アムウェイ (英:Amway)とは、アメリカ合衆国のネットワークビジネス (MLM) を主な事業としている企業である。
本記事では、日本子会社の『日本アムウェイ合同会社』についてもセットで解説する。
アムウェイは1949年にアメリカ人の実業家、リッチ・デヴォス (Richard Marvin "Rich" DeVos) と ジェイ・ヴァン・アンデル (Jay Van Andel) によって設立された。背景には、彼らのビジネスの行き詰まりが挙げられる。
もともと、リー・マイティンガーとウィリアム・キャッセルベリーという2人の男が1930年代にニュートリライトという会社が製造する栄養補給食品を販売する組織を立ち上げていた。この2人の組織に加入していたアンデルの親戚、ニール・マースカントが、この組織について話をする。これに興味を持ったアンデルとデヴォスは自分たちもそのビジネスがしたいと言ってこのグループに参加する [1]。こうして、彼らはJa-Riコーポレーションという会社を立ち上げ[2]、マイティンガー・キャッセルベリーの特約販売店としてニュートリライトの製品を販売するようになる。この時の商売方法はダイレクト・セリング・システムと呼ばれる。長い横文字だがなんということはない、友人・知人に直接販売するという、現代のアムウェイにも続く商売方法である。
2人の企業は順風満帆だったのだが、ある日ビジネスが暗礁に乗り上げてしまう。ニュートリライトがアメリカの食品医薬品局に製品の効能について過剰宣伝をしているという理由で訴えられたためである。ニュートリライトはこれによって広告宣伝を見直さざるを得なくなり、主要商材である栄養補給食品が不振に陥った。このカバーとしてニュートリライトは化粧品を新たに販売しはじめたが、この販路で揉めてしまう。デヴォスとアンデルは自身のビジネスを継続するため、マイティンガー&キャッセルベリーの組織を通してではなく、自分たちが直接ニュートリライトの販路を受け持つことを決め、新たに会社を立ち上げる。これがアムウェイである。
アムウェイのビジネスは成功を納め、ニュートリライトのディストリビューターがアムウェイに移籍することを望むようになった。アムウェイはディストリビューターを受け入れたことで、アムウェイとニュートリライトの力関係は大きく販売側のアムウェイに傾いた。やがてアムウェイはニュートリライトを買収するに至る。
ニュートリライトが政府の規制で厳しくなったことを見たデヴォスとアンデルは、政府の規制が厳しくなく、誰にでも必要性がわかり、売りやすい商品について検討し、洗剤の販売を開始する。現在は栄養補給食品・化粧品と並び、ハウスウェアと呼ばれる家の中で使うものを多く販売している。
1971年にはオーストラリアに海外進出を果たす。1977年には日本にも日本アムウェイ合同会社を設立。2023年現在ではでは100を超える国と地域に進出している。
アムウェイの創業理念は、『成功を望むすべての人々にその機会を提供したい』というものである。これに伴い、『自由 (Freedom)』『家族 (Family)』『希望 (Hope)』『報われること (Reward)』を大切にするということを現在でも重視する、とアムウェイは説く。
さて、リッチ・デヴォスとジェイ・ヴァン・アンデルの理念は非常に崇高なものであり、かつ彼らは成功者として多くの富と名声を得た。ジェイ・ヴァン・アンデルは全米商工会議所の会頭を務め、その子でアムウェイの共同経営者の座を引き継いだスティーブ・ヴァン・アンデルも全米商工会議所の会頭を務めた。親子二代で全米商工会議所の会頭を務めたのはヴァン・アンデル親子が初であり、これをアムウェイは地位と信用の証とする。だが、アムウェイにはその商法から批判も多い。
アムウェイはネットワークビジネス (MLM)を中心とする企業である。これはデヴォスとアンデルがニュートリライトの栄養補給食品を扱い始めた当初から行っているダイレクト・セリング・システムの延長にあり、すなわち現在であっても家族・友人・知人相手に商売をしかけるのが基本となる。彼らは疎遠となった旧友に電話をかけ、近所の人を誘ってホームパーティーを行い、あるいは何らかの会合などに大学の同級生を誘う。その際に本来の目的 (アムウェイへの勧誘・及び商品販売) を隠匿している事が多く、トラブルが後を絶たない。
アムウェイは基本的に『連鎖販売取引 (Multi-Level Marketing)』に該当する企業であり、このため特商法では「勧誘目的を告げる」ことが義務として定められている。しかし、基本的にディストリビューターがその目的を告げて誘うことは稀であり (まあ告知すれば誰も来てくれないのだから当たり前なのだが) 、誘い込んだ挙げ句断りにくさを利用して強引に会員にさせる、あるいは購入させるということが問題となっていた。基本的に違反してもディストリビューターが検挙される事例がないことも、アムウェイのみならず多くのネットワークビジネス事業者にとって追い風となっていたといえよう。しかし、2021年11月11日、マッチングアプリを通じてアムウェイの勧誘を行ったとして検挙が行われた。日本国内では初の検挙事例となる。
2022年10月14日には、消費者庁が日本アムウェイ合同会社に6ヶ月間の取引停止命令、及び再発防止策を講じる事を求める指示処分を出す。
また、アムウェイのディストリビューターの行動原理は通常の個人事業主と委託元の企業の枠組みを超えて、ある種のカルト的な物となっていると指摘されている。Skeptic's Dictionaryを主催するロバート・トッド・キャロルはアムウェイについて、「構成員の宗教的献身によって成り立っている」と指摘している。実際、ディストリビューターの極一部は成功し億万長者となっているが、彼らが儲けたのは単にピラミッドの上位に位置取り、絶えず会員を勧誘し、あるいは彼らにセミナーを開催することで他のディストリビューターたちに「自由」「家族」「希望」「報われること」をはじめとした理念を語り、あるいは新たなディストリビューターの勧誘について説くからである。彼らは商品については高品質であることを強くアピールし、それを売り込もうとするが、実際にアムウェイについて語る際はアムウェイのビジネスによって得られる富、希望、人生について語る。もっともこれは多くのネットワークビジネスにおいて共通することであろうが。
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最終更新:2025/12/06(土) 21:00
最終更新:2025/12/06(土) 21:00
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