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アーレハイネセン

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アーレ・ハイネセンとは、小説・OVA「銀河英雄伝説」の登場人物。セリフは存在しないため声優は当てられていない。

略歴

生年、出生地は帝国領アルタイル星系のうちのどれかである可能性もあるが、共和主義者の眷属として流刑に処された可能性もあり不明。OVAではおおよそ20代から30代前半ほどの外見の金髪の青年。

帝国暦164年、極寒のアルタイル星系で奴隷労働に従事していた彼は、同じく奴隷階級であった少年イオン・ファゼカスがドライアイスで船を作り湖の上で遊んでいたことをヒントにドライアイスを利用した宇宙船を建造し帝国を脱出するアイデアを思いつく。社会秩序維持局の目を避けつつ、巨大なドライアイスの氷塊を括りぬき居住地やエンジンルームを確保。アイデアの元となった少年の名前から「イオン・ファゼカス」号と名付けられたこの宇宙船に40万人を載せて星系からの脱出に成功する。歴史上、「長征一万光年」と称される長い旅の始まりであった。

その後も帝国官憲の目を避けつつ無人の惑星で本格的な恒星間宇宙船80隻を建造。星間物質を採取しながら逃亡を継続し、ついには未知の暗礁宙域(のちのイゼルローン回廊)へ進入。この航海は非常に厳しいものとなり、当初いた40万人の人員も半分以下の16万人に減少。ついにはアーレ・ハイネセン本人も事故により死亡してしまう。

友人であったグエン・キム・ホアが後を継ぎ、半世紀に及ぶ過酷な道程の後の帝国暦218年、ついに居住可能な惑星(のちのバーラト星系ハイネセン)を発見する。この年、ルドルフによって廃されていた宇宙暦(527年)を復活させて自由惑星同盟建国を宣言。ここに作中の現代につながるもう一つの体制が誕生したのだった。

評価・同盟

自由惑星同盟においては「国父」と称され崇拝対象である。グエン・キム・ホアたちが発見した最初の惑星は「ハイネセン」と名付けられ、同惑星の中心都市ハイネセンポリスが作中における自由惑星同盟の首都であった。また、この地にはハイネセンをかたどった巨大なオブジェも存在した。

ただし、彼の肉声は伝えられておらず(このため、声優は配されていない)、思想的な言動は一切作中では紹介されていない。唯一の言葉として「闇が深くなるのは、夜が明ける直前であればこそ」があるが、これをひいたヤン自身もハイネセンが本当に言ったかどうかについては懐疑的である。

また誤解しやすいが、自由惑星同盟の建国そのものはハイネセンによるものでもなく、そもそも企図していたものでもない点は考慮するべきだろう。この事実を指してか、ヤンは国家の存亡そのものにはさしてこだわりを見せてはおらず、反面民主主義そのものを守る姿勢は(偏執的に固執した訳ではないにせよ)崩さなかった。

これら歴史的事実の他にも、国家の為政者にとって不都合な自由主義、基本的人権の尊重などの象徴でもあり、建国の理念を忘れた大衆からもやや退屈な人物に映る側面はあったためか、ダゴン星域会戦の英雄であるリン・パオやユースフ・トパロウル、730年マフィアの長たるブルース・アッシュビーら戦争英雄(皮肉なことにヤンの存在もこれに加わる)と比べると同盟市民の間で尊崇されている描写は少ない。巨大オブジェもルドルフのそれと変わらず、形式的で形骸化した国家体制のカリカチュアとして作中では描かれている。

しかし、同盟が滅亡し自由共和政体の国家がなくなりヤンも倒れたのち、皮肉にも彼の存在は再び輝きを帯び始める。ほぼ全ての寄る辺をなくした共和主義者にとり、手本になりうる・希望を見出せるのは彼だけであったのだから。

彼らが集結したイゼルローン共和政府が要塞に掲げた人物肖像は二人だけ。
一人はヤン、もう一人はアーレ・ハイネセンその人であった。

評価・帝国

帝国は当初、ハイネセンらが起こした脱出事件には何ら関心を示さなかった。事件から二百年後の帝国歴331年のファーストコンタクトののち、古記録をあさりようやく彼らのルーツが判明したというほどだった。

帝国では自由惑星同盟を国家として認めず単に辺境の叛徒と称しており、当然ながらその祖先である彼の存在も否定的であった可能性が高い。ただし、帝国内には潜在的にその圧政に不満を持つ大衆は存在し、仮に否定的とは言え情報を流してしまうと彼らの拠り所になってしまう恐れがあるため、その存在はあるいは秘匿されていたのかもしれない。少なくとも、帝国の将兵が彼を罵倒する描写は存在せず、同盟のルドルフに対する態度とは溝がある。

特筆すべき態度を取った帝国の人物としてはラインハルトが挙げられ、彼は同盟を征服後、ハイネセンの巨大オブジェを撤去している。ただし、これは戦勝者としての振る舞いではなく、単に等身以上の人物立像を嫌ったことによるもの。ハイネセンの行いを記録した記念館などには干渉せず、本心では無関心であったようだ。また、「彼が本当に尊敬されるべき人物ならばこの行いを是とするだろう」とも述べており、ある意味では最低限の敬意は示したともとれる。

関連人物

  • ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム - 敵対勢力の開祖
  • ヤン・ウェンリー - 同盟軍元帥。ヤン本人はハイネセン像には批判的だったが、「国父」としてのハイネセンには深い尊敬の念を持っていた。ドライアイスを使った作戦をハイネセンの故事に喩えたりハイネセンのセリフをひいたりと、あまり国家的な行事や人物をの威光を利用しない彼にしては珍しく全面に押し出している。
  • ユリアン・ミンツ - ヤンの後継者。辺境であるイゼルローンに籠る自分たちとハイネセンの行いをたびたび比較しては教訓としている。なお、自身も長征一万光年の参加者にルーツを持つ家柄の出身である。ただし、彼らは同盟の特権階級と化しており、ユリアンの祖母もそう言った権威を振り回す人物で彼自身も好意的には考えておらずそれほど強調されていない。

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関連項目

  • 銀河英雄伝説
  • 自由惑星同盟
  • ゴールデンバウム朝銀河帝国

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最終更新:2025/12/11(木) 08:00

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