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TOYOTA

トヨタ自動車株式会社(TOYOTA, Toyota Mortor Corporation)とは、愛知県豊田市と東京都文京区に本社がある自動車メーカーである。日本はもとより、世界最大級の自動車メーカーであり、ゼネラルモーターズやフォルクスワーゲングループと販売台数1位を争っている。通称として「トヨタ」や「TOYOTA」と呼ばれることが多い。

概要

1933年、トヨタグループの創始者で豊田自動織機の創業者・豊田佐吉の長男・豊田喜一郎が豊田自動織機内の自動車製造部が起源である。1935年に自動車製造を開始し、1937年にはトヨタ自動車工業として独立をする。

1950年、ドッジ・ラインに伴うデフレにより経営危機に陥り、開発&製造部門のトヨタ自動車工業と販売部門のトヨタ自動車販売が三井銀行(現・三井住友銀行)の薦めで分離する。これを「工販分離」と言われる。この「工販分離」がグループが結束するようになり、クラウン、コロナ、カローラと言ったロングセラー車を生み出す原動力となる。1982年にトヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売は、トヨタ自動車として合併して現在に至る。

バブル崩壊後の1995年、豊田一族ではない奥田碩が社長になったことでトヨタは大きく変貌を遂げた。奥田は持ち前の仕事の速さで大胆なコストカットと役員入れ替えを行い、不況に苦しむトヨタを一年で回復させた。さらに海外展開路線を強力に打ち出し、トヨタを世界一の自動車企業に押し上げることを目標に邁進し続けた。

拡大路線に並行してWRCとル・マンから撤退、F1にフルワークス参戦することを決定。さらに、ヴィッツやプリウスなど消費者に21世紀の目新しさを感じさせる新車種を次々に打ち出して、現在のトヨタの基礎を作っている。

しかし一方で過度なサービス残業強要、下請けイジメなどがはびこるようになった。また奥田は「クラウンは5年持てば良い。オーナーは金持ちなんだから買い換えてくれる」などと品質管理を軽視する発言をしていたという。そのため「金儲けしか考えないトヨタ」という悪いイメージも作ってしまった。

1999年に奥田は社長職を辞したが、代わりに会長となってそのままトヨタに君臨し続けた。、

2007年に起きたリーマン・ショックの影響でGMが後退したことで、ついにトヨタは世界販売台数一位を獲得する。しかしこの金融ショックはトヨタにも襲いかかり、58年ぶりに営業赤字を計上した。トヨタの海外拡大路線はあまりに性急すぎて、世界中に展開した工場では円高による原材料高騰に対処し切れていなかったのだ。一方で売れる車種は廉価な小型車やハイブリッド車ばかりで、著しい利益率の低下を招いていた。そこへきてこの大不況で、過剰設備・人員・過剰在庫の三重苦である。トヨタは破綻したGMと同じく「大企業病」を発症しており、破綻寸前まで追い込まれた。

2009年にはさらに品質管理を怠ったツケがきて、大規模なリコール問題に発展。奥田は会長職を辞し、豊田家から4代ぶりに章男が社長に就任した。章男は「従来のトヨタの良さを取り戻す」と原点回帰を表明。ものづくりに対する姿勢や拡大路線の見直し、経営体制の大規模な変更、原材料のコストカットを重点的に行った。またこの年の暮れにF1から完全に撤退した。

2010年に営業利益は黒字に戻るが、再度大規模リコールが発生。これらの問題に関してアメリカの議会に召喚され、世界中からつるし上げを食らう。さらにトヨタの苦難は続き、2011年の円高や東日本大震災、タイの洪水、中国の日本バッシング、など立て続けにトヨタの工場がストップ、生産・消費にともに大きなダメージを受けた。

しかし2012年に円安に転じると我慢と改革がついに実り、GMからシェア一位を奪還。2013年には営業利益1兆円突破、2014年には1000万台を突破するなど、奇跡的な成長を遂げた。

2015年には「環境チャレンジ2050」を発表して2050年までにエンジン車を無くすと宣言。また同年プラットフォーム「TNGA」を発表、新世代の車作りへと踏み込んだ。

企業の特徴

高品質(故障しにくい

トヨタ車といえば壊れにくい、である。「トヨタ方式」と呼ばれる独自の生産方式は1960年代頃から均一な部品を作ることに定評があり、他の自動車メーカーもこぞって手本にした。

今でこそ壊れにくさはトヨタに限らず日本車の代名詞と言えるが、それでもトヨタ車は一つ頭抜けているところがある。

特にランドクルーザーとハイラックスの頑丈さは圧倒的であり、水に沈んでも鉄球をぶつけても火であぶっても完全には壊れない。そのため戦場でも人気であり、特に中東ではさかんに用いられている。イスラム国などはあまりにトヨタ車ばかり使うので、「トヨタはイスラム国を支援しているのでは無いか」とアメリカに疑われたこともあるほどだ。

多彩な販売チャネルとラインナップ

トヨタは戦時中の輸入車禁止令下のもとにGM・フォードディーラーを吸収しており、一番最初に全国に販売網を強いた日本車メーカーである。そのため日本のモータリゼーション黎明期からトヨタは日本のシェアトップであった。なおイストやハリアーなど、トヨタのエンブレムが車種毎違うことが多いのは、当時のGMを学んでいた頃の名残である。

現在はトヨタ、トヨペット、カローラ、ネッツと4つの販売チャネルを持ち、そこにレクサスが加わっている。それぞれが違う階層の車の販売を担当しており、なおかつそれぞれが近い距離に存在している。販売窓口の数の有利に加え、販売店同士で販売目標を設定させて競合あるいは協力させる戦略だ。社員の対応も素晴らしいともっぱらの評判である。

またラインナップも豊富で、セダンやコンパクトカーを中心に、似たような、しかし異なる車種を多数、グレードも多数用意し、細かいニーズに応えることが可能になっている。これらが「販売のトヨタ」と呼ばれたゆえんである。

先進的環境技術

「販売のトヨタ」のイメージから技術力が無いと思われがちなトヨタだが、実際は優れた技術を多く持っている。

特に環境技術には強く、ハイブリッドはトヨタの代名詞として知られる。THSと名付けられたこのスプリット式ハイブリッド技術は、エンジンとモーターを同時に遣いながら、エンジンの余った馬力を充電に回すことができる画期的なシステムだ。いわゆるマイルド・ハイブリッドなどとは比べものにならない極めて複雑なこのシステムを、21世紀が始まる前(1997年)に開発できたのはトヨタだけである。ちなみに第二号は2005年にGM、ダイムラー、BMWの共同開発の末にようやく登場。

またアイドリングストップもトヨタが最初で、1970年代のクラウンからすでに装備されていた。燃料電池車や、太陽光で発電するPHVを初めて量産したのもトヨタだ。

その他には世界初では無いが、スバルの水平対向エンジンをノンターボで200馬力まで押し上げた直噴技術D-4、ハイブリッドの低燃費を内燃機関でも支えるミラーサイクルエンジン技術なども有名である。

研究開発に使われている費用や特許数も日本メーカー随一であり、細かい技術の開発では他社の追随を許さない。2016年には自動車メーカーだけで無く全国内企業中トップの特許申請数となった。また燃料電池車に関する特許5680件を無料公開、水素エネルギー社会の推進を図っている。

多数のグループ企業と積極的な業務関係

トヨタは1960年代の業界再編時代から深く提携してきた日野・ダイハツと共に、生産の委託し合いや技術の学び合いを通して成長した。また同時期にヤマハ発動機からは高性能型DOHC、ホンダからCVCCの技術供与も受けた。

現在はダイハツを完全子会社、日野を連結子会社化しており、スバルの筆頭株主にも収まっている。またヤマハ発動機、パナソニック、デンソー、アイシン、KDDI、東和不動産、曙ブレーキ、いすゞ、あいおいニッセイ同和損保などにも株主として関わっていること知られている。なお近年はマツダ、スズキとも技術提携を開始している。

ちなみに「スバルがダメになったのはトヨタのせい」という論調が2ちゃんねるなどでよく見られるが、奥田会長時代にトヨタが株主となったとき、渡辺社長や豊田章一郎名誉会長から「トヨタにならないでください」と言われており、むしろ今のスバルはスバル自身が望んでなったと言える。またスバルは2004年に稼働率の著しく低下した北米工場の危機を、トヨタ・カムリの生産を請け負うことで乗り切ったり、その後も利益の上げ方についてトヨタのやり方が大いに参考にしたりとトヨタから助けてもらっていることも多い。逆にトヨタもスバルと共同開発をすることで、スポーツカー文化再興のきっかけとなる86/BRZを誕生させることができた。

マツダもトヨタからハイブリッドの供給を受けたり、北米工場の設備投資を負担してもらったり、燃料電池車やEV技術の供与も受けたりしている。一方でマツダはセダン型デミオをトヨタにOEM供給していたり、ガソリンやディーゼルエンジン技術の供与をしている。

またマイクロソフトとは合弁会社「Toyota Connected,Inc」を設立、ビッグデータを利用したシャーシの開発や自動運転技術の研究にも力を入れている。

「トヨタは大排気量NAをヤマハ無しでは作れない」とバカにされることは多いが、そのヤマハだってバイクを作れるようになったのは元々ホンダのお陰なのだからおあいこである。トヨタは総じて自社の技術に拘泥せず、パッケージとして優れた車を大量に作り出すことに長けていると言える。

高い企画力

「パクリが得意」などと叩かれるトヨタだが、これもイメージだけ先行の誤解である。実際には正確な市場調査で消費者のニーズを掘り起こしたり、ニーズに応えたりする力に長けている。具体的には「いつかは」のクラウン、ハイソカーブームの中心となったマーク三兄弟、街で乗れるSUVRAV4、洗練された小型車のヴィッツ、高級セダンの乗り心地を持ったSUVのハリアー、ハイブリッド車のプリウス、ターボも四駆もハイグリップタイヤも不要なクーペの86/BRZ、サーキットで鍛えたSUVのC-HRなど、トヨタが切り開いてきたジャンルは意外と多い。

また高級車=派手・壊れるというイメージの時代に、高品質・高性能をウリとするレクサスブランドを立ち上げて北米でブームを起こすことに成功したのもトヨタである。

80点主義

基本的にどの車も角が取れており、運転しやすい。だが逆に「個性が無い」「刺激が足りない」と批判されることも多い。トヨタ=つまらないとされるのはこの80点主義によるものである。

「足回りがふにゃふにゃだ」と批判されることがあるが、ストップ&ゴーばかりで高速道路でも100km/hまでしか出せない日本ではむしろそのくらいの足回りが多くの消費者に好まれていると言うことでもある。ちなみに海外ではきちんと現地に見合った仕様で出しており、特に北米や欧州での生産車は現地に合わせてカッチリした足回りになっている。カムリ、オーリスはその代表例だ。

近年は80点+αとして、従来の退屈なイメージからの脱却を図っている。新プラットフォームのTNGAは、従来の低燃費・低コストに加えて走る楽しさを盛り込むクルマづくりを強く打ち出している。またデザインもキーンルックと呼ばれる、賛否両論でも強いインパクトを与えることを優先したものとなっている。

モータースポーツ

大衆車メーカーのイメージとは裏腹に、モータースポーツでは非常に成功しているメーカーである。

WRCには1973年から1999年まで実に27年間参戦しており、日本車メーカーで初めてドライバーズ・マニュファクチャラーズタイトルを獲得した。1995年には「悪質な」リストリクター違反を受けて1年間の出場停止処分を下される。しかしトヨタはこの決定を重く受け止め、さらに1年の活動を自主的に停止。復帰後の1999年にマニュファクチャラーズタイトルを獲得、有終の美を飾った。それから18年の時を経て2017年にWRCに復帰。わずか2戦目で優勝を挙げ、「ラリーのトヨタ」復活を知らしめた。2017年4月までに、4回のドライバーズタイトルと3回のマニュファクチャラーズタイトル、44回の優勝を記録している。

スポーツカー耐久では2014年のWEC世界耐久選手権でダブルタイトルを獲得している。しかしル・マン24時間では1992年はトップを猛追するも途中でエンジンがオーバーヒートして2位、1994年は残り1時間でトラブルが発生して2位、1999年は残り1時間でタイヤがバーストして2位、2014年はPPから首位を維持していたのに電装系トラブルでリタイア、2016年はトップ快走中のなんと残り6分で駆動系トラブルでリタイアと、なぜか総合優勝にだけは手が届かない。ちなみにクラス優勝なら1993年に達成している。

ダカールラリーでは市販車部門に1995年からランドクルーザーで参戦、2017年までに17回の優勝を獲得している。また南アフリカのトヨタがハイラックスを改造してアンリミテッドクラスに参戦しているが、こちらは未だ優勝は無い。ちなみに2017年のダカールで出走した(カミオン・クアッドを除く)79台の四輪車のうち、36台がトヨタ車だった。

アメリカでもトヨタは大成功を収めており、アメリカ三大レース(デイトナ500、インディ500、デイトナ24時間)とそれに付随したシリーズ(NASCARカップ戦、インディカー、IMSA)を全て制したことのある唯一の外国メーカーである。特に2016年のNASCARでは、3大カップ戦全てでマニュファクチャラーズタイトルを獲得する完全制覇を収めている。

また国内のスーパーGTやスーパーフォーミュラでもホンダを圧倒し続けている。

章男が社長になってからのトヨタのレース活動は「GAZOOレーシング」の名のもとに行われており、「もっといいクルマづくり」の象徴に位置づけられている。また章男自身もステアリングを握ってニュル24時間や新城ラリーに登場し、国際C級ライセンスの腕前を披露している。

F1での活動についてはトヨタF1の項目を参照のこと。

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関連車種

  • トヨタ自動車の車種一覧を参照

関連項目

  • 自動車製造会社一覧
  •  ブランド
    • LEXUS
    • SCION - 北米のみ展開。日本におけるネッツ店の位置付け。現在は消滅。
  • 傘下企業
    • ダイハツ工業
    • 日野自動車
  • 資本参加企業(主要株主)
    • ヤマハ発動機
    • いすゞ自動車
    • 富士重工業 / スバル(富士重工)
  • 豊田工業大学
  • 関連プロスポーツチーム
    • 名古屋グランパス(自社のサッカー部が前身。現在は運営法人が自社の完全子会社)
    • アルバルク東京(自社の男子バスケットボール部が前身。現在は自社が運営法人の筆頭株主)

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