見も後にさくら学院に活かされることになる。
2009年から1年間かけてアミューズキッズ内で、参加メンバーを入れ替えながらオーディションを兼ねた練習が行われ、初期メンバー10人が決定した。
『可憐Girl's』からは、武藤彩未と中元すず香が参加し、当時すでにドラマやCMで活躍し始めていた三吉彩花、雑誌『ニコラ』のオーディションでグランプリを獲ったばかりの松井愛莉、食をテーマにした小学生アイドルユニット『ミニパティ』の3人(堀内まり菜、飯田來麗、杉崎寧々)、ドラマ『ハガネの女』などに出演していた子役の佐藤日向、雑誌『ちゃお』のオーディションで小2で準グランプリを獲った菊地最愛、モデルやCM出演をしていた水野由結、というメンバーだった。
ただし、最年少の菊地最愛、水野由結は、結成段階では正式メンバーには入らなかった。
2010年4月に、メンバー8人で結成。2010年8月7日の『TOKYO IDOL FESTIVAL 2010 @Shinagawa』で、菊地と水野が「転入生」として加入し、10人で初ライブを行なった。
2010年11月28日、横浜赤レンガ倉庫で初のワンマンライブ『さくら学院祭☆2010』を開催。
2010年12月8日、デビューシングル『夢に向かって/Hello ! IVY』発売。
2011年11月23日 『さくら学院 オープンキャンパス 学校説明会』が開催され、放送作家兼ミュージシャンであり『新しいこども番組』で教師役も務めた倉本美津留氏が校長に就任。「アイドルを超えたスーパーレディー」を目指す七ヶ条の校則が発表され、公開授業も開始され、さくら学院の基本フォーマットが確立した。
さくら学院は三大行事と定義されたワンマンライブを行う。三大行事はすべて着席限定となっている。
毎年5月のGWの終わり頃に開催される。ライブの合間に新メンバーである「転入生」のお披露目を兼ねたHR(ホームルーム)コントと、生徒会の役職を発表する「生徒総会」が行われる。
HRコントの前には、転入生が入る前の人数が欠けた状態でライブが行われる。人数は少ないが、全員が前年度の卒業式を経てスキルアップしたあとなので、見応えのある貴重なライブである。
転入生の紹介が終わった後の1曲目は『FRENDS』。生徒総会後の最後の曲は『夢に向かって』が歌われる。
転入式前には、父兄(ファン)の間で転入生の予想合戦が行われる。転入生の多くはアミューズキッズの中から選ばれるが、まったく予想外の子が転入してくる場合もある。転入生の予想は、父兄だけでなく、生徒(メンバー)の間でも行われている。生徒達が転入生に引き合わされるのは4月のどこかで、写真撮影やレレッスンの合間にサプライズで行われるらしい。
毎年10月から11月にかけて開催される。ライブの合間に、さくら学院の活動や友情関係をテーマにしたHRコントや、生徒の即興芝居でアドリブ力を競う『サクラデミー女優賞は誰だ?!』などの企画が行われる。
HRコントは担任の森ハヤシが脚本と演出を担当しているが、年々進化していき、感動的な青春物語や抱腹絶倒のコメディが上演され、専門の舞台演出家が招かれるようになった。
毎年3月の終わりごろに開催される。ライブの合間に本格的な「卒業証書授与式」が行われ、在校生の送辞、卒業生の答辞、教師陣からの祝辞が述べられる。また、卒業証書授与式のアンコール1曲目は『旅立ちの日に』が必ず歌われる。父兄の多くがスーツや着物で観覧する。またドキュメンタリー映像を見ると、舞台裏のスタッフもスーツを着用している人がいる。
三大行事のほかに定例化しているイベントがある。
毎年6月に開催される。公開授業とほぼ同じ形式で、身長測定と体力測定が行われる。信じられないかもしれないが、ただそれだけのイベントなのに、毎年盛り上がる。
前年度の卒業式ワンマンライブの模様を収めたDVD/Blu-rayが、2015年以降、毎年7月7日に発売されている。
2010年から2017年まで毎年参加していたが、2018年は不参加となり、代わりに姉妹ユニットCiao Smilesのリリースイベントにゲスト出演した。2019年はメインステージであるHOT STAGEで、最終日のトリ前を務め(トリはAKB48 TIF2019選抜)、ライブの全模様とインタビューがフジテレビのCSチャンネルで生放送された。
2017年より開始されたネット上のレギュラー番組『顔笑れ!FRESHマンデー』の夏休み特別番組。キャンプ場やテーマパークで遊ぶ、普段見られないメンバーの姿を愛でられる。
2013年、2014年、2017年、2018年の9月に開催されたスタンディングライブ。夜公演のファストパスのゲットを目指して父兄(ファン)が昼公演でクイズに挑む。
2月から3月かけて行われるワンマンライブシリーズの通し名称。2月のバレンタインライブの昼夜2公演と3月の卒業式直前スタンディングライブ、そして、最後に卒業式がファイナルとなる。
毎年3月に発売されるCDアルバムの特典DVDに「抜き打ちペーパーテスト」の模様が収録される。一般常識20問で生徒が点数を競い、珍回答と成績順位に一喜一憂する姿を描く。また、抜き打ちでテストを行うために、運営が仕掛ける凝ったサプライズも売り物とされているが、父兄側からは「もっと珍回答を増やしてほしい」という声も多い。
2017年度以降、さくら学院祭のDVD/Blu-rayは、開催翌年の2月14日に発売されている。公式オンラインストアASMARTか、TOWER RECORDS各店舗の店頭でのみ購入できる。
さくら学院では、2011年以来、毎年3月にその年度の集大成としてアルバムCDが発売されている。2015年度以降は、発売日は3月3日に固定されている。2014年度までは、付録特典によって『さ盤』『く盤』『ら盤』の3種類と通常版が発売されていた。
2015年度以降は、『さくら盤』と『学院盤』の2種類と通常版。さくら盤には、MVやライブ映像を収めたBlu-rayが付属し、学院盤には学年末テストの模様を収めたDVDが付属する。また、2015年度以降は、公式オンラインストアASMARTか、TOWER RECORDS各店舗の店頭でのみ購入できる。
アルバム発売記念イベント。タワーレコード制作のネット番組『アイドル三十六房』の特別編。タワーレコード社長の嶺脇育夫氏と音楽ライターの南波一海氏が、その年に卒業する中3を全員呼んで、さくら学院での活動を振り返る。TOWER RECORDS渋谷店の地下1階イベントスペースで公開収録が行われ、その日の夜に配信される。
毎年度の最後に行われる公開授業。3月上旬に開催。生徒達が自分が生まれる前に発表された楽曲を自分で選び、その曲の概要とその曲を選んだ自分なりの理由をプレゼンテーションし、最後にアカペラでワンコーラスを歌う。講師は倉本校長が担当し、公開授業の前に非公開の事前授業も行われる。特に卒業が間近い中等部3年にとっては、卒業式に並ぶ、さくら学院生活の総決算となる重要なイベントとなっている。
卒業式直前の平日夜に行われるスタンディングライブで、その年の卒業生の卒業後の進路が発表される。女優や歌手を目指して芸能界に残る子もいれば、進学や留学を理由に芸能界を引退する子もいる。過去5人が芸能界を引退しているが、予想外の展開も多い。
毎年4月上旬頃に開催される写真集の発売イベント。抽選で申し込んで当たった人だけが参加できる。卒業式を終えた卒業生から直に写真集を受け取り、サインと名入れをしてもらえる。握手会や特典会がないさくら学院において、父兄(ファン)がメンバーと直接会話できる唯一の機会である。秋葉原の『書泉ブックタワー』など、書泉系大型書店で開催される。
毎年4月上旬頃に開催される写真集の発売イベント。さくら学院の「担任の先生」である森ハヤシ氏を招いて、タワーレコード社長の嶺脇育夫氏、音楽ナタリー記者の清本千尋氏が、前年度のさくら学院の活動について思い出話をする。卒業生も現役メンバーは一切出演しないが、ここでしか聞けない貴重な裏話を知ったり、未公開の動画や写真を見ることができる。集まった父兄が、森先生に「みなさん、正気ですか!?」と問いただされるのが恒例。TOWER RECORDS渋谷店の地下1階イベントスペースで開催される。
さくら学院の活動は、毎年5月上旬の転入式で本格的に始まり、翌年4月上旬の謝恩会で幕を閉じる。
さくら学院では、ライブコンサートと並ぶ重要な活動として、公開授業がある。文化、学問、芸術の専門家を講師に招いて、生徒たちが講義を受けたり体験することで、1コマの授業の中で成長する様子をドキュメンタリーかつエンターテインメントとして見せてくれる。
1つの授業は1日に3コマ開催され、12人の生徒が4人ずつに別れて参加する形が一般的(2コマの場合もある)。各コマが1つの公演となり、それぞれチケットを購入する必要がある。会場は横浜・みなとみらいのはまぎんホールが使われることが多い。
公開授業のスケジュールは流動的であるが、2015年度以降はだいたい、以下のペースで行われることが多い
過去3回開催されている。講師は書家の矢野きよ実。書道ではなく、心の奥底にある想いや感情を筆を動かして書にしたためる方法を体験的に学ぶ。卒業が近い1月に開催され、生徒達の不安や熱い思いが毎回書の形で爆発的に表現されて、涙すら誘う感動的な授業となる。
過去3回開催されている。講師は画家の山下良平。観衆の前で絵を描くライブペイントとコラボレーションを体験的に学ぶ。落書きのようなライブペイントが、最後には立派なアート作品にまで仕上げる場合もある。
さくら学院内の派生ユニットのことである。前述のように高校生になる前に卒業してしまうという性質上、メンバーが流動的であり、必ずしも活動中というわけではないが、以下に部活動名を挙げる。
さくら学院メンバー全員が出演したオリジナル脚本による芝居。2016年8月24日から9月4日にかけて、赤坂REDシアターにおいて上演された。出演者は、2016年度さくら学院メンバーに加えて、2013年度卒業生の堀内まり菜と佐藤日向(ダブルキャスト)、および岡田愛のダブルキャストとして黒嵜菜々子。
さくら学院は、最上級生を中心に自治的な活動が行われており、上級生にはそれぞれ役職が与えられる。
ただし、各役職の仕事内容は流動的かつ重複する部分もあり、毎年度の生徒会が自分たちで考えてやるべきことをやるという傾向がある。
さくら学院のリーダー。さくら学院の各年度は生徒会長の指向が色濃く反映される。生徒全体をまとめあげ、各公演、各楽曲で何をどう見せるかの方針づくりの中心となる。
生徒会長を補佐する役割。中3が中元すず香 1人だけだった2012年度に、堀内まり菜が副会長に、飯田來麗が副々会長に任命された。また、中3が倉島颯良と黒澤美澪奈の2人だけだった2016年度は、山出愛子が副会長に任命された。
ライブコンサートのトークの内容を考えたり、順番を割り振る役割。担任の森先生の補佐役もしくは相方として機能する場合や、プロデュース委員長的に動く場合もある。「MC委員長」は、2016年度の黒澤美澪奈だけに与えられた役職であり、実質的にはトーク委員長だった。黒澤のタレントとしての実績と、さくら学院でのキャリアの短さから、黒澤が自由に動きやすいようにあえて名称を変えた可能性がある。
ライブの構成やセットリストなどを考える役割。2014年度の水野由結だけに与えられた役職。さくら学院では、楽曲毎に全員でイメージを統一することを毎年度行うが、水野は各楽曲のイメージボードを作ってそれを促進しようとした。
ダンスリーダーに相当する役職。さくら学院のダンス全般に精通し、ダンスの指導を行う。
下級生、特に転入生に、さくら学院生としての考え方、振る舞い方を指導する。
「謎委員長」とも言われる、具体的な仕事内容が一切決まっていない役職。この役職が割り振られた本人は、悩みながら自分の役割やポジションを探り当てていく。
本職は脚本家。早稲田大学の学生お笑いグループ「WAGE」のリーダーだった。プロの芸人として身を立てることに挫折したが、脚本家として成功。また、アミューズ所属のタレントとして、ラジオ番組を持ち、アミューズ所属タレントが関係するイベント(ちゃおフェス、ジャックオーランドなど)のMCも務める。
さくら学院では「担任の先生」として、ライブコンサートやネット生放送番組、公開授業のMCを勤めながら、生徒たちにトーク番組での振る舞い方、舞台における演技、お笑いの技術やセンスなどを教えている。
また、転入式や学院祭のロングコントや寸劇の脚本執筆、毎年度更新される自己紹介ソング『目指せ!スーパーレディー』の作詞も行っている。
毎年度の卒業式で、生徒達に送る言葉が印象的であり、生徒からも父兄からも強く支持されている。特に2013年度の卒業式で語った人生の「寄り道」の大切さについては、さくら学院卒業生の人生の道しるべとなっている感があり、2011年度卒業生である武藤彩未も歌詞やメッセージの中で使用している。
さくら学院が所属する芸能事務所アミューズの担当マネージャー陣。さくら学院の公演や楽曲、パッケージコンテンツは大半がアミューズの独自企画であることから、実質的にはプロデューサーでもある。単なるマネージャーの枠を超えて、メンバーとは生徒と先生の関係にあることが、2013年頃の公式Twitterでの言動から見て取れる。
作家、放送作家、ミュージシャン。2011年度に就任。さくら学院の校則7か条を作り、「アイドルを超えたスーパーレディーを目指す」というコンセプトを作った。学校としてのさくら学院の基本フォーマットを整えた人物だと言える。
公開授業のフォーマットを作り、ときとして、自ら講師として教壇に立つ。各年度を締めくくる『歌の考古学』の授業では、公開授業の講師を務めるだけでなく、事前の非公開の指導も行う。
卒業式の祝辞や、転入式の役職任命で、生徒の名前や役職名を間違えるため、一部父兄の間では評判が悪いが、実はかなり緊張しているように見受けられる。
PerfumeやBABYMETALの振り付け師でもある。また、近年は演出家としても実績をあげ、2020年の東京オリンピックの開会式・閉会式の演出チームにも加わっている。さくら学院の全楽曲の振り付けを行っており、ときには手土産を持ってレッスンスタジオを訪れる。
アイドル好きとして有名だが、特にさくら学院については、熱烈な父兄であることが知られている。ライブや公開授業で一般客として鑑賞している姿が、よく目撃されている。
「父兄に卒業は無い」(推しが卒業しても、新しい推しを見つけてさくら学院を押し続けよう)という明言がある。
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最終更新:2025/12/08(月) 21:00
最終更新:2025/12/08(月) 21:00
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