イニシャル・ティーチング・アルファベット (Initial Teaching Alphabet) とは、幼児に対する英語の初等教育向けに考案された文字体系。
略してI.T.A.またはi.t.a.と呼ばれ、日本語では文献によって「初期指導用アルファベット」「初等教育用アルファベット」「幼児用アルファベット」と訳されている。ピットマン式速記の考案者アイザック・ピットマンの孫であるジェームズ・ピットマンによって1957年に考案され、実際にイギリス等の学校で使用された物である。
国会議員でもあったジェームズ・ピットマンは表記簡易化の法案を起草し、この法案は1953年にイギリスの議会へ提出され、通過した。1961年にはイギリスの小学校でI.T.A.による教育の実験が実際に行われ、その後これを導入する学校が増えていき、さらにアメリカやオーストラリア等の学校でも採用されるまでに至った。しかし、その教育効果が現場では大きく認められず、1970年代以降I.T.A.は徐々に使用されなくなった。
I.T.A.は既存の英語の文字 (q、x以外の24文字) に、新たに21文字を追加した合計45文字を使って表記する。大文字は本来のA B …… Zの形ではなく、小文字を一回り大きくした形を使用する。
I.T.A.は幼児でも覚えやすくする事を考慮して、英語の伝統表記における不規則性を極力排除している。一方、初等教育でのみ使用して後で伝統表記を教える事を前提としているため、伝統表記に近づけている所があり、必ずしも文字と発音を1対1に対応させていない。例えば /p/ の発音表記にはpとpp、/k/ の表記にはc、k、ckをいずれも使用する。曖昧母音 /ə/ は専用の文字がなく、母音文字のうち伝統表記に近い物を使用する。また新たに追加した文字についても、本来の英語表記が連想出来る合字 (ch、ng、ee、auの合字等) を主に採用している。
現在I.T.A.の追加文字はUnicodeに収録されていない。
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最終更新:2025/12/08(月) 16:00
最終更新:2025/12/08(月) 15:00
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