ビーレフェルトの陰謀 単語


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ビーレフェルトノインボウ

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ビーレフェルトの陰謀 (――いんぼう、独:Bielefeldverschwörung、英:Bielefeld Conspiracy) とは、ドイツのインターネット利用者を中心に語られる、「ビーレフェルトという都市は存在しない」というジョーク。

人口33万という大都市でありながらいまいちパッとしない」ビーレフェルトをおちょくるために、陰謀論のプロットを適用したもので、日本で言うなら「埼玉いじり」にノリが近い。

『陰謀論』の骨子

ビーレフェルトという都市は存在しない。「やつら」はビーレフェルトという都市があるかのようなプロパガンダを当局と手を組んで行っているのだ。ビーレフェルトの自動車のナンバープレートや、ビーレフェルトに居を構えるとする新聞社、郵便番号、電話番号、ビーレフェルト大学の卒業証書などは偽造されたものであり、ビーレフェルトに関するニュースはやつらのプロパガンダなのだ。

やつらの目を欺き、真実を語ろう。「B*e*e*e*d」「B**l*f*ld」「Blfd」(日本語で表記するならビー◯◯ェルトのようなもの) と伏せ字にするのだ。

「あなたはビーレフェルト出身の人を知っていますか?」
「あなたはビーレフェルトに行ったことがありますか?」
「あなたはビーレフェルトに行った人を知っていますか?」

多くの人は「いいえ」と答えるだろう。もし、一つでも「はい」と答える人がいたら?――その人は「やつら」の陰謀に加担しているのだ。

ジョークの発端

なぜビーレフェルトはこんな「陰謀論」と言う名のジョークが囁かれたのだろうか?そこには、「人口33万人」を抱えるとは思えないほどのビーレフェルトのある種の「ショボさ」が挙げられる。

先程も言った通り、ビーレフェルトは人口33万人もいる大都市である。しかしこんな大都市でありながら、なぜか高速道路 (アウトバーン) は外周を通るだけである。鉄道駅も存在するが、大都市の駅と思えないほど仮設駅のような佇まいであった (2007年に改修されたので、現在は割とまともである) 。このため、多くの人は「ビーレフェルト」という大都市に気付けないまま通過してしまう。日本で言うなら常磐線利用者に北千住の印象は残っても、三河島の印象は残らないようなものである。

また、このビーレフェルトは第二次世界大戦時の連合国軍の空襲の影響で歴史的な町並みも建物もない。かつてラーヴェンスベルク伯領の中心的な邑ではあったが、ラーヴェンスベルク伯爵家が早々に断絶しており、その居であったシュバレンブルク城も塔のひとつさえない。つまり、ビーレフェルトには観光名所と呼べるものがない。日本で言うなら地方民が関東に旅行に行く際に、なんもない埼玉に行くくらいなら千葉でネズミと戯れるようなものである。

産業としてはリネンがあり、その後も機械製造の企業が本社を置いているが、別に一般消費者が知るような有名企業はない。連邦機関の本拠もない。方言が標準ドイツ語よりちょっと違ったりしているが、青森や鹿児島ならともかく埼玉の方言なんて誰が覚えていようか?

また、ビーレフェルトにはブンデスリーガの1部に属することもあるアルミニア・ビーレフェルトがあるが、別にその位置をずっとキープしている強豪ということもない。

なおGoogleマップでは2006年までビーレフェルトの都心部の衛星画像の解像度が何故か低いままであり、道路地図とのハイブリッド表示もズレていた。人口33万人の都市がこんな扱いなんて……やっぱりビーレフェルトは存在しないんじゃ…… (現在は改善) 。

ジョークの広まり

ジョークの広まりはドイツのキール大学に通う学生アヒム・ヘルトが1994年にニュースグループにこの陰謀論を投稿したことから。パーティーでビーレフェルト出身の学生と知り合ったとき、他の学生たちはビーレフェルトなんて都市を知らなかった。そこで、「そんな町、ないでしょ」とからかったことがジョークを思いついたきっかけなのだとか。

その後、ネットでこの陰謀論は広まり、いまではドイツ人なら誰でも知っているお決まりのネタになっている。元首相のメルケルでさえ、ビーレフェルトを訪れた際には「へえ、ビーレフェルトってあったんですね」という発言を残している。

なお、陰謀論としては実は欠陥があり、誰がどうしてビーレフェルトなんてありもしない都市を信じ込ませようとしているのかというストーリーは定まっていない。一節には、ビーレフェルト大学に宇宙船を偽装している宇宙人が広めたというものがあるとか。

ビーレフェルトサイドも逆説的にこのジョークが広まっていることで「特徴のない都市」という特徴を手に入れたことから、話の糸口になるとしてこのジョークを歓迎しているとか。この陰謀論をネタにした映画を撮影したり、わざと4月1日のエイプリルフールに「ビーレフェルトは存在します!」という新聞広告を掲載させたりしている。更に、ビーレフェルトが実在しないという根拠を提示できた者には100万ユーロという賞金まで設定した。もちろんこんな根拠を提示できた者はいなかったので、ビーレフェルトサイドは『ビーレフェルト陰謀の終焉の記念石』を設置している。

世界的にも似たような『陰謀論』と言う名の存在感のない地域をいじるネタがあり、イタリアのモリーゼ州、イギリスのウェールズ、ベルギー国全体などがネタにされる。

中にはフィンランドのように、もともとはネタとして存在しないと言われていたものが「反ワクチン」「911自作自演説」「ケムトレイル」レベルの危ない陰謀論に変質してしまったケースもあるが (『フィンランドは存在しない』を参照のこと) 。

日本では「存在しない」陰謀論よりは『未開の地グンマー』『大都会岡山』のようなタイプのいじりネタが存在する。その中でも最も日本国に膾炙しているのはやはり「埼玉いじり」であり、これをネタにした漫画『翔んで埼玉』は映画化もされるほどブレイクしている。


あれ、よくよく考えると埼玉いじりはよく聞くけど、埼玉にある名所・名物を思い出せない……。東京 (いろいろ) や神奈川 (横浜) 、千葉 (東京でない東京) 、北関東三県 (嬬恋キャベツ、しもつかれ、水戸納豆) はすぐに印象的なものを思い出せるが、埼玉ってなにがあったっけ……?

まさか、埼玉もビーレフェルト同様、存在しないんじゃ……

関連リンク

関連項目

  • フィンランドは存在しない - 初期はビーレフェルトの陰謀同様にただのネタだったが、今では陰謀論チャートにおいて「反ワクチン」「911自作自演説」「ケムトレイル」などと並び称されるレベルの大陰謀論になってしまっている。
  • 埼玉県 - いや本当に埼玉って実在するのかな……?
  • 千葉県 - 「関東第3位」を埼玉県と争うライバルとされている。こちらは「東京でない東京」がいっぱいあるので、非実在を疑われる余地はない。名所が片っ端から「東京」とついているのはそれはそれでアイデンティティの危機だが。
  • 神奈川県 - 関東第2位。埼玉や千葉とことなりアイデンティティは保っている。とはいえ、一応横須賀とか鎌倉とか町田とかいくつか知名度の高い地域はあるのだが、ほとんどは横浜の印象に食われてしまっている
  • 大都会岡山 / リッスンブール / タルタリア帝国 - ビーレフェルトとは真逆に、「ある」あるいは「あった」とするタイプの話。前2者はジョークにすぎないが、タルタリア帝国についてはQアノンを中心に壮大な陰謀論として語られている。

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