アドミラル・クズネツォフとは、ロシア海軍が保有する航空母艦(重航空巡洋艦)である。
因みに正式な艦名は「アドミラール・フロータ・ソヴェーツコヴォ・ソユーザ・クズネツォーフ(日本語で“ソ連海軍元帥クズネツォフ”の意)」と言い、旧ソ連海軍で海軍総司令官を務めたニコライ・ゲラシモヴィチ・クズネツォフソ連海軍元帥に由来する。
分類上は航空母艦であるが、ロシア海軍ではモントルー条約の都合上、重航空巡洋艦と分類している。
でも、見た目はどう考えても航空母k(ryおや、誰か来たようだ・・・。
計画そのものが立案されたのは1970年代であるが予算や技術的な問題で中々進捗しなかった。また当時のソ連国防省・参謀本部では陸軍出身者の意見が強く、多額の予算が必要となる空母の建造によって陸軍に回される予算が減らされると危惧した軍上層部そのものが建造に消極的だったという。
それでもなんやかんやで1982年になってようやくウクライナのドックで(この事が後々大きく影響する)建造が開始され、1985年に進水(ドックから海に浮かべる事)、1990年末にようやく就役した。
因みに艦名もこの時はちょくちょく変わっている。起工時は「リーガ」であったが、後に「レオニード・ブレジネフ」、さらにその後「トビリシ」に変更されている。
そして、就役直前になってようやく現在の艦名である「アドミラール・フロータ・ソヴェーツコヴォ・ソユーザ・クズネツォーフ」となった。
就役したクズネツォフは早速、黒海艦隊の所属となった。
しかしソ連が崩壊した事により黒海艦隊の主要港だった場所は独立したウクライナの領となり、色々とややこしい問題がロシア・ウクライナ間に発生した。
またこの時、独立したウクライナは「お前はウチの艦だからこっちに戻れ!」と命令してきたが、一部の主力艦と共にロシアに無事帰属する事ができた。
最もソ連崩壊の時点でクズネツォフは北方艦隊の所属に変わっており、ウクライナの命令は意味を成さなかった(正確に言えば法的根拠は皆無だったという事)。
但し、二番艦として建造中だった「ヴァリャーグ」は動力機関が設置されていなかったためそのままウクライナに残りその後中国に売却される事になる。
ソ連崩壊によるドタバタに見舞われつつも無事就役したクズネツォフは新生ロシア海軍北方艦隊の主力として活躍するはずであった。
だが、当時のロシアは旧ソ連崩壊の影響から政治・社会・経済が極度に混乱しており莫大な維持費の掛かる空母に予算が回せずにいた。実際、Su-33は搭載できたものの同じく搭載予定で開発中だったMiG-29K艦上戦闘機やTu-44E早期警戒機は財政難から計画中止になっていた(搭載航空部隊が編成されたのは94年になってから)。
また建造されたのがウクライナのドッグというのも大きく影響していて、当時のロシアには巨大な空母が入渠出来るようなドックは無く(但し、79年にスウェーデンから購入した8万t級の浮きドックはあったが)、仮にあったとしても上記の通り予算不足のためオーバーホールや整備維持が出来るような余裕は一切無かった。
就役してからの数年はそれほど活発には動いていなかったが、96年にロシア海軍創設300周年を記念して行われた航海でその他に稼動状態にあった巡洋艦、駆逐艦、補給艦などと共に艦隊を編成し約4ヶ月の航海を行った。
しかし、その後はまともに動く事も出来ず母港に引き篭もる日々を送る事になる。
最も酷かったのが機関の状態で、予算不足で整備が行き届いていなかった蒸気タービンのパイプの殆どが破断状態になっていた。
当時のロシア海軍では予算不足ながらもこのクズネツォフやキーロフなどの主力艦の維持を最優先で行っていたが、このままいけば予算的にお荷物であったグヅネツォフの早期退役も時間の問題であった。
そんな瀕死の状態だったグズネツォフに光明が差したのは我らがプーチン閣下が大統領に就任してからである。
プーチンの経済政策の成功(というより世界的な原油高の恩恵を受けただけとも言えるが)によりロシアが財政難から脱した事でクズネツォフに本格的な整備・修理が可能な予算が振り分けられその結果2004年8月に修理を終えまさに不死鳥の如く復帰したのだ。
復帰後は初飛行以来音沙汰の無かったSu-33の複座型試作機のテスト飛行がクズネツォフで行われたり近海や大西洋などの遠洋での演習も行っている。
復活後のクズネツォフは活発に活動しており、近年は1年に1回のペースで大西洋北東域や地中海への訓練航海を行っている。
また、老朽化し2015年には退役予定のSu-33に代わってMiG-29KUBが艦上戦闘機として搭載される予定になっている(最もこれには経営難のロシア航空機製造会社ミグ(旧ミグ設計局)の救済という面もあるが)。
ロシア海軍では2025年までクズネツォフを運用予定であるが後継艦の建造に関しても割りと前向きである。
現大統領のドミートリー・メドヴェージェフは2008年の演習でクズネツォフを訪問した際に
「航空巡洋艦は平均して5年で建造する事が出来る。我々は、早ければ、2015年には“最初の成果”を得られるだろう」
と発言しており
「新たな航空巡洋艦の動力は、原子力であるべきだ」
とも発言しているためメドヴェージェフ大統領の発言が正しければ2015年までには後継艦としてロシア初の原子力空母が建造が開始されると思われる。
現在までに流されている情報を統合するとロシアは
と言うようにかなり大規模(米海軍のそれと比べると小規模ではあるが)な空母機動部隊を最低でも2060年頃までには編成する可能性がある。
た・だ・し!
これに関してはあくまで関係者の発言を纏めただけに過ぎず、まだ具体的な計画案や行動は発表されてないのが現状(2010年5月)である。
そもそも上記の情報は現在のロシア経済が順調に成長を続けた場合という条件があり、もし再び経済が悪化しロシアの財政状態が傾けば空母建造は水に流れる可能性がある事を明記しておく。
| 排水量 | 55000t(基準) 67000t(満載) |
| 最大速力 | 29ノット(ボイラー8基、蒸気タービン4基・4軸) |
| 搭載航空機 | 40機前後(Su-33艦上戦闘機、Su-25UTG艦上練習機他。また当初は最大60機、常時52機の運用を予定していた)。 |
| 搭載兵装 | P-700「グラニート」(対艦巡航ミサイル。NATOコードネームはSS-N-19シップレック) 3K95個艦防御システム「キンジャール」(中距離艦対空ミサイル。NATOコードネームはSA-N-9ゴーントリト) その他にCIWS(近接防御システム)、魚雷防御用ロケット爆雷などを搭載 |
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最終更新:2025/12/06(土) 16:00
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