アドミラル・グラーフ・シュペー(アズールレーン) 単語

アドミラルグラーフシュペー

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「鉄血海軍ドイッチュラント級装甲艦三番艦、アドミラル・グラーフ・シュペー。
ロイヤルの巡洋艦の攻撃を受け、モンテビデオ港に逃げ込んだが、
最後は自沈した…… 指揮官、今度は最後まで――戦い抜くよ!」

アドミラル・グラーフ・シュペーとは、STGアプリ『アズールレーン』の登場キャラクター、艦船少女である。

ドイツ海軍の重巡洋艦(装甲艦、ポケット戦艦とも)、アドミラル・グラーフ・シュペーをモチーフにしている。
イラストは不可燃物。CVは渕上舞。

概要は殺戮のためにあらず、勝利のためである

鉄血に所属する、ドイッチュラント級重巡洋艦の3女。レアリティはSR。2018年4月10日から開催されたイベント「アドミラル・グラーフ・シュペー追撃戦」で限定建造と特殊任務クリア報酬として先行実装された。

銀髪のメッシュ入りショートヘアー。蒼い瞳が印象的な童顔。その表情は物静かそうな雰囲気をたたえており、見るからにSッ気全開の姉と比べてずいぶん落ち着いて見える。全身黒ずくめのボンデージドレスを着ており、胸元からスカートをリングで釣るような構造である。そこからは素肌が見えており、程よい大きさの南半球が覗いている。その上からは大きな赤いスカーフを巻いており、口元が隠れているため、ますます表情が読みにくくなっている。そして、その身にまとう艤装は、長姉のドイッチュラント譲りの非常に禍々しいもの。主砲と副砲のついた部分は、鮫のような牙を向いた艦首のようになっており、後ろの方は魚の尻尾のような形状になっている。ここまでだけでも凄いのだが、さらに彼女ならではの特徴として、手が巨大な甲殻類の如き鉤爪状の小手になっている。もちろんこんなもので殴られたりしたら、ただでは済むまい。それどころか、抱きしめられただけで死にそうである。

性格面は、あまりにも異形すぎる出で立ちと反して、極めて物静か。戦いに対して、達観とも言える境地に達しているようで、任務を遂行することを何よりも重んじている。
指揮官に対しては当初から忠実に仕えてくれる。ログインすると
「あなたのために最後まで戦うよ」
とありがたい言葉をいってくれて、詳細確認しようとすると
「勝利の確率はいくら低かろうと、戦場には向かうよ。……そう振る舞ったほうが人間に憧れられるから」
相当に達観した娘さんのようである。出撃から帰還すると、
「指揮官、母港が封鎖されていないことを確認したよね?」
用心深さもかなりのものだ。勝利しても「この勝利は、いつまで続くものか……」と決して浮かれない。慎重なのか、はたまた戦いの趨勢は時の運なのを知り尽くしたゆえの言葉なのか。

局部タッチをすると、「この手で抱きしめてもいい?」と真顔で言ってくる。やめてくださいしんでしまいます。
親密度が上がると、「この手は勝利を掴むため……大切な人を二度と抱きしめられなくても、仕方のないことよ」と、戦うために異形の身体になってしまったことを儚む。そんな彼女を抱きしめてあげられるかは、指揮官しだいである。「愛」「ケッコン」セリフは必聴もののラブラブ度だ。是非とも確認してみよう。

なぜか、ロイヤルのレナウンのことを嫌っている様子。そのわけは、下の史実の節を見ていただこう。

性能面は、長姉のドイッチュラントとほぼ共通。若干耐久が高いが、火力・雷装・装填が少し低い。史実の経歴からして不幸タイプの娘なので、運の値は低め。いろいろな所で微妙な影響があると思うが、そこは指揮官の愛でカバーしよう。

スキルも『ポケット戦艦』で姉と同じ。駆逐艦及び軽巡洋艦に対するダメージを35%(初期15%)アップするもので、専用砲(徹甲弾)を使って遠距離の標的を狙うか、榴弾砲を装備して軽装甲の相手へのダメージアップを狙うかは指揮官の決断次第だろう。
防御面の脆さも同じ。速力と回避が致命的に低い。改良型缶やビーバーズエンブレムを装備して、少しでも足の遅さをカバーした上で、足の早い駆逐艦や軽巡洋艦に引っ張ってもらおう。

着せ替えが用意されているにゃ。これは、イベント「アドミラル・グラーフ・シュペー追撃戦」と同時に期間限定でショップ販売されたにゃ。2018年4月19日限りなので欲しい指揮官はショップへ急ぐことにゃ

シュペーちゃん(着せ替え)

タイトルは、「日曜日の少女」。彼女のオフの姿を表したものだろうか。赤いネクタイがワンポイントの黒い洋服と黒ストッキング、艤装はやはり禍々しいが、尻尾の部分は青い透明の物体となり、ややファンシーになっている。そして、手提げかばんを肘に引っ掛けて手にはレジ袋とスナックの袋が…。そのスナック、袋には「YE YE」という商品名が書いてあるけど、どう見てもとんがりコーンです、本当にありがとうございました。
そして、何よりも衝撃はその手。あの化け物じみた小手は外され、ネイルはパールピンクに染めてあるけど極めて可憐な少女の手である。あれって、肉体改造でああなってたんじゃないの?単なる手袋?となると、あの局部タッチの時や親密度のセリフの意味合いが全く変わってくることになる。ひょっとして、「にくすべ姉さん」ことグラーフ・ツェッペリンと同じで、この娘もかなり中二病ではないかという疑いが出てくる。
まあ、それはともかく左手を見てみると、とんがりコーンを指に挿して、鉤爪を再現している。やっぱりこの子…。

さて、イベント「アドミラル・グラーフ・シュペー追撃戦」では海域のボスキャラとして登場してくる彼女だが、最後の海域であるSP3で最終決戦に挑むと、なんと…ラングスドルフ艦長「降伏はする。しかし、シュペーは渡さない」シュペー「任務了解」とばかりに途中で自爆しようとする。一定時間以内に倒せないと、自爆ダメージで味方艦も巻き添えを食った上、戦闘評価もAになってしまう。これは、史実での最期を再現したものだろうが、プレイヤーにとっては迷惑千万なので、最終ボス戦だけはこっちも戦力を整えて速攻で倒したほうが良さそうである。

自爆するシュペーちゃん

初戦が最期になるなんて…私たち鉄血にとっては別に珍しくないよ(史実)

ドイッチュラント級装甲艦(重巡洋艦)の成り立ちについては、ドイッチュラント(アズールレーン)の記事を参照。

アドミラル・グラーフ・シュペーは、ドイッチュラント級装甲艦の3番艦として、1934年6月30日に進水。この時に洗礼の儀式を行ったのは、名前の元となったドイツ帝国海軍のマクシミリアン・フォン・シュペー提督の娘さんであった。1936年1月6日に就役。

3番艦とあって、1番艦のドイッチュラントに比べると数多くの改良点が施されていた。装甲も若干増加しており、排水量も約400トン増えていた。艦橋は、2番艦のアドミラル・シェーア以降の、マストと一体化した上が狭くなる台形の艦橋となっている。

就役後まもなく、訓練の最中にスペイン内戦が勃発、反政府側を支援するべく姉とドイッチュラント共々スペイン沖へ派遣される。1937年5月には、イギリスのジョージ6世国王の戴冠記念観艦式に出席。日本の重巡「足柄」、イギリスの重巡「エクセター」と舳先を並べることになった。この3隻が敵味方に分かれて戦う未来があろうとはとても思えない平和な光景であった。ここにはフランスも戦艦「ダンケルク」を出席させ、壮麗なる勇姿をきそったのである。全くの余談だけど、あのルーデル閣下に後に沈められることになるソ連のマラートもいたりした。

第2次世界大戦勃発が現実味を帯びてきた1939年。8月21日にこっそりとアドミラル・グラーフ・シュペーはドイツを離れた。戦争が勃発すれば直ちに通商破壊任務に入れるようにするためである。果たして9月1日にドイツのポーランド侵攻に応じてイギリスとフランスが宣戦布告。しかし、総統閣下はまだこの時点では事態を丸く収めることに望みを持っていたため、シュペーはすぐに任務に入れず、待機することになった。
時の艦長は、ハンス・ヴィルヘルム・ラングスドルフ大佐。彼はなんとシュペー提督の家のお隣さんであり、この艦への思い入れはひとしおだったことだろう。

ともかく、司令部からの指示で南へ向かうことを命令された艦長は、南大西洋の南米沖をひとまずの目標に定めた。9月30日、ようやく本格的な通商破壊活動を開始。同行する補給艦アルトマルクから燃料補給を受けつつ、おびただしい数の商船を沈め、あるいは拿捕して彼女、シュペーは南方で暴れまわった。その方法は巧みで、ニセの煙突と砲塔をハリボテで作って艦影を偽装し、あたかもイギリスの巡洋戦艦レナウン級のように見せかけた。こうして味方艦かと思わせて接近し、そこで正体をあかして拿捕するという寸法である。
しかし、ラングスドルフ艦長は一切船の乗組員の命を奪わず、この通商破壊そのものを喜んではいなかったようだ。そもそも彼は熱心なプロテスタントであり、ドイツそのものには忠誠を誓えどもナチズムには心酔していなかった。

やがてこの活動はイギリス本国にも知れるところとなり、ハーウッド提督率いるG部隊がフォークランド諸島の基地から出撃した。一方、シュペーは次の目標をウルグアイの首都モンテビデオに通じるラプラタ川に定めた。ここはイギリス側商船の重要な通り道だったのである。12月13日、ついにG部隊はシュペーの姿を補足。数の不利はあれど、砲の威力はこちらが上、ラングスドルフ艦長は受けて立つことにした。こうして、ラプラタ沖海戦が始まった。
G部隊は旗艦の軽巡洋艦エイジャックス、重巡洋艦エクセター、軽巡洋艦アキリーズから成っていた。エクセターは皮肉にもあの観艦式で舳先を並べた仲である。そのエクセターと、エイジャックス・アキリーズのふた手にわかれた英側に対し、シュペーは果敢に発砲。エクセターは命中弾を喰らい大破、アキリーズも損傷を負った。
だが、シュペーも命中弾を喰らい、ある理由により長距離航行が困難になった。その修理のためにモンテビデオ港に逃げこむことになったのである。エクセターは応急修理を急ぎつつ戦線離脱。エイジャックスらは本国に報告の上でラプラタ川河口沖で待ち構えることにした。
ウルグアイは中立国の立場ではあったが、どちらかと言うとイギリスよりであり、本国からはさっさとシュペーを追い出すように要請が来ていた。実は、シュペーはディーゼル機関に使う重油燃料を温めるための機構が損壊しており、航行できる分の処理済み燃料が底を尽きかけていた。それを直すには数日は要したが、ウルグアイ側が許可した滞在時間は72時間、たったの3日であった。そして、イギリス側はシュペーにプレッシャーをかけようと様々なデマを流した。G部隊の一員だが修理中の重巡カンバーランドが修理完了し、こっちへ向かっているとか、本国が増援として巡洋戦艦レナウンや空母アーク・ロイヤルを差し向けたとか…。待ち構えていたエイジャックスらを、見張り員がレナウンと誤認したとも言われている。ラングスドルフ艦長はラプラタ川が完全に封鎖されてしまったと思い込み、滞在期限が差し迫った中ある決断をする。航行のための最低限の人員だけ乗せたシュペーは港を出港、ラプラタ川の河口に近づいた。その場で突然艦は爆発し、河口の浅瀬に自沈したのである。
艦長は艦と運命を共にしようとしたが、乗員たちの説得によって脱出した。その後、乗員たちはドイツの外交ルートを通じてアルゼンチンへ逃れ、帰国を図ったがアルゼンチン政府はそれを拒否。終戦まで彼らは抑留されることとなった。だがひとまず乗員たちの命を助けられたことを確かめた艦長は、シュペーから唯一持ち出すことが出来た旧ドイツ帝国海軍の旗にくるまって、拳銃自殺を遂げた。
総統閣下はこの報告を受けて、艦長を「臆病者だ」と罵ったという。彼の遺族は冷遇され、本来支払われるべき遺族年金も停止された。これには、モンテビデオで行ったシュペーの戦死者の葬儀で、艦長があえてナチ式敬礼をせずに海軍敬礼を行った写真が本国に伝わったことも影響したと言われる。
だが、総統閣下は滅び、後の世に伝わったのは艦長の高潔な行いであった。

なお、後の太平洋戦争において、スラバヤ沖海戦で重巡エクセターは日本海軍の足柄らの手で沈められた。大本営はこれを「グラーフ・シュペーの仇を討った」と喧伝したが、こじつけ感丸出しである。

現在も、アドミラル・グラーフ・シュペーの艦体はラプラタ川の浅瀬にその身を横たえている。これは本来ドイツの所有物ということになるが、一時、ウルグアイ政府が「俺の国にあるんだから俺のものだ」とジャイアニズムを発揮して艦を引き揚げ、記念施設として展示しようと計画していた。そのため、艦橋の測距儀などが21世紀に入って地上に上げられて展示されている。今のところ、艦全部を引き揚げるのはカネがかかりすぎるとのことで2009年に大統領自ら作業を停止させている。いち艦艇ファンである編集者としては、そのままラングスドルフ艦長らの墓標としてそっとしておいて欲しい気持ちと、復元されてポケット戦艦の勇姿を現代に蘇らせて欲しい気持ちでなんとも複雑であるが…。

さらに余談として、カナダのオンタリオ州の都市エイジャックスに、「ラングスドルフ通り」と言う道がある。これは、軽巡洋艦エイジャックスの元乗組員が、グラーフ・シュペーと艦長を偲んで名づけたものだという。

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