アウトドローモ・テルマスデリオオンドとは、アルゼンチン北部のテルマスデリオオンドにあるサーキットである。
4月にMotoGPが開催される。
アルゼンチンにはパンパという途方もない広さの平野があり、そこには草が生い茂っている。
入植者が牛を持ち込んでパンパの草原に離したら、その牛が大繁殖してしまった。
それから大畜産国として世界に名をとどろかすようになった。
現在も人口よりずっと多くの牛が放牧されており、現地人の主食は牛肉になっている。
スポーツはサッカー、テニス、バスケットボールが盛ん。いずれも名選手を輩出しているスポーツ大国。
19世紀以降、ヨーロッパからの移民を大量に受け入れた。
特にイタリアからの移民が多く、アルゼンチンとイタリアの友好関係の基礎になっている。
「母をたずねて三千里」もイタリアからアルゼンチンへ出稼ぎに行った母親を探しに行く少年の物語である。
建築物もヨーロッパ風のものが多く、首都ブエノスアイレスは「南米のパリ」と称されている。
北東のブラジルとの国境付近の熱帯雨林地帯にイグアスの滝がある。
アメリカ合衆国のナイアガラの滝よりはるかに大きく、多くの観光客を集めている。
南方のパタゴニア平原は南極に近く、氷雪に覆われている。
ロス・グラシアレス国立公園には巨大な青っぽい氷河があり、太陽光に輝く様子をクルーズ船で見物できる。
アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから北西へ1,000km離れた場所にテルマスデリオオンドという都市がある。
テルマスデリオオンドのテルマスとは温泉の意味であり、アルゼンチン屈指の温泉リゾート地として知られている。
人口2万7千人の小都市。そこに数万人の観客が押し寄せるので、ホテル代が数倍につり上がる。
テルマスデリオオンドには『Casino del SOL』というカジノがある。これはドルナの開催地紹介ビデオに出てくる。
サーキットから西を向くと遠くにアンデス山脈の山々を見ることができる。
人工の貯水池であるリオオンド貯水池があり、そこにはヨットが並んでいる。
本サーキットはリオオンド貯水池に面している。
ドルナ製作の開催地紹介ビデオを見ると、ホエールウォッチングの映像がある。
リオオンド貯水池にもクジラが棲んでいるのか・・・・・・と勘違いしそうになるが、そんなことはなく、
テルマスデリオオンドから南に1,600m離れたバルデス半島付近の海の映像である。
ドルナ製作の開催地紹介ビデオを見ると、カチカチに凍った湖の映像がある。
リオオンド貯水池も冬は凍結するのか・・・・・・と勘違いしそうになるが、そんなことはなく、
テルマスデリオオンドから南に2,600m離れたアルヘンティーノ湖の映像であると思われる。
レース関係者にとってはとにかく移動が大変な場所にある。
日本から本サーキットに行く場合の一例として、まずドイツのフランクフルトへ11時間かけて飛び、
ここでアルゼンチンのブエノスアイレス行き飛行機に乗り換えて13時間フライトし、
エセイサ国際空港から車で移動してホルヘ・ニューベリー空港へ辿り着き、
そこからテルマスデリオオンド空港へ2時間かけて飛ぶ・・・・・・乗り換えも含めると片道50時間の大旅行となる。
もちろん、国際空港から国内空港へ移動するときに車が来ないだとか、飛行機の発着が遅れるだとか、
そういう南米特有ののんびりペースにも合わせねばならない。
ブリジストンは日本で生産したタイヤを空輸するのだが、2014年のMotoGP開催では遅滞させてしまったそうだ。
アルゼンチンは首都ブエノスアイレスに人口と産業が集中する一極集中の国で、
そのブエノスアイレスからかなり遠く離れていることから、
本サーキットでのレース開催は年間数回のみと非常に少ない。
2007年にサーキットが建設され、2012年に改修された。
2012年の改修を行ったのはイタリア人のヤルノ・ザッフェッリさんで、
インタビューのコメントから察するにサーキット周辺の施設やセーフティーゾーンを設計したようである。
サーキットの形状を入力して色々数値を入力すると2輪車の転倒頻度や4輪車のコースアウト頻度を算出できる、
そういう独自のソフトウェアを駆使してセーフティーゾーンの設計をしたという。
2007年建設時のサーキットと2012年に改修されて出来上がったサーキットはだいたい同じで、
2012年改修時に追加されたのは2コーナー~4コーナー(メインストレートとバックストレートの間のコーナー3つ)と、
8~9コーナー(アップダウンと切り返しがある難しい場所)の2ヶ所だけである。
ヤルノ・ザッフェッリさんは高速コーナーが好みであると語っており、鈴鹿サーキットやスパやイモラを
好きなサーキットに挙げていて、ライダーがコーナーを楽しめるようなコースを作るべきと熱弁し、
さらにはヘルマン・ティルケのストップアンドゴー型サーキットに対して少しばかりの批判をしている。
2007年建設時から存在する高速コーナーを温存したのはそのためだろう。
本サーキットはライダーたちからの評判が良く、「気持ちよくアクセルを開けていける」「走っていて楽しい」
など賞賛の声が絶えない。
砂埃が多かったり路面の凹凸が激しかったりと、なにかと路面状況の悪さが目立つサーキットである。
本サーキットでのレース開催は年間通じて数回程度と非常に少なく、路面の上に砂埃が山盛りとなっている。
2015年と2016年は砂埃にまみれた非常に汚い状態でレースウィークが始まった。
あまりの砂埃の多さに「晴れているのに、まるでウェット路面を走っているようだ」とのコメントがあった。
砂埃が多い路面だと、当然滑りやすいのだが、それに加えてタイヤの消耗も速くなる。
路面の砂埃がサンドペーパー(紙やすり)のようにタイヤをこすり、タイヤをすり減らしてしまう。
さらにはアブレーション(ablation 宇宙工学でも使われる言葉)といって、タイヤが荒れる現象が発生する。
タイヤが荒れてしまうと、その荒れた部分を中心にどんどん消耗が進んでしまう。
決勝当日が近づくにつれ、多くのマシンによって路面の砂埃が掃除された格好になり、
さらには走行ラインの路面の上にべったりとタイヤのラバーが乗って黒くなり、グリップが良くなっていった。
ところが、ちょっと走行ラインを外してしまうと砂埃が多く、滑ってしまう。
ベテランの多いMotoGPクラスでさえ走行ラインを少し外して転倒、という例が多く見られた。
やっとサーキット運営者も学習したのか、2017年はレース開催の2週間前にサーキットが2日間無料で開放された。
多くの2輪ファンがトラック走行を満喫し、計120台のオートバイが走行したことにより、砂埃がだいぶ掃除された。
MotoGPライダーたちからは「去年(2016年)よりはマシ」というコメントが多く寄せられた。
2017年の開催は路面の凹凸が酷く、特に最終14コーナー立ち上がりとメインストレートのブレーキングポイントに
大きな陥没があり、多くのライダーがマシンを震わせながら走行する羽目になった。
2コーナーにも陥没があり、MotoGPクラス決勝では上位走行中に2コーナーで転倒するライダーが続出した。
路面のカント(傾斜)が少ない、フラットなサーキット。
低・中・高速コーナーがいい間隔で入っていて、アクセルを存分に開けていくことができる。
コース幅が16mと広いのだが、走行ラインを外すと砂埃が多いのでコース幅を広く使った走行は難しい。
主なパッシングポイントは、2コーナー、バックストレートエンドの5コーナー、 7コーナー、9コーナー、13コーナー。
MotoGPが開催される時期は4月上旬で定着しているが、これは現地においては夏の終わり頃にあたる。
空が晴れ上がった場合、路面温度が高くなる。2016年開催の金曜は気温33度・路面温度53度まで上昇した。
大きくコーナーリングしながらアクセルを回してパワーを掛けていく左コーナーが2ヶ所あり、
リアタイヤの左側が強く発熱して痛みやすい。
2016年のMotoGPクラスのFP4(土曜日の練習走行)で、6コーナー走行中のレディングのリアタイヤの一部が
突如剥離して吹き飛ぶ事故が起こった。
この事故を受けてミシュランは「構造がガチガチに硬いリアタイヤで25周のレースをする」ことと
「それまでのリアタイヤを使用するが、周回数は20周に減らし、10周で強制乗り換え。タイヤ1組で10周だけ走る」
の2つの案を提示した。結局後者の案が採用され、決勝レースはレース中の乗り換えを強いられることになった。
この後者の案は2013年フィリップアイランドとほぼ同じ形式である。
レディングのタイヤ破損は走り始めて7周目に発生したので不安視する声もあったが、無事にレースは終わった。
本サーキットは硬いリアタイヤが推奨される。
2015年はブリジストンからハードをさらに上回る硬さの「エクストラハードのリアタイヤ」が支給され、
これを履いたバレンティーノ・ロッシが見事に逆転優勝をおさめた。
2015年にブリジストンがエクストラハード・リアタイヤを供給したのはこのサーキットのみである。
硬いリヤタイヤを選ぶと、耐久性があるのでレースの最後までアクセルをガンガン開けて走りきることができる。
ただ、乗り心地が悪く、操縦性が悪く、どうにもこうにも機敏に動けない。
柔らかいリアタイヤは全く逆で、乗り心地が良く、操縦しやすく、機敏に動けるが、
レースの後半になってくるとタイヤがタレてしまい、アクセルをあまり開けられない。
2015年のロッシは硬いリアタイヤを選びつつも機敏にバイクを操縦していて、そのことをロレンソが絶賛していた。
最終14コーナーはどのライダーもインの縁石をゴリッと踏んで加速していく。
メインストレートはかなり短い。
メインストレートエンドの1コーナーは転倒多発地帯であり、フロントから転ぶ例が多く見られる。
大きく回り込むUの字の2コーナーは有力なパッシングポイント。
3コーナーからバックストレートを経て5コーナーに至るまで長い上り勾配となっている。
3~4コーナーで勢いを付けて本サーキット最長のバックストレートへ突入していく。
この3~4コーナーはコーナーリングしながらアクセルを回してパワーを掛けていくコーナーで、
リアタイヤ右側を激しく攻撃してしまう。
バックストレートの長さは1076mで、ずっと上り勾配になっている。
バックストレートエンドの5コーナーは最有力のパッシングポイントになる。
6コーナーは下り勾配で勢いがあり、コーナーリングしながらアクセルを回してパワーを掛けていく左コーナーで、
リアタイヤ左側が強く発熱する。リアタイヤに対して非常に厳しいコーナーである。
7コーナー~8コーナーは右・右の複合コーナーで、パッシングポイントの1つとなる。
9コーナーは進入で上り、そして脱出で下るというダイナミックな左コーナーであり、ここも抜きどころである。
9コーナー直後に右へ切り返す10コーナーがあり、そしてすぐに左の11コーナーへ入っていく。
このあたりはアップダウンと切り返しがあって、ライダーたちは高いレベルの操作技術を要求される。
11コーナーも、コーナーリングしながらアクセルを回してパワーを掛けていく左コーナーで、
またしてもリアタイヤ左側が強く発熱する。リアタイヤに対して非常に厳しいコーナーである。
緩い角度で右に切り返す12コーナーを経て、キツい角度で右に曲がるヘアピン13コーナーへ突入する。
12コーナーを過ぎて13コーナーに進入するあたりは急な下り勾配になっていて、ブレーキングを難しくさせている。
バイクを寝かせながらブレーキングする場所であり、フロントタイヤを酷使する。
13コーナーは最後の勝負所であり、この13コーナーで前に入ってしまえば、その勢いで最終14コーナーを回り、
そのままチェッカーラインまで押し切ることが可能である。
最終14コーナー立ち上がりの直後にチェッカーラインがあるので、13コーナーで無理矢理インに入ってしまえば、
抜き返されずにそのまま勝つことができる。
2014年に青山博一、2015年にカル・クラッチローが、最終ラップの13コーナーで見事にパッシングしてゴールした。
2016年に最終ラップの13コーナーで、3番手を走行するイアンノーネが2番手を走行するドヴィツィオーゾに
思い切り追突し、 2人とも転倒した。彼ら2人はドゥカティワークスのチームメイト同士だった。
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最終更新:2025/12/10(水) 19:00
最終更新:2025/12/10(水) 19:00
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