クトゥルフとは、アメリカの小説家H・P・ラヴクラフト(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト)によって創始されたというより端を発する架空の神話体系、及びそれらの作品群に登場するクリーチャーの名称であるCTHULHUの日本における表記の一つである。→クトゥルフの日本における表記
通称は「クトゥルフ神話」、「クトゥルー神話」、「ク・リトル・リトル神話」など。
クトゥルフ神話の成立と発展に関する詳細な記述は、『クトゥルフ神話』 の項を
クトゥルフ自体の血縁に関する設定については「クトゥルーの血縁」の項を
作品「クトゥルフの呼び声」に関する記述は『クトゥルフの呼び声』の項をも参照のこと。
| H・P・ラヴクラフト (1890-1937) |
本来はラヴクラフトが創作あるいは添削した数十篇の小説や詩を中心に、彼の友人であったフランク・ベルナップ・ロング、クラーク・アシュトン・スミス、ロバート・E・ハワード、ロバート・ブロックら複数の作家たちの間で、共通の固有名詞(神や書物)を共有するというお遊びの中で生まれたものだった。ラヴクラフトの生前にも、ある程度、世界観のようなものが生まれつつあったが、明確にまとめあげられたのはその死後になってからのことである。
ラヴクラフトの友人であり、彼の作品を商業刊行したオーガスト・ダーレスや、1970年代にクトゥルー神話ブームの火付け役となったリン・カーターらはシェアード・ワールド的なものを構想していたようだが、実質的には世界観については作家個々の裁量にゆだねられ、固有名詞のシェアリングからゆるやかになり立っているジャンルである。よって、よく誤解されることではあるが、シェアード・ワールドとは全く異なっている。関連する固有名詞を取り込むだけで、過去の作品群との接続を匂わせることができるという敷居の低さ、そしてキャラクター文化との親和性の高さから、最近では漫画やゲームなどでも題材として取り上げられることが多くなった。
ラヴクラフトは生前、物語の根底に到底人間には理解し得ない他者的存在への恐怖、『宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)』を提唱し、これに基づく作品を幾つか手がけている。ただし、クトゥルー神話の原型が生まれつつあった1920年代においてすら、前述のお遊びに参加した作家たちは特にこうしたテーマを意識しておらず、ラヴクラフト自身の作品の全てが『宇宙的恐怖』に基づいているというわけではない。にも関わらず、クトゥルー神話=『宇宙的恐怖』という思いこみは、半世紀以上に渡って世界各国のラヴクラフトファンの間で定説として知られることになった。そして、多くの場合、クトゥルー神話作品から『宇宙的恐怖』の要素が薄れていることの原因は、ラヴクラフトの生前から独自の様々な要素を付け加えていたダーレスに帰せられる。その為に、ラヴクラフト作品の世界観を貶めたとダーレスを批判するファンも多い。ただし、こうした批判が噴き出したのはダーレスの死後になってからのことで、「ダーレスがクトゥルー神話を体系化した」という定説についても疑問がある。アーカム・ハウス刊行のクトゥルー神話小説の大部分が、ダーレスの独自設定(旧神、四大精霊説など)を採用していなかったことがその根拠となる。
実際の「クトゥルー神話の体系化」は、3段階で進んでいった。第一に、フランシス・T・レイニーが1943年に手がけた『クトゥルー神話小辞典』。「旧支配者(Great Old One)」という用語を、ラヴクラフトやダーレスの用法とは異なる邪神群として位置づけたのは、この『小辞典』をもって嚆矢とする。第二に、リン・カーターが若年時に同人誌に発表した『クトゥルー神話の神々』『クトゥルー神話の魔導書』がある。これらの資料はアーカム・ハウスの本に掲載され、ここで体系化されたクトゥルー神話周辺設定が読者の共通知識として定着していった。そして第三が、1980年代にケイオシアム社から発売された『クトゥルフ神話TRPG(クトゥルフの呼び声)』における設定で、「外なる神(Outer God)」の存在をはじめ、今日的なクトゥルー神話の設定は多くの部分をこのTRPGに拠っている。
ラヴクラフト自身は、1930年頃に「Cthulhu & other myth - myth of Cosmic Thing in Nec. which created earth life as joke(クトゥルーその他の神話--戯れに地球上の生物を創造したネクロノミコン中の宇宙的存在にまつわる神話)」という言葉を用いて、クトゥルーその他の神々にまつわる神話について説明を与えている。その後、こうしたテーマは後続作家たちによる数多くの作品を通して、「遥か太古の昔に外宇宙の彼方より飛来し、この地球に君臨していた旧支配者と呼ばれるおぞましき存在が現代に蘇る」というものになっている。大抵の作品の主人公はちょっとした好奇心や興味から旧支配者やその眷属たちについての信じがたい真実を目の当たりにしてしまい、想像を絶する狂気と絶望の果てに凄惨な最期を迎えるが、ラヴクラフトの「ダンウィッチの怪」、ロングの「喰らうものども」の主人公たちのように、人知を尽くして怪物を打ち倒すような作品も初期の頃から存在した。
「クトゥルフ」神話と呼称されるように神話体系の名称に冠せられるほど代表的な神性。その名前は本来人間には発音できない物らしく、そのためにクトゥルー、ク・リトル・リトルなどの数多くの呼び方がある。(余談だが、ホラー作家の小林泰三は「くとーひゅーるひゅー」「ようぐそうとほうとふ(ヨグソトース)」とユニークな表記をしている)
太古の昔、地殻の下にその住まいである古代都市ルルイエごと封印された水を司る旧支配者という設定だが、これは前述のダーレスが付け加えた設定で、原作では細かい部分は曖昧なまま「何かすごいでっかいのに追いかけられた!すごい怖かった!」で終わっている。
軟体動物がモチーフとされており、蛸のような頭部、蝙蝠のような翼、巨大な爪のある手足を持っている。海底都市ルルイエにて永き眠りについているが、星辰の変化や地殻変動によりルルイエが浮上する時期が来るとその思念がテレパシーにより全世界に伝播され、芸術家や子供のような感受性の強い者の精神に深刻な影響を与え、精神異常や自殺などを誘発させる。
近年の日本でのクトゥルフ神話の知名度を上げる一因となったものにTRPG『クトゥルフの呼び声』がある。
『クトゥルフの呼び声』はクトゥルフ神話の世界観を題材にしたTRPGと呼ばれるジャンルのゲームであり、特徴的なシステムとしてSAN値がある。SAN値は「正気度」をあらわすもので、この値が少なくなるほどプレイヤーは正気を失ってしまい、やがてSAN値が0になると完全に狂人になってしまう。そのためか狂気の代名詞としてSAN値が下がるなどといった表現が用いられることがある。
詳細は『クトゥルフ神話TRPG』の項目を参照のこと。
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最終更新:2025/12/24(水) 05:00
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